幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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感想欄でアルセウスばちくそ言われてて草






シンオウ地方リターンズ
74話


 シンオウ地方のどこかにある会議室。そこでヒカリとシロナは机を挟んで向かい合うように座っていた。

 

 シロナが普通に座っている一方で、ヒカリは机に両肘を立てて、口元で両手を組んでいた。*1

 

「ついに明日、シバリさんがシンオウ地方に来てくれます」

「そうね。勿論だけど、スケジュールは調整済みよ」

「ありがとうございます。じゃあ、残す懸念点はひとつですね」

「懸念点……?」

「はい」

 

 キリッと真剣な表情を見せながら、ヒカリは重々しく口を開く。

 

「どうしたらシバリさんを長くシンオウ地方に留めることが出来るか、ということです」

「……何言ってるのヒカリちゃん」

「何とはなんですか何とは!! これは大事なことですよ!?」

 

 ヒカリは今でもシバリと連絡を取っているため、どの地方にどのくらい滞在していたかは大体把握している。

 

 だからこそ、シンオウ地方の滞在がとんでもなく短期間だったことにショックを受けていた。

 

「ほかの地方には優に1~2ヶ月とか滞在してるんですよ!? シンオウ地方と他で何が違うんですか!?」

「ま、まぁまぁ……。研究に協力してたりとか、色々あったみたいだし……」

「そうだとしてもです!! だってシンオウ地方の滞在期間なんて1週間ですよ1週間!!! 短すぎますよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 突っ伏して机をバシバシ叩き始めるヒカリを見て、シロナは苦笑いしつつも提案する。

 

「え、えっと……なら、シンオウ地方を気に入ってもらえば良いんじゃないかしら……?」

「シンオウ地方なんて何もないじゃないですか」

「なんてこと言うのよ」

 

 仮にもチャンピオンの言葉とは思えないが、実際人を惹きつけるような観光スポットや、地方限定の名物、催し物などが少ないというのは確かにある。

 

 "シンオウ地方だからこそ"という特色を見つけだし、シバリにアピールするのは難しいだろう。

 

「うぅ゙……。このままだと、また短期滞在になっちゃうかも……」

「今までのパターンだと、ナナカマド博士が彼のポケモンに興味を持てば、研究の協力をするために長居してくれることはあるかもしれないわね」

「シンオウ地方にはダイマックスもメガシンカもZワザもテラスタルも無いんです……」

「そうなのよね……。セルフに出来ると言っても、モノが無ければどうしようもないわ」

 

 そもそも地方独自の要素があれば"セルフ化"出来る前提で話を進めているのがおかしいのだが、そこは一旦置いておこう。

 

「一応、昔のシンオウ地方(ヒスイ)には現代では失われた技の使い方もあったらしくて、それらしい文献もあるのだけれど……」

「っ! それですよそれ! それをシバリさんが実現出来れば、きっと──!」

「でも、あまり解明が進んでいないのよね。どうやら"早さ"と"力"が関係しているらしいというところまでは判明しているのだけれど、それ以上は……」

「そんなぁ……。……でも、シバリさんならフィーリングで何とかしてくれると思いませんか……?」

「無い。……と言い切れないのがシバリ君よね……」

 

 とはいえ、それだけを作戦とするのは何とも心もとない。

 

 万全を期すのなら、他にも案が必要だ。シバリがシンオウ地方に留まりたいと思えるような、何かが──。

 

「……あっ」

「ヒカリちゃん……?」

「ありました! ひとつだけ! シバリさんの興味を惹けそうなことが──!」

 

 

─────────────────────────

 

 

「……あの」

「どうしたのシバリさん?」

「いや、その……」

 

 シンオウ地方に到着して二人と合流すると、ヒカリに『連れていきたい場所がある』と言われた。

 

 シロナさんは少し苦笑いをしていたものの、ヒカリがやけに自信たっぷりだったので、『そんなに言うんなら』と、その場所に案内してもらったのだが──。

 

「ディア?」

「パルゥ?」

 

 ディアルガとパルキア(神話のポケモン)はいかんでしょ……。

 

 いきなり山の中に案内されたと思ったら、奥まで進んだところで『じゃんっ! ディアルガとパルキアだよ!』って唐突に紹介された。

 

 そちらの二匹は『じゃんっ!』でお出しして良いような存在じゃないのよ。びっくりして変な声出ちゃったからね俺。

 

 ディアルガとパルキアも、挙動不審になった俺を見て首傾げてるし。ごめんなさいホント許してください……。

 

「う〜ん……男の人なら伝説のポケモンとか好きかなって思ったんだけど……」

「そ、そりゃあ、考えてみればロマンの塊だし、カッコ良いとは思うけど……」

 

 でも、妄想するのと実際に遭遇するのは違うじゃん。喜びよりも驚きが勝るだろこれは。

 

「……なんか、こうなる気がしてたわ……」

 

 なるほど、だからシロナさんは苦笑いしてたのか……。

 

「……で、でもでもっ! ディアルガもパルキアも凄いもんね! ほら、良いとこ見せてあげよう!?」

「ディアッ!」

「パルゥッ!」

 

 ヒカリの言葉に、二匹は力強く頷いた。

 

 ……いや、待ってほしい。そもそもなんでヒカリはこの二匹と仲が良いんだ?

