CLOSE

会社やめるやめないの学校 case.1 阿部広太郎さんの場合(全5記事)

職場に居場所がない人は“旗”を掲げてほしい 阿部広太郎氏が大事にしている「しなやかさ」と「したたかさ」

会社をやめて気のむくままの働き方を手に入れるか、それとも会社の中で独自のキャリアを確立すべきか……。人生の大きな分かれ道に、多くのビジネスパーソンが一度は思い悩むのではないでしょうか? なんと2020年11月末に、そんな悩むを持つ人が通うべき「会社やめるのやめないの学校」が開校しました。過去、そんな岐路に立った経験のあるゲストを招き、選択した時の思いや考え方をお話しいただきます。記念すべき第一回のゲストは、コピーライター&作詞家の阿部広太郎氏。BONUS TRACK MEMBER’S マネージャー 桜木彩佳氏とともに、さまざまなお悩みに答えてくれました。本記事では「誰かに必要とされることが、仕事や経済になっていく」などについて語ります。

転職時に問われる「あなたは何をしてきた人ですか?」

桜木彩佳氏(以下、桜木):次に行ってみます。

阿部広太郎氏(以下、阿部):お願いします。

桜木:具体的だったので、1つドンと書いたのですが。

「現職に希望が持てず、どこか上の空で働いている自分に、もどかしさを感じている。宣伝会議のコピーライター養成講座に通い、コピーライターとして働きたい気持ちが高まっています。自分の気持ちに整理がついた一方で、コピーライターへ転職できるのか、不安な日々を送っています」

なので、やめそうですよね。やめそうな感じなんですが、大丈夫かな? という。たぶん新しいことに着手しているし、準備もしている段階だけれども、本当にコピーライターになれるのか? という心配。

阿部:もうアクション起こしてらっしゃるんだなって。そういう講座とかコミュニティに参加されているのは、すばらしいと思います。やっぱり、自分の気持ちに整理がついた一方で……コピーライターという仕事について、僕は「誰しもがコピーライターでもある」と思っていて。

物事の捉え方とか、どうすればいいほうに捉えられるか? を見つけて言葉にして、それを伝えたりする中で変わっていくこともありますし。もちろん、コピーライターって基本的にはクライアントがいて、そこのコピーを書いて広告に乗せていくという仕事が、ベースとしてはあるんですけれども。

そうだな……コピーライターで転職できるかどうか? というのは、それはもう“神のみぞ知る”というところだし、わからないけれども。さっき言った話ともつながるんですけど、広告業界とかコピーライターって、アワードがたくさんあるので。いかに今の状態の中で、実際に自分の行動の成果だったり痕跡みたいなものを残せておけるか? というところが、とても大事だし。きっと転職活動する時も「あなたは何をしてきた人ですか?」と問われると思うんですよ。

もちろんこれまでの経歴を話すのもそうだし、自分の熱量があるので「こういうこともやってきてます」と話せさえすれば、それは必ず相手に伝わるものだとは思うので。

今、不安があるとは思うんですけれど、やっぱりやりたいことがある人とか、なにか成し遂げたいことがある人というのは、いつも不安と隣り合わせにいらっしゃると思うので。その不安があるということは、逆にすごく大きなものに立ち向かっている証拠だと思うので、むしろぜんぜんいいんじゃないんですかね。

桜木:いいんじゃないでしょうか! 

誰かに必要とされることが、仕事や経済になっていく

桜木:次に行きます! 

