|
1年C組は月曜日3限目が体育の授業であった。2限目の授業が終了すると、知美は美紗、翔子と一緒に更衣室の方へ向かった。休み時間は10分間、その間に水着に着替えプールサイドに集合しなくてはならない。 更衣室に入ると、3人は早速着替えを開始した。智美の右手では翔子が、左手では美紗が着替えを始めていた。 まずは穿いていた靴下をすばやく脱ぐ。次に智美はスカートの中に腕を入れ、今日も着用して来ていたブルマを一気に下ろし、それを丁寧に畳んだ。この後、パンティを脱ぎ、スカートを穿いたままで水着を着用するというのが智美の作戦であった。水着の肩紐を通す時にはどうしてもブラを外す必要があるので、胸に関しては覗かれてしまう可能性があるが、この着替え方だとアンダーヘアーを見られることはまず無い。 もっともパンティを脱いで、水着に足を通すまでの間にスカートを撥ね上げられてしまうとどうしようもないのだが、最もそういう事を狙っている翔子は自分の隣で着替えている。警戒も含めて、右の翔子を見てみると、彼女も智美と同じ着替え方のようで、スカートを穿いたまま、既にクリームイエローのパンティを脱いでいる最中であった。 「翔子のヘアーも見てやろうと狙ってたのに…」 智美は心の中で舌打ちしたが、ふと、ある事に気付いた。 「ねえ、翔子、今日はブルマ穿いて来てないの?」 「うん。どうせプールで着替えるんだし。ブルマ穿いてたら面倒でしょ?」 パンティを小さく畳みながら、翔子が答える。 「まあ、そうだけどね…」 答えながら智美も自分のパンティを脱ぎにかかる。ピンクのパンティを脱いだ後、素早く畳み鞄の中に入れ、水着を取り出す。そして、左側で着替えている美紗に目をやる。 「相変わらず大胆…」 美紗はスカートの下にはブルマを着用しないし、普段の体育の着替えの時も胸をこそこそと隠したりしない。小学生の時から女子だけの私立校に通っていたためであろう、着替えの時に隠すという発想が希薄なのだ。今も智美達のようなこそこそとした着替え方と違い、スカートを完全に脱いでしまっている。さすがにブラウスまでは一気に脱いでいないが、その裾から白いパンティがちらちらと見えている。美紗はパンティを脱ぎ、それを畳み始めた。今、彼女の下半身は一糸まとわぬ姿で智美の眼前に晒されているのであった。 「うわぁ……」 初めて見る友人のアンダーヘアー。白い美紗の太腿の付け根には、その栗毛の髪と同じくやや淡い色の縮れ毛が密集していた。智美は自分自身のアンダーへアーと比べてみる。ヘアーの長さはほぼ同じ位か?しかし、毛の質が違うのか美紗のアンダーヘアーの方が自分の物よりさらさらしている感じがする。 「私のはもっと縮れてるのに…」と智美は心の中で思う。 生え具合はどうかしら?? 一見、智美のアンダーヘアーよりも密集して、広範囲を覆っているように思える。智美のように割れ目が見えてしまいそうな感じも無い。もっとも、横から覗いて見ているために正確なところはわからないのだが、他人の体の方が自分よりよく見える年頃の少女である。 「胸だけじゃなくて、アンダーヘアーでも美紗に負けてる…」 姉にお子様と馬鹿にされるのは年齢差もあるので仕方が無いとも割り切れるのだが、自分のクラスメートが比較対象になると、なかなかそうは割り切れず、敗北感に打ちひしがれる智美であった。 そのまま、美紗が着替えるのを見ていた智美であったが、次に美紗は水着ではなく、小さな布切れを鞄から取り出したのであった。それはベージュ色の小さなパンティで、多少色あいや細かな形は違えども、昨晩、姉の部屋で見たアンダーショーツなる物に違いなかった。 美紗はベージュのアンダーショーツに足を通し、身に着ける。お尻の裾のところを直し、少し前かがみになってデルタ部分の裾を直す。アンダーヘアーをアンダーショーツの中にきちんと押し込み、はみ出したりしていないかチェックしているのであろう。美紗のアンダーショーツはいわゆるスタンダードタイプの物で、昨日見た姉のアンダーショーツに比べるとサイド部分の太さが一回り太くなっている。しかし、伸縮性に富む、薄い生地で出来ているのは変わりなく、よく見てみると、ベージュのアンダーショーツからうっすらと栗色のアンダーヘアーが透けて見えるようであった。 「美紗って、あんなの水着の下に穿くんだ…」 友人がアンダーショーツを着用するのをボーっと見ていた智美であったが、その視線を感じたのか、水着を取り出そうとしていた美紗が智美に声をかける。 「智美さん?どうかしましたぁ??」 「えっ…その…それって凄い下着だね…。そんなの水着の下に穿くの…?」 「このアンダーショーツの事ですかぁ?」 「ア、アンダーショーツって言うの?それ??」 「やだあ、智美さんたら。アンダーショーツ使わないと大変じゃないですかぁ」 さも当然といった感じで美紗が答える。 そんな二人のやり取りに、水着を穿こうとしていた、翔子が加わってきた。 「二人とも何の話してんの?」と翔子。 「えっと、美紗ったら凄い下着を水着の下に穿くんだねって…」と翔子に答える智美。 「凄い下着…?」 美紗の方を見る翔子。美紗はまだ水着を身に着けておらず、アンダーショーツ姿であった。 「凄いも何も、唯のスイムショーツじゃない?」 「ス、スイムショーツ??」 「アンダーショーツとも言うのかな??私も穿いてるよ。ほら」 そう言って、翔子はまだ穿いているスカートの裾を捲って、その中を智美に見せる。 智美が美紗の着替えを見ているうちに着替えたのだろう。スカートの中はアンダーショーツが身に着けられていた。翔子のアンダーショーツは、形は姉の物によく似た、サイドが細くなったビキニタイプであったが、その色は愛美や美紗のアンダーショーツとは異なり、ホワイトであった。やはり美紗と同じように、ホワイトのアンダーショーツから翔子の黒髪と同じ、漆黒のアンダーヘアーがうっすらと透けて見えそうであった。 