無題(その3)


シーン11 「放課後:スポーツ店にて」

 智美は今、美紗と一緒に駅ビルの中のスポーツ用品店にやってきていた。昨日の約束どうりにアンダーショーツを購入するためである。昼食の時に何処に買いに行こうかと相談したのだが、二人の帰り道の途中でもある事から、駅ビルに寄るということに決めたのであった。もう少し足を伸ばし、百貨店などに行けば大きい水着売り場もあるのだろうが、お互いに自宅とは逆方向だし、翔子の「とりあえず初めてスイムショーツを買うんだから駅ビルの中のスポーツ店で充分!!」という一言が決め手になった。
 その翔子であるが、「ごめんねー、智美。今日もクラブでね、一緒について行けないの」との事であった。智美はチアリーダー部のクラブがあるのだから仕方ないと納得しているし、美紗もついて来てくれるのだから、その事については怒っていない。しかし、別れる直前にしっかり、一度スカートを撥ね上げて行った事については怒っていた。もちろん、今日もブルマ着用でガードしているが、「うーーー、全く油断も隙もないんだから…」と唸っていた。その後に美紗が、「智美さんは油断も隙も有りまくりなんでしょうねぇ」と余計な一言を言って、智美に追いかけ回されたのもいつもの事である。
「智美さん、入りましょうかぁ」
店の前でいつまでも突っ立っている訳にはいかない。智美は美紗と一緒にスポーツ用品店の中に入るのであった。
 街中に有るスポーツ用品店よりも二周りほど大きい店の中には野球やサッカー、陸上シューズなどが所狭しと並んでいる。もちろん、これから夏に突入するこの季節、店内の一角には水着売り場も設置されていた。ただ、純粋なスポーツ用品店であるため、そこに置いてある水着はセパレートやビキニといった水着は置いておらず、ワンピース、それも競泳用の物が置いてあるだけであった。しかし、その品揃えは結構な数であった。
 もちろん、智美は今回、水着を買うつもりは全然無かったし、お金もアンダーショーツを買う分くらいしか持参していない。しかし、目の前に水着を並べられると買うつもりは無くてもついつい目が行ってしまう。
「競泳水着ばかりだけど、結構たくさんあるんだね」
「そうですねぇ」
智美と同じように、水着に目を奪われていた美紗がこたえた。
「うっわぁー、この水着なんて生地が凄く薄い!!ペラペラじゃない!!」
「本当ですねぇー。あっ、智美さん、この水着見てください!凄いハイレグカットですぅ!!」
「こんなの本当に売れるのかな??」
「でも置いてあるってことは、買う人がいるんでしょうねぇ」
 本来の目的を忘れてしまったのか、水着を手に取り合って嬌声を上げる智美と美紗。その水着の中に智美は白い競泳水着を見つけた。
「あっ、これって摩耶先生が授業の時に着てた水着だよね?」
「そうですねぇ、確か白の競泳水着でしたし…」
胸元にメーカーロゴが入っただけの白一色のシンプルな水着を手に取りながら、昨日の摩耶先生の水着姿を思い返す二人。
「こういう白の水着って透けたりしないのかな??」
「透けない素材で出来てるって聞きましたけどぉ」
「えー!!そんなのがあるんだー!!」
透けない素材の事を聞き、驚きを隠せない智美。そういう物があるのなら自分の学校の水着にも取り入れておいて欲しかった。そうすれば昨日のような恥ずかしい目にあわなくて済んだのに…。そう思いながら、美紗に質問する。
「それじゃこの水着だとアンダーショーツは要らないの??」
「それは、分かりませんけどぉ……」
さすがに美紗も透けない水着の事を知識として知っているだけであり、アンダーショーツが必要なのかどうかまでは分からない。
「摩耶先生はどうでしたっけ?アンダーショーツを使ってましたかぁ??」
「どうだったかな??」
昨日の水泳の授業の事を思い返す二人。しかし、智美の水着が透けた事件のインパクトがあまりに強くて、摩耶先生の水着からアンダーショーツラインが透けていたかどうかまではまるで覚えていない。
「ラインは透けてなかったような…気がするけど…」
「私も良く覚えてないですぅ…」
いくら考えても、覚えていない物は思い出す事は出来ない。
「まあ、明日の水泳の時にチェックを入れようよ」
時間の無駄を悟ったのか、智美は美紗にそう言い、ようやく本日の目的の品であるアンダーショーツを探し始めたのであった。

 店内を一周するのに約5分。水着のコーナーの所から順番に見ていったのだが、何処にもアンダーショーツは見当たらなかった。
「何処にも無いわね…。置いてないのかな…?」
「でも、翔子さんはこのお店で買ったと言ってましたしぃ…」
「美紗もアンダーショーツ持ってるでしょ。何処に置いてあるか分からないの?」
「でも、私の場合、母様から手渡されましたのでぇ…。自分では直接買ってませんしぃ…」
 少しばかり非難の篭った口調で美紗に言う智美であったが、美紗の返事を聞くとそれももっともだと思う。とにかく、ここで悩んでいても始まらない。
「ちょっと恥ずかしいけど……」
そう思いながら智美は店員に尋ねることにした。
 店内を見渡して女性の店員を探す。スポーツ用品であるとは言え、アンダーショーツは見た目は下着と何ら変わらない。そういう品物について店員とは言え男性に尋ねるのは恥ずかしいものがある。もっとも店員からすれば、そんな事は気にも留めていないのかもしれないが…。幸いな事に、丁度水着コーナーで商品の整理をしている女性がいるのが目に留まった。
「あの女の人に聞いてみようかな」