「やめるかやめないか迷っている」。やめようとしている人ですね。

「仕事がストレスで蕁麻疹が出るほどだったのですが、転職活動をし始めた矢先にコロナになりました。春からほぼ100パーセントリモートワークで、会社に感謝しつつも、やはり就業時間になると蕁麻疹が出たりします。お給料は本当にありがたいと思っていますが、このままでは自分が会社に必要とされる実感もなく、仕事への情熱も感じません。年齢だけが増えていき、スキル不足も感じています。社内で自分の居場所を見つけようとしていますが、そのまま数年が経過してしまいました。この状況で外に出る自信もありません。迷っています」

阿部:すごく切実な悩みであり、少しでも力になれたらなと思いました。なんでしょうね。「しなやかでいること」と「したたかでいること」というのは、すごく大事だと思っていて。僕は「給料をもらえている」というのは、書かれているように本当にありがたいことだと思っています。

給料をもらいつつも、一週間の全部の時間を仕事に割いているわけではないと思うので。今この質問をいただいた方が、おそらく今は平日やられている仕事に情熱を傾けられていない自分を、自覚しているけれども。何かきっと、やりたいこととか好きなことってあると思うんですよね。

そこに向けて自分ができることを、見つけていく・探していくことをしたほうがいいなと思っていて。少しでも自分がやりたくて、誰かに必要とされること。結局、誰かに必要とされることが、仕事や経済になっていくとは思うので。

自分が会社に必要にされる実感がないかもしれないけど「自分はこういうことが好きだ」とか「こういうことであれば誰かに必要とされるんじゃないか」というのを、まず自問自答してほしいと思ったんですよね。

最後の段落で、在宅とかリモートワークしてると、自分の居場所作りもなかなか難しかったりしますよね。わかりやすく人と接するわけじゃないというか、人と向き合うわけじゃないので、より難しいなとも感じつつ……。

社内に居場所を見つけるための「旗を掲げる」働きかけ

阿部:社内のどこかに自分の居場所を見つけたいと思っているということでいうと、やっぱり「旗を掲げないといけないな」というか。自分が「こういう人です」って会社に対して自己紹介していかないと、自分のことってやっぱり見つけてもらえないなと思うので。

なんとか会社の中で「自分はこういうことが好きです」とか「こういうことをやっています」とか。「こういうことに関心があります」「こういうことを趣味でやっています」みたいなことを伝え続けることによって、会社の中で同じ気持ちを持ってる人とつながりあえるんじゃないかなと、僕は思うので。

自分の居場所作りをする上で、少しでも会社に自己紹介できる、会社に自分の思いを発信できる手段を探したほうがいいなと思いますね。僕自身も、会社の中で自分の居場所を作るというのは、すごく意識してやっていて。

一番大事だと思うのは、同じ部署の人とか上司とかに「自分はこういう気持ちでいます」とか「こういうことをやろうと思っています」という報告・連絡・相談、いわゆる“報連相”と呼ばれるものをマメにして、自分の味方でいてくれる人を増やす。まずは一番身近な上司の人に味方でいてくれるようにしよう、と思っていました。

というのは、きっと会社って面談とかあると思うんですけれども。そういうところで「今、ぶっちゃけこういうことを思ってます」というのを、勇気を出して言ってみるというのと。あと個人的にやっていたのは、会社のイントラネットというか、ログインして会社の情報とか掲示板が見られるようなサイトがあるんですけれども。

桜木:全社員が見られるみたいな。

阿部:そう、そう。全社員がそこにアクセスして、社内のアプリケーションを使ったりする画面があるんですけれど。そこの窓の1つに、電通の社員が社外でインタビューを受けたりメディアに出た時に「この人がこの記事に出ています」と広報の人がお知らせしてくれる、というのがあるんですよ。

それって広報の人が「電通」でキーワード検索して、社員の名前が出たら全社にお知らせしているらしかったんですけれども。僕は「名前を知られたほうが得だな」と思っていて。名前を知られて損することがないというか、名前を知られて得することはあるなと思っていたんで。

自分から広報の人に、こういう広告業界だとAdverTimes(アドタイ)さんとか、他のところでも取り上げられましたというのを、自ら広報の人に連絡して。「よかったら取り上げてください」と言って。

