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名駅開発見直し 大胆な発想で再出発を

2025年12月17日 05時05分 (12月17日 05時05分更新)

 名鉄名古屋駅周辺の再開発計画を手がける名古屋鉄道は、工事に応札予定だった大手ゼネコンのグループが人材確保難を理由に辞退したため、計画を全面的に見直すと発表した。深刻な人手不足と建設費高騰で、JR九州博多駅(福岡県)再開発など各地で大規模プロジェクト見直しが相次いでいるが、ここに来ての「急停止」は地域への影響も小さくない。早急な代替構想の策定が求められる。
 計画は、名鉄系の百貨店やホテル、共同事業者の近鉄関連の施設が入る6棟のビル群と、地下にある名鉄名古屋駅、近鉄名古屋駅の一体的な再開発。2026年度からビル群を解体し、27年度に新ビル建設に着手。33年度以降にホテルやオフィス、商業施設などを順次整備し、40年代前半に全面開業の予定だった。駅や線路の整備も含め、名鉄負担分の投資総額は8880億円を見込んでいた。
 辞退した建設業者は設計段階から関わり、6月にも応札意向を示したが、11月に「人材難により施工体制の構築が困難」として辞退届を提出。その際に示したビル建設工事の見込み費用は、当初見積もり(非公表)の倍額に膨らんでいたという。
 今回の見直しで、26年3月に営業終了を予定していた名鉄グランドホテルや名鉄バスセンターは当面存続し、名鉄と近鉄の名古屋駅も現状が維持される。ただ、長年地域に親しまれてきた名鉄百貨店本店と商業ビルの近鉄パッセは予定通り2月に閉店する。労働市場などの急激な変化が要因とはいえ、より早く見直しに踏み切っていれば、両商業施設を当面継続し、従業員への影響を最小限に食い止める道もあったのではないか。
 名鉄は新たな計画の方向性を26年度中にまとめる方針だが、早期に人手不足や建設費高騰が解消される見込みは薄く、代わりの業者を探すのは難しい。建設業者も、このプロジェクトのように長期で複雑な都市開発より、半導体工場やデータセンターのような短期で確実な収益が期待できる工事を優先する傾向がみられるという。
 巨大事業の仕切り直しは容易ではないが、中部圏屈指の拠点駅かつ商業エリアの施設を老朽化するに任せておくわけにはいかない。規模見直しも含め大胆な発想の転換が必要だ。後年、「ピンチをチャンスに変えた」と評されるような斬新なアイデアに期待したい。

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