「ねっ?穿いてるでしょ」 「翔子も穿いてるんだ…。」 「ねえ、智美、もしかしてアンダーショーツ使わないの??」 「知らなかったもの…アンダーショーツなんて…持ってないし」 「えぇーっ!!智美さん、アンダーショーツを使わないんですかぁ!!」 話を聞いていた美紗が、智美と翔子の方がビックリするくらい、驚いたように言う。その驚きように少し不安になった智美が、 「その…アンダーショーツって穿かないといけない物なの??」と二人に尋ねる。 「それは…アンダーショーツ使わないと…ちょっと危なすぎるようなぁ…」と言いよどむ美紗。 「多分智美にも必要だと思うんだけど…今更用意出来ないしね…」と言いにくそうな翔子。 「ちょっとちょっと、二人とも脅かさないでよ。アンダーショーツ使ってないとどうなるのよ??」 「それは……」と美紗と翔子の二人が言おうとした時、授業開始のベルが鳴った。 「げっ!」 「ベルが鳴っちゃった!」 「急いで着替えませんとぉ!」 どうやらお喋りが長すぎたようだ。周りを見ると随分と人影も少なくなっている。3人はそれぞれ水着に足を通し、ブラウスを脱ぎ、ブラを外して肩紐に腕を通す。お互いの胸をチェックするチャンスなのだが、今はとてもそんな余裕は無い。 智美は水着からアンダーヘアーがはみ出していないか?を、美紗と翔子の二人は更にアンダーショーツがはみ出していないか?のチェックを済ませ、プールサイドに急ぐのであった。 |
|
智美、美紗、翔子がプールサイドに駆け込んで、しばらくすると体育教諭、佐久間摩耶が水着にスゥエットの上着を羽織ってやってきた。 佐久間摩耶は26歳の清楚な感じを漂わせるボブカットの女性で、今年は中等部1年の体育を全クラスで担当している。元々、ここ聖真女学院体育コースの卒業生で、学生の頃は新体操部のエースであり、個人選でインターハイにも出場している。大学時代も国内では活躍したものの、やはり世界の壁は厚く、24歳の時に現役を引退。以後、母校に戻り、体育を教えながら、コーチとして高等部新体操部で後輩達の指導を行っている。智子達も摩耶先生が、新体操部の生徒を自ら演技指導する所を数回見た事がある。練習とはいえ、白いレオタードに身を包み、模範演技を見せる摩耶先生の姿は、女として完成したスタイルであり、その姿を見て智美は「私もいつかはああなりたいな…」と溜息をついたものであった。 そういう訳で、摩耶先生のレオタード姿は見た事があったが、水着姿は見るのは初めてであった。しかし、現役を退いたとはいえ、鍛えられた肉体が醸し出す女性美はレオタードが水着に変わったとしても全く損なわれていないのであった。 生徒たちの薄い水色の水着に対して、摩耶先生の水着は透き通るような白!しかし、白とはいえ競泳用の水着でありいやらしさは無く、むしろ彼女の清楚な感じと見事なスタイルを引き立てているのであった。 既に準備体操の終わった生徒たちの前で、摩耶先生は水泳の授業の注意点・目的・目標などを順に説明していく。そんな中、智美は先ほどの更衣室での美紗・翔子とのやり取りが気になっていた。 「アンダーショーツ使わないことに二人とも随分驚いてたなー…」 「翔子は『智美にも必要…』なんて言ってたけど…」 「でも別に今のところ何も困る事なんて無いし…。アンダーショーツってそんなに大事な物なのかな…?」 智美がそんな風に考えているうちに、摩耶先生の説明が終了した。 「それじゃあ、今日は初めてなのである程度自由に泳いで良い事にします。シャワーを浴びてきてください」 摩耶先生の言葉を聞き、女生徒たちは歓声を上げる。太陽がじりじりと日差しを増してきており、皆一刻も早くプールに入りたいのだ。嬌声を上げながら、シャワーへと向かう生徒たち。 「もう、二人とも散々脅かしてくれたけど、別にアンダーショーツなんて穿いてなくても大丈夫じゃない!」 智美はそんな事を思いながら美紗・翔子と一緒にシャワーへと向かう。既に先に到着していた女生徒達はシャワーを浴び始めている。 「きゃーっ!!冷たーい!!」 歓声を上げながら次々とシャワーを浴びていく生徒達。智美達にも程なく順番が回ってきた。 「それじゃ、行きましょ!!」 智美は二人に声を掛け、シャワーへと向かう。 「ひゃあああっ!!冷たい!!」 夏が近づきつつあるとはいえ、いきなりのシャワーの冷たさは体に響く。きっちり10数える間、智美は冷たいシャワーを体中に浴びて、シャワー槽から出てきた。すぐに美紗と翔子も出てきた。 「あーっ、震える震える!」 「冷たかったですぅ!」 そんな事を言いながら、歩いてくる二人であった。その二人の姿を見て、一瞬、智美は言葉を失ってしまった。 二人の薄い水色の競泳水着は、水を含んだためか、ピッチリと肌に張り付いていた。胸の大きさだけでなく体のラインがくっきりと分かってしまう。もう一つ智美の目に付いたのは、二人のアンダーショーツラインであった。ピッチリとした水着は股間の部分を含めた下半身部も例外ではない。競泳用のために元々薄い生地で出来ており、それが水に濡れて体に張り付くと、水着の下に着用しているアンダーショーツのラインがくっきり、はっきりと浮かび上がってしまうのであった。水着の上からではあるが、正面から一瞥しただけで、美紗と翔子がどのような形のアンダーショーツを着用しているかが分かってしまうほどである。 「うわあぁー、すっごくHな感じ…」 二人のアンダーショーツラインを見た智美は、初めて見る光景に驚きと好奇心を隠せないでいた。思わず、二人の大切な部分をしげしげと眺めてしまう。その内に、先ほど更衣室で脅かされた事を思い出したのか、二人をからかってやろうという悪戯心が湧き上がってきた。 「美紗!翔子!ショーツのラインが浮かんじゃってるよ!!」 