桜木:回してくれと。

阿部:そうですね。「こういう記事が出ています」「取り上げてください」というのを、自分から連絡して。表示される面積を少しでも取ろうと思って、やっていました。

そういうのを個人的に積み重ねてきたことにより、理解をしてくれる人が1人ずつ増えていったというのがあったので。したたかに、自分の仕事をしながらやりたいことを見つけたりとか、そういうところに参加してみたりとか、イベントに行ってみたりしつつ。

会社の中でも、きっとあなたのような思いを持ってる人がたくさんいると思うんです。同じ会社で、モヤモヤしていてなんとかしたいと思っている人。絶対に仲間はいると思うから。そういう仲間を探していくというのが、大事なんじゃないかなと思いますね。

桜木:したたかって、いいですね。根回し的なことでもあるし。

阿部:そうですね。そう思います。

発信は、受信した先に存在する

桜木:はい、ありがとうございます。次の質問のように、会社をやめずに状況を変えたいと思っている方もお一人いらっしゃって。

「私は会社の中で独自のキャリアを確立したいと思っています。今自分がやれること、やりたいことを社内でどう発信していくべきか悩んでいます。仲間・協力者を見つけるためにやるべきことのアドバイスをください」

これは、さっきの話と同じですかね。

阿部:そうですね。でもさっきの話と矛盾するようなことを言ってしまうんですけれど、やはり「受信する」ということがすごく大事で。社内で独自のキャリアに進みたい、確立したいと思われている中で、会社の中であなたが目指すものと同じ働き方をされている人は、必ずいるはずで。

それを受信する。「あ、こういう人がいるんだ」と気づくわけですよね。それを受け取って、連絡したほうがいいと思いますね。その上で「発信」があると思っていて。そういう人に「あなたのやっていることがとてもおもしろいと思います」とか「気になります」とか。同じ会社だからこそ連絡をして「もしよろしければ今度ZoomとかTeamsでちょっと話をして、教えてくれませんか」みたいな。

自分から見て、同じく独自のおもしろいことをやっているなと思う人に、勇気を出して声をかけてみる。同じ会社なので、拒絶されることは絶対ないと思うので。少し勇気を出して連絡して話を聞かせてもらうとか「あ、そういうふうにやっているんですね」という話をする。自分のプライドとか「連絡していいのかな」みたいな心配は、誰しもあると思うんですけれど。逆に、自分から受信した上で発信をしていくというのが、とても大事かな。

桜木:そうしたら、同じ会社で同じような時間の過ごし方をしているのに「どうやっているの?」という、具体的な話が聞けますもんね。

阿部:そういう仲間や協力者を見つけていけるはずだし、自分から連絡してみる、一人ひとり捕まえていくというのが大事なのかなと思いますね。

仕事を受ける・受けないの最初の判断基準は「誰とやるか」

桜木:ありがとうございます。そして今日はほとんどの参加者が、会社員の方だったんですけれども、少しフリーランスの方もいらっしゃって。

「私は7月に転職した会社が合わず、9月から突然フリーランスになりました。少し話が逸れてしまうのですが、今は大変ありがたいことにお仕事をたくさんいただいていて、とても受けきれる量ではなくなってしまいました。『会社に所属している・やめる』の悩みが、フリーランスになって『今受けているものを続ける? 引き受けない?』などの壁に直面しています。

どれも自分の興味・関心のあるSEOや編集、ライティング、知人からの引き合いなので、私の志向を知った上での紹介、ありがたい悲鳴ではあるのですが、どうやって優先順位をつけようか悩んでいます。阿部さんはたくさん来る引き合いを受けきれないとなったら、どのように選んでいますか? どうぞよろしくお願いします」

阿部:質問、ありがとうございます。

桜木:具体的ですね。

阿部:そうですね。でも、フリーランスになられても、仕事がちゃんとあるというのは本当よかったなというか。この質問を読みながら、まずそう感じましたというのと。人によって判断基準・ものさしって違うと思うんですけれども、よく仕事において重要だと言われる「人・物・金」ってあるじゃないですか。

