【徹底解剖】PARDUSは、ただの自転車メーカーではない
正直最初にこのブランドを扱うと聞かされた時、
「店長がまた何か言ってるなぁ」
程度にしか思っていなかった。
昨今の自転車業界は、まさに群雄割拠だ。特にアジア圏からの新興ブランドの勢いは凄まじく、雨後の筍のように新しいブランドが現れては、消えていく。
「PARDUS? 何それ、なんて読むの?食べたら美味しいの?」
その私の食欲にまみれた認識が、完全に間違っていたことを認めるのに、そう時間はかからなかった。
資料を読み込み、本国の実績を調べ、彼らのバックボーンを知るにつれ、店長はよくもまぁこんな大企業と契約を取れたなと畏敬の念を抱くまでになった。
(ちなみに読み方としてはパルドゥス、パルダス、パラドゥスなどがある。)
これは、ただの「新しい中国ブランド」ではない。日本での知名度がまだまだ低いものの圧倒的なポテンシャルを持つメーカーである。
今回、当店はこのPARDUSから正式にフレームを卸せることとなった。
なぜ数あるブランドの中からあえてPARDUSを選んだのか。
そして、このブランドが日本のサイクリストにとって、なぜ「最適解」になり得るのか。
その技術力、狂気的なラインナップ、そしてブランドとしての哲学について徹底的に解説する。
1. 🐆「PARDUS」の背後にいる巨人の正体
まず、ブランドの信頼性について話しておかなければならない。 どれだけ速そうな自転車でも、どこの誰が作ったかわからないモノに命を預けることはできないだろう。
ブランド名はラテン語の「Leopard(ヒョウ)」に由来する。中国名は「瑞豹」。 彼らの親会社は、「Taishan Sports Industry Group(泰山体育産業集団)」という。
この名前にピンと来る人は、スポーツビジネスの事情通だろう。 彼らは自転車に限らず、柔道畳、体操器具、陸上競技の機材など、あらゆるスポーツ用品を手掛ける中国の超巨大企業である。
その規模は、我々が想像する一般的な「自転車メーカー」の枠を遥かに超えている。
オリンピックという「実験場」
その証拠に、彼らは近年のオリンピック(リオ、東京、パリ)の機材サプライヤーとして確固たる地位を築いている。
中国ナショナルチームはもちろん、オーストラリアのセントジョージ・コンチネンタルチームなど、世界各地のプロチームが彼らのバイクで戦っている。
Solution Tech VINI FANTINIに所属する我らが日本の誇る新城幸也選手も2025年はPARDUSのバイクで走っていた。
つまりPARDUSは、ポッと出のガレージブランドではない。
「国家の威信をかけた研究開発費」と「世界最高峰のアスリートからのフィードバック」、この両輪を持っているエリート集団なのだ。
2. 🔬技術の無駄遣い(いい意味で)
その巨大資本は見えない部分に存分に注ぎ込まれている。
神は細部に宿るということを改めて思い知らされる。
① 東レ信者も唸る「素材」への執着
ロードバイクの性能の8割は、フレーム素材で決まると言っても過言ではない。 PARDUSは、その核心部分に日本が誇る「東レ」のカーボンを惜しげもなく投入している。
特にハイエンドモデルには、高弾性・高強度の「T1100」や「T800」といった、航空宇宙グレードの素材を使用。
通常、このクラスの素材を使ったフレームは、フレームセットだけで50万、60万はくだらない。
彼らはそれを、トップグレードでも30万円台という驚くほどリーズナブルな価格で製品化している。これは規模の経済を持つ巨大企業にしかできない芸当だろう。
② 美しい内壁「EPS+テクノロジー」
良いフレームを見分けるコツをご存知だろうか?