恐らく、今の二人の羞恥心を最も揺さぶるであろうことを、直接的な表現で言う智美。美紗はその言葉を聞き、自分の大切な部分へ視線を落とす。見る間に真っ赤になり、両手で大切な部分を隠し、 「やーん!!恥ずかしいですぅ!!」と思わず叫んでしまう。 内股になって股間を隠すその姿は、同性である智美から見ても女性の色っぽさを感じ させるしぐさであった。 美紗に対しては絶大な効果を発揮した一言であったが、翔子にとってはそれほどの効果は無かったようで、「別にスイムショーツのラインが透けて見えたぐらいで大騒ぎしないの!」と美紗に言っている。アンダーショーツのラインくらい特に気にしていないようである。それでも、さすがに先手を取られたのが『スカートめくりの女王』としては悔しいのか、智美に何か言い返してやろうと、彼女の水着姿を眺める。しかし、智美の水着姿を見て翔子は言葉を発する事が出来なくなってしまうのであった。 「智美の方こそ、小さい胸がますます小さく見えるよ!」くらい翔子が言い返してくるであろうと思っていた智美だったが、彼女はまだ何も言ってこない。それどころか、翔子は慌てた様子で智美の方に小走りでやってくる。 「何か翔子の様子が変ね…?」 智美の横にやってきた翔子が、彼女の耳元で小さく囁く。 「ちょっと、智美!さすがにそれはまずいわよ…」 「な、何の事を言ってるのよ?」 「智美、まだ気付いてないの??」 何故か顔を赤らめた翔子が、慌ててそう言う。 「と、とにかく、まずは自分のおまたを見てみなさい!!」 「もう、一体何よ…」 翔子の剣幕に押されて、智美は自分の体を見やる。翔子達と同じ、薄い水色の水着は体にピッタリと張り付き、体のラインをくっきりと浮かび上がらせている。小さな胸の形もくっきりと分かりそうなほどだ。 智美は視線を更に下の方へ下ろす。そして自分の股間を見た瞬間、 「なっ!!!!!」 思わず絶句してしまう。 そう、薄い水色の水着は、ピッタリと股間に張り付き、その下にある物、漆黒のアンダーヘアーをくっきりと浮かび上がらせていたのであった。大人の女性のアンダーへアーとは比べようも無い、まだ大切な割れ目周辺だけにしか生えていない智美のアンダーヘアーであったが、それはしっかりと水着を通して自己主張している。近くで見れば、ヘアーの一本一本を数える事が出来るかもしれない。更によく見てみると、水着が股間に張り付くだけでなく食い込んでおり、割れ目そのものや、恥丘の輪郭まで手に取るように分かった。 「智美、アンダーショーツ穿いてないんでしょ?だから水着が……」 困ったような翔子の言葉に、一気に恥ずかしさがこみ上げてくる。 「やだっ!!!!!」 股間を両手で押さえ、その場にしゃがみこんでしまう智美。美紗や翔子のようにアンダーショーツラインが透けて見える程度の話ではない。 「いやだ……もう…なんで……」 恥ずかしさのあまり、これからどうしたら良いか全く考えのまとまらない智美。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。しゃがみこんでいる智美を見て、美紗も足早にやって来る。 「智美さん、一体どうしちゃったんですかぁ?」 美紗の質問にも気が動転していて答えられない智美に代わって、翔子が答える。 「まあ…そのお…智美、水着の下にアンダーショーツ穿いていなかったでしょ。それで…ね?」 「えーーっ!!!もしかして智美さん、水着が透けてしまったんですかぁ!!」 智美の恥ずかしさを思って具体的には答えず、匂わすように言った翔子であったが、タイミングの悪い事に美紗の大ボケが炸裂してしまった。最も指摘されたくない事実を、はっきりと断定されてしまい、智美の顔はこれ以上無いと言うくらいに真っ赤になっている。 今まで12年間生きてきた中で、恥ずかしい事は何度もあったが、今回ほど恥ずかしい経験は無かった。 「そこの三人!!一体どうしたの?」 うずくまっている智美を見た摩耶先生が声を掛けてくる。 「あはははは、何でもありません!!智美がちょっと転んじゃって!!すぐに行きます!!」 すかさず、フォローを入れる翔子。そして、智美に声を掛ける。 「ほら、智美。とりあえず立ちなさい。アンダーショーツ穿いてないんだから、もうどうしようも無いでしょ?」 そう言って、脇の下に腕を入れ智美を立ち上がらせる。 「うん……」 のろのろと立ちあがる智美。その両手はしっかりと股間をガードしたままである。 「ねっ、とりあえずこの事を知ってるのは、私と美紗だけなんだから!手でうまく隠しとけば、他の子には気付かれないわよ!それにプールに入ってさえしまえば、絶対に分からないでしょ??」 何とか智美を元気付けようとする翔子。 「そうですぅ。私と翔子さんでガードしますのでぇ」 と、美紗も智美を励ます。 「うん…分かった…」 まだ、恥ずかしさは消えず、落ち込みも激しいが、なんとか顔を上げて答える智美。 「それじゃあ行きましょう」 さりげなく智美の前に立ち、他の娘達の視線からガードする様に歩き出す美紗。翔子も智美の横について歩き始める。智美は両手で自分の股間を隠し、思わず内股になっておずおずと歩き始める。ついつい視線は下を向いてしまう。最初は智美がしゃがみこんでいた事で注目して見ていた他のクラスメート達も、遅れながらもやって来る三人に興味を無くしたのか、特に注視している者はいなかった。しかし、佐久間摩耶だけは不自然な歩き方でやって来る智美を見て、何かに気付いたのであった。 シャワーを浴びる前の摩耶先生の言葉通り、すぐに自由遊泳になった。嬌声を上げて、水遊びを楽しむ少女達。しかし、智美・美紗・翔子の三人はなかなか無邪気に楽しむ気にはなれなかった。 自由遊泳の指示が出ると同時に、智美はプールの中に入ってしまった。美紗と翔子のガードもあり、智美のアンダーヘアーが透けてしまっている事に気付いているクラスメートはいないであろう。