トランプ氏、ベネズエラ政権の「外国テロ組織」指定を表明 タンカー「完全封鎖」指示

ベネズエラ沖を航行する石油タンカーの衛星写真=11月14日(2025 PLANET LABS PBC提供・ロイター=共同)
ベネズエラ沖を航行する石油タンカーの衛星写真=11月14日(2025 PLANET LABS PBC提供・ロイター=共同)

【ワシントン=大内清】トランプ米大統領は16日、米国が制裁対象とする石油タンカーが南米ベネズエラに出入りするのを「完全封鎖」するよう指示したと明らかにした。また、同国の反米左派マドゥロ政権がテロや麻薬密輸、人身取引などに関与していると主張し、政権そのものを「外国テロ組織」に指定すると表明した。自身のSNSに投稿した。

国家の運営主体である政権を「外国テロ組織」に指定するのは極めて異例。仮にベネズエラに侵攻する場合、国家に対する「戦争」ではなく「テロ組織の掃討」だとの論法で、戦争権限に関する議会承認などの法的議論を避ける狙いがあるとみられる。

トランプ氏は投稿で、カリブ海周辺に配備された米海軍を16世紀スペインの「無敵艦隊」になぞらえ、「ベネズエラは完全に包囲されている」と威嚇した。また、ベネズエラの石油や土地は「米国から盗んだもの」だと主張し、それらを「米国に返還しろ」と要求。マドゥロ政権が盗んだ資産を「麻薬テロリズムや人身取引、殺人、誘拐」に使っているとも主張した。

トランプ氏は10日、ベネズエラ沖で米当局が石油タンカーを拿捕したと発表。ベネズエラの主要収入源である石油の輸出を断ち、体制転換を迫る姿勢を強めている。

トランプ政権はベネズエラに近いカリブ海に空母などを派遣しマドゥロ大統領への退陣圧力を強めており、武力行使も辞さない構え。今回の「完全封鎖」指示で、今後もさらに締め付けを強化するのは確実だ。

トランプ政権は9月以降、カリブ海周辺でベネズエラなどの「麻薬運搬船」だと主張する船舶への攻撃を繰り返しており、国際人道法に違反する戦争犯罪だとの指摘が強まっている。

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