禁断の力(制御できない)
九百近い票を手動でどうしろって言うんですか! 過去の俺のバカ!! 見積もりでは100くらいのはずだったのに……
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俺は今何をやっているんだ……
「顕れよ護国神獣!」
「ギャオオオオオオオオ!!」
「薙ぎ払え!!」
プレジデントのプレジデントなスピリッツに応えて召喚されたユナイテッドの護国神獣「バンメシ」が口の中に光を溜め込み、光条として血を埋め尽くす漆黒の大群へと撃ち放つ。
人を贄として魔界より現れた邪悪なデーモン達が悲鳴を上げながら光に飲まれ掻き消される中、攻撃範囲から外れていた群れが合衆国軍……否、連合軍の先頭と激突する。
「第二射用意! その間戦線は俺が支える!」
うおおお! 大統領装備専用の工廠で作られた三十二型携行式聖別釘打撃鎚の一撃を食らいやがれぇぇぇぇ本当なんのゲームやってるんだ俺はぁぁぁぁぁぁ!!
なお、ここに至るまで一切のストーリー的破綻が無かったことを先に述べさせていただく。
風雲プレジ伝のクソ要素は戦闘や内政部分の単調さ、俺はそう考えていた。
だがそれは新生ガルカート帝国の首都にある帝城エンヴォルに侵攻した時に間違いであったと思い知らされた。昨日のことであるはずなのに随分と昔のように思える……
暗黒将軍の正体がかつて封印されたデーモンで?
追い詰められた皇帝がデーモンと契約を結んで?
新生ガルカート帝国に属する全ての人々が生贄にされて?
その圧倒的戦力に撤退を余儀なくされ?
イベント処理で獲得領地の半分をズタボロにされるのを眺めさせられて?
護国神獣の試練を乗り越えMAP兵器を獲得し?
今現在ゾンビパニック系アクションゲーの真っ只中である。
それだけじゃないぞ、新生ガルカート帝国崩壊後からゲームカテゴリがブレッブレだ。ユナイテッドを掲げるゲームにパラノイア要素入れるのは違くない? ストーリー的には別に破綻してないから余計タチが悪い。
「撃滅せよ!!」
バンメシ合衆国の守護神、人々の祈りが形を成した護国神獣「バンメシ」が再び光を放つ。
ちなみに視界リンクでプレイヤーが座標を合わせるので実質シューティングゲーでもある。やってることは無茶苦茶なのに世界観的には納得できる理由がちゃんと用意されてるのがまたなんとも……
「出たな元煉獄将軍……!」
「ギェェェエ……!」
クソが、雑魚敵はゴミAIの癖にデーモン化した敵将はやたら動きが良くなる。真っ赤な鎧の腹部から茨の触手を生やした煉獄将軍だったものも、フェイントモーションだけではなく明らかに対プレイヤーへの殺意が増している。
これまでのゲーム性は全てチュートリアルです、と言わんばかりの難易度上昇……というか内政面八割捨ててるよね? 最早お手軽に生産できる芋を急ピッチで育てろとしか指示出せないんですけど。
そして何より、戦闘から帰投するたびにライスちゃんから報告される他方面で削られまくる味方陣営の被害報告……っかしーな、昨日まで大国統一リーチだったはずなのに敗戦処理一歩手前にまで追い詰められてるんですが。
いや、ストーリー的に理解はできるぞ? この世界には奇跡レベルの希少さだが魔法的サムシングが存在していて、ビームが出せる大統領は一般兵士相手ならデカいアドバンテージがあるが、超常のデーモン相手にはどっこいどっこいになる……理解はできる、ただゲームとしてそれでいいのか? 納得できねぇ……
人という生き物は呼吸しないと生きることができない、そして息を体から抜くという行為は即ち呼吸における二つの工程の片割れ、息を吐くに相当する。
つまり息を吐くのにも疲れたら息を吸い直せばいいじゃない。
「わぁ、サンラクサンが起きてるですわ!?」
「ようエムル、ちょっと新大陸一騎駆けしてくらぁ」
「起きて初っ端倒れ臥しに向かおうとしてるですわこの人ーっ!?」
もはや風雲プレジ伝では無茶戦法を選べない、だったらシャンフロでやるしかねーじゃん?
と、その前におめーの姉共に会いに行くぞ。札束ビンタだ。
「はいじゃあいきますえー」
「おっづ、ぁ……づいっ?!」
びちびちーん! とエフュールによる二発のしっぺが腕に叩きつけられる。静電気が二連続でピリッと来た、と考えるとこれがまたなんともむず痒い。
だがこれで俺のスロット数は七……いや厳密には一枠潰れてるので六、こりゃ本格的にアクセサリー作成にも身を入れた方がいいか?
「なぁエフュール、これの加工って出来るか?」
「んー……あきまへんわ、これは難しいわぁ」
ダメか……俺はインベントリアに灼熱に輝く鱗をしまい、エフュールに別れを告げたのだった。よし次。
「鱗一枚でどうせぇっちゅーんじゃ」
「だよなぁ……あ、そういやキャッツェリアの場所って分かる?」
アラミースから言い寄られているビィラックなら知ってそう、と聞いてみたが返ってきた答えはあまり芳しくない。
「なんじゃワリャ、あんネコ共の国に行くつもりけぇ?」
「ちょいと走りたい気分でな」
「あいにくじゃがわちは出不精じゃけぇの、知らん」
「使……いやなんでもないぞその謎ツールを突きつけるのはやめろ! 穴か!? 穴を開けるつもりか!?」
ドリルと半田ごてを合体させたような謎ツールから逃げるように工房から脱出する。次! っつーかラスト!
