奈落よりユナイテッドの光を
【旅狼】
オイカッツォ:サンラクやーい
オイカッツォ:怖くないから出てこーい
オイカッツォ:……チッ、やっぱクソゲー集中期間か……?
ルスト:何それ
鉛筆騎士王:サンラク君はストーリーがある系のゲームを休日とかで一気にクリアしようとするんだよ
鉛筆騎士王:その間は殆どメールとかに反応しなくなるから
ルスト:ふーん
サイガ-0:何か、用件があったんですか?
オイカッツォ:え? いや別に?
鉛筆騎士王:ダウト
京極:付き合い短いけど嘘ってことくらいはわかる
ルスト:会話の前後が矛盾してる時点で
オイカッツォ:ある種の信頼に涙が出るね
オイカッツォ:まぁいいやペンシルゴン、君とサンラクを探すお客様だよ
鉛筆騎士王:お客……………え、あの人?
鉛筆騎士王:お帰りいただこ?
鉛筆騎士王:サンラク君出てこーい! 修羅道へは道連れだぞー!!
モルド:え、どうしたの?
オイカッツォ:まぁちょっと因縁がね
鉛筆騎士王:マジかー……単純に面倒だぞうこれ……
秋津茜:どんな人なんですか?
鉛筆騎士王:んー……まぁ、うん。私よりカッツォ君の方が知ってるでしょ
オイカッツォ:あれだよ、愛想のいいマシーン
ルスト:……人間性が見えない
オイカッツォ:気にしなくていいよ、一定ラインに踏み込まなきゃ普通の人間だから
鉛筆騎士王:ちょっと話変えるけどいーい? というか秋津茜ちゃんに聞きたいことがある
秋津茜:はいっ!
鉛筆騎士王:ほら、聖女ちゃんがイベ通知したじゃん? ノワルリンドはどうしてるのかなーって
秋津茜:はい! ジークヴルムを今度こそ倒すんだー、って張り切ってます! 一緒に作戦会議してます!!
鉛筆騎士王:………?
秋津茜:なにかおかしかったですか?
オイカッツォ:一緒に作戦練るところまで行ってんの……?
京極:デレデレじゃないかノワルリンド
秋津茜:あと、総力戦だから竜人族も連れてくとか言ってました
鉛筆騎士王:はいタンマ、ドラゴニュート? について詳しく
秋津茜:我々は黒竜様に選ばれし翼持つ竜の人だー! だそうです
秋津茜:実際短い距離なら飛べるし火も吹けるの凄いですよねー
鉛筆騎士王:あーうんごめんね? 言葉が足りなかった
鉛筆騎士王:具体的な進軍のスケジュールが聞きたいの
京極:あ、そっちなんだ
オイカッツォ:というか結局どれを倒せばいいのか分からないところあるよね
ルスト:色竜を五体倒すか、ジークヴルムを倒すか?
モルド:それはそうだけど、この流れだと全プレイヤーを巻き込んだ超大規模レイドにならない?
ルスト:すし詰めで戦う?
京極:まずは周囲をスッキリさせるためにプレイヤーをバッサリと……
オイカッツォ:レッドネーム量産イベントとか抗議殺到待ったなし
鉛筆騎士王:んー、なーんかキナ臭い
鉛筆騎士王:本来はこれ、新大陸をある程度開拓しきった上で撃破云々なユニークの気がするんだけどねぇ……
鉛筆騎士王:ゲーム的に全部集合させてまとめて撃破されるようにする意図がわかんないなぁ
オイカッツォ:実は顔合わせが単なるイベントシーンで負け確の可能性とかは?
モルド:聖女が「決戦」とか色々言ってるし負け確定は考えづらくない?
秋津茜:ノワルリンドさんは「向こうが死ぬか我が死ぬか、勝負が決するまで退くことは有り得ぬ!」って言ってましたよ?
鉛筆騎士王:気になるところはあるけど皆、決戦の日……一日経ったから七日後は空いてる?
ルスト:私達は問題ない
秋津茜:大丈夫です!
オイカッツォ:二週間あとなら無理だったけど大丈夫
京極:あー、午前中は難しいかな
鉛筆騎士王:私は休暇を取りました
鉛筆騎士王:さて、あとはウチの鉄砲玉とサイガ妹ちゃんか
サイガ-0:私は大丈夫、です
サイガ-0:サンラクさんには、私から聞いておきますか?
鉛筆騎士王:成る程、まぁサンラク君はどうせ大丈夫だろうし今すぐ聞く必要は
鉛筆騎士王:ん?
鉛筆騎士王:ちょっとまった
オイカッツォ:どうかした?
ルスト:……サンラクは今、メールとかに反応をしない
ルスト:それはこの場にいる全員がそうであるはず
オイカッツォ:あ
サイガ-0:え?
鉛筆騎士王:んー、サイガ妹ちゃんさぁ……メールやらなんやらに反応しないやつから話を聞くためにはさ
オイカッツォ:リアルで会うしかないよね?