「誰と働くか」というのと「何をするかという物」「もらえるお金がいくらか」みたいな、そういう本当ざっくりとした3つなんですけど。分けた時に、僕の今の価値観で言うと、やっぱり「人」なんですよね。

「誰とそれをやるか」「どんな人なのか」という部分をとても大事にしながら、やる・やらないというのを選んでいて。会社の先輩であっても、明らかに失礼な物言いをされている不誠実な方だなと感じり、ちょっとおかしいなと思った時は、そこはちゃんと距離を取るようにしてるというか、断るようにしていて。

というのも、直感で「おかしいな」と思ったこととかって、やっぱり後々で尾を引いてトラブルになったりすることが多いので。それをできるだけ避けるようにしていて。

一方で、お金がないけどすごくやる気や情熱があったりとか、その人が“思い”を持ってオファーをしてくれているのがわかったりするものに関しては「本当にこの人とやろう」というところで、やりますとお伝えしたりもするので。

僕の中でも「誰とするか」「その相手がどんな人か」というところ。仕事ってやっぱり1人では完成しないと、つくづく思うんですけれど。最初の判断基準として「誰とやるか」という部分を、とても大切にしながら考えています。

桜木:ありがとうございます。この方も、なんかそういう感度がありそうな、文面からしてそうなんじゃないかなと思っている感じがなんとなくしますね。勝手ながら。

阿部:そうですね。何を大事にするかという、自分の中での優先順位をつけたほうがいいし。やっぱり全部引き受けたくなるけれども、パンクしちゃったりとか、生活リズムとか心と体の健康が崩れてしまっては、元も子もないと思うので。

その中で、やれる時はやるし、やらないと思ったら誠心誠意お断りするし、ということなのかなと思います。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

新着イベント

Brand Topics

Brand Topics

あなたにオススメ

『向いてる仕事』なんて探すな。やるべきことをやる人が伸びる理由を上場企業社長が解説(全2記事)

リモートで生産性が落ちる人に足りないもの 北の達人社長が教える“無意識のインプット”の重要性

【3行要約】
・株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏が、キャリアに関するさまざまな疑問に答えます。
・木下氏は「リモートに向くのはインプットを自ら適切に行える経験者」と語り、新人には不向きと指摘。
・また、転職時にはエージェントより自社サイトから直接応募することで、転職成功率が高まると助言しています。

前回の記事はこちら

リモートで生産性が上がる人と下がる人の違い

——フルリモートと出社勤務、生産性を極めるならどっち?

木下:これは人による部分があります。仕事をすることに対して、「インプット」と「アウトプット」というものがありますよね。自分が何かをインプットして、それを世の中で咀嚼してアウトプットしていくかなんですけども。リモートって、アウトプットにおけるデメリットがあんまりないんですよね。画面に出していくとか。

どっちにしろ、今ってメールに添付するものとかでやっているので関係ないんですけども、インプットにおいては、明らかに出社よりも不利なんですよね。基本的には人と接していない状態で情報をインプットしようと思ったら、自ら動かないとインプットされないんですね。

つまり、意図的な場合にしかインプットされないので、自然に情報が入ってくることってほぼないんですよ。会社に出社していれば、隣の人の声とかを聞いているから、「今、こんなことが起きているんだ」とわかるんですけども。

それがまったくなくなるという感じでいくと、例えばある程度のキャリアがあって、インプットがほぼ必要ない、もしくは適切なインプットを自分からできるような人は、インプットのデメリットがそこまで大きくない。集中して作業できたりとか、アウトプットの質が変わらないんだったら、リモートのほうができる人はいます。

アウトプットの質はインプットの量に比例する

木下:でも、これはある程度スキルの高い人。まだ社会人になりたての人とかが「出社する意味がないじゃないですか」と言うのは、たぶんレベルの高い仕事を見たことがないから。アウトプットというのはインプットの量に比例していくので、ほぼインプットがない状態だと、たぶん仕事ができるようにはならないという話です。

——そうなんですね。北の達人さんって、入社からずっとリモート勤務の方もいると思うんですけど、そういう方のインプットって具体的にどうされているんですか?

