「育休もらい逃げ」は制度の悪用? 職場復帰しないで退職する女性に罵詈雑言「これから育休取りたい人たちに大迷惑」
「会社には損失でも社会全体では」
女性の労働問題に詳しい21世紀職業財団の上席主任・主任研究員、山谷真名さんにこの投稿を読んでもらいました。山谷さんは、働く女性が出産・育児を機にキャリアの主流から外され、昇進などの機会を逃してしまう「マミートラック」の問題をさまざまな角度から調査。著書に「〈共働き・共育て〉世代の本音 新しいキャリア観が社会を変える 」(光文社新書、本道敦子さん、和田みゆきさん共著)があります。 「投稿された方が罪悪感をお持ちのように、会社や職場には迷惑をかけますし、後輩にも悪影響を与えるのは免れないでしょう。一方で、別の面からみれば、投稿の中で『会社の福利厚生に不満はないけど』と書かれているように、福利厚生以外は魅力を感じておらず、仕事そのものには不満をためている状態だったのでしょう。そもそも、復帰したいと思えるような職場でなかったのが問題ですね」と山谷さんは指摘します。 コメントの中には、育休から復帰せずに退職することについて、「制度の悪用だ」と非難する声もありました。これについて山谷さんは「人材育成にコストをかけてきた会社にとっては損失でしょうが、この方は別の会社で働き続けようとしているわけで、社会全体で見れば、今後の働き方次第では十分還元できると思います。子育てしながらキャリア形成できない職場環境であるのなら、それを改善することが職場にいる人や後輩にとっても必要なことだと思います」と話します。 キャリアコンサルタントの国家資格を持つ山谷さんはさらに、「この投稿者に言いたいのは、ご自身のキャリアについて一度立ち止まって考えるのは素晴らしいこと。ただ、もっと中長期な視点で深掘りすることも必要だということです」とも。 これまで職場で体験してきたことをノートに書き出すなどしてみれば、別の視点から発見できることがあるかもしれません。仕事に不満があって転職を考えているのなら、上司と職場復帰後の生活について話し合い、担当変更や異動願を出すことも可能でしょう。 「働く目的や意味を捉え直したりすることで、これまでしてきた仕事について違う見方ができるかもしれません。スキルは方法にすぎないので、スキルの勉強をする一方で、復帰と転職の両方を考えてみてはどうでしょうか」と山谷さんは提案しています。 (読売新聞メディア局 永原香代子)