「中を覗く」ことだ。
従来のバルーン成形では、フレーム内部にシワが寄ったり、余分な樹脂が残ったりすることがあった。
これらは重量増の原因になるだけでなく、応力集中(部材に力がかかったとき、その力が特定の場所に偏って大きくなる現象)を招き、強度のバラつき、最悪の場合破断リスクに繋がる。
PARDUSが採用する「EPS+ モールディング成形技術」は、アクリルやポリスチレンのマンドレルを用いて、フレーム内壁を滑らかに成形する。
内側が綺麗ということは、余分な贅肉がなく、設計通りの剛性と強度が確保されているということだ。
見えない部分にコストをかける。これこそが「信頼」できるメーカーの証と言えるだろう。
3. 🏹主役となる「三つのモデル」
PARDUSには明確なグレード(プロ向けのEVO、実戦向けのRS、エントリーのSPORT、アルミのAL)がある。
また、オンロードからオフロードまで種類も豊富に展開されている。ここでは我々が日本の道に最適だと判断した3つのモデルを紹介する。
① 坂であることを忘れてしまう圧倒的軽さ:ROBIN(ロビン)
「登坂でライバルをちぎりたい」「軽さは正義」
そんなクライマー思考のあなたには、オールラウンダーの『ROBIN』一択だ。
特筆すべきは、トップグレード「ROBIN EVO」の数字だ。
フレーム重量がMサイズで公称約700g台。 持った瞬間、鳥の羽でも持っているのかと思ってしまう軽さだ。(これは過言)
フレーム単体でこの数字を叩き出すには、極限まで無駄を削ぎ落とす技術が必要になる。 それでいて、ペダリングパワーを逃さない剛性を確保しているのだから恐れ入る。 日本の急な峠道において、この軽さは「機材ドーピング」とも言える圧倒的アドバンテージをもたらすだろう。
② 空気の壁を切り裂く:SPARK(スパーク)
「平坦番長になりたい」「ゆくゆくはトライアスロンにも興味がある」
そんなスピードを追い求める方には、エアロロード『SPARK』がおすすめだ。
一目でわかる攻撃的なフォルム。風洞実験室で磨き上げられたその形状は、1秒でも速く走るためだけに設計されている。
一体型ハンドルによる完全内装ケーブル、カムテール形状のチューブ。 平坦巡航での「伸び」を狙った設計となっている。
③ 心優しき長距離ランナー:SUPER(スーパー)
「ロングライドを楽しみたい」「レースよりは旅を」
そんなサイクリストには『SUPER』を推す。
ジオメトリーはアップライトで、長時間のライドでも首や腰への負担が少ないよう設計されている。
だが、快適さだけでなく踏めばしっかりと進む剛性の良さを確保するための設計になっている。
「楽ちんなだけの自転車」ではない。「速く、かつ遠くへ行くためのツーリングカー」のような一台だ。
4. 👹「狂気」すら感じる、ラインナップの深淵
さて、ここからが本題だ。 PARDUSが他の新興メーカーと一線を画すのは、ここから先に紹介する異常とも言えるこだわりにある。 普通、ここまではやらない。
① 効率を無視した「色彩の豊富さ」
カタログを見て、私は目を疑った。 カラーバリエーションが多すぎるのだ。 大手メーカーであれば、在庫リスクを恐れて1モデルにつき2〜3色に絞るのが定石だ。
だがPARDUSは違う。 モデルによっては5色、6色と平気で展開してくる。 しかも、その塗装クオリティが高い。
彼らは自社工場内に巨大な塗装ラインを持っているため、トレンドの「マジョーラカラー(偏光色)」や、深みのある「キャンディ塗装」、洗練された「パステルカラー」など、カスタムペイント顔負けのラインナップを揃えている。
「人と同じ色は嫌だ」 「ジャージに合わせた色に乗りたい」 そんな我儘なサイクリストの欲望を、彼らはただのニーズではなく「技術の見せ所」として受け止めているのだろう。
これだけの選択肢があれば、必ずあなたの感性に刺さる一台が見つかるはずだ。
② 子供騙しではない「本気のKIDSバイク」
そして、店長が最も感銘を受けていたのがここだ。
KIDSモデルへの本気度が、異常に高い。
多くのブランドにとって、子供車は「ついで」の商品だ。重い鉄のフレームに適当なパーツを付けただけの「オモチャ」のようなバイクが多い。 だがPARDUSのカタログにある『ROBIN KIDS』を見てほしい。
カーボンフレームである。
見間違いではない。キッズモデルに、東レカーボンを使っているのだ。 「子供にカーボンなんて贅沢だ」と言うなかれ。 体重が軽く、筋力の未発達な子供こそ、機材の「軽さ」が必要なのだ。 大人用をそのまま縮小したようなジオメトリーは、未来のアスリートを育てるための英才教育ツールそのものだ。
さらにエントリー向けの『FUN』シリーズには、「ベルトドライブ」採用モデルがある。 チェーンの代わりにゴムベルトで駆動するシステムだ。 油を差す必要がなく、ズボンの裾が汚れない。錆びもしない。
「メンテナンスフリー」という親御さんの切実な願いを、技術で解決している。 キッズモデルにここまでリソースを割けるメーカーが、大人用のバイクで手を抜くはずがない。
この「底知れなさ」こそが、PARDUSの凄みだ。
5. ☺️試乗車も準備中
長々と語ってきたが、PARDUSというブランドが、単なる「コスパの良い中華ブランド」という枠に収まらない存在であることが伝わっていれば幸いである。
世界的な実績、妥協なき素材選定、主要モデルの完成度の高さ。 そして、カラーやキッズモデルに見られる「全方位へのこだわり」。 これらを天秤にかけたとき、PARDUSを選ぶことは賢明な判断だと言えるだろう。
PARDUSの試乗車は現在SPARK RS(エアロロードのセカンドグレード)のみ用意がある。ただしXSと小さめのサイズである。身長171cmの私が乗ってギリギリ乗れると言う程度の大きさである。
順次、サイズやモデルは入荷予定である。(現在ROBIN RSも準備中)
日本語訳したカタログも用意しているので是非見にきていただければと思う。



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