智美は美紗と一緒に再び水着コーナーに戻るのであった。
「すみません…」
智美が声を掛けるとその女性は水着の整理をしていた手を休め、二人の方に振り向いた。遠目では分からなかったが、まだ若い店員で20台前半のように思えた。ひょっとすると大学生でアルバイトをしているのかもしれない。
「何かお探しですか?」
ニッコリと微笑みながら智美に尋ねる店員。一目見ただけで中学生と分かる智美であるが、邪険にすることも無く丁寧に応対してくれる。
「え、えーと、その…アンダーショーツを探してるんですけど…」
女子中学生がアンダーショーツを購入する事自体、別に何の問題も無いし、決して恥ずべき事では無いはずなのだが、さすがに物がはっきり言って下着であり、女性の店員に話しているとはいえ、どうしても恥ずかしさがある。そのため、智美の言葉はどんどん小さくなっていた。
「??アンダー何かしら??」
智美の言葉の最後の方がよく聞こえなかった店員は智美に再度尋ねてくる。しかし、智美はそれをアンダーショーツの意味が通じなかったのだと勘違いしてしまった。
「え…えーと、なんて言うか…水着の下に穿くパンティが欲しいんですけど…」
顔を真っ赤にし、恥ずかしげに店員に告げる智美。智美の具体的な説明に得心した店員は
「水着のアンダーショーツの事ですか?」
と確認してくる。
「は、はい。そう、アンダーショーツです」
智美の確認を取った店員は「それなら、こちらに」と、二人を水着コーナーの別の一角に連れて行く。そこは丁度、女性用水着のハンガーの裏側であり、スイムキャップや胸パッドの並べられている所であった。その棚の中段から下段にかけてアンダーショーツが置かれてあった。下のほうの棚に置かれていた為に智美と美紗が先ほど店内を見て周った時に見逃してしまったのであろう。
「ここに置いてあるのが水着用のアンダーショーツです」
店員は智美にそう説明した。
 智美がしゃがんで、その棚を見てみると、いくつかのメーカーのアンダーショーツが並べられていた。箱に入っている製品も有れば、ビニールの透明パックに入っている物も有った。棚の前の部分には、見本なのだろうか、アンダーショーツその物が箱や袋から出されて、5枚ほど置かれていた。置かれているアンダーショーツに共通しているのは全てベージュの製品である事だった。
 智美はその内の一枚を手にとって見てみる。形は一昨日の晩に愛美の部屋で見たのと同じような、ビキニタイプのアンダーショーツで、色はその時の物より濃いベージュであった。ナイロン製ですべすべした手触りや、その伸縮性は全く同じであった。
「智美さん、これ見てくださいぃ…」
自分では直接アンダーショーツを購入した事の無い美紗も、どのような製品が有るのか興味があったのであろう。智美の隣で同じようにしゃがみこんでアンダーショーツを見ていたが、その内の一枚を持って智美に声を掛けてきた。
「うわあー、凄いね…それって…」
「はい、翔子さんが言っていたとうりですねぇ…」
 美紗が持っていたのはベージュのアンダーショーツであったが、その形がTバックタイプであった。ヒップの部分は完全な紐状で、フロントのヘアーを隠す布地も極限まで小さく、着用するにしてもアンダーヘアーを刈り込んでおく必要があるように思えた。
「こ、こんなの使う人いるのかな…??」
「いるんでしょうねぇ…きっと…」
 普通の女子中学生である智美と美紗はもちろんTバックのパンティなどまだ着用した事が無いし、そもそも持っていない。生まれて初めて目にするHな下着、正確にはスポーツ用品なのだが、を見て呆然としている二人であったが、その硬直を破ったのは店員の女性の一言であった。
「どれにするか決まりましたか??」
その一言で、硬直が解かれたように我に返る二人。智美は慌てて、どの製品にしようかと棚に目を戻す。先ほどのTバックスタイルのアンダーショーツはとりあえず却下するとして、それでもまだ何種類かのアンダーショーツがある。メーカーによって多少手触りや、形、値段が違うが根本的な違いはよく分からない。
「どれにしたら良いのかな…」
智美は独り言のつもりで小さな声で言ったのだが、店員はその言葉を聞いていた。
「アンダーショーツを使うのは初めてですか?」
突然の店員の言葉にちょっと驚いた智美であったが、ここは素直に彼女のアドバイスを受けることにした。
「は、はい、今まで使ってなくて、今日初めて買いに来たんですけど…。色々あってどれにしたら良いのか……」
「学校の水泳で使うんですか?」
「そ、そうです」
「学校の水着はどんなタイプですか?スクール水着、それとも競泳用水着?」
「えーと、薄い水色の競泳用の水着です」
「それだと、アンダーショーツは必需品ですね」
ニッコリ笑いながら、店員はアンダーショーツの棚に目をやる。どれがいいか選んでくれているようだ。すぐに、その店員はいくつかの製品をピックアップした。
「初めてアンダーショーツを使うんでしたら、Tバックやハイレグタイプは抵抗があるでしょうね。それに学校の水泳で使うのなら、こういうスタンダードタイプかビキニタイプで良いかと思います」
そう言って、製品を智美に見せる店員。
「スタンダードタイプとビキニタイプってどう違うんですか?」
「それほど大きな違いは無いんだけど、ビキニタイプの方がサイド部分が細くて、少しハイレグかな?」