水の中に入ってしまえば、潜水でもしている子で無い限り、気付かれるはずは無く、一安心と思えた。しかし、智美の落ち込みは激しく、俯いたままである。今も、太腿を内股にしてすぼめ、両手で股間を隠している。 「まあ、プールの中に入っていれば大丈夫だよね」 「そうですぅ!誰にもばれてませんよぉ!」 何とか智美を慰めようとしている翔子と美紗の二人だったが、智美は俯いたままであった。 「で、でも駄目だよね、この水着!こんなに薄かったら!私なんてスイムショーツのラインが浮かび上がっちゃってるし!!」 「そ、そうですぅ!私もアンダーショーツ穿くのを忘れてたら智美さんと同じように透けちゃってますぅ!!」 本人に悪気は無いのだが、今、最も智美が言われたくない事実を口にしてしまう美紗。智美の落ち込みはますます激しくなっていく。 「馬鹿!!余計な事言ってどうするのよ!!」 「す、すみませぇん…」 「美紗はいつもいつも墓穴を掘るような事を…」 翔子が美紗を咎めているところ、智美が二人に声を掛けた。 「ねえ、二人とも…」 「「は、はい!!」」 思わず声を揃えて答える美紗と翔子。 「な、何かな…?」「な、何でしょうかぁ…?」 「その…水着が透けちゃったって…やっぱり私がアンダーショーツを穿いてないのが悪いのかな…?」 「ま、まあ、そうでしょうね…。で、でも悪いと言うより知らなかったんだからしょうがないわよ」 「や、やっぱりアンダーショーツがありませんとぉ、そうなってしまうのではぁ…」 何とか、智美を元気付けようと必死の二人であった。 「あううう…」 さすがに智美に付き合って、ずっと水の中にいるのは寒いのか、美紗と翔子は水の中から上がり、プールのふちに腰掛けている。そんな二人の水着をもう一度眺める智美。やはり二人とも、水に濡れた薄い水色の水着は体に張り付いており、アンダーショーツのラインをくっきりと浮かび上がらせている。しかし、アンダーショーツはその役割を充分に果たしているのだろう、アンダーヘアーが透けて見えるようには微塵も感じられない。 「アンダーショーツだけを穿いてる時には、二人ともうっすらとヘアーが見えていたのに…」 更衣室での着替えの情景を思い出した智美だったが、改めて、周りで水遊びに夢中になっているクラスメート達の水着姿を見てみる。プールサイドを歩いている娘、今飛び込みをしようとしている娘、皆、水色の水着が体にピッタリとくっついている。そして、その下半身を注視すると、やはり皆、アンダーショーツのラインが浮かび上がっていた。スタンダードタイプにビキニタイプ、さすがにカラーまでは分からないが、お尻を突き出すような姿勢の時、水から上がる瞬間などアンダーショーツラインがはっきりと分かった。やはり、水着の色と生地が薄いことが最大の原因であろう。 「皆、アンダーショーツ使ってるんだね…。私だけみたい…使っていないのは」 「そ、そんな事無いよ!!きっと使ってない子もいるって…」 更に落ち込みそうな智美に向かって言う翔子であったが、周りを見回してみると確かに智美の言うようにアンダーショーツラインの見えていない娘は一人もおらず、恐らくは全員がアンダーショーツを着用しているものと思われた。 そんな三人の、陰鬱なやり取りを摩耶先生はプールサイドから見ていたのであった…。 大変な目にあった智美であったが、美紗と翔子のフォローもあり、どうやら他のクラスメート達には気づかれることなく授業を終わる事が出来そうであった。今は最後の整理体操の真っ最中。さすがに股間に手を当てたままで体操は出来ないので、皆に見られてしまう危険はあったが、幸い体操の方に気を取られているので、誰も智美のアンダーヘアーのことまでは気が回らない。唯一人、摩耶先生を除いてではあるが…。 内股になり、少し腰が引き気味であるが、何とか体操を終わらせた智美はすぐさま股間を両手で隠す。最後の難関も何とか突破したようで、少しだけほっとする。 「それじゃ、次回の授業も水泳なので、きちんと用意しておいてね」 最後に摩耶先生がそう締めくくり、授業は終了となった。4限目が始まるまでに着替えを済まして教室に戻らなければならない。少女達は足早にシャワーを浴びに向かう。 「何とか無事に終わったみたいね」 智美の前に立ち、ガードしながら翔子が言う。 「うん、ありがとう。翔子、美紗」 「それじゃあ、早く着替えてしまわないとぉ」 更衣室へ向かおうとした三人であったが、 「辻谷さん!!ちょっといいかしら?」 突然、摩耶先生に声を掛けられて、飛び上がりそうなほどに驚く三人。 「は、はい!何でしょう!」 予想外の事に焦りを隠せない智美。 「私、授業中に怒られるような事をしたっけ…???」 はっきりとした心当たりが無いだけに、不安が広がって来る。 「着替えの前で悪いんだけどね。高瀬さんと西野さんは先に行っておいてくれるかしら?」 美紗と翔子にそのように言う、摩耶先生。一体何なのかと気になる二人ではあったが、更衣室へと向かうことにする。 「智美、先に行ってるからね」 翔子が智美に声を掛け離れていく。 摩耶先生と二人きりになった智美は、周りを見渡すと、既に皆更衣室に入って、プールサイドには誰も残っていない事が分かった。 「あの…先生、何でしょうか…?」 心当たりは無いが、何か怒られるのだろうかと尋ねる智美。その両手は今も股間の前にあり、女の子の大切な部分を隠すようにして立っている。 「そんなに緊張しなくて良いわよ、辻谷さん。別に叱ろうとかいうんじゃないから」 智美の緊張を察したのか、優しく微笑みながら話し掛けてくる摩耶先生。その言葉を聞いて少しホッとする智美であったが、怒られるんじゃないなら何故呼びとめられたのだろうかと疑問は残ったままであった。 