サイエンス

2025.12.19 18:00

恐竜絶滅後の世界を支配した全長13mの史上最大のヘビ「ティタノボア」

史上最大のヘビティタノボア・セレホネンシス(Shutterstock.com)

史上最大のヘビティタノボア・セレホネンシス(Shutterstock.com)

現在のコロンビアにあたる高温多湿の湿地帯にはかつて、都市を走るバスよりも長く、小型車よりも重いヘビが、支配者として君臨していた。その名はティタノボア・セレホネンシス(学名:Titanoboa cerrejonensis)だ。

学名の「titan」の部分は、この大蛇の威容の片鱗しか捉えていない。ティタノボアの推定全長は13m、推定体重は1トン以上(2500ポンド、約1133kg)に上る。これまでに古生物学者が発見したなかで、最大のヘビだ。

圧倒的な巨体に加えて、ティタノボアは、地球の気候が進化をどのように方向づけるかを私たちに教えてくれる。彼らが生きた時代、地球は恐竜を消し去った大量絶滅事象から回復しつつあった。

ティタノボアは推定全長は13m、推定体重は1トン以上とされている(stock.adobe.com)
ティタノボアは推定全長は13m、推定体重は1トン以上とされている(stock.adobe.com)

炭鉱の奥底に眠っていた大蛇

ティタノボアが最初に発見されたのは2009年のことだ。コロンビアのラ・グアヒーラ県にあるセレホン炭鉱で発掘調査をしていた研究チームが、1つの巨大な脊椎を発見した。当初、あまりの巨大さから、チームはワニのものだろうと考えた。しかし骨の構造を分析したところ、異なる結論が得られた。ヘビの脊椎の特徴がはっきりと確認できたのだ。しかしこの脊椎は、既知のどの種のものとも比較にならないほど大きかった。

2009年に『ネイチャー』誌に掲載された論文にあるように、研究チームは最終的に、28個の化石をティタノボアのものと特定した。全身のサイズを推定するには十分な数であり、彼らは驚くべき精度で推定を行った。ティタノボアの脊椎の直径は、現生のアナコンダの脊椎の約2倍だった。

現生最大級のヘビと比べても、ティタノボアが信じがたいほど巨大だったことから、1つの疑問が浮かぶ。どんな進化的要因が、これほど巨大な爬虫類を生み出したのだろうか? 

答えは、ヘビが哺乳類とは異なり、代謝熱による体温調節をしないことと関係している。

このことは、ヘビの代謝率──そして、その延長上にある「体のサイズの最大値」──が、外気温の制約下にあることを意味する。つまり、体の大きなヘビほど、動き回り、狩りをし、獲物を効率的に消化するために、温暖な気候を必要とするのだ。ティタノボアのサイズから逆算し、研究者たちはこの大蛇が暮らしていた土地の気候を推定した。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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2025.11.25 11:00

伴走者として未来をつくる オリックスが問い直す事業承継の本質

近年、事業承継型のM&Aが増加しているが、短期的な利益追求が企業の未来をゆがめるケースも少なくない。そこに一石を投じるのがオリックスだ。

企業のオーナーに寄り添い「時間」と「選択肢」を提供する同社の哲学とは何か。同社にて事業承継支援事業を率いる丸山大輔がその本質を語る。


近年、事業承継は日本社会における喫緊の課題であり、後継者不足に悩む企業は年々増加の一途をたどっている。M&Aを含む多様な選択肢は広がりつつあるが、オリックスで同事業を率いる丸山大輔(写真。以下、丸山)は「短期的な利益を狙うM&Aには弊害もあり、市場はまだ過渡期にある」と語る。

そのような状況でオリックスが掲げるのは、マーケットインの発想だ。「まずお客様が何に困っているのか、そこから入るのが私たちの考え方です」と丸山は言う。

象徴的なのが「オリックスによる株式譲り受け」だ。オーナーから株式を譲り受け、承継したあとは、オリックス社員が常駐する。オーナーとやり残したこと、やりきれなかったことを二人三脚で実現するのだ。後継者の育成や営業体制の再構築、オーナーの頭の中にある暗黙知の言語化、時には人事制度の改訂などにも取り組むことがある。「株式の譲り受け」=「オーナーが引退して完了」ではなく、企業が持続的に成長できる土台づくりにも伴走するのだ。