木下:まず最低限、「教育しなくても、ある程度のレベルでできる」という人しか、リモートは許可していないです。定期的に研修とか会議があるので、そこでインプットはできるようになっていますが、まだスキルが低い人は、たぶんそれだけではぜんぜん足りないんですね。なので、日常的にある研修とか会議でやっていけるぐらいの人だけにリモートを許可する感じですね。

業界1位の企業にはゼロイチを生み出す力がある

——今、木下社長が大学生なら、絶対に就職したくない業界は?

木下:ないかなぁ。

——逆に、就職したい業界ってありますか?

木下:基本的には産業そのものが伸びている業界がいいなと思います。これは他でも言っていますけども、世の中って全部Webマーケティング化していく。Webからの情報で人は動いていくので、やはりWebマーケティングに関わる業界に行きたいなとは絶対に思いますね。

あと、僕がけっこう重視しているのが、「業界トップ」というのに決めていて。1位の会社と2位の会社って実はけっこう大きな差があって、1位の会社は市場を生み出してきて1位になっているんですね。今までになかった市場をバーッと生み出してきて1位になっている。

2位の会社というのは、単純にそれを真似することで追いついていくところなので、新しいものを生み出す力があまりないんですよ。基本的に真似ばっかりしているという感じで。なので、基本的に1位の会社は、新しいものを生み出す力を会社自体で持っているので、そういうところのほうが成長できるかなと思います。

志望先企業に熱量を伝える意外な方法

——「希望の会社に転職したい!」。成功確率を上げるためにできることはありますか?

木下:実は1つありまして、そこの会社に応募する時に、自社サイトの応募ページから応募するのが絶対有利になるんですよね。理由は2つあります。自社サイトのホームページ以外から応募するってどういう方法があるかというと、転職サイトに掲載されているから応募するというものもあれば、転職エージェントから紹介してもらうパターンもあるんですけれども。

まず、転職サイトから応募してきた場合と、自社サイトから応募してきた場合、応募を受ける側がどう感じるかというと、転職サイトから応募してきた人は、「転職したいな」「転職サイトに行って、どこかないかな?」「こんな会社があった」といって、応募していると見ます。

自社サイトから応募した人は、「北の達人に転職したいな」。もしくは、「転職したいな」と思っているわけじゃないんだけども、北の達人のホームページを見た時に、「ここに行きたい」と思った。どちらが意欲が高いと捉えられるかなんですね。

と考えると、自社サイトから応募してきた人は、ピンポイントで「この会社に入りたい」と圧倒的に思っている。「この会社に入りたいから転職しよう」と思っている人と、転職サイトから来た人というのは「転職したいな」が先にあって、「この会社はどうかな」と思っている。というところでいくと、意欲・熱意は圧倒的に違いますよねということなんですね。

採用する側の視点から考えてみると

木下:やはり自社サイトから応募してきた人のほうが、採用確率が高くなりがちになります。もちろん面接した時に、「本当は自社サイトから応募しようと思ったけども、転職サイトからのほうが、相手の会社の処理や管理が楽かなと思って、転職サイトから応募してきたんです」みたいなことまで言っていたら、「君はすごいね」となるけど。

一方、転職エージェントを通しての転職になってくると、逆に難易度は上がるんですよね。転職エージェントを通して就職する時って、「この人を採用します」となった時に、転職エージェントに対して、採用する企業は年収の何十パーセントかという報酬を払うんですよ。

ということは、例えばこの企業が、「あなたはこの給与で採用しますよ」と。「この給与だったらちょっと嫌だな」とか、もしくは「十分です」とかっていう条件の部分があるんですけども、転職エージェントを通した時って、その条件が悪化するんですね。給与だけじゃなくて、転職エージェントの支払いの手数料が加味されるわけですよ。