「急いでるところ悪いんだけど、出来れば二人っきりで話した方が良いと思ってね」 「はぁ…」 そう言って、次の言葉を探すように、少し間を置く摩耶先生。 「あのね…辻谷さん。あなた、今スイムショーツを穿いていないんじゃない?」 「!!!!!!」 突然の摩耶先生の一言に、言葉を失ってしまう智美。授業中、隠し通せていたと思っていたのに、実は摩耶先生にはばれてしまっていたのだ!!股間の前の両手に思わず力が入ってしまう。顔が真っ赤になり、俯いてしまった智美を見て、慌てて摩耶先生が声を掛ける。 「ご、ごめんなさい。別に責めてる訳じゃないのよ。ただいくら女の子ばかりといっても、最低限のエチケットは必要だ、と先生は思うのよ」 繊細な年頃の少女の心を出来るだけ傷つけまいと、言葉を慎重に選んで話し掛ける摩耶先生。恥ずかしさでいっぱいの智美ではあったが、何故摩耶先生にばれてしまったのか尋ねてみる。 「あの…先生はどうして私がアンダーショーツ使ってないの分かったんですか…?」 「えっ、それはシャワーを浴びた後から辻谷さんの歩き方とかが変だったし、ずっと手で隠してたでしょ?それで何となく…分かっちゃったのよ」 まだ20代とはいえ、智美達の倍近く生きてきた証か、摩耶先生は、智美の振る舞いの変化から真実を洞察していたのであった。 「少し、手をどけてみてくれる?」 股間を隠している手をどけてみてくれと言う摩耶先生の言葉に、一瞬躊躇した智美であったが、既に水着が透けてしまっている事を知られているのだ。観念して手をどけた。 「あらあら…」 水色の水着を透過して自己主張を行っている漆黒の存在を見て、摩耶先生は困ったような顔をする。 「辻谷さん、今日はスイムショーツを忘れてきちゃったの?」 優しく問い掛けてくる摩耶先生に対して、智美は少しずつ答えるのがやっとであった。 「ち、違います。元々アンダーショーツを持ってないんです…。水着の下に着ける下着があるなんて全然知らなくて…」 「スイムショーツの事を知らなかったの?」 「は、はい。だからアンダーショーツを穿かないとどうなるかなんて全然思ってもいなくて…。水着が透けちゃうなんて……」 最後の方は消え入りそうな声で答える智美。その顔は今にも泣き出してしまいそうであった。 「そう、知らなかったのね…」、と納得したように一人ごちる摩耶先生。そして、智美の両手を取り、股間に持って行かせ、その黒々とした存在を隠させる。 「ごめんなさいね、辻谷さん。先生、みんなスイムショーツの事を当然知ってるって勝手に思いこんでたみたい。水泳の授業が始まる前にきちんと教えてあげないといけなかったわね」 驚いた事に、摩耶先生は智美に謝罪し始めたのであった。 「中学1年生くらいじゃ、辻谷さんみたいにスイムショーツを知らなくても不思議じゃないわね。それに、スイムショーツを使ってる子達も意味をきちんと知っている子は少ないだろうから、辻谷さんだけが遅れてるなんてことは無いからね。そんなに気にしなくていいわよ。」 「今日の事を知っているのは、お友達の西野さんと高瀬さんと先生だけ。他の子はきっと気付いていないわ。もちろん先生は誰にも言わないからね」 摩耶先生の励ましに、少し心が軽くなる智美であった。 「さ、それじゃ今日の事は良い経験だったと心を切り替えなさい。そろそろ着替え始めないと次の授業に遅れちゃうしね。」 「はいっ!!」先ほどより、少しだけ元気に答え、智美は更衣室に向かう。そんな彼女に摩耶先生が最後に声を掛ける。 「辻谷さん、次の体育の授業までには、スイムショーツを用意しときなさいね」 「はーい!!」 依然、股間を両手で隠したままであるが、更衣室にやってきた智美が心配していたほど落ち込んでいない、むしろ少し元気になったのを見て、美紗と翔子はほっとするのであった。 |
|
4限目の授業も終了し、今は昼休み。いつものように、席が前後である智美と美紗の机をあわせた所に翔子がお弁当を持ってやってきて、昼食が始まろうとしていた。 智美は摩耶先生の励ましもあったのか、一時ほどの落ち込みは見られない。隙を突いて、翔子のお弁当のメインディッシュであるクリームコロッケを奪おうと狙っている。 「今日のことは本当にすみませんでしたぁ」 卵焼きを口に運ぶ手を休めて美紗が言った。 「美紗ったら、何を謝ってるのよ??」 クリームコロッケ奪取に失敗し、舌打ちしている智美が答えた。 「さっきの水泳の授業の事ですぅ」 先ほどまでの恥ずかしさを思い出したのか、一瞬動きが止まる智美。 「今思い出してみると、先週の体育の授業で智美さんにアンダーショーツの事を聞かれましたよねぇ。結局、うやむやになってしまって…。あの時にでもきちんと私が智美さんにお教えしていればと思いましてぇ……」 と、申し訳なさそうに言う美紗であった。 「知ってたのなら、美紗もきちんと教えてあげないと!」 「もう、いいわよ。そんなに美紗を責めないであげて。一番悪いのは、きちんと聞かなかった私なんだし…。それに二人のおかげで今日は無事に済んだんだから」 「本当にすみませんでしたぁ」 「まあ、智美が許すって言うのなら良いんだけど…。でも、確か最後に摩耶先生は『スイムショーツを用意しとけ』って言ってたわよね。智美、聞いてなかったの??」 智美のお弁当箱の中のエビフライを狙いながら質問する翔子。 「聞きそびれちゃったのかな…?ああっーー翔子!!」と答える智美。翔子の攻撃からエビフライは死守したもののソーセージを奪われて思わず大声を上げてしまう。 「でも、次は水曜日にプールがあるので、今度はきちんと用意しないといけませんねぇ」 と、こちらは翔子と智美のお弁当決戦をよそに、マイペースで食事を続ける美紗であった。 「用意するというか、アンダーショーツを持ってないから買わないといけないんだけどね」 逆襲の機会を狙いながら答える智美。「スポーツ店で売ってるのかな??」 