シニカルインストールなインテリジェンス
成長を実感できるとモチベーションに繋がりますよね
グラブルの話です
尻が和解の鍵となる、何言ってるか全く分からないが俺もよく分からない。だがサミーちゃんなる全然サミーという顔をしていない大蛇すら白けた空気になっているのだから、やはり和平の鍵は尻なのだ。
「よーし、せーので引っ張るぞー」
「よ、よしきた!」
「はいせーの!」
薄い壁を貫通して突き刺さったわけではなく、変に食い込まなければ抜くのはまぁそこまで難しくはない。
先程まで一触即発だったはずのゴルドゥニーネと一緒に千切れたスパッツ越しの腿を掴んでコンテストドール? とかいう尻を引っこ抜く。
「異常状態解決……優しさが足りませんね」
「お前は感謝が足りてないがな」
「つまり一対一……等価交換です」
あっやばいどうしよう、これ話通じないタイプのNPCかな? フェアカスとかがそうだった、場合によっては覚悟を決めないと胃が死ぬやもしれんな……
「もう! いままでねてたくせにいきなりおきてなにしてるのよ!」
「否定:睡眠状態は有機生物特有の蓄積された疲労の回復行動とは明確に趣を異なる機能です」
「具体的に?」
「当機の外部装備の八割を非稼動状態に移行し、内部における思考処理を低出力で行う……つまり知的な機能です」
「とりあえずかっこいい単語使えばかっこよくなると思ったら大間違いだぞ」
「はン」
どうしよう、不快ってわけじゃないがそのうち引っ叩いてしまいそうだ……こう、どちらかというとツッコミ的な方向で。いややっぱ訂正、このドールもどきの鼻で笑うドヤ顔は一発ドツきたくなってきた。
メカ枠だよね? 人形とは名乗ったが抉り千切れた足の断面は確かに人形のそれに近いが明らかにサイバーな青いラインが幾重にも重なるように走っているし、台詞のいちいちがサイエンスなファンタジーだ。
だがなんだこの残念さは、黙っていればクール系のメカキャラとして人気が出るだろうに、インストールされたAIが残念すぎる。
「あー……なんだっけ、枝豆災難さん?」
「疑問提起:今の呼称は当機を指してのものか? 次世代原始人類種の記憶能力に深刻な欠陥を確認……おお、我らが創造主よ」
「腹立っつぅ……友達は選んだ方がいいぞゴルドゥニーネ」
「ともだちじゃないわよ! そもそもこいつにさらわれたからこんなめにあってるのに!! いきなりそらにむかってぶつぶつなんかきしょくわるいし! めをあけたままねるし!!」
「抗議:その形容は次世代原始人類種に誤解を想起させます」
「そうだな、気色が悪いは間違いだな……頭が悪いもんな」
「エルマ型製造番号317……機体名称[エルマ=317]です、言語能力を喪失するまで殴打するので先に個体名を聞きます」
「あ? 達磨もどきがやんのかコラ? サンラクだ、よろしく」
「なのりあいながらこぶしをにぎらない! ひうっ……こぶしをにぎりしめたままこっちみないで……」
デフォルメ一切なしの蛇なのに「うちのヘタレがすいませんね」とでも言いたげな眼差しのサミーちゃんの目が妙に印象に残った。
もはや敵対的な空気は完全に霧散したと言っていいだろう。このぱっつんツインテールは目つきの割にメンタル森人族だし、先程から腰辺りに装着された推進器らしきもので跳ねるように動く人形っ娘は機械的無機質さをかなぐり捨てた毒吐きだし、もはやこの場における良心は俺とサミーちゃんと言っても過言ではない……
だが戦闘を回避できたのは僥倖だ、ヘタレでもユニークモンスター。今の状態で戦っても勝てるかどうかは微妙なラインだ。少なくともラビッツ地下でエンカウントしたあのゴルドゥニーネだったらまず勝てない。
「んー……とりあえずお前はここから脱出したいわけだ?」
「そ、そうよ!」
まぁあのゴルドゥニーネみたいに怪獣クラスの龍蛇を四体従えているならともかく、サミーちゃんの大きさは貪食の大蛇よりも一回り大きい程度だ。でかいっちゃでかいが、移動要塞と列車砲を相手にするにはちとタッパが足りない。
では逆に本体の戦闘力は如何程なのか、実は強キャラ説はまだ捨てていないぞ?
