【12月19日 AFP】フランス政府は18日、エマニュエル・マクロン大統領が南太平洋に浮かぶ特別自治体ニューカレドニアの無人島2島の領土主権を放棄しようとしているとの報道を否定した。この報道は極右のマリーヌ・ルペン氏も取り上げ、マクロン政権を批判していた。

マシュー島とハンター島は、ニューカレドニア本島の東数百キロに位置する火山島で、1980年に独立した島国バヌアツも領有権を主張している。

フランスは今なお、カリブ海からインド洋、太平洋に至るまで、世界中に海外領土を有している。これらは植民地時代の遺産で、現在ではフランス政府とって重要な戦略拠点となっている。

保守系日刊紙フィガロは12月14日、2島がバヌアツに割譲されるのではないかとの臆測を含む記事を公開し、X(旧ツイッター)でも紹介した。

ルペン氏はその投稿をリポストし、「はっきりさせておきたい。国家主権は交渉の対象でも放棄の対象でもない」と記した。

さらに、「マクロン政権が隠れてこそこそとフランスの海外領土を割譲することを国民は望んでいない」と述べ、こうした海外領土を「支配力、影響力、そして経済発展の真の手段」と表現した。

だが、外務省はAFPへの声明で、フランスが「ハンター島とマシュー島の主権を疑問視している」とする報道は「誤報」だと非難した。

外務省は、2島の領有権問題がバヌアツの独立以来「長年の紛争」の対象となっていることは認めた。

マシュー島とハンター島は無人だが、ニューカレドニア、ひいてはフランスは両島を領有しているおかげで、広大な排他的経済水域を確保できている。

バヌアツとは海上国境の画定、およびフランスのマシュー島とハンター島に対する主権をめぐる協議が続けられている。(c)AFP