「水着を置いてる店ならどこでもあると思うけど。まあ、品揃えには差があるだろうけど」 戦利品のソーセージを飲み込みながら、しっかり自分のお弁当はガードしている翔子が答えた。 「駅前のお店で買えるよ」 「智美さん、お詫びと言っては何ですけど、アンダーショーツを買いに行くのならお付き合いしますですぅ」 「ありがとう、美紗。それじゃ今日はお金を用意してないから無理だけど、明日の帰りに買いに行くから付き合ってくれる?」 「はい、明日はクラブも無いのでお付き合いしますぅ」 「お金はどれくらい用意しとけば良いのかな??」 「そんなの千円もあれば充分よ」とアドバイスをする翔子。「まあ、メーカーとか種類にもよるだろうけど」と続ける。 「種類って???」 疑問に思った智美が翔子に質問する。 「んっ?色々形にバリエーションがあるのよ。私も見ただけだけど、Tバックのとか凄いハイレグのとか。結構、色々な種類があったわよ。」 「Tバックて、お尻の所が紐になってるやつよね?そんなの本当にあるの??」 「あるのよ、それが!!本当に使ってる人がいるのかどうかは知らないけど」 「へーーーー」 智美にとっては全く予想外の事ばかりであった。実際に自分の友人達が水着の下にパンティを着用していた事だけでも驚きなのに、Tバックの物まであるとは…。 「小学校の時は、水着の下にパンティを穿かなきゃいけないなんて思っても入なかったなぁ…」 誰に聞いてもらうでもなく呟く智美であったが、それを聞いた美紗が答えた。 「そうですねぇ。私も初めてアンダーショーツの事を教えてもらった時にはびっくりしましたしぃ」 「私もそうだよ。水着用の下着があるのは知ってたけど、実際に使ってみるとね…」 と、翔子が続く。 「ねえ、二人とも、アンダーショーツの事は誰に教えてもらったの??」 自分はアンダーショーツの事を、つい数日前まで知らず、誰からも教えてもらっていないのに、翔子と美紗がきちんと知っているのが不思議であった。 「私はクラブの先輩から教えてもらったけどね」 と、答える翔子。 「水着の採寸をした頃だったかな。先輩から『この学校の指定水着じゃスイムショーツは必需品よ!!』って教えてもらって、その日のうちに買いに行ったわ。まあ、実際に使ったのは今日が初めてだけどね」 「私も去年まではスイムショーツなんて全然知らなかったし。多分、今日初めて使ったって娘ばかりじゃないかな??」 お茶を飲みながら智美に答える翔子。どうやら今日のお弁当決戦は翔子の判定勝のようである。 「私は、去年の夏に、母様から教えてもらいましたぁ」 食べ終わったお弁当を片付けながら美紗が言う。 「『アンダーショーツを使うのは女の子のエチケットよ』って教わって、アンダーショーツを渡されましたぁ」 これにはさすがに翔子も驚いたらしく、 「ちょっと、美紗!それじゃ、あなた小学6年の時からスイムショーツを使ってたの??」 「はい、そうですよぉ」 「他の娘は使ってなかったんじゃないの??」 「最初はそうでしたけどぉ、『そのパンティ、何??』と聞かれて教えてあげてるうちに、ほとんど皆さん、使うようになったみたいですけどぉ」 「はあ……小学生でも使ってる子はいるわけね…」 小学生くらいでスイムショーツを使うような子がいる事に感嘆とも何とも言いがたい感じの声の翔子であった。 智美は「私の場合、誰も教えてくれなかったなぁ…」と口に出したが、思い出されるのは昨晩の姉、愛美とのやり取りであった。 「あの時にきちんとアンダーショーツの事を聞いてたら…」 「それより、愛ネエも酷いよね!!妹に教えてくれても良いのに!!」 ふつふつと怒りが込み上げてくる智美であった。家に帰ったら、愛美と一戦交えなくてはならないであろう。 「でも、アンダーショーツは女のエチケットって美紗のママは言ってたそうだけど…」 少し言いよどむ智美、先ほどの自分の恥ずかしい姿を思い出したのか少し顔を赤らめる。 「やっぱり、アンダーショーツの役目って…その……なのかな??」 「それは、やっぱり水着が透けるのを防ぐためだと思いますぅ」 「美紗の言う通り、アンダーヘアーが透けるのを防ぐためでしょうね。それに割れ目とかが透けたりするのも防げるし」 「それはそうだと思うんだけど。でもね、さっき摩耶先生と話してた時に『意味をきちんと知ってる子は少ない』って言ってたのよ。透けるのを防ぐくらい誰でも知ってるでしょ。それなのにそんな言い方するのは…?」 「アンダーショーツって他にも役割があるのかな??」 自分の疑問を素直に翔子と美紗にぶつける智美であったが、二人から返ってきた答えは智美を満足させるようなものではなかった。 「さあ??他に役割なんて無いんじゃないの?」 「私も全然分からないですぅ」 「うーん…」 考えてみる智美ではあったが、どうにも思いつきそうに無かった。思考の海に沈もうとしていた智美を引き戻したのは、からかいを秘めた翔子の声であった。 「と・こ・ろ・でー」 何か悪戯を思いついたような顔で智美に話し掛けてくる翔子。その表情はいつもスカートめくりを仕掛けてくる時の顔であった。 「な、何よ、翔子ったら…?」 思わず警戒して問う智美。 「ふっふっふっ、智美ったらまだまだ、ヘアーが薄いのね♪今日はしっかり観察させてもらっちゃった♪」 狙い済ました翔子の一言に、一瞬にして顔を赤らめる智美。とっさに言い返す言葉が出てこない。 「スカートの下にブルマ穿いてるからヘアーの成長が悪いとか♪」 その後も、放課後まで散々翔子にからかわれ続ける智美なのであった。 |
|
「愛ネエ、入るわよ!!」
