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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
龍よ、竜よ! われらが拓くは未知と真実
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格好つかない格好つけ

ビルド面白かった!(幻覚)

「お金、か」


「お金、よねぇ」


初手銭ゲバ、今日もエルクさんは絶好調であった。


「剪定師の「秘法(ロウ)」はとぉっても希少価値が高いのよぉ、だからねぇ……お金をたくさん欲しいわぁ?」


「……ちなみに「秘法」ってのは具体的にどんな内容なんだ?」


すっ(無言で手を差し出すエルク)


すっ(無言で一万マーニを置く)


「んー、二割かしらぁ」


「……足元を見てくれる」


追加で四万マーニを渡すとエルクは「まいどありぃ」と笑いながら口を開いた。


特技剪定師(スキルガーデナー)にはねぇ、剪定師だけではなくそれを受ける者にも相応の実力を要求する、秘密の(ワザ)があるのよぉ? それはぁ……」


「それは……?」


………


……




「さて……金がいる、な」


それも大量に、数十億は必要かもしれない……だがそれでも安い(・・)


「サンラクサン、どうするんですわ?」


「武器を修理次第、一旦水晶巣崖に行く」


頭の上でエムルがああやっぱり、という顔をしているのが手に取るように分かるが、例の頭蓋骨の検証も兼ねてるんだからしょうがないだろう。


「だが……そろそろ俺も、水晶巣崖を卒業する日が近いのかもしれないな」


水晶巣崖での稼ぎは最上級といっても過言ではないが、それ以上は存在しないと実証したわけでもない。

そして俺は既に新大陸の道を歩む事ができる、まだ見ぬ稼ぎポイントの探索が出来る。


「だから、しばらくあいつらとはお別れだ……」


「いい話みたいにしてるけど要するに肉食獣が狩り場を変えるのと同じようなもんですわ」


「新たな(うま)味を求めて!!」


よーしそれはそれとしてカチコミ……もとい遊びに行くぞーっ!!


というわけで外道や変態が新大陸でわぁわぁやっている間、俺は優雅に旧大陸に行く……と言いたいところだが行く前にやっておくことがある。


「えーと……まぁ、適当にこんな感じで……よし。エムル転移頼む」


「はいなっ、エイドルトですわ?」


「いいや? 前線拠点(・・・・)に、だ。それと……」













時間にすれば一日にも満たぬ大冒険、本来玉座に君臨する筈の王が未開の大樹海を駆け回るなどと、御伽噺にしても誰が信じようか。


だがしかし事実としてトルヴァンテとアーフィリアは第三騎士団より逃れた後、夜闇の樹海を駆け抜けたのだ。そしてそれを成す事が出来たのは優れた魔術師たる賢者ディープスローター、森人族の英雄トットリ・ザ・シマーネ、そして朝日と飛沫に消えた仇討人の……


「失礼致します」


「……おぉ! サンラクよ、お主か」


「まぁ!」


突然の魚人族(マーマーン)来訪、という大事件が発生し、開拓者たちが恐慌状態に等しい騒ぎを広げる中、前線拠点に建築された魔王城……もといスカルアヅチへと入城したトルヴァンテとアーフィリアの前に跪き現れたのは、性別こそ男になっているものの確かに二人の命を救った仇討人サンラクであった。


「この身は少々目立ちますが故、見苦しい姿をお見せしてしまいましたが……改めて別れの挨拶を、と」


王に傅く姿勢は揺るぎなく、されど堂々たる姿のサンラクへとトルヴァンテは偽りない感情を言葉に乗せて贈る。


「うむ……サンラクよ、此度の働き大儀であった。褒美を取らせる事が叶わぬ余を許して欲しい」


「平和とは良き王あってこそ成り立つもの、であればアル……間違えた……ごほん、エインヴルスの民として王を救うは当たり前のことに御座います」


「そうか……良き民に恵まれた事、余は誇りに思うぞ」


「ありがたき幸せ」


「しかし、だ。報いに然るべき褒美を取らせねばエインヴルスの血に連なる者として余は先達に顔向けができぬ、「夢想の宝に値は付けられぬ」と言うが……余が再び玉座に戻りし暁には必ずや褒美を取らせよう。サンラクよ、お前は何を望む?」


