えー、どうも。 見ましたよ、動画。いやー、粗品、長かったなあ(笑)。あんな長い動画の中で、何回『大好き』言うてくれんねん。あんなんもう、告白やがな。 僕も好きですよ、粗品のこと。才能の塊やし、ピアノも弾けるし、ギャンブルで身を滅ぼそうとしてる姿も、なんかこう、破滅型の文豪みたいで美しいと思てます。
ただな、粗品。お前、ちょっと『ロジックの奴隷』になりすぎてるんちゃうかな。
まず、『俺のコメントが長くて何が悪い』っちゅう話やけどな。 お前は『日テレとの打ち合わせ通りやった』『言いたいことを全部言語化するのが誠意』言うてたな。それは正しい。仕事としては100点や。
でもな、お笑いの審査っちゅうのは『診察』とちゃうねん。『興行』やねん。
あの場には、お客さんがおって、空気が流れてんねん。前のコンビがウケた、スベった、その空気の中でMCが振って、審査員が喋る。その一連の流れも全部ひっくるめて『ショー』やねん。 お前のコメントはな、確かに正しい分析やねんけど、『音楽』が止まってまうねん。
『短くてよかった』言うたんは、嫉妬とかやないで。 『テンポという音楽』をお前が止めてまで喋る内容が、果たしてその音楽以上の価値があったんか? という問いかけやねん。 漫才もそうやろ? どんなに正しいツッコミでも、間違うたらお客さんは冷める。審査コメントもまた、漫才の一部やと俺は思てます。
ほんで、『とんでもねぇ』とか『木綿豆腐』のくだりを『ふざけてる、真剣にやれ』言うてたな。 粗品、お前は賢いから『分析』で芸人を救おうとしたんやろう。 でもな、『緩和』で芸人を救おうとしたんや。
あの緊張感の中で、スベった、あるいは伝わらんかった芸人がおる。そこで大先輩が難しい顔して『ここが論理的に破綻してて〜』って言うたら、その子ら、もう息できへんやん。 あそこでわけわからんこと言うて、会場が『なんやねんコイツ』って笑う。それでその芸人の『スベった事実』がちょっと中和されんねん。それが『愛』であり、先輩としての『作法』やねん。
それを『ボケて自分の笑い取りに行ってる』って……お前、余裕なさすぎやで(笑)。 花火と一緒や。最後にドーンと綺麗に散るために、途中の火薬が必要なんや。
一番言いたかったんはここやろ? ニッチェの松葉杖の話な。 お前は『医療従事者に聞いたら右でも正解やった、だから哲夫の知識不足で減点されたニッチェが可哀想や』言うてたな。
粗品、よう聞け。俺は『医学』の話をしてるんちゃう。『舞台』の話をしてんねん。
例えばな、歌舞伎とか能の世界には『型』があるやろ。舞台の左側(下手)から出る時はこういう意味、右側(上手)からはこういう意味、って決まり事がある。 お笑いにも、ベタな『文法』があんねん。 『怪我した足をかばう』という演技を見せる時、患部側に杖をつく動作の方が、お客さんにはパッと見で『あ、痛そうやな』って伝わりやすい記号(コード)なんや。
お前が言うてるのは『現実(リアル)ではこうです』っちゅう話。 俺が言うてるのは『表現(フィクション)としてどっちが親切か』っちゅう話や。
M-1の審査でもそうやけど、あまりにリアリズムを持ち込みすぎると、ナンセンスなボケができへんようになる。『空飛ぶわけないやん』で終わってまうからな。あの時、ニッチェのネタの世界観に入り込みたかったからこそ、『そこはベタな嘘をついてくれよ』って思ったんや。これを『老害の知識不足』と取るか、『舞台人としての美学』と取るか。そこはお前のセンスに任せるわ。
あと、『言いたいことあるならHulu(裏配信)で喋れや、なんで2組だけやねん』って怒ってたな。 あんなあ、花火師が『打ち上げ終わった後のゴミ拾いの時間』に火薬見せびらかしてどうすんねん。
あのゴールデンタイムの生放送、あの瞬間に一番輝く言葉を選びたかったんや。終わった後の反省会でグチグチ言うのは、性分に合わん。 それに、あの2回しか振られへんかったこと自体も、『笑い』にしてオチつけたつもりやで。それを真に受けて『需要なかっただけ』って……お前、ほんまに真っ直ぐ過ぎて心配になるわ(笑)。
ま、長々と喋ったけどな。 結局、粗品はお笑いが好きで、真面目すぎるんやな。 『ええ加減な先輩』が許せんのやろ。白黒ハッキリつけたいんやろ。
でもな、世の中には『白でも黒でもない、玉虫色』の面白さっちゅうもんがあんねん。仏教でも『中道』言うてな、極端に偏らんことが大事やと説かれてる。 お前のその『正論の剣』は切れ味鋭いけど、振り回しすぎると自分も傷つくで。
今度、飯行こうや。 俺の『間違ってるかもしれんけど面白い話』と、お前の『正しいけど息苦しい話』、酒飲みながら戦わせようや。 ほんで、割り勘な。そこは先輩やけど奢らんで。対等に喧嘩したいからな。
……あ、あと最後に。 M-1の審査員やるかどうか心配してくれてたけど、安心しろ、俺は俺の物差しでやる。 お前もお前の物差しで、これからも吠え続けろ。 大好きやで、粗品。
ほな、お疲れしたー。