「で、お前自身はどれくらい強いんだ?」
「代理回答:回収目標は鎮圧用スタンによる鎮静化に著しい効果を示しました」
「つまり?」
「とても弱い」
「ゔっ……」
オーケー、お荷物ね。
しかしここでハイさよなら、とユニークモンスター発見というスクープを放置して帰るのも少々もったいない。
……待てよ? こいつら、今判定どうなってるんだ? かたやユニークモンスター、かたや人かどうか怪しいラインのロボ人形。だがエムル達ヴォーパルバニーやアラミースなどのケット・シーの例もある。
ちょおーっと、試してみるか……?
「成る程、事情は理解した……ここから脱出するのに個人の力じゃ難しいことは分かっている。本来は殺し合っててもおかしくないが……話が通じるなら武器を手に取る以外の選択肢もある、俺は義侠心の塊のような男だからな……!」
「じゃあ……」
「あぁ、共闘しようじゃないかゴルドゥニーネ。少なくともお前が裏切らない限り俺もお前を裏切らない……!!」
基本的にNPCにパーティ申請は飛ばせない、NPCと組む場合は向こうからパーティ加入申請を飛ばしてもらう必要がある。
形式的にはNPCが「君に力を貸すぜ!」と承諾している感じなんだろうが……
・八人目のゴルドゥニーネをパーティに加入しますか? はい・いいえ
・[エルマ=317]をパーティに加入しますか? はい・いいえ
予想的中! くくく、ユニークモンスターとパーティを組んでやっ……待てコラ、ちょっと待てコラ。
とんでもねぇ爆弾を投下してくれやがったぞこのヘタレ。
「八人、目……?」
「さんにんしかいないわよ」
「シュー……」
「あっ、ごめんねサミーちゃん!」
そうだね、サミーちゃんをいれて四人だな……じゃねーよ。おうコラてめー何人姉妹だこの野郎。
八人目、八人目だと……? あのゴルドゥニーネを入れたとしてもあと六人は最低でもゴルドゥニーネがいるってことじゃねーか。いや待て、このヘタレニーネがつい最近生まれたとは考えづらい。つまり地下で進化して即死んでいたツチノコニーネも入れたら九人、いやそれ以上のゴルドゥニーネがいるかもしれないってことか……?
ヤバいな、これ分かりやすく世界の危機とかそういうやつでは? どいつもこいつもがあのゴルドゥニーネみたいな龍蛇を従えていたら軽く死ねるぞ。
いや、こいつを見るにあのゴルドゥニーネだけが特別枠か? でもサミーちゃん、不意打ち性能クソ高いからなぁ……姿を向こうから見せるまで正眼の鳥面が反応しなかった。
ってこたぁサミーちゃんのステルス性能は装備の視覚補正を上回っているということだ。
「どうしたのよ」
「……いや? なんでもない」
あとゴルドゥニーネ八号のインパクトに紛れてしれっとパーティ申請送ってきてんじゃねーぞポンコツ。
まぁ申請承認するけどさ……
『NPC「八番目のゴルドゥニーネ」がパーティに加入しました』
『ユニークシナリオEXの条件を達成しました』
『ユニークシナリオEX「果て亡き我が闘争」を開始しますか?はい いいえ』
特大のボンバー!!
ひっくり返った拍子に頭を強打して軽くダメージを受けた。
君だけのゴルドゥニーネをカスタマイズして最後の一人になるまで生き残ろう!!
なお放置しているとクソ強龍蛇を引き連れたボスドゥニーネちゃんに狩られます
エルマさんのキャラクターがロボっぽくない? 松永弾正久秀みたいに自爆した変態人形師に言ってください