「か……ごほん、我ら仇討の刃が握られることのない良き国を……と言いたいところですが、それは陛下の望む答えではないのでしょう。であれば……」


剣を。跪く半裸の男は簡潔にそう口にした。

我ら仇討の刃、何者も手に入れる事叶わず。されど振るう刃に王威輝けば、その光は何よりも勝る誉れとなりましょう。


一切の迷いなく、まるで台本でも読んでいるかのように断言したサンラクを国王と王女は感嘆と敬意の入り混じった目で見つめる。


「うむ、確かにその願い聞き届けた……余は約束を違わぬと三柱の神へ誓おう」


王と、王女と、仇討人の間に僅かな沈黙が続く。そうして続いた沈黙をアーフィリアが口を開いて破ろうとした瞬間、それを遮るかのようにサンラクが立ち上がる。


「殿下、その先のお言葉は決して叶わぬ願いなのです」


「サンラク様……」


今にも涙すら浮かべんばかりのアーフィリアに、一瞬身体を強張らせたサンラク。だが握り拳に宿した未練を断ち切るかのように力を抜くと、内側に瑠璃色の夜空を宿す純白のマントを翻してトルヴァンテとアーフィリアへと背を向ける。


「我らはか細き願いにこそ応える者、ご無礼を承知で申し上げるならば権力争い(・・・・)に手を貸すことは出来ないのです」


「ならば……! いえ……分かりました」


ならば仇討人を辞めて騎士に、と言いかけたアーフィリアは言葉を詰まらせる。

それはあまりにも横暴というもの。聖女イリステラの要請があったとはいえ、サンラクがトルヴァンテやアーフィリアを救い出したのはあの瞬間の二人が「か細き願い」であったからこそだ。


故にこそ、そのありようを歪めることは過去の自分達を救った彼自身を否定する事となる。

そんな葛藤の果てに、アーフィリアは瞑目して己の願いを口にすることなく心の内にしまいこむ。


「ですがどうかお忘れなきよう……この身は確かにエインヴルスに在ります。この国の……いいえ、新たなる地の人々も含めたあらゆる人の愛と平和のため、振るわれる刃は確かに在るのです」


「……はいっ!」


「では……どうかエインヴルスにより良き未来を」


その言葉を残して、鳥面の仇討人は部屋を退出する。部屋に残る二人はそれを追うような事はせず、ただ決意を新たにする。


「アーフィリアよ、余は息子を手にかけるやもしれぬ。それでも……」


「いいえ、いいえお父様。アーフィリアも共に参ります……お兄様の好き勝手にするわけにはいきません」


「そうか……」


父娘故の伝心か、それ以上の言葉はなく。ただ確固たる決意の宿った眼差しが静かな部屋の中で交わされるのであった……













「えー、サンラクってロールプレイ凄い上手いじゃん。ウチでもやってけるんじゃない?」


「げ、聞いてたのかよテチ公……」


「ハチ公みたいに言わないで欲しいんだけど」


「あーはいはい悪いなテチハム」


「縦書きに読めなんて言ってないし!」












「あー疲れたぁ……」


本当はロールプレイした後に水晶巣崖に行くつもりだったがもうダメだ、いい加減寝ないとヤバい。


「昼まで寝ても許される、休日って最高だな……っと?」


メール? 誰からだ……あの外道どもは最近はSNSで連絡してくるしわざわざまたメールに戻るとも考えづらい。ペンシルゴンのやつが天音 永遠としての公式垢で外道節誤爆しかけた時は楽しませてもらったが……誰だ?


「送り主は……えっマジか武田さん(・・・・)!?」


内容は……おいおいおいおいマジかマジでマジだ!


「やっべぇなこれ……多分来週、いや最速なら明後日には届く……」


シャンフロやってる場合じゃねーぞこれ!!











