「局長説明後」メールに改ざん案 森友文書開示、佐川氏の関与浮かぶ

 財務省は17日、学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却に関する公文書を開示した。関連文書が改ざんされた2017年3月に省内でやりとりされたメールで、「局長説明後」と本文に記し、決裁文書の記載を大幅に削除する案が添付されたものがあった。当時の担当局長は佐川宣寿氏で、改ざんへの佐川氏の関わりが文書で確認された。

 関連文書の開示は、改ざんを強いられ自死した近畿財務局(近財)職員・赤木俊夫さんの遺族の求めで4月に始まり、今回は5回目。この日は、赤木さんが17年3~6月に送受信したメール約3万5千ページ分が開示された。

 財務省理財局の職員が17年3月9日午前4時前、赤木さんを含む近財職員らに送ったメールの本文には「局長説明後、調書別添のとおり変更」との記載があった。

貸し付けの経緯、丸ごと削除

 このメールには、土地取引の経緯に関する決裁文書の書き換え案を記したファイルが添付されていた。国有地を学園側に売却する前に一度貸し付けた経緯を記した部分は丸ごと削除され、その他の部分も大きく改ざんする内容だった。

 メールが送信されたのは、赤木さんが理財局側に「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」と送信した約10時間後だった。

「森友事案、開示はまだ早い」の意向も

 改ざん発覚後の18年6月に財務省が公表した調査報告書によると、このメールの直前の17年3月2日、一部の国会議員が学園との土地取引の決裁文書を国会に提出するよう求めていた。理財局は3月8日にかけ、土地取引文書の「書き換え」について協議し、近財に改ざんを指示。協議には理財局長だった佐川氏も入っていた。近財の職員は「強い抵抗感」から指示に反発したという。

 今回の開示文書の中には、佐川氏の姿勢をうかがわせる記述が他にもあった。

 17年4月25日に赤木さんが近財職員らに送ったメールでは、「佐川理財局長が『森友事案について売払決議書を開示する時期はまだ早い』との認識が示されている」と言及し、情報開示請求への対応方針を共有した。赤木さんは佐川氏の意向を踏まえても「開示期限を徒過することはできない」とし、近財内での手続きを進めると説明していた。

 財務省によると、開示文書は全体で17万ページ超で、17日までに計約8万9千ページが開示された。片山さつき財務相は17日、次回の開示は1月下旬から2月上旬に予定していると説明した。近財で課長級だった職員が送受信したメールなどが対象という。

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