「甲子園」があることの意義。特別支援学校の挑戦が示す成長の場としてのスポーツの価値
【photo by Haruo Wanibe】
2023年で8回目を数える「全国ボッチャ選抜甲子園(以下ボッチャ甲子園)」。参加校も徐々に増え、ボッチャ日本代表「火ノ玉JAPAN」に入る選手も輩出するなど、その存在感は大きくなっています。今年ボッチャ甲子園に初挑戦した、群馬県立二葉高等特別支援学校の生徒と、挑戦を支える大人たちの想いを追いました。
「やってみたい!」周囲を動かし、ボッチャ甲子園を目指し初挑戦
群馬県立二葉高等特別支援学校
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ボッチャ自体は体育の時間などにやることもあり、ボッチャ甲子園のことも先生方が生徒に紹介することもあったものの、出場には至っていなかった二葉高等特別支援学校。そんななか興味をもったのが、今年入学した1年生の髙村蒼汰さんです。
ボッチャは中学校の体育でやったことがあったという髙村さん。1年生ながら生徒会長を務めています
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休み時間などを使って活動を始めた髙村さんたち。職員の方がランプオペレーター(勾配をつけてボールを投げることのできるランプという補助用具をセッティングする役割)を務めてくれたり、練習を友人たちが見守り声をかけてくれたりと、周囲も新しいチャレンジを応援します。
惜しくも予選敗退。そこへ激励訪問が
髙村さんたち二葉高等特別支援学校のチーム「FTB-Z」の面々も練習や準備を積み重ねます。最初は制限時間内にプレーを終えることができなかったところから、コミュニケーションを重ねてプレーを組み立てられるようになり、無事予選の動画を提出。ボッチャに取り組んで日の浅い中、やってみたい、という意思表示から、たくさんの人の協力を得て形になったひとつの節目でした。
しかし、決勝へのハードルは高く、残念ながら予選突破はならず。そんなとき、うれしい出来事がありました。
それは、今回のボッチャ甲子園に初出場の学校のチャレンジを応援する、大会協賛のNECによる激励訪問イベントです。二葉高等特別支援学校には、東京2020パラリンピックで高橋和樹選手のランプオペレーターとして銀メダルを獲得した峠田佑志郎さん、NEC社員で構成される実力派チーム・NECボッチャ部の山本武洋さん、荻野智史さんが訪問。予選敗退の知らせを受けた直後ではありましたが、ここまでの挑戦を称え今後に向けて応援したいと学校に足を運んでの激励に、髙村さんたちも喜びの表情。
初めて大会に参加してくれたことを労い、これからもボッチャを楽しんでほしいという気持ちから訪問したとNECの皆さんよりあいさつ。訪問の場には、チーム「FTB-Z」以外の生徒も一緒に参加し、楽しみました
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健常者と障がいのある人が一緒に参加できるインクルーシブ大会・ボッチャ東京カップでの優勝経験があるNECボッチャ部の山本さん(中央)。障がいのあるなしに関わらずプレーできるのがボッチャのいいところ。見事な投球に髙村さんも目を輝かせます
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とにかく楽しんでボッチャをやってほしい、と生徒たちに語った峠田さん。「喜びや悔しさ、緊張感など、スポーツから学べることを、障がいの有無に関係なくたくさんの人に経験してほしいです」
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コートをよく見て、ランプオペレーターに指示を出し、投球!表情は真剣そのもの
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観戦していた生徒や先生からもたくさんの声援と拍手が。笑顔に溢れたひとときでした
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しかし、髙村さんの「挑戦」は、まだ終わりませんでした。
決勝大会のエキシビジョンマッチに出場!
熱気と緊張感で満たされた会場。まさに「甲子園」という雰囲気です
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高校生側の「チーム・チャレンジャー」として参戦するのは、東京都立大泉特別支援学校、群馬県立二葉高等特別支援学校、京都府立中丹支援学校の生徒たち。二葉高等特別支援学校からは髙村さんが代表して参加しました。
一緒にプレーする中丹特別支援学校の生徒たちと顔合わせ
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「火ノ玉JAPAN withレッドチーム」としてプレーした唐司選手(中央)。高校時代に3度出場したボッチャ甲子園を「すごくいい経験」と振り返ります
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髙村さんがデザインしたTシャツに描かれたイラストのモデルは、水野先生。仲の良い先生と共に貴重な経験をすることができました
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「やりたい!」の気持ちから始まったチャレンジは、髙村さんにとってかけがえのない機会となりました。
エキシビジョンマッチ後も真剣に決勝戦を見つめる髙村さん
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チャレンジできる機会を全ての子どもたちに
僕が高校生のころにはボッチャ甲子園はありませんでした。今の高校生たちが羨ましいです」と杉村選手
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障がいがあると、どうしても外に出ていくのが難しいこともあります。この大会に出ようと思うことが社会とつながるきっかけにもなりますし、高校生のころから目指せる大会があることで目標をもって過ごすことができる、ということは大事なことだと思います。(大会に挑戦する生徒・学校が増えて)ボッチャ甲子園がもっともっと大きくなっていくことを願っています」(杉村選手)
スポーツを通してチャレンジを重ね、成長してきた経験をもつ人は多いことでしょう。障がいのある子どもたちにもそうしたチャレンジと成長の機会を創出することの大切さを、激励イベントやエキシビジョンマッチで初出場の学校を応援してきたNECの青木一史さんは強調します。
NECコーポレートコミュニケーション部の青木さん
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初めての挑戦に勇気をもって飛び込んだ髙村さんと仲間たち。そうした場を支え、応援してきた先生、峠田さん、NECボッチャ部、火ノ玉JAPANの選手たち、大会関係者の方々。「ボッチャをもっと楽しんでほしい」「スポーツの機会を身近なものとしてほしい」という想いや、「純粋に楽しいからもっとやりたい」という熱意がつながった二葉高等特別支援学校の挑戦は、大きな可能性を見せてくれました。
何かに一生懸命に取り組むこと、経験からいろいろなものを感じ、得ること。ボッチャを通して綴られる青春の1ページは、スポーツの素晴らしさの一端と、それを守り続けていくことが子どもたちや社会にとってどれだけ意味のあることかを示しているように思えます。
text by Ayako Takeuchi
edited by parasapo
photo by Haruo Wanibe
※本記事はパラサポWEBに2023年11月に掲載されたものです。
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