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ありがたいキャンペーン α

ペンギンです。

先日電器屋でパソコンを買った時に、ついでのついでみたいな購入者特典でU-NEXTの2ヶ月無料券(権)をいただいたので、しばらくぶりにU-NEXTを楽しんでます。

キャンペーン規約を一応よくよく読んでみても変な落とし穴はなく、ただ2ヶ月無料だよというだけの親切な特典。
それなのにヨドバシの店員さんからは、「マジすか!?入ってくれるんスか!?あざっす!!」みたいな感謝をされました。
(前回の日記に書いた紳士とは別の人で、ノリが軽すぎてそれはそれでかえって押し売りとかしてこないタイプの店員さん)
喜ぶ理由を聞いてみると、どうやら加入してもらうとチビッとだけ店員の評価的な何かにつながるらしい。
こちとら2ヶ月無料でU-NEXTを使うだけで、そんなwin-winなことになるなんて、不思議だけどありがたい話だ。

商品とかサービス的なものは無からは生まれず何かしらのコストや労力とのトレードオフとなるのが常だが、この手の「評価」みたいなものが今回のように何の労力もコストもなく無からも生み出すことができるのだとすれば、実に平和。
だけどさらに勝手に想像を膨らませてみると、U-NEXT2ヶ月無料キャンペーンを企画している担当者がU-NEXT側の営業担当としておそらく存在していて、もちろんこのキャンペーンは「そのままU-NEXTを気に入って(もしくは惰性で)有料加入になだれ込む」ユーザを増やすのが目的なので、僕のようにU-NEXTを2ヶ月使うだけ使って結局解約する人ばかりだったらその営業担当が泣きを見ることになる。
あるいはU-NEXT2ヶ月無料キャンペーンをヨドバシの販促企画的な人が導入していて、全然有料ユーザが増えなかったらその人がU-NEXTに怒られるみたいなのがあるのかもしれない。

つまり、一見すると登場人物全員ハッピーなキャンペーンに見えても、きっとどこかで誰かの労力やコストがかかっていて、僕がオトクにU-NEXTを観るだけだったら誰かが泥をかぶり、誰にも泥をかぶせないようにするなら僕がU-NEXTの有料課金に踏み切るしかないということだ。

結局世の中というのは、むべなるかな、完全なるwin-winというのはなくて、全てトレードオフになっているということか。
全部想像だけど。

ということで久しぶりにU-NEXTを観ている。
U-NEXTは相変わらずすごい。観たいなと思ったコンテンツがほぼ確実にちゃんと収録されてある。
前に加入してた時は、ワンピースもNARUTOもジョジョもハンターハンターもスラムダンクもこれで全話観た。

そうはいっても、今回はキャンペーンで惰性加入しただけ。
「これが観たかったんだ!」という何かがあるわけでもない。
こういう時、僕はなぜか映画『男はつらいよ』を観てしまう。
全47作。どれも最低1回は観たので、観たことがある映画を咀嚼し直すだけの鑑賞会となる。
さらに、あまり観てない作品ではなく、何度も観た作品ほど選んでしまう。1作目はもちろんのこと、他にも『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』とか、『男はつらいよ 寅次郎と殿様』とか、『男はつらいよ 噂の寅次郎』とか。
どれも何度も観たのに、また観てしまう。
というか、何なら『男はつらいよ』シリーズって全作ざっくり同じ話なので、輪をかけて何度も何度も観たような感覚になる。

『男はつらいよ』シリーズは、どれもこれも季節の雰囲気がバリバリ出ていてすごい。
冬のシーンはめっちゃ寒そうだし、夏のシーンはめっちゃ暑そう。でもなんだかイヤな寒さイヤな暑さではない。冷暖房設備は今の方が優れているのに、当時の方が過ごしやすそうに見えるのは、気候変動のためなのか、心の持ちようなのか、憧れのフィクション世界だからなのか。
映像の中で、蝉がけたたましく鳴いている。寅さんが自転車でアイスキャンデーを売ってる行商人からアイスを1本買ってそのまま食う。釣りは要らないよという仕草をする。これ全部、オープニングシーンなのでセリフ無し。すごすぎ。
夏は嫌いなのに、映像の中だと夏が恋しくなる。というか、半袖や半ズボンでウロウロしているのが信じられないくらい。そんな格好で寒くないのか?などと思ってしまう。寒いわけないのに。
自分が夏の季節にいたら、反対に冬の描写が好きになる。厚手のコートを着ているさくらちゃんを見て、「こんなコートを自分もまた着る日が本当に来るのだろうか」と不安になるくらい、夏が暑すぎる。
そして冬が来て、また夏が来て。夏には冬を思い、冬には夏を思う。今ないものの影を追い求めながら公転してまた元に戻るだけ。

U-NEXTに『芸人キャノンボール2025』があったので初めて観た。
面白かった。
既に過ぎ去っていった、あの茹だるような暑さだった2025年夏の記憶が、この映像の中にパウチングされたようにそのまんま封入されていた。夏を駆け回るおじさんたちが眩しかった。

夏の日には「こんな夏は一刻も早く終わってほしい」と心から願っていたのに、年の瀬に『キャノンボール』を通して見る夏は懐かしく羨ましく、また自分は目の前を通り過ぎていく豊かさを見逃していたんだということを痛感させられる。
今年の冬はもう少し大事にしても良いかもしれない。

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