どの製品が良いかと、考える智美であったが、店員が選んでくれたアンダーショーツは全てベージュであった。姉の愛美や美紗が使っていたアンダーショーツもベージュであったが、智美はその色に少し抵抗を感じていた。ふと、翔子が穿いていたホワイトのアンダーショーツの事が思い浮かぶ。
「あの…アンダーショーツって色はベージュしかないんですか?」
「ベージュが多いですけど、他の色もありますよ」
店員は自分の持っているベージュのアンダーショーツを棚に返し、別の商品を選ぶ。
「ただ、他の色と言っても、ホワイトかブラックですけど…。それに種類も少なくなってしまいます」
 新たに、幾つかのアンダーショーツを見せる店員。
「今、あるのはこれくらいですね」
そう言って、店員が選んだアンダーショーツの内、一つはブラックのスタンダードタイプのアンダーショーツ、残りはホワイトのスタンダードタイプとビキニタイプのアンダーショーツであった。
 商品を見ていた智美であったが、やはりブラックのアンダーショーツにもTバックタイプの物と同じような抵抗がある。またホワイトのスタンダードタイプの製品は、スタンダードと言いながらも他のメーカーとは違い、かなり大きなガードルタイプのアンダーショーツであった。結局、智美はホワイトのビキニタイプのアンダーショーツを購入することにした。実はそれは翔子が穿いていたアンダーショーツと同じ物であった。
「それじゃ、そのホワイトのビキニタイプのにします」
 その女性店員は、美紗はアンダーショーツを買わなくて良いのかと尋ねたが、美紗が既に持っていることを言うと、そのまま商品をカウンターに持っていき、袋に入れてくれた。
「1050円になります」
 思っていた以上に高いかなと思いながら、智美は代金を払い、アンダーショーツを受けとった。こうして、智美のアンダーショーツ初購入は無事終了したのであった。




シーン12 「夜:智美の部屋にて」

 美紗と一緒にアンダーショーツを購入した智美はそのまま、二人で駅ビルの中をウィンドウショッピングを行った。美紗と分かれて帰宅したのは既に18時を回っていた。
 夕食を済ませた後、後片付け・宿題を終わらせ、お風呂から上がって部屋に戻ったときには既に23時であった。
「ふーっ…」
まだ少し火照りの残る体で智美は一息ついた。智美が普段眠りにつく時間よりはまだ少し早い。ただ、今晩は見たいテレビ番組があるわけでも無し、宿題や明日の学校の用意も全て済ませてある。
「後は、水泳の用意をするだけか」
智美はそう呟き、その準備を始める。もっともバスタオルは既に下から持って上がっており鞄の中に入れてある。まず箪笥から換え用のパンティを取り出す。どれにしようか少し迷ったが、お気に入りのピンクの水玉模様のパンティを選び、これを鞄に詰める。次に水色の水着とスイムキャップを同じように鞄に詰め込む。
「肝心なのを忘れちゃいけないよね」
そう言って、智美は今日買ってきたばかりのアンダーショーツの入った紙袋に手を伸ばした。帰宅してから色々している内に時間が経ってしまい、まだ包みは開けられていなかった。初めてアンダーショーツを持って行くとはいえ、さすがに袋や箱に入ったまま持って行く訳には行かない。智美は紙袋を空けて、アンダーショーツの入った小さな箱を取り出し、それを眺めた。
 箱にはアンダーショーツではなく、英語で『SWIM SHORTS FOR LADIES’』と記してあった。
「ふーん、翔子の言ってたように確かにスイムショーツって書いてるのね」
昨日、友人が言っていた事を思い出しながら、更に箱を詳しく眺める。隅の方には『M』というサイズと『ホワイト』『ビキニ』といったこのアンダーショーツの形状を示す目印が書かれてある。『ホワイト』の『ビキニ』タイプという形状は智美自身が店で他の物と比べて購入したため不満は無いのだが、『M』というサイズには少々不満が残った。自分の体型を考えると『S』サイズでないと大きすぎるのではないかと思ったのであった。その事をあの女性店員にも言ったのだが、他のメーカーのアンダーショーツも全て『M』サイズ以上しか無かったため、断念したのであった。
「もともとアンダーショーツは水着からはみ出したりするのを防ぐのと、体にピッタリフィットするように小さめに作られているので、お客様のように中学生以上の方なら『M』サイズで大きすぎて困る事はまずありませんよ」
と、その店員は言ってくれたのだが少し不安である。
 箱の裏側を見てみると、メーカーの連絡先や洗濯などの取り扱い注意事項が書かれてあった。その上には、製品の説明として『スイマーの方のためのインナーとして開発された商品です。抜群のフィット感をお確かめ下さい。』と書かれたあった。それらの説明を読み流し、智美は箱を開けて、中のアンダーショーツを取り出した。
 アンダーショーツは更に小さなナイロン袋の中に小さく畳んで詰められていたため、その袋からもアンダーショーツを取り出す。
「うわぁー………」
初めて手にした自分のアンダーショーツは、やはり先日、姉愛美の部屋で見たアンダーショーツと同じく、とても小さくて、とても生地が薄くすべすべした肌触りであった。しかしその小ささにも関わらず伸縮性は抜群で、一見したところとても穿けそうにない小ささだが、着用に困難さは無いように思えた。『抜群のフィット感』とわざわざ箱に明記してあるだけの事は有りそうであった。
「やっぱり、何回見ても凄い下着だよね…」
智美はそのように呟き、アンダーショーツの両脇を持って引っ張ってみる。智美の加える力に従い、アンダーショーツはその形を忠実に変える。
「Hな下着…」
