やせいの へんたいが また とびだした !
書籍化すらしてない、挿絵もない小説に二次創作動画出来るのですごい(呆然)
いやほんとありがたいというかなんというか……ちゃんと見ました、天誅の連鎖は終わらない……!
ラビッツで買える食料アイテムはほぼ人参か人参味なのが頂けない。
豊穣のキャロットなるお得意様にだけ販売される空腹度全回復の人参をゴリゴリと齧りながら俺はため息をつく。
称号「美食舌」の取得も考えものだな、ゲテモノ系アイテムの味も解放されるならむしろ取らない方が戦闘面では有利な気がする。
それでも噛み砕き嚥下するのが廃人なのかもしれないが……味覚捨ててまでゲームにのめり込みたいか? 俺は時と場合による。
「さて……木々もまばらに、明度も上がってきた。見えてきたな、新エリア……!」
新大陸中央に向かうにあたり、前線拠点から出発する場合は二つのエリアを通過する必要がある。
一つは当然樹海エリア、あそこは新大陸の玄関口であり、レイ氏や秋津茜の話を聞く限りでは様々な別エリアと繋がっている。
それだけじゃない、トットリとの遭遇やルストモルド達の報告、京ティメットの思わせぶりな発言から樹海エリアに複数の種族がいることも分かる。
要するに樹海エリアは上級者向けの、いや違うな……ジークヴルムのユニークシナリオEX、ひいてはその後のワールドクエストを視野に入れた壮大なチュートリアルなんだ。
聖女ちゃんも言っていた、異なる種族同士で団結せよと……つまりユナイテッド、合衆こ……おっといけない、思考が大統領に汚染されている。
既に他クソゲーにも染まりつつある脳内領域をこれ以上マーブル模様にしたくない。
「砂漠、砂漠か……」
砂地だが、平らだ。そりゃ多少の高低差はあるだろうが……見た限り、歩行を遮るほどの障害物はほとんど見えない。
つまり臨界速を使うのに適した広々とした場所ということだ。ただ、足場の悪さは樹海の腐葉土以上だ。着地に失敗すれば砂を赤く染めることになるだろう。
くっ、せめて効果適用が踏み込む片足だけでなければ……いや待て。
「さっきの垂直落下を、こう……斜めにずらして……行けるか?」
うーん、それでもスリップして吹き飛びそうだ。予想以上に厄介だぞ砂漠エリア……と。
「むむっ」
人の気配! は冗談として。
正眼の鳥面の効果だ、視界の一定範囲内にエネミーMob、またはNPCが入り込むと視界にフォーカスが入るような感覚を得る。
つまり逆説的に視界が勝手に固定されるような感覚があれば、正面に何かいると言うこと。
恐ろしいまでの再現率とリアリティを誇る砂漠で、全力で砂かきして掘った穴に身体を埋めてカモフラージュ。もしエムルがいたら文句必至な隠れ方だな。
「さて?」
誰か近づいてくるな。数は……三人?
「見た目的に騎士、盗賊、魔術師系列か……? 不都合だな」
既に砂漠地帯に進出しているプレイヤーがレイ氏達以外にもいたとはな。まぁ当たり前っちゃ当たり前だし不都合がある訳でもないが……俺の名前はちと悪目立ちしている。
サインくださいスクショ撮らせてください程度ならともかく、ユニークを教えろと詰め寄られたりあまつさえ同行させろと言われたら……最悪の場合、地獄行き急行にご乗車頂くことになる。
やだなぁ……賞金狩人なんてけったいなもんを実装するここの運営がMPKを考慮してないはずがないんだよなぁ……
さてどうしたものかと悩んでいると、どうやら三人組がモンスターと遭遇したらしい。
「わぁあ! ヤバイって!」
ヤバイ、つまり危険なモンスターなんだろう。
「蛇!? 鰻!? あれ倒せるモンスターなの!?」
ふむ、砂漠地帯だしな。鰻は違うと思うが蛇タイプのモンスターは出てもおかしくはない。コブラタイプはだいたい強キャラ設定されるから厄介だよなぁ。
おや、あれかな?
「逃げろ! 早くしないと喰われるぞ!」
蛇じゃなくて虫だしこっち来てんじゃねぇか!!