この思想の根幹には、法人金融を祖業とするオリックスならではの歴史がある。主要顧客である中小企業との長年の取引を通じて、金融面に限らない多様な経営課題に向き合ってきた。だからこそ、提供するソリューションも多様だ。「オリックスによる株式の譲り受け」はあくまで選択肢のひとつ。オーナーが真に望む未来を見据え、株式移譲のコンサルティングから資産の換価・処分まで、あらゆる可能性から最適解を探る。企業の持続的成長こそが、同社のソリューションの本質なのだ。

事業承継の本質と向き合うオリックスの哲学

オリックスが提供するのは、短期的な企業価値向上ではなく、企業が自らの足で未来へと歩むための「組織の基礎体力」と「時間的猶予」だ。

まず着手するのは、全社員との対話だ。オーナーから自社の課題を聞くのはもちろん、社員の立場から見た課題も丹念に吸い上げていく。そのうえで、属人的な経営から脱却すべく、オーナーの頭のなかにある、暗黙知、人脈・ネットワーク等を言語化、可視化し、後継者が経営する際の助けとする。また、必要に応じて、人事制度の改訂など組織力を強化していく。このように変えるべき点は変え、企業文化、社名、雇用、取引先など変えるべきではないものは、しっかりと守り続けながら、組織として自走できる体制を構築していく。

この当事者として深くかかわる姿勢は、単に優しいだけの支援を意味しない。時には愛情をもって厳しい指摘を行うことは、長く伴走する存在であることの証左でもある。そして、この思想を支えるのが「時間的猶予の提供」という考え方だ。

「一時的にですが私たちが株主になることで、企業には時間的余裕が生まれます。その間に、必要な時間をかけて後継者の育成や各種課題解決を推進していくことができます。数年でのイグジットを目指す投資ファンドも存在しますが我々は期限ありきではなく、オーナーからバトンタッチを受けた際の企業の課題が解決しているか否かに重きをおいているのです」

その言葉を裏付けるように、同社の事業承継支援では拙速に課題解決を推進せずに、1年目は役職員と対話を重ね、株式の譲り受け前にオーナーとすり合わせていた課題解決に着手しながらも、何が本当に解決すべき課題なのか答え合わせする時期としている。そのうえで、1〜2年をかけて後継者育成等、オーナーの「やり残したこと」を進め、さらにその後2〜3年をかけて後継者候補と二人三脚であゆみを進めて、最終的に後継者候補が独り立ちできるように見守っていく。顧客の生涯に寄り添い、ひとつの承継に長い時間をかけていくのだ。

承継とは、単なる事業の売買ではなく、企業の文化や思想、人の想いを未来へつなぐ営みである。その本質と向き合う哲学こそが、オリックスの最大の強みなのだ。この事業を率いる丸山のキャリアも、その哲学を裏付けている。彼の多彩な経験こそが、画一的ではない「伴走力」の源泉だ。

かつてPE(プライベート・エクイティ)投資の部門に在籍した丸山は、投資先が投資からわずか9カ月で倒産するという失敗を経験した。事業投資は単なる数字のゲームではなく、「人の想いをどう引き継ぐかが最も重要だ」と気づかされたという。この原体験に加え、丸山の視野を広げたのが再生可能エネルギー事業の立ち上げだ。金融の論理だけでは解決できない複雑な課題と向き合った。

丸山大輔 オリックス法人営業本部 国内事業推進部長
丸山大輔 オリックス法人営業本部国内事業推進部長

「再生可能エネルギー事業は、地主や地域住民、行政など、多くのステークホルダーとの対話が不可欠です。地域社会にどう貢献し、長期的な信頼関係を築くか。その経験を通じて、物事を多角的にとらえ、ファイナンス以外の価値を生み出す視点が養われました」(丸山)