それが智美の正直な感想であった。
 智美は普段着用するパンティを今は20枚ほど持っている。小学生の頃はキャラクターのプリント物も持っていたが、最近は子供っぽいと思い新しくは買っていない。もっぱら、水玉模様やストライプ模様、或いは単色のパンティであった。普段着はピンクや水色、クリームイエローといった淡いパステルカラーが好みの智美だが、パンティの選択にもそれが反映されており、お気に入りのパンティは全てそういうカラーのどれかに当てはまっていた。勿論、白のパンティも持っている。正直、今日アンダーショーツを購入する時も、「ピンクや水色のアンダーショーツってないのかな?」と思ったのだが、棚に並んでいる製品はほとんどがベージュであり、「カラーのアンダーショーツって売ってないんだ…」と少し残念に思ったのであった。
 また、智美が最近着用しているパンティは、小学生の時の物に比べて、明らかに小さくなっていた。サイド部分は細くなり、お臍も見えている。今、智美が使っている「パンティ」に比べると、小学生の時に使っていた下着はまさしく「パンツ」と呼ぶにふさわしかったように思える。智美の下着がこのような変遷を遂げるようになった契機は、おそらくは月経が始まった頃かあるいはブラを着けるようになった頃からであろうか。いずれにせよ、智美も少しずつではあるが、下着のおしゃれといった事にも関心を持ち始める年頃なのであろう。
 しかし、智美もそういった小さなパンティを着用するようになって来ているとはいえ、今、目の前に有るアンダーショーツは彼女の持っているどんなパンティよりも小さく、薄く、体にフィットしそうな「Hな下着」であった。
「穿いてみようかな…?」
なぜ、そのように思ったのであろうか?
 アンダーショーツを眺めていた智美の頭の中に不意に現れた考え。確かに、本当に大きすぎないかを確認するためには実際にアンダーショーツを穿いてみるのが一番である。しかも、今は風呂上り、少しだけ穿いてみるだけなら汚れる事もないであろう。
 智美は窓の方を見て、カーテンがかかっているのを確認した後、ニンジン柄のパジャマのズボンを下ろす。少し逡巡したが、智美は続いて露になった水色のパンティもそのまま下ろし、パジャマと一緒に足から引く抜く。今、智美の下半身は一糸まとわぬ姿で晒されている。風呂上りの火照りが残る体にはその解放感が心地よい。智美は自分の下半身に目をやり、自分の秘所を覆っているアンダーヘアーに目をやる。
「結局、このアンダーヘアーが全ての原因なのよね…」
 そう、アンダーヘアーが生えていなければ、智美も水着が透けてしまって恥ずかしい目にあうことも無かったし、アンダーショーツの事で色々と考える必要も無かったのであろう。しかし、アンダーヘアーは自分の体が大人の女性に近づいて行っている証でもある。そう考えると、これから智美がアンダーショーツというHな下着を着用する事も自然の成り行きなのかも知れないと思い、複雑な気分になる。
 智美は今更悩んでいても仕方がないと思い、アンダーショーツを手にして、それに足を通す。両足を通した後、アンダーショーツを一気に上まで引き上げる。
「大きいどころか、ちょっと小さいくらいね…」
Mサイズということでぶかぶかなのでは思っていた智美であったが、アンダーショーツ自身の伸縮性も有り、女性店員が言っていたようにそんな事は無かった。むしろ、ピッタリとフィットし少し小さいかなと思うくらいであった。水着からはみ出したりしないようにアンダーショーツは小さめに、また普通のパンティとは違うカットで作っているのであろうが、ヒップ部分はお尻を完全に覆うのではなく、少しはみ出してしまっている。
「お尻の所が何か変な感じよね…」
そう言いながら、智美はヒップ部分のアンダーショーツをしっくり来るように裾から指を入れて形を整える。前の部分を見てみると、ヒップ部分と同じく、水着からはみ出したりしないようにハイレグカットになっていた。
「私、こんなハイレグのパンティ穿いたこと無い…」
智美は自分の股間をしげしげと見つめる。アンダーヘアーが生えているとは言っても、まだ大切な割れ目部分にしか生え揃っていないため、ハイレグカットのアンダーショーツとはいえ、ヘアーが脇からはみ出す事は無い。しかし、近い将来、智美のアンダーヘアーが生え揃った時にはハイレグカットの脇からはみ出す事が予想され、何らかの対策が必要になるであろう。また、じっくりと眺めて見ると、薄く引き延ばされたホワイトのアンダーショーツを透かして、智美の漆黒のアンダーヘアーがうっすらと見えている。先日、着替えの時に見た美紗や翔子の場合と同じであったが、この上に水着を着る事でアンダーヘアーが透けるのはほぼ防げるのであろう。しかし、もしこのアンダーショーツ一枚の姿の時に水を掛けられたりしたら…。
「100%確実に透けちゃうよね…。むしろ白色だから、水着一枚の時よりもはっきりと透けちゃうかな…?」
 智美は自分のその姿を想像してみる。アンダーショーツ一枚だけの自分…。そこに水を掛けられ、ヘアーが透け透けになってしまう自分…。そんな姿を思い浮かべるだけで、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまう。
 もう一度、自分の股間に、ヘアーのうっすらと透けたアンダーショーツに目をやる智美。どれくらい、そうしていたのであろうか?恐らくは五分程度であったろうが、智美にとっては長い長いその時間の後、彼女はその右手を自分の大切な部分に伸ばした。ゆっくりと手を伸ばし、アンダーショーツの上から、アンダーヘアーの感触を確かめるように撫で、さする。