夕食後、2階の部屋に上がった姉を追いかけて、智美はその部屋の前までやってきた。一声掛け、ノックもせずにドアを開ける。 「んーー?何よー、智美??」 愛美は昨晩と同じく、今日もベッドの上にうつ伏せに寝転んで雑誌を読んでいる。昨晩と違うのは、耳にヘッドフォンがはまっていない事くらいであろうか。 智美はつかつかとベッドサイドに近寄り、勢い良く捲くし立てた。 「今日は愛ネエの意地悪のおかげで酷い目にあったんだからね!!」 「何の事よー、意地悪って??私何もしてないじゃない??」 「何もしてくれなかったから酷い目にあったのよ!!」 智美は昨日のやり取りの中で、愛美がアンダーショーツの事を詳しく教えてくれなかった事を責めているのだが、愛美の方はそれに思い至らない。 「イマイチ何のことを言ってるのか分からないわね?」 さすがに、少し真剣な顔をしてベッドの上にきちんと座る愛美。目の前では妹が腰に手をやり仁王立ちしている。「きちんと話してみなさいよ」 「昨日の晩の事、覚えてるわよね?」 「智美が、擽り倒されたこと??」 「その少し前の事!!」 智美の凄い剣幕に押される事も無く、のんびりと考え始める愛美。やがて思い至ったのか、 「あー、そう言えばアンダーショーツの事で智美をからかったような記憶があるわね。でも、それがどうかしたの?」と答える。 「あの時、愛ネエったら人の事を『お子様』扱いするだけで、アンダーショーツの事を教えてくれなかったでしょ!!おかげで今日のプールで酷い目にあったんだからね!!」 「そうだったっけ??」 智美の神経を逆なでする様にとぼける愛美であったが、智美の「酷い目にあった」という一言を聞き逃してはいなかった。 「と・も・み、もしかして今日のプールで水着が透けちゃったのかな??」 意地悪そうな笑みを浮かべて突っ込む愛美。最も知られたくない事実を正確に言い当てられ、一瞬たじろいだ智美であったが、完全に開き直って言い返す。 「そ、そうよ!!アンダーショーツ穿いてなかったから水着が透けちゃったのよ!!愛ネエがきちんとアンダーショーツの事を教えてくれなかったからじゃないの!!」 客観的に見ると言いがかりと言われても仕方ないような智美の理屈であったが、愛美はその事を指摘するつもりは無いようであった。腹を抱えて笑うというのが最も適切な表現であるように、大笑いを始めた。 「あはははははははは、透けちゃったの、智美!!まあ、中等部の水色の水着じゃアンダー使わないと確実に透けるわよね!!」 「な、何が可笑しいのよ!!」 「あはははは、で、でも、智美も水着が透けて困るほど、おケケが生え揃って来てたんだね!!」 まだ、笑いがやまない愛美を見て、ますます腹が立ってくる智美であった。 「愛ネエ、謝るつもりあるの??」 「あははは、ご、御免ねー。あは、でも別に女ばかりだから良いじゃない?晃輝君に見られたとか言うんなら別だけど」 「な、なんで晃輝の名前が出てくるのよ!そ、それに男子に見られてたら、恥ずかしくて生きてられないわよ!!」 まだ笑っている姉の姿を見て、智美は愛美が本気で反省している様子は無いと判断した。 「愛ネエ、反省してる??」 「あははは、あんまりしてない」 その一言で、昨晩に引き続き再び取っ組み合いが始まる。最初こそ、笑いのため力が入らない愛美を圧倒していた智美であったが、最終的にはやはりうつ伏せに組み伏せられていた。 「こらー!愛ネエ、早くどけー!!」 「あははは、水着が透けて多少可愛そうだと思ったけど、姉に逆らうような妹にはやっぱりお仕置きよね♪」 そう言って、愛美は両手で智美のこめかみのところをグリグリし始める。 「痛い痛い痛い!!!」 何とか逃れようと体はばたばたさせる智美だが、愛美はそれを許さない。本当に痛いのだろう、智美は涙目になっていたが、愛美もあまりに笑いすぎたためか目に涙が溜まっている。 「もう、愛ネエに智ネエ!なにばたばたしてるのよ?」 愛美の部屋に風呂から上がってきた三姉妹の末妹、恵美がやってきた。風呂上りのため、いつもの三つ編みを解いてあった。 「良いところに来たわ、恵美!!」 そう言って妹を部屋に招き入れる愛美。 「智ネエ、また愛ネエにお仕置きされてるの?」 「うるさいっ!!」 グリグリから一時開放された智美が、ジト目で見る妹に対し言い返す。しかし、組み伏せられているのには変わりなく、苦境であるのは変わりない。 「妹に怒鳴っても仕方ないでしょ♪」 再びこめかみをグリグリし始める愛美。智美の悲鳴が響き渡る。 「じ、自分も妹を苛めてるじゃない!!」 「苛めてるんじゃなくて、これはお・し・お・き♪♪」 「痛い痛い!!」 「恵美、私が上を押さえてるから、足の裏をくすぐってやって♪」 にこやかな顔で恵美に頼む愛美。それを聞いた智美はさすがに青くなる。 「め、恵美ちゃん。や、やめてよね♪」 猫撫で声で恵美を懐柔しようとする智美であったが、その前に怒鳴られていたことを根に持っていたのか、恵美は一言、「嫌」とだけ言って、智美の靴下を脱がし、擽り始めた。 「ひ、ひ、ひぇええーーーん!!!」 痛みとくすぐったさの二段攻撃にメロメロ状態の智美。今晩は救いの主、京香も現れず、 「まあ、今日はこれぐらいにしといてあげる♪」 と、言って愛美から解放された時、智美は完全にKO状態であった。 「い、いつか絶対に復讐してやる…」 愛美に聞かれたら、更にお仕置きをされそうな言葉を心の中だけで呟く智美であった。 |
|