サイガ-0:ちがいます
サイガ-0:その
サイガ-0:てれぱしーてきな
京極:流石に無理があるでしょそれ
京極:ていうか……へぇ、リアルで気軽に会える距離なんだ
鉛筆騎士王:確かあの子は別に芸名とかじゃないし……
鉛筆騎士王:あらやだ王手
サイガ-0:ちが、まっ
オイカッツォ:大丈夫大丈夫、個人情報をバラすとかじゃないよ
鉛筆騎士王:これをネタに煽るだけだからねぇ!!
京極:悪質すぎる……
鉛筆騎士王:冗談で済むラインを見抜くのが一流だよ
ルスト:一流の外道?
モルド:ちょっと笑わせようとするのやめてよ……
秋津茜:???
◆
「っしゃオラーッ!! 初見突破だコラァ!!」
最終形態で蠍みたいな形状になったのが運の尽きだぜ暗黒将軍! 俺の対蠍経験値の高さを見くびったのが敗因と言わざるを得ないなぁ……ん?
「今何かうなじがチリッと……?」
直感システムは幕末のシステムだ、風雲プレジ伝に実装されてるはずもないし……そもそもメーカーが違うし、気のせいか?
まぁいいか、そんなことより長かった……武田氏からクリア報告を受けてムキになって攻略したにも拘わらず、大苦戦だった……
まさか味方軍勢の熟練度が後半重要要素になるとか先に言えよ、大統領が一人頑張れば楽勝と思わせてのこの仕打ちだよ。
皇帝を食って「皇帝力」とかいう謎の力を獲得した魔神帝なるラスボスが出てきて、イベント敗北させられた上に秘書キャラごと聖遺物「統一旗」を持っていかれ、合衆国は現在烏合の衆と化している。
あれはゲーム的には軍団のステータスアップアイテムだが、設定的には意思統一系オブジェクトなのであれがないと軍団の纏まりが無くなるということらしい。
要するに軍団全体のステータスが半減している状態でリザルトAランク以上を出さないと詰み、とまでは行かないがクリアまでの道が相当遠くなる。
既にクリアした武田氏は風雲プレジ伝クリア者特有の多くを語らない状態になっていたが、断片的な情報から雑魚敵相手にスコアを貯めて軍団の練度を上げたようだ。
「だが俺は、あえてその道を選ばない……!!」
マンパワーこそ最強、一騎当千のなんたるかをここに示してくれようぞ……即ち、軍団練度縛りだ。
このゲーム、軍団のリザルトと大統領の難易度がリンクしている。軍団がハイスコアを出す程プレイヤー側が戦う敵の数や難易度が下がるのだ。
中にはそれをしないと勝てない相手もいるようだが……俺はここで日和らない。
軍団フェーズは戦闘力と生還力が高い親衛隊のみを出撃させぇ!! 全員生還ボーナスを獲得することでリザルトB+確定ラインを確保しぃ!! 残りのスコアを大統領のソロプレイで稼ぎ切る!!
「煉獄将軍は死んだ、暗黒将軍は今処理した……残るは何将軍だっけ?」
とりあえずストーリーの流れは悪魔によって邪悪転生させられた帝国の元将軍達を倒し、アイテムを集めて魔神帝都への道を開く……だったか。
「大統領閣下! 敵の増援です!」
「増援システムは間違いなくクソだな! 一度のエンカウントで五回目だぞこれ!!」
・行くぞ! 大統領の威光を見せてやる!!
・撤退だ! 今の我々では敵わない!!
・おそら……ちょうちょ……
ライスちゃんが魔神帝とかいう紫筋肉に攫われてしまった現状、俺の相棒は左下枠君だけだ。相変わらず選択肢でボケるんだからキミは……
「出撃だぁ! 大統領舐めんなコラァ!!」
どこぞのポンコツよりよっぽどインテリジェンス溢れるライスちゃんを助け出すぞ!! 俺に続け煉獄軍団!!
武田氏:真っ当な攻略スタイルなので軍団のレベルをコツコツ上げてバランスよく攻略
主人公:アクティブテルモピュライ、最強の三百人が一人頭百人倒せば三万人までは対応できるね! 大丈夫、俺は千人倒すからね!
・竜人族
ぶっちゃけるとただの蜥蜴人族。一般的にドラゴンが周囲に撒き散らす「因子」に感染した種族はいくつかのプロセスを経て竜血鬼化する。
しかし蜥蜴人族は例外的に異なる変質を見せる、それが竜人族である。なので竜人族には改宗できず、蜥蜴人族に改宗した上で条件を満たさなければならない。
感染した「因子」の性質によってその姿が変わると言う特性を持ち、秋津茜が遭遇したのは黒竜ノワルリンドの「因子」を受けた元蜥蜴人族達。
掟として「ノ」「ワ」「ル」「リ」「ン」「ド」の文字を名前に使うことを禁じられている程度で適当に頭下げておけば平和なもんです、赤い奴のところが特に酷い。
まぁ竜人族を従えてるのは黒と赤だけです。緑は老害だし白は頭おかしいし青は死んでるので。
竜人族は基本的に蜥蜴人族を見下しているが、これは蜥蜴人族の性質というか気風が竜人族に残っているため。
彼らは自由をこそ愛する種族、得た力は従属を代償とする。果たして自由な弱者と不自由な強者、どちらが幸せか。