「ひゃうっ!!」
思わず声を上げる智美。
 なぜ、そんな事を始めたのか智美自身にも分からなかった。初めてアンダーショーツを着用した事による催淫効果が大きかったのであろうか?Hなアンダーショーツを着用している自分がHな女の子に思えてしまったのであろうか?或いはもっと本能的なものなのであろうか?いずれにせよ、智美は体を洗う時を除いて、生まれて初めて女の子の大切な部分に自らの手を遣ったのであった。そう、生まれて初めての自慰を行おうとしているのであった。
 ゆっくりと、ヘアーの一本一本を確かめるように、右手を動かす智美。アンダーショーツ越しの指の動きはもどかしいが、アンダーショーツとヘアーの擦れるしゅりしゅりという微かな音が、智美の淫らな心を刺激する。
 しゅりしゅりしゅりしゅりしゅり…………。
「あ……あんっ……!!」
「な、なに…この感じ…。自分のヘアーを触ってるだけなのになんでこんなにむずむずするの…」
初めての自慰によってもたらされる快感に戸惑いを隠せない智美であったが、その間も右手は休むことなく、智美のヘアーを、恥丘を、撫で、さすり、こねくり回していた。 「う…うんっ…」
それまで立ったまま、股間を刺激していた智美であったが、腰の後ろを駆け上るような刺激に耐えきれず、ベッドに座り込みそのまま仰向けに寝転んでしまう。
 智美の頬が上気しているのは、もう風呂上りのせいだけではなかった。智美は自分の股間からもたらされる感覚、そう快感を感じているのであった。
「あ…うう……はっ……」
智美の右手は休むことなく自分の股間を撫でさすりつづける。最初は指先でヘアーを数えるように股間を触っていたが、いまは右の手掌全体でアンダーショーツ越しにふっくらと膨らんだ恥丘をこねくり回している。
しゅりしゅりしゅりしゅり……にちゃねちゃ…
「!!!!!」
 それまでアンダーショーツとヘアーの擦れる音しかしていなかった中に、突然水が、いや粘液が擦れるような音が混ざり始めた。驚いた智美は、左手で股間を触ってみる…。
 にちゃ…
 左手の指先は…濡れていた。
「わ、私、おもらししちゃったの!!」
あまりの衝撃に、右手で股間を撫でさする事も忘れて、智美は股間に目をやった。その目に入ったものは…何かに濡れて恥丘に張り付いたようになっているアンダーショーツと、今ではその本数さえ数えることが出来そうなほどにはっきりと透けているアンダーヘアーであった。その光景は、図らずも智美が想像した「アンダーショーツ一枚で水を掛けられてしまった」状態その物であった。
「う、嘘…こんなになっちゃってたの…」
驚きのあまり、もう一度股間に手をやる智美。先ほどまでは気付かなかったが、確かにアンダーショーツは濡れてしまっている。しかし、その濡れ具合は股間の前の方が中心で、おもらしをしたほどの濡れ具合では到底無い。おもらしをした訳ではなさそうなのが分かり、ホッとした智美であったが、「それじゃ汗かしら?」と考えたが、汗にしてはその液体は粘度が高いように思えた。左手の指先にその液体を取り、目の前で指を開いてみる。 「!!!!!」
 それは智美にとって衝撃であった。その液体は、粘度のために親指と人差し指の間に糸を引いていたのであった。明らかに汗とは違う物……。その瞬間、智美の脳裏にある言葉が浮かんだ。
「これが愛液…?」
 今まで、知識として知っていただけの物。姉の部屋に隠してあった女の子向けH雑誌を、隠れて読んで手に入れた秘密の知識。女の子が気持ち良くなると大切な部分から分泌される液体…。そして、ある行為の際にはとても大切な役割を果たす液体…。それが愛液…。そして、その時、智美は自分が今まで行っていた行為が何なのかに初めて気付いた。
「私、一人Hをしてたの…?」
 一人H、自慰、オナニー、マスターベーション、手淫…色々な呼び方はあるが、それの指し示すものは同じ。これもまた、雑誌から仕入れただけの知識。母にも、姉にも、友人達にも誰にも話した事も、またまだ教えてもらった事も無い行為。それを、今、智美は行っていたのだ…。
「い、いやっ!!」
小さく声を上げて、ベッドの上で膝を抱えて丸くなる智美。自分が酷くHで、淫らで、いやらしくはしたない女の子のように思えてくる。しかし、そんな自己嫌悪に陥る智美の精神とは裏腹に、智美の肉体は初めての自己愛撫を、一人Hの快感を享受しようとするのであった。
 智美の意思とは無関係に、いや本当はそれを望んでいるのかもしれないが、再び股間に伸ばされる右手。そして、再び開始される恥丘への愛撫。
しゅりしゅり…にちゃねちゃ…くちゃ…
「ど、どうして…なんで辞められないのよ!!」
口では拒んでいる智美ではあったが、その体は自慰によってもたらされる快感を望んでいるのであった。右手は激しく動き、智美の股間を撫で、こねくり回す。
「あ…ああ…あんっ……は…くーん…」
 初めてもたらされる自慰の快感に、小さなうめき声をあげる智美。股間から腰のところが痺れた様になる。その快感が増すたびに、アンダーショーツを濡らす愛液の量も増して行く。
 とうとう、恥丘とアンダーショーツだけの愛撫だけでは我慢できなくなったのか、智美は右手を股間の奥に、女の子の一番大切な部分に遣った。この部分は体を洗う時でも、特に丁寧に優しく洗う所。強く擦れば石鹸をつけていても痛いから…。智美はその大切な秘所に指を進める。アンダーショーツの上から、指先で擦ってみる。
