仏紙が見たニッポンの謎文化「推し活」─それは「自らを生け贄に捧げた一種の『焦土作戦』だ」
「推し活」の金は大企業のためではなく「溶かしている」だけ
──バーチャル上のキャラクターは、ジェンダーの役割がとても明確で規範的に思われます。二次元恋愛は性差別と隣り合わせなのではないでしょうか? 一見すると、とてもグロテスクに見えますよね。女性キャラクターは「お飾り」の女性や、「よき主婦」のステレオタイプをそのまま再現しています。こういったものはぜんぶ異性愛の規範的なカップルのパロディを陰に隠しているのです。 社会に期待されるカップルの幸せは、社会管理の道具とみなされるものですが、子作りが不可能な相手とこの幸せの儀式的行為を真似することで、これをさらに無意味なものにしようというのです。 つまり、「結局のところ、あなた方は自分を『普通』だと思っているけれど、幻想のなかで生きているのではありませんか」と言っているようなものなのです。 ──これもまた逆説的ですね。ですが、たとえ社会に対して反旗を翻す方法だとしても、それは大量消費とマーケティング戦術に乗っかったものです……。 バーチャル恋愛の当事者は人からけなされる存在ですが、こういった人々のために一つの産業が存在するわけです。 「推し活(推しを応援するための活動)」市場は概算で年間45億ユーロ(約8000億円)以上になっています。この市場は大量の商品──ポスター、ぬいぐるみ、飲み物、香水、お菓子など──を生んでいますが、それは「好きな人が暮らす世界」とファンたちが、「つながる」のを手助けするために作られたものです。 政治家や大企業のなかには、そこにGDPを増やす可能性を見出した人もいますが、それは「信者」を自認する人々を激怒させました。彼らの主張はこうです。「物質主義文化は我々の敵だ」。このお金は我々を搾取する大企業のために使っているのではなく、「溶かしている」のだと。 これは一種の焦土作戦です。「一人ぼっちで子孫を残さずに死ぬようにこの社会によって追い込まれているのだから、意味がない日常を自らなぞるよりも、生活を生き生きさせてくれて、喜怒哀楽を感じさせてくれる人物やキャラクターと出会ったほうが良い、お金は全部そこに注ぎ込もう」という考え方なのです。 これは消費行動ではなく、自分を生け贄に捧げるようなものです。愛の炎に焼き尽くされているのです。