東京女子医大の2歳児死亡事故 医師ら無罪主張、検察は禁錮刑求刑

森下裕介
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 東京女子医大病院東京都新宿区)で2014年、男児(当時2)に鎮静剤プロポフォールを大量に投与して死なせたとして、医師2人が業務上過失致死罪に問われた事件の公判が19日、東京地裁であった。禁錮刑を求刑した検察側に対し、弁護側が無罪を主張して結審した。判決は来年5月29日に言い渡される。

 起訴されたのは集中治療室の現場責任者だった小谷透(66)、研修医で男児の容体の管理に関わった福田聡史(44)の両被告。14年2月、子どもへの使用が禁忌とされる鎮静剤のプロポフォールを、手術後の男児に長期間、大量に投与して死亡させた罪に問われた。

 検察側は18日の論告で、プロポフォールの大量投与による子どもの死亡例が国内外の文献で報告され、2人は男児の死亡を予見できたと指摘。途中で投与を止めれば死亡を避けられたのに継続したとして、小谷被告に禁錮1年6カ月、福田被告に禁錮1年を求刑した。

 弁護側は19日の最終弁論で、死因がプロポフォールとは証明されておらず、肺炎などの要因が重なって死亡した可能性があると主張。プロポフォールが原因としても、他の医療現場でも医師の裁量で使われていたほか、死亡の可能性が高まる量や期間といった基準は存在せず、男児の死亡を予見したり回避したりすることは不可能だったと述べた。

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この記事を書いた人
森下裕介
東京社会部|裁判担当
専門・関心分野
司法、刑事政策、人権