にちゃねちゃくちゃ……
愛液はその奥から溢れ出してきているのが、アンダーショーツ越しでも分かる。指で直接触ってみようか?という誘惑が智美の頭に浮かぶが、ここは女の子の一番大切な場所。指で直接触るのは抵抗があった。それにアンダーショーツ越しでも、もたらされる快感は充分満足できる物であった。
 智美は指をやや股間の前の方に、割れ目の付け根の方に移動させる。
「んっ…!」
指を移動させたところ、割れ目の端にはぷくりと膨らんだ突起物が、アンダーショーツ越しにその存在を主張していた。
「これ、何だろ…?」
 今までは全く気付かなかった。こんな所にこんな物があるとは知らなかった。しかし、それが何であるかは分からなかったが、智美の頭の中で「それに触ってみなさい」という誘惑の声が聞こえたようなきがする。或いはそれは本能による物だったのかもしれないが…。
 アンダーショーツ越しにおそるおそる、その突起物に指先を進める、まず最初に、軽く指先で叩いてみる。
「はっ…はうっ……!!」
それまでとは比べ物にならないくらいの快感が智美の中を駆け抜ける。恥丘やヘアーを擦っていた時とは異質の、もっと根源的な快感。その快感をもう一度味わいたくて、今度はその突起を指先で擦ってみる。
「!!!!!!」
まさしく声にならないくらいの快感、思わず腰が浮き上がりそうになる。智美は何度も何度もその突起を指先で叩き、擦り上げる。その度に襲来する快感が彼女の思考能力を徐々に奪っていく。頭の中が真っ白になるような感じ…それを今、智美は初めて味わっていた。
 智美が突起物、クリトリスを触るたびに愛液はその量を増し、今やアンダーショーツは愛液でびしょびしょになっていた。洗濯をしなければ、とても明日学校には持って行けないであろう。しかし、初めての快感に溺れる智美には、そんな事を考える余裕はなかった。ひたすらクリトリスを刺激し、その快感を声を上げずに享受する。ベッドの上に丸まった智美の体は寒さのためで無く、ブルブルと震えていた。
『さあ、最後にその突起を摘み上げてみなさい』
空ろな思考の中、何かの声に突き動かされるように、智美はクリトリスを右手の親指と人差し指で摘む。そして、その言葉のように一気にそれを摘み上げた!
「あ、あ、ひ……!!!!!!!!!!!」
クリトリスから発せられた快感の電流は腰から、脳幹までを一気に駆け上がり、一瞬にしてわずかに残されていた智美の思考能力を奪い尽くす。全ての思考が飛び去り、何も考えられなくなる。残されたのはベッドの上で、快感の余韻に浸り、股間に手をやったままで果ててしまった智美だけであった。
「私……一人Hを……しちゃったんだ……」
小さな声でそう呟くのが精一杯で、智美の思考はまどろみの中に沈んで行くのであった。




シーン13 「水曜日昼休み:更衣室にて」

 昨晩の初めての一人Hのあと、しばらく茫然としていた智美が、徐々に意識がはっきりし、時間を認識できるようになった時には既に0時を回っていた。一人Hの余韻に浸っていた智美であったが、意識が覚醒するに従って、自分が淫らではしたない女の子であるという恥かしさと罪悪感が襲ってきた。
「………」
何とも言えない落ち込みの中で、智美が現実に引き戻されたのは、その下半身を襲う冷気であった。既に季節は春から夏へと移行しようとしているが、自慰によって溢れ出した愛液によりびしょ濡れになったアンダーショーツは智美の体温を確実に奪っていた。
「冷たい…!」
 依然、愛液により濡れそぼっている自分の股間も気になるが、この時点で初めて智美はアンダーショーツがびしょびしょになっている事を認識した。このままでは到底、明日学校に持って行く事など出来ないであろう。
「どうしよう…。やっぱり、洗うしかないかな…?」
一瞬、途方にくれた智美であったが、現実にはアンダーショーツは今自分が着用している一枚しかなくこれを何とかして持って行くしかない事を理解した。そうと分かれば、智美は早速、着用しているアンダーショーツを脱いだ。アンダーショーツは彼女の愛液でまみれていたが、それだけでなく彼女の秘所もまだ愛液でまみれていた。智美はどうしたものかと思ったが、ティッシュを数枚取り、女の子の敏感な部分をそれで拭く。そして、先ほど脱ぎ捨てた水色のパンティとパジャマを着用し、小さく丸まったアンダーショーツを後ろ手に隠し廊下にそっと出た。
 そのまま、姉妹に気付かれないように静かに風呂場まで行き、洗面所でアンダーショーツを手洗いする。幸い、両親も姉の愛美も既に眠りについていた様で、気づかれることなくアンダーショーツを洗い終えることが出来た。そのまま、静かに部屋に戻ろうとしたが、その時トイレに降りてきた恵美と階段の所で鉢合わせてしまった。
「げっ!恵美!!」
先ほどまでの自分の淫らな姿を見透かされるのではないかと、心臓が止まりそうなほど驚いた智美であったが、恵美は半分寝とぼけたような状態で、「智ネエ、まだ起きてたの…」と言っただけで、智美が濡れたアンダーショーツを持っている事にも全く気付かず、そのままトイレに直行するのであった。おそらく、明日の朝になれば、この事は綺麗に忘れてしまっているであろう。
「恵美で良かった…。愛ネエだったら何を言われる事やら…」という智美の認識は正しいであろう。一人Hをした事が愛美にばれたら、また一つ彼女に弱みを握られる事になる。一体どれだけからかわれることであろうか?