PE投資と再生可能エネルギー。このふたつの経験で培われた「人の想いと向き合う姿勢」と「事業を多角的にとらえる視点」は、現在の事業承継支援の血肉となっている。中小企業のオーナーが背負う事業、社員の生活、地域社会とのつながり。その複雑な状況を理解し深く対話できるのは、丸山が多様な現場で奮闘してきたからに他ならない。

さらに、グループがもつ機能の多様性も伴走力を確かなものにしている。例えば、経営者の健康面をサポートする会員制医療クラブの紹介もそのひとつ。事業承継を財務や経営だけでなく、経営者の人生に寄り添うトータルサポートと考えているのだ。

“想いのバトンタッチ”のエコシステムを構築

「私たちが目指すのは、オーナー、社員の方々、そして支援させていただいた私たち全員がやって良かったと思える事業承継です。オーナーの“想いのバトンタッチ”をお手伝いすることで、承継後も良好な関係を続けていきたい。この考えが、私たちのビジネスの根幹を成しています」(丸山)

このエコシステムを実現するためには、オーナーに最も近い専門家たち同士の連携が不可欠だと丸山は考える。

「私たちはシェアを独占したいわけではありません。むしろ、地域の金融機関や税理士事務所といった、日々オーナーと向き合っておられる方々とも一緒に汗をかきたい。自組織だけでは解決策を提供しきれないという課題意識をおもちであれば、ぜひ私たちを“使い倒して”いただきたいのです」(丸山)

企業の数だけ、承継のかたちは存在する。画一的な正解がないこの領域で、オリックスはこれからもオーナー一人ひとりの想いに寄り添い、未来を模索し続ける。その真摯(しんし)な対話の先に、また新たな価値創造の物語が紡がれていくはずだ。

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https://www.orix.co.jp/grp/


まるやま・だいすけ◎オリックス 法人営業本部国内事業推進部長。国内事業推進部長として、投資と事業開発の経験を生かしながら、オリックスらしい事業承継ソリューションの提供支援体制を構築。

Promoted by オリックス /text by Michi Sugawara / photograph by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro

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2025.05.08 18:00

全長14mで体重1トン、史上最大の大蛇「ティタノボア」は何を食べていたのか

Dotted Yeti / Shutterstock.com

Dotted Yeti / Shutterstock.com

アマゾン流域、川の浅瀬でとぐろを巻くオオアナコンダや、東南アジアの林床で体を伸ばすアミメニシキヘビを見たことがある人は、すでに世界最大級の現生のヘビとの遭遇を経験している。この2種の大蛇は、いずれもときに全長6mを超え、それぞれの生態系における頂点捕食者だ。だが、はるか昔に絶滅した近縁種は、これらを悠々と凌駕する巨体を誇った。

2009年、コロンビア北部のセレホン炭鉱で研究チームが発見したのは、度肝を抜かれるほど巨大で、もはや伝説上の生物にさえ思えるような古代のヘビの化石だった。ティタノボア・セレホネンシス(Titanoboa cerrejonensis)と命名されたこの先史時代のボアは、約5800万~6000万年前という、恐竜絶滅直後の時代に生きていた。推定全長13m弱、推定体重1トン超のティタノボアは、これまでに発見されたなかで最大のヘビだ(ただし、インドで発見された別種の先史時代のヘビも、サイズではいい勝負だったかもしれない)。

巨体だけでも話題をさらうには十分だが、科学者たちを本当に驚かせたのは、その生態と食性だった。

初期のボアであるティタノボアのとてつもない巨体は、高温気候と関わりが深い

ボア科のヘビは、概して大型で筋肉質だ。獲物に毒を注入する有毒種とは異なり(世界最長の毒ヘビの驚くべき「共食い」の生態についてはこちらの記事を参照)、ボアは「絞め殺し」戦術を使う。獲物に体を巻きつけて締め上げ、息の根を止めるのだ。じわじわと、静かに、残酷なまでに効率的に。

ボア科に含まれる種には、重量で世界一、全長では世界2位の現生種であるオオアナコンダや、科全体の代名詞となっているボアコンストリクター(学名:Boa constrictor)などがいる。ほとんどの種のボアは熱帯、特に南米と東南アジアの一部に分布する。体温と代謝が全面的に外気温に依存する変温動物にとって、高温多湿の環境は、巨大化するのに好都合だ。