翌日の朝、いつものように智美は愛美より一足早く渡家を訪ねる。いつものように車に乗り込むところで、愛美が辻谷家より走ってくる。昨日と同じように、今日もパンを咥えたままである。今日は一体何の準備を忘れていたのであろうか?? 昨晩、散々愛美にいたぶられた事もあり、智美の愛美を見る眼は冷ややかである。愛美がやって来るのがあと一歩遅かったら、「もう車を出しちゃってください!」と言っていたかもしれない。車が走り出しても智美の機嫌は悪いままである。 「智ちゃん、一体どうしたの?」 智美と愛美の間の険悪なムードを察してか、晃輝が尋ねてくる。 「別に…何でも無い…」と素っ気無く答える智美。 それを聞いていた愛美が話に割ってはいる。 「駄目じゃない、智美。晃輝君が心配してくれてるのにそんな言い方しちゃ」 愛美の方では別に智美との間に冷戦状態を継続する意志は全く無いようで、からかうように智美に話し掛ける。とはいえ、昨晩の仕打ちを考えると、智美の機嫌が悪いのも無理の無い事であろう。 「愛ネエ、よくもそんな事言えるわね?」 ジト目で姉を見つめる智美であったが、愛美は全く意に介して無いようであった。 「昨日の事は、姉妹の間のコミュニケーションじゃない♪」 軽口を叩く愛美であったが、智美にじっと睨まれると、さすがに萎縮したのかそれ以上の軽口は叩けなくなった。 姉妹の会話を聞いていて昨日何があったのかを、大体推察できた晃輝は、まだ機嫌の直っていない智美ではなく、愛美に話し掛ける。 「愛美さん、また智ちゃんにお仕置きをしたんですか?」 幼い頃からの付き合いである晃輝は、愛美が妹達、特に智美に対して行う「お仕置き」の事についても知っている。実際に、その場に居合わせたことも何度もある。毎回、突っかかって行くのは智美の方なのであるが、その度に「お仕置き」と称して泣かされる智美を見てきた晃輝の言葉には、愛美を非難するような響きが含まれている。 「あははは、さすがに昨日はすこーし調子に乗り過ぎたかな?なんて…」 妹なら簡単にあしらう事の出来る愛美であったが、晃輝に詰問されるのはどうも苦手のようだ。狼狽する姉の姿を見て少しは気分の良くなる智美であった。 「駄目よー、愛美ちゃん。そんなに智美ちゃんを苛めちゃ」 それまで助手席で三人の会話をそれとなく聞いていた雪奈も智美の味方に回ったようで、孤立無援状態の愛美は「あはははははは」と笑うしかない。 幼馴染とその母親の援護を受けて、智美が愛美に何か言ってやろうとした直前、晃輝が先に愛美に尋ねた。 「それで今回の原因は何なんですか、愛美さん??」 それまで形勢不利であった愛美であったが、晃輝のその質問を聞き、逆襲のチャンスとばかりに昨晩の事を話し始める。 「うぷぷぷぷ、それがね、智美ってば昨日のプールで水着が………」 「ワー!!ワー!!!ワー!!!!」 『透けてしまった』と言おうとした愛美であったが、智美の慌てて遮る大声でかき消されてしまった。 「な、何を言おうとしてるのよ!愛ネエ!!」 顔を真っ赤にして抗議する智美。くすくすと笑っている愛美の顔には「晃輝君に『水着が透けて大変だった』って教えちゃおうかな♪」という脅迫文が書いてあるように智美には思えた。 「?????」 いまいち状況が掴めなくて困ったような顔をしている晃輝。顔を赤らめて、やっぱり機嫌の悪い智美。妹をからかうネタを握り、小悪魔のような微笑を浮かべる愛美。そんな三人を乗せた車は間もなく駅に到着した。 三人は普通列車に乗り込み、急行乗り換え駅に向かっている。智美の目に前には晃輝の姿がある、愛美もさすがに智美をからかい過ぎたと思っているのか、今は静かにしている。 「愛ネエったら、とんでもない事を言おうとするんだから…」 心の中でそう呟く智美。 「晃輝もいるのよ!全く…。もし水着が透けてしまったなんて知られたら…」 やっぱり恥ずかしいと思う。それこそ、顔を合わせられないかも知れない。でもそれ以上に智美が思ったのは、「やっぱりはしたない女の子って思われるよね…」という事であった。 さっきの車の中で愛美に水着が透けた事を晃輝にバラされそうになったとき、もちろんアンダーヘアーが見られてしまった事に対する直接的な恥ずかしさはとても大きい。しかし、そのような恥ずかしい姿を晒してしまうようなはしたない女と思われてしまう事に対する間接的な恥ずかしさも少なからず智美は感じていたのであった。 「そう言えば、晃輝も学校で水泳の授業が始まるって言ってたよね…」 晃輝の通う城山学園は聖真女学院と違い、共学である。もちろん体育は男女別だが、水泳の時にはプールで一緒になるであろう。 「やっぱり、私みたいにアンダーショーツの事を知らないとか忘れたりって子がいるのかな?」 智美はそんな事をふと思う。智美の場合は、水着が透けたと言っても周りには女の子しかいない。でももし男子が周りにいれば??一体どうなっていただろうか?食入るような男子の視線が自分の大切な部分に集中する。そんな風に考えるだけで頬が赤くなってしまう。とても恥ずかしさに耐えられないだろう。 「女子校で良かった…」そんな風に安堵する自分がいる。でも、晃輝は、目の前にいる幼馴染も他の男子と同じように、アンダーショーツを穿いていないでヘアーが透けてしまっている女の子の水着姿を食入るように凝視するのだろうか? 「するよね…きっと…男の子なんだし…」 普通の男の子ならそれが普通なんだろう。そういう方面に少し疎い晃輝ではあるが、目の前にそのような女の子が現れればきっと釘付けになるだろう。 「でも…なんか嫌だな……」 晃輝がHな目で女の子を見るのは嫌だと思う。でも、もう一つ、彼が智美以外の女の子をHな目で見るという事が何となく嫌なのだ。智美の知らない晃輝のクラスメートの女の子達…そしてその水着姿。城山学園の女子の水着がどのような物なのか智美は知らない。普通のスクール水着かもしれないし、自分達の学校の物のような競泳タイプかもしれない。水着が透けるような事があるのかどうかも分からない。しかし、智美は全く根拠の無い不安に捕われているのだった。なぜ、自分がそんな不安を抱くのか?智美自身にも良く分からなかった。だから智美は晃輝をからかう事が出来なかった。 「女の子の水着姿に見とれてたんでしょー??」 そう言った時に、晃輝が「うん、水着が透けてる子がいてね……」なんて言われるのが怖かったから。だから智美の心の中には漠然とした不安と不満が蓄積されるのであった。 |
| ←その1 | その3→ |