 無事、部屋に到達した智美は、椅子を利用してアンダーショーツを干した。明日までに乾くかどうかは分からないが、仕方ないであろう。そして、そのまま智美は自分のベッドに潜り込んだ。
「私、初めて一人Hをしちゃったんだ…」
それまで、アンダーショーツを洗濯することに気を取られていて忘れていた羞恥心と罪悪感が再び襲い掛かってくる。
「私、はしたない女の子なのかな…?いやらしい女の子なのかな…?」
ベッドの中で悶々と悩みつづける智美であったが、答えは出てこない。結局、彼女が眠りにつくことが出来たのはそれから1時間以上後のことであった。

 翌日の昼休み、既に昼食を終え、智美は5時限目の体育の授業のためにプールの更衣室に向かっていた。智美の前方では翔子と美紗が話をしながら歩いている。智美は二人から少し遅れて、歩いている。
 昨晩の初めての自慰行為の恥かしさからか、智美は今朝、美紗や翔子と顔を合わせるのが憂鬱であった。それは家族や、隣家の幼馴染とその両親に対しても同じであった。朝食の時に両親や姉妹と顔を合わせるのも、通学の車の中で晃輝やその家族と顔を合わせる時も、もしかしたら自分の昨晩のはしたない行為を見透かされるのではないかと思うと、食事も進まなかったし、会話も耳に入らんず、弾まなかった。もちろん、智美自身が「私、昨日初めて一人Hしちゃった♪」と告白でもしない限り、智美の昨晩の行為に誰も気付く事は無いのであるが、頭ではそのように理解していても、『自慰を行った』という事実その物が、智美の羞恥心と恥じらいを責めたて、まだ純潔で潔癖な少女の心を苦しめているのであった。
 元気の無い智美に対して、両親や幼馴染は、「元気無いけどどうしたの?」と心配してくれているのだが、「別に体の調子が悪いわけじゃないから…」と軽く微笑んで答えるのが彼女の出来る精一杯であった。それでも、恥かしさのために顔が多少なりとも赤くなっていたのであろうか、晃輝から「顔が赤いけど熱があるんじゃ?」と指摘された時には、思わずどきりとしたが、幸い「この子ったら、晃輝君に心配してもらって照れちゃってるのよ♪」と愛美がいつものように茶々を入れてくれたおかげで、「そんなんじゃないもん!」と言い返す事でその場を取り繕う事が出来た。いつもの姉のからかいもたまには役に立つ事も有るんだと、今日ばかりは愛美に感謝した智美であった。
 同じように、学校で美紗や翔子と顔を合わせたときも、何となくドギマギしてしまった智美であったがそれは、家族と顔を合わせた時と同じ恥かしさからもあったが、もう一つ、「美紗や翔子は一人Hをしてるのかな…?」
という知る術も無い疑問が浮かんで来たからでもあった。さすがに二人に一人Hの経験の有無を聞くわけには行かないし、下手をすると昨晩の智美自身の自慰を白状させられてしまうこともありうる。答えの出ない問いかけは次第に「クラスの皆は一人Hをしてるのかな?」「愛ネエもしてるのかな?」「大人の女の人はみんなしてるのかな?」とどんどん広がって行き、智美は午前中の授業を集中して聞く事が出来なかった。
 それでも、悶々とした気持ちも、時間の経過と友人達とのいつもの他愛も無い会話により薄まって行き、昼食時には翔子や美紗といつものように会話しながら過ごすことが出来た。が、これからプールで泳ぐために水着に着替える事を考えると、どうしてもアンダーショーツと昨晩の一人Hに思い至らない訳にはいかない。朝に比べると遥かに精神的に落ち着いている智美であったが、さすがに友人達と会話を楽しみながら更衣室に向かうほどの元気はなく、一人だけ少し遅れてついて行っているのであった。

 一昨日の月曜日に比べると、今日の体育の授業は午後の最初の授業ということで、着替えるための時間の余裕は充分にある。それでも、智美達は更衣室に到着すると早速着替え始めた。一昨日と同じように智美の右側では翔子が、左側では美紗が着替えを始めていた。靴下を脱ぎ、スカートを穿いたままブルマを脱いだ後、前の部分にリボンのワンポイントがついた白のパンティを脱ぐ。その間にも両隣の友人の着替えのチェックをするのも怠らない。美紗はいつものようにスカートを完全に脱ぎ、パンティを脱ごうとしているところであり、翔子も同じく白のパンティをスカートの下から脱いだところであった。どうやら翔子は今日もスカートの下にはブルマを穿いてきていなかったようだ。
「ねえ、翔子。今日もブルマ穿いてなかったの?」
「うん、やっぱり面倒だし、ブルマも穿いてると蒸し暑いしね」
「ふーん、それならスカートを捲ってやれば良かった!」
「へっへー、私は智美と違ってそんな隙見せないもんね♪」
そう言いながら、翔子は鞄から取り出した白いアンダーショーツに足を通し、それを腰まで引き上げる。その際、一瞬翔子のスカートの中の股間があらわになったが、
「翔子も確実にアンダーヘアーが生えている」という事くらいしか智美には分からなかった。
