安倍元首相銃殺事件、山上被告の母親が初証言「子どもの将来より献金が大事だった」旧統一協会への“揺るぎない信仰”明かす
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今も旧統一協会への信仰を続けている
弁護側の尋問で、松本恒平弁護士が最初に「今、信仰している宗教はあるか」と聞くと、「世界平和統一家庭連合とはっきり答えた。「旧統一協会のことですね」との問いに「はい、そうです」と応じた。 母親は、「1984年、被告が4歳の時に夫が自殺した。長男が生まれつき頭に腫瘍がある難病患者で、二度の大手術を受け、87年に右目を失明した。苦しい時に『朝起き会』に参加し、イライラを浄化できた。91年7月に統一協会に誘われ、翌月入信した」と信仰に入った経緯を詳しく話した。 夫の生命保険金などから、半年間で6千万円の献金を行い、教団の壺・絵画(各約70万円)の購入や韓国での30回以上の「修練会」参加で、同居していた父親(被告の祖父)から叱責されていたと話した。 母親は「1998年に父親が突然病死したのは、統一協会の記念日だった。神さまの意図を感じた。翌年、父親の会社事務所と、当時5人で住んでいた父名義の家を売却し、その4千万円全額を献金した」と語った。 「後でわかったが、夫は弁護士だった実兄の東一郎さん(山上東一郎・元弁護士、大阪弁護士会)に遺言を残すと言っていたらしい。私の子ども3人に全財産を遺すという遺言を書くつもりだったらしい」
「子どもたちの将来よりも、私を救ってくれた献金が大事」
しかし、父親の遺産を売って得た金はすべて統一協会へ渡った。松本弁護士は「長男が19、被告が高校3年の18、長女が15の時だった。二人が大学進学の年齢だったのに、なぜ、子どものために遺産を使おうとしなかったのか」と質した。母親は「子どもたちの将来よりも、私を救ってくれた献金が大事だと思った」、「夫は京都大学、私は大阪市立大学を出た。でも、人生はうまくいかなかった。大学へ行くことが、人生でそう価値のあることか」と答え、最後に「本人たちが大学へ行きたかったとしたら、申し訳ないと今思う。当時はそういうことを考えなかった」と話した。 母親は統一協会への巨額の献金を、自分の意思で行い、間違ってはいないと繰り返し強調した。 「お金より大事なのは命」、「学歴よりも、明るく生きること大事なことがある」統一協会への揺るぎない、エキセントリックといえる信仰の発露の連続だった。カルト宗教の怖さが鮮明になった。 閉廷後に記者団の取材に応じた弁護士は、「母親は被告を見ていたが、二人が視線を合わすことはなかった」と話した。閉廷後の被告の様子については「回答を控える」とした。
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