砂から顔を出した状態で、こちらへと走り逃げて来た三人のプレイヤーの背後を見れば、そこには轟音と砂煙をあげながら地面をのたうち迫る巨大なワーム型モンスターの姿が見え、このままでは俺も巻き込まれるルートであることがありありと理解できる。
クソがっ! 刻傷の効果でこっちに誘引されてやがるな!? 向こうが連れて来たくせにこっちに押し付けてトレインしようたぁいい度胸だ、地獄に落ちるなら一緒に落ちるぞゴルァ!
「待ぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「へ?」
「え?」
「は?」
砂の中から飛び出した半裸の鳥頭が双剣を振り上げて逃亡する三人へと走り寄る。
ようし、ヘイトに三人とも含まれたな? 地獄行き急行へようこそ!
「きゃあああ!?」
「おいコラ武器を向けるのはあっちだろ!!」
「あ、あんたあの時の……サンラクって人だろ!」
「わぁ、見た目ほぼそのままでバージョンアップしてる……」
あん? こいつら俺を知って……いや待て、騎士の男が一人に盗賊と魔術師の女二人? そんな感じのハーレム野郎をどこかで……あ、思い出した。
「君らあの時の三人か! 確か……ソウマとカホとリナ!」
「本名っぽく言うのやめろ! ソーマ!」
「カッホ!」
「リーナです!」
こいつら跳梁跋扈の森で俺をモンスターと間違えた三人組か! うわ、こんな場所で再会するとかマジかー……いや待て、今はそれどころじゃないや。
「埒があかない、奴を撃退するぞ!」
「はぁ!? あんなの倒せるわけ……」
臨界速起動! 広々とした場所、巨大な敵……理想的な環境だ。
「でなけりゃ奴に喰われるだけだ、ヘイトは取ってやるから左右に避けて攻撃してくれ! DPSは頼んだぞ!」
「ディーピーエス?」
「ダメージパーセンテージセカーン!!!」
正式名称を叫びながら跳躍。
人としての臨界点に至った加速の力は肉体の推進力と同義だ。ボン! と足元の砂が爆ぜるように舞い上がり、俺の身体が紫紺のエフェクトを纏いながら宙を舞う。
「さて……」
真界観測眼起動、奴の身体の節々から噴出される砂にもダメージ判定があることをエフェクトの波で把握した俺は左の傑剣への憧刃と回復ポーションを入れ替え、洗顔でもするかのように顔面へと中身を浴びせかける。
「スリップダメージを耐えれるだけありゃ充分……!」
二歩。
爆ぜる空気を足元に、地面に対して垂直の跳躍から横方向への平行な加速で猛進する巨大ワームへと突っ込む。
「ファーストブラッドは貰った……!」
例えるならば高速で双方向から走る車同士がすれ違うかのような。
右手に残した傑剣への憧刃でワームの表皮に斬りつける。軌道は上々、幸運補正もあってクリティカルは出したが……
「硬いっ」
三歩。
ワームの表面を踏みつけ、その速度に追随するかのような極めて高く速い跳躍によるバック宙返りを行いながら傑剣への憧刃からの感触からおおよその予測を立てる。
「斬撃は論外、刺突……関節ならワンチャン? となれば魔法か、もしくは……」
打撃、かな? 尤も、口と食道だけで動いてそうなこの虫が打撃でダメージを受けるような臓器を持ってるかは疑問だが……
「装備変更!!」
紅蓮海の拳帯、真紅の帯が両手に巻き付き、人の拳を敵を砕く武器へと変える。
さらに百秀の神腕起動、銀光に金の粒子が混ざった拳撃スキルがワームの体表に叩きつけられる。
次の瞬間、ボゴン! と凄まじい音を立てて物理的にワームの巨躯が僅かだが凹んだ。
「おおお!?」
確か百秀の神腕は従来の幸運参照に加えてランダムなステータスの数値も含めてダメージ計算を行うんだったか……まさかこれ、ランダム選出でもう一度幸運が選ばれた?
くそッ、いい火力だが乱数か……期待できねぇ、VIT引いたら最大火力の半分程度しかダメージ出ねぇじゃねーか。
だがやれるか? 仮にも新大陸に来る実力があるなら戦力として数えていいよな?
お久しぶりな三人組、ちょっと文章を当時のと似せたりする小細工