 

 シロナさんもそこに疑問を抱いていないみたいだし、過去に一体何があったんだ……。

 

 ……いや、そもそもどうやって出会っ──。

 

「じゃあまずはパルキア! お願い!」

「ガギャッ!」

 

 ヒカリと二匹の関係について考えていると、ヒカリはパルキアに指示を出した。

 

 頷いたパルキアが、少し離れたところにあるヒビ割れた岩を見て咆哮したかと思うと、一瞬空間が歪み、その岩がパルキアの目の前に移動した。

 

「おぉ……」

「じゃあ次、ディアルガ!」

「グギュッ!」

 

 そしてディアルガが同じ岩に向かって咆哮すると、岩からヒビ割れがなくなり、頑丈そうな岩へと様変わりした。

 

 恐らくだが、岩の時間を戻してヒビ割れる前の状態にしたんだろう。

 

「おぉ……!!」

 

 これが時と空間を操る力……! この目で見ると感動しちゃうな。

 

「……な、なぁ、もっと出来るのか……? 例えばほら、あそこにもっと大きな岩があるんだけどさ……」

「パル」

 

 畏れ多いという感情はいつの間にか消え失せ、試しに先程よりも大きな岩を指差しそう言うと、パルキアは顔色一つ変えずにその岩を移動させた。

 

「おおー!!」

 

 なにこれ凄い。ワープとかなのかな? 本に書いてあった通りの力だな……。

 

「……ディア」

 

 俺がパルキアを見てはしゃいでいると、ディアルガは不服そうな表情で岩を見て、小さく鳴いた。

 

 すると、岩がボロボロと崩れ去った。今度はさっきとは逆に時間を進行させたことで、岩が朽ちたんだろう。

 

「こっちも凄い!!」

 

 空間を自在に操るのも良いけど、やっぱり時間もいいよな。なんというかこう、時間を操るって聞くと、少年心がくすぐられる感じがする。

 

「……パル」

 

 今度はパルキアが不服そうな表情になった。更に一回り大きな岩に向かって咆哮し、目の前にワープさせる。

 

「…………ディアァッ……!」

 

 それを見たディアルガは、またしても岩の時間を進め、これまたボロボロにした。

 

「ど、どうしたの……? ディアルガ……? パルキア……?」

 

 ヒカリが宥めに入るが、二匹に止まる様子はない。きっと譲れない戦いがここにあるんだろう。

 

 二匹の争いはヒートアップし、段々と岩とかモノとか関係なく、ただただお互いの力をぶつけ合うようになっていく。

 

 ……もしかしてこれ、ヤバいやつ……?

 

「ちょ、ちょっと離れ──」

「「グァァァァァァァァッ!!!」」

 

 俺が少し下がろうとしたタイミングで、二匹は大きく咆哮し、その絶大な力がぶつかり合う。

 

 時間と空間の力が混じり合い、衝撃波となって俺の方に迫ってくる。

 

「あっ、これ、やば──」

 

 気付いたときにはもう遅く、凄まじい速度で迫りくる衝撃波を見て、俺は避けられないことを確信した。

 

 一瞬見えたヒカリとシロナさんの焦りの表情と、ディアルガとパルキアの『ヤベッ』というような表情を見たのを最後に、俺は衝撃波に飲み込まれた。

*1
簡単に言うと碇ゲン○ウのアレ




・シバリ
時間と空間が混じった力に飲み込まれた。
このあと世界線の移動か時間の跳躍、どちらかを体験する。

・ヒカリ
このあとハイライトが消える

・シロナ
このあと大人として止めるべきだったとガチ後悔する

・ディアルガ&パルキア
やらかしたことを確信
このあとハイライトの消えたヒカリに詰められる

ちなみにヒカリの手持ちではなく、
ヒカリが"やりのはしら"に行くと
ひょっこり顔を出してくれる感じ

・アルセウス(本編未登場)
感想欄でバチクソに言われてた人(人じゃないけど)。
世界線の移動か時間の跳躍、どちらかが起こるかは不明だが、少なくとも邪神の仕業ではなかった。

このあと今回の件の八つ当たりで、ショウをヒスイ送りにしたとかしてないとか。

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも)

  • カントー地方
  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
  • ヒスイ地方
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