 翔子の着替えを眺めていた智美であったが、自分の着替えを再開すべく、鞄からアンダーショーツを取り出す。アンダーショーツを見ると、昨晩の自分のはしたない行為が思い出されてきて、ドキドキという胸の鼓動を押さえきれない智美であったが、それをふりきりアンダーショーツに足を通す。昨晩手洗いしたそれは、まだ七割くらいしか乾いておらず、上まで引き上げた時に、その冷たさのために思わず「ひやっ!!」と声を上げそうになる。しかし、その冷たさに何とか耐えた智美は、次に水着を出そうと鞄に手を伸ばす。しかし、その隙を見逃すような「スカート捲りの女王」翔子ではなかった。智美がアンダーショーツをスカートの中に引き上げるのを確認すると、自分の着替えもそこそこに智美の後ろに近づく。そして、「と・も・み♪今、アンダーショーツ穿いたよね?」
と尋ねるや否や、智美の返事を待たず後ろからスカートの裾を掴んで一気に捲り上げた。
「きゃああああああぁぁぁぁ!!!!!」
突然の翔子の攻撃に思わず声を上げる智美。しかも、翔子は今回はスカートの裾を単純に撥ね上げるのではなく、がっちりと掴んで腰の辺りまで捲り上げてしまっている。今、智美のホワイトのアンダーショーツを穿いた下半身は皆の目の前にさらされてしまっていた。
「や、やめてよ!翔子!」
なんとか前の股間部分だけでも隠そうとスカートを降ろそうと頑張る智美であったが、後ろから抱き付かれるように翔子に密着されており、完全にスカートをたくし上げられてしまっているのでそれもままならなかった。
「へっへー、ちょっとパターンは違うけど、智美の初パンチラいただき!!皆、見て見て!!!」
 更衣室の他のクラスメートにも声を掛ける翔子。他の娘達も、翔子の餌食にされてしまった智美に同情を寄せるというよりは、面白がってくすくすと笑っている。その中には、智美の股間の茂みをしっかりと観察している娘も少なからずいるようだった。悪い事に、智美が今穿いているアンダーショーツは完全に乾いていなかったため、茂みがくっきりと浮かび上がっているのであった。
「やーん!!!!!」
 たくし上げられたスカートを何とか引き降ろし、下半身を隠す事が出来るまでの数分間、智美の下半身はアンダーショーツ越しとは言え、クラスメート達の前に晒されてしまったのであった。
「よくもやったなー!翔子!!」
翔子の攻撃から開放され、床に座り込んでいた智美が翔子に逆襲しようとした時には、既に彼女は水着に足を通し、ブラウスを脱ごうとしているところであった。
「ほらほら、早く着替えないと胸まで晒し者になっちゃうよ♪」
翔子の笑いながらの忠告に、「うーっ」と唸った智美であったが、急いで水着に足を通し、着替えを続けるのであった。
 幸い、翔子もそれ以上の悪戯は仕掛けてこず、智美は無事に水着に着替え終わる事が出来た。
「うーん、何か窮屈で変な感じ…」
昨晩、アンダーショーツは試しに着用してみたが、その上から水着を着用するのは初めての智美の感想は、アンダーショーツを水着の下に着用する事は予想以上に圧迫感があるという事であった。それでも、あまりごわごわした感じがしないのは生地の肌触りと薄さのおかげなのであろうか?
 お尻の裾からアンダーショーツがはみ出していないかをチエックし、次に股間を覗いてアンダーショーツおよびヘアーのはみ出しをチエックする。水着のカット以上にハイレグであるためか、アンダーショーツは何処からもはみ出したりしていなかった。
「よしっ!」
一言、確認の言葉を発すると、既に着替えの終わった美紗と翔子が声を掛けてきた。「智美さん、アンダーがはみだしたりしていませんかぁ?」
「これで、智美もアンダーショーツ初体験!私達と一緒だね!」
「うん、準備はOK!行きましょっ!!」
そう言って、智美は二人と一緒にプールサイドに向かう。
 まだ授業開始までは時間があったが、摩耶先生は既にプールサイドに出て来ており授業の用意を始めていた。
「「「こんにちは!先生!!」」」
摩耶先生に声を掛ける智美達。三人の元気な声に振り向いた摩耶先生は、その中に智美がいることに気付いた。
「こんにちは、辻谷さん、高瀬さん、西野さん」
「辻谷さん、今日は…大丈夫??」
少し心配そうな顔で尋ねてくる摩耶先生に
「はい、大丈夫です。今日は…きちんと穿いてます!!」
元気よく答える智美。自分の腰骨の当たりを触って見ると、確かに水着を通してアンダーショーツのラインが指先に確かめられた。そして、自分の下半身に目をやる。まだ、アンダーショーツラインははっきりとはしていないが、水に濡れるとはっきりと浮かび上がる事になるであろう。その光景を想像すると智美の頬は赤くなる。
「でも、ヘアーが透けることを思えば、そっちの方が良いよね!」
ついこの間までの、アンダーショーツのことについて何も知らなかった自分。でも今はきちんとアンダーショーツを着用している。
「アンダーショーツって女の子のエチケットって美紗は言ってたけど、大人の女の証拠かもね♪」
 智美は少しずつ自分が大人に近づいているように思えることが満足であった。そして、彼女は集合の声を掛けた摩耶先生の方に歩いて行くのであった。

(おわり)

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