件名:おすそわけ

差出人:武田インゲン

宛先:サンラク

本文:サンラク氏! サンラク氏! 当方、出張先のジンバブエでなんと「風雲プレジ伝」の日本語パケ版を二つ入手したで御座るよ! 中身も本物だったし一本おすそわけで送るぞい!

幻のクソゲー、存分に楽しもうぞ!









祭りが始まる。

なおサンラクの台詞全てに(出典:オトギニア・ユニオン)とつく模様



・オトギニア・ユニオン

御伽噺のキャラクターたちが住む国オトギニアに、御伽噺の悪者達による侵略の手が迫る。今こそ御伽噺の真の力を見せる時───!


という素材としてはなかなか良い筈だったが

「空中カボチャ戦艦と共に現れ、必殺技を使うとガラスの脚部ブースター……もといガラスの靴を履いて空を飛ぶ一人だけ文明レベルが違うシンデレラ」

「七体の小人、もとい小ビット(・・・)と反射鏡シールドで牽制しつつ豪速球(リンゴ)(毒属性)で敵をノックアウトする剛肩の白雪姫」

「顔や言動はプレイボーイ的な感じでかっこいいが格好が致命的に変態な首から下がモザイク処理な八頭身裸の王様」

などなどアクが強過ぎるキャラクター。


どうやらキャラクター1人1人の設定を別々の人物が設計したのか、それら全てをひとまとめにしようとしたために一人一人の描写が薄い上にとっ散らかったシナリオ。


そして何よりシナリオが半オートで進む為後述のマルチ要素を除けばメインストーリー中、最大まで引き伸ばしても五分しか使えないキャラクター(親指姫)が出てくる、など全体的に残念さが際立った事でクソゲー認定されてしまった。


「素材は良いし調理法もそこまで間違ってはいないのだが全部まとめて煮込んだせいで一つ一つが薄味になった」タイプ。


なお最大のクソ要素はそれぞれのキャラクターの「メインシナリオ時の」性能をそのまま実装したせいで最初からバランス崩壊したマルチであり、サンラクをしてゴリライオンより酷いと言わしめた。

具体的には裏ボス撃破で解放される

「それぞれが超性能な五種類の戦闘スタイルを切り替えて戦い、三十秒間なら死んでも体力全回復でリザレクションする戦略兵器かぐや姫」

「強化値の上限がないのできびだんごを食べ続けるとお供の獣諸共無尽蔵に強化され続けるドーピング桃太郎」

「玉手箱の煙を相手に浴びせて老人化させたところを釣り竿で死ぬまで殴る老人虐待浦島太郎」

以外は全部ゴミ、とまで言われるバランス。海外の童話が日本昔ばなしに坊や良い子だ永眠(ねんね)しな、される光景は悪い意味で圧巻の一言。


サンラクは「車輪付きビニールプールに乗って直立不動で戦場を爆走しつつ、足元から取り出した金の斧銀の斧を投げ続ける湖の女神」がお気に入り。

なお「きびだんごを女神の湖(ビニールプール)に投げ込んで入手できる黄金きびだんご(強化倍率十倍)」の存在が発覚したことで桃太郎とタッグを組んで焼け野原のマルチ環境をさらに汚染するという事件が発生。

それを経て流石にナーフされた模様……銀のきびだんご(強化倍率五倍)になった、違うそうじゃない。





なおキャラクターデザインなどの基本的設定は割と上出来なので設定や登場キャラクター数を軽量化してアニメ化したら結構ヒット、現在は二次創作などが盛んに行われている。

合言葉は「ゲームは買わなくていい、設定資料集とアニメを見ろ」

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― 新着の感想 ―
アル、、、って何て言おうとしたんだろ
[良い点] 坊や良い子だ寝んね(永眠)しなwwww
[一言] バカゲー過ぎることでクソ要素含めて楽しくなってくるタイプのやつだわ、これ 永遠とツッコミいれながらゲラゲラ笑ってられるな
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