ティタノボアがこのような途方もないサイズで生きていくためには、年間平均気温が一貫して摂氏30~34度である必要があった。この値は、暁新世の熱帯は、現代よりもはるかに高温だったという気候モデルの推定に一致する(当時は、大気中の二酸化炭素濃度が極めて高かったためこうした現象が起きたと推定されている)。

ティタノボアが発見されたセレホン層は、知られているかぎり、新熱帯区(南米大陸および中米のエリア)の雨林にある最古の化石産出地だ。ティタノボアのほかには、巨大なカメ、ワニに似た爬虫類、大型魚類の化石が発見されており、生命にあふれた湿潤な密林生態系の様子が鮮明に見て取れる。

生息環境や、一緒に発見された動物の化石に基づき、研究者たちは、ティタノボアは現代のアナコンダとよく似た生態をもち、半水生でほとんどの時間を水中で過ごしたのだろうと考えている。しかし、ある重要な点で、ティタノボアは型破りだった。

次ページ > 2010年代前半、ティタノボアの欠けていたピースが発見され、謎はさらに深まった

翻訳=的場知之/ガリレオ

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2024.08.14 18:00

研究者を魅了する絶滅した4種の「巨大爬虫類」(恐竜以外)

チタノボアと人間。3Dイラスト(Getty Images)

チタノボアと人間。3Dイラスト(Getty Images)

私たちが「爬虫類」と呼ぶ動物は、約3億2000年前の石炭紀後期に登場した。現在、約1万2000種の爬虫類が存在する(鳥類は、実は爬虫類の系統に属するのだが、ここではカウントしていない)。

長い年月の間に、多くの爬虫類が現れては消えていった。最も有名なのは、約6500万年前に地球から姿を消した恐竜だ。本記事では、筆者が「クラス最高」として選んだ古代の爬虫類を(恐竜を除いて)4種紹介しよう。

史上最大のヘビ「ティタノボア」

ティタノボア(Getty Images)

ティタノボア(Getty Images)

ティタノボア(Titanoboa)は、コロンビアのあたりに生息していた巨大ヘビで、Natureで発表された2009年の論文で初めて記述された。史上最大のヘビと考えられてきたが、インドで2024年5月に発見された巨大ヘビの化石(推定体長11m~15m)が、この説に疑問を投げかけている。

いずれにせよ、ティタノボアはとてつもなく巨大で、体長は12m、体重は1トンを超えていたようだ。比較のために言っておくと、現存する最大のヘビであるオオアナコンダとアミメニシキヘビは、最も大きい個体で体長10m弱、体重約270kgだ。

ティタノボアは、現在のコロンビア北部の温暖な熱帯環境に生息していた。当時の頂点捕食者として、現代のアカオボアのように、締め付ける力を駆使して、さまざまな大型脊椎動物を捕食していた。化石証拠から、約6000万年前である古第三紀の初期に生息していたと考えられている。

古代の巨大海生トカゲ「モササウルス」

モササウルス(Getty Images)

モササウルス(Getty Images)

モササウルス(Mosasaurs)は古代の巨大海生トカゲで、約1億~6600万年前の白亜紀後期に繁栄した恐ろしい捕食者だ。モササウルス科に属し、細長い流線形の体、力強い尾、先端がパドルのようなかたちをした四肢が特徴で、非常に効率よく泳ぐことができた。現代のトカゲやヘビと近い関係にある。

体長15mまで成長し、ザトウクジラに似ていたが、ザトウクジラほど重くはなかった。大きな円すい形の歯と強力な顎で、魚やイカ、軟体動物、さらには他の海生爬虫類など、さまざまな海洋生物を捕食していた。

生態系の頂点捕食者として、白亜紀の終わりに絶滅するまで海を支配していた。彼らの絶滅の時期は、恐竜が消え去った大量絶滅の時期と一致している。
次ページ > 人類とも共存した巨大なカメとヤモリ

翻訳=米井香織/ガリレオ

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