「あらぁ、いらっしゃあい」
「来たぜ……エルク」
守銭奴め、俺が来た意味を理解しているから目が爛々と輝いてやがる。だが焦らしても時間の無駄だしな。タイムイズマネー、しかし金は時を経れば稼げるが時を金で買うことはできない。
「俺は最速の世界を見てきた、であれば……秘法、今ならいけるんだろう?」
「うふふふふ……前払いよぉ?」
「七連結だ」
どずん!! と剪定所を埋め尽くさんばかりの大きさを持つ皮袋が俺の操作で物質化する。百歩譲って金はいいとしてもこの皮袋はどこから生成されたのかを気にしていけないだろうか。
「ふわぁぁあ……七億マーニィ……うふふ、お金っ、お金っ……!」
目に¥マーク……いや、マーニマークが浮かんでもおかしくない様子のエルクが皮袋にしがみつき、よじ登る。
そしてその頂上部で皮袋を開き、数十秒ほど袋の中に顔を突っ込んで動かなくなり……次に顔を上げた時には先程までの有頂天っぷりはどこへやら、神妙な顔で袋から飛び降りる。
ぽふぽふ、とエルクが両手をクラップするとどこからともなく現れた兎たちが神輿でも担ぐかのように七億マーニが詰まった袋を担いで持ち去って行く。あ、会釈されたので返しておこう。
「まいどありぃ……サンラクさんはお金の実る木みたいねぇ……それじゃあ、こっちに来て……」
特技剪定は基本的によく分からない魔法陣の上で行われる。だが「秘法」とやらは一味違うらしい。
再びのぽふぽふクラップハンド、現れた七匹のヴォーパルバニー達は浅く広く液体を受け止めるそれ……世間一般に言う盃と、それを載せる台座を持っていた。
そして魔法陣の中央に立つ俺を囲むように七つの台と盃を設置して去って行く。
「はぁい、痛くないから動かないでねぇ?」
「ばっちこい」
例え首を断たれたとしてもここから動かないでいてやるよ。動かざることフリーズした画面の如し……! クソゲー版風林火山だ。
ちなみに内訳としては
・速き事サービス終了するクソMMOの如し
・静かなる事修正を放棄されたバグゲーサイトのNEWS欄の如し
・燃え上がる事爆弾発言して炎上する関係者が如し
・動かざる事処理落ちしてフリーズする無理にオンライン要素をくっつけたゲーム画面の如し
といった具合だ、人の心を不快にさせるクソゲー風林火山、なんて恐ろしい戦術……!
「───それでは開拓者よ、繋ぎ紡ぐ技を想起せよ」
おっと待ってくれいきなりシリアスな問いかけは脳の処理を加速しないと対応できない。
「……リミットオーバー・アクセル、重律踏覇、鞍馬天秘伝、無重律の恩寵、ヘルメスブート、ブラッドバーン・バースト、リミット・マキシマイズ」
「───軛を砕く決心」
盃に赤い水が湧き上がる。
「───世界の律より解き放たれしもの」
二つめも同様に
「───秘せられし伝来の技巧」
赤いそれはまるで
「───遠き空、足着く地の無き律」
俺の血のようで
「───軽やかなる神足の律動」
出血したわけでもダメージを受けたわけでもない
「───己をも燃やす血の衝動」
ただ、俺と言う一個人の定義が拡張されたかのような
「───極限に至る足掛かり」
七つの盃、溢れた赤い液体が魔法陣を染め上げ、中心に立つ俺へと這い寄るように流れて行く。
「───底の底の果て、遠き空をも孕むもの。無垢なる慈悲に語り乞う、捧ぐは対価、価値の輝き」
混ざり合った赤、その全ては同じ色であるにも関わらず、黒に染まった液体が俺の足に纏わり付いて染み込む。正直粘液系モンスターに喰われるようにしか見えないのだが、心頭滅却すれば火もまた涼し。メーカー側の炎上程度でゲームをやめるようならクソゲー趣味などやってられない。
「───繋げ、紡げ、混ざる事なく重なり合って、別離の定めを受け入れて尚結び束ねよ」
どうでもいいけどこれ完全にさらなる力を求めて邪悪な力に手を染めるパターンの闇落ちですよね?
「───七つ輝き、重なり光るは唯一つの光。【剪定秘法: 同調連結】」
そして、ドス黒い液体が俺の身体に完全に染み込んで……俺は力を手に入れたァ……ふふふ、フハハハハハハハハハハ!!!!
試してみた。
「おはようエムル」
「歴代最速の死亡速度ですわ」
死神の鎌が首を狩る前に自分で首をへし折った感じ? 死神でも困惑するんじゃないか?
プレジ伝の難易度変化はさっきまでよくてキラーマシンを殴っていたプレイヤーがいきなりゴースの遺児と戦わされた感じ
しかも状況は常時不利な上に新システムが五個くらい追加された
プロットガバの修正のため、サンラクさんにはちょっとシャンフロに戻ってもらいます
別に新しい蠍について語りたいとかそう言うわけではなく仕方なくです、本当に仕方なく。