直接だったら、単純に「年収500万円」とか「年収800万円ですよ」というので判断するんですけども、転職エージェントを通していたら、「年収800万円」と「手数料200万円」で同じ人を判断するんですよ。「年収800万円だけだったら採用したいな。でも、年収800万円と転職(エージェント)で200万円。まぁまぁ痛いな」というふうにはちょっとは思います。最終的にはやはり本人の部分にはなるんですけども。

転職サイトを通じてもそうなんですね。転職エージェントを通じて応募に来た人も、うちをピンポイントで狙っているのではなくて、「どこかいいところはないですか?」と紹介されて来ている可能性があります。

こっち(自社サイト)の人は、うちにピンポイントで「入りたいんです」と言って来ています。でも、こっち(転職サイトやエージェント)は紹介されたから来ていますし、手数料もかかる。「どっちが意欲が高いかな? こっちはお金はかかるし」と考えると、やはり自社サイトから直接応募する。これがやはりいちばん成功確率は上がりますね。

転職回数が多くても悪いわけではない

——そんな裏話があったとは、びっくりしました(笑)。転職回数が多い人を、どう見ていますか?

木下:人によるって感じですね。経歴と、「なんで転職したのか」という理由を聞いた時に、単純なるジョブホッパーなのか、ちゃんとスキルアップをしようとしているのかという部分で見ていて。複数の会社を知っているというのは、いい面も正直あります。

例えば異性と付き合う時に、「初めて異性と付き合うんです」という人と、何人か付き合ったことがある人だったとすると、異性との付き合い方がわかっている・わかっていないって正直ありますよね。

何社か経験していて、ある程度「会社ってこういうものだよね」ということがわかっているのと、まったくわかっていない人とでいくと、新卒者は転職者に比べると、教育がけっこう大変な部分があったりするとか。例えば40歳ぐらいで初めて転職する人って、うちだったら、まず採用しないと思うんです。「会社とはこういうものだ」というのが凝り固まっちゃっているんですよ。

これが40歳でも2~3社経験していたら、「会社って、こういう会社もあれば、こういう会社もあって、こうだよね」みたいな感じなんですけど、初めての人って、「前の会社ではこうだったのに!」みたいなのがけっこう出てくるので。多いこと自体が必ずしも駄目なわけではなくて、ただ、やはり2~3社以内ぐらいかな。4社を超えると、「ちょっと定着性の悪い人だな」というふうには見るかな。

前職の悪口を言う人を採用した理由

——「1社につき、最低何年勤めたらいい」という基準はありますか?

木下:本来3年というところですけれども、やはり、実際にとんでもない会社とか、まったく意味のない会社は存在するよね。なので、なんだかんだいって、うちの幹部は前の会社を1年以内で辞めた人とかもけっこういたりするので、一概には言えないかなとは思います。

——その会社の状況に依るというところですね。なので、在籍期間が短いとか転職回数が多いということで、必ずしもマイナス評価を受けるという(ことではない)。

木下:だからやはり理由とかを聞いた上で、どう判断するかなと。1つおもしろいエピソードがあって、うちの面接をした時に、前職の悪口をめっちゃ言う人がいたんですよね。普通、これはNGなんですよ。なんですけど、僕はその人を採用したんですね。(その後に)めっちゃ活躍したんですよ。それは正直に言うとわかっていたんですけど。

うちの会社って各職種ごとに、向いたセンスとか才能を見抜くためのテストとかを作っていたんですね。彼はそのテストがめちゃくちゃ良かったんです。彼の前職は、そのセンスが活かせる職種ではぜんぜんなかったんですね。なかったから、たぶんあまり活躍できなくて文句を言っていたんですけど。

文句を言う人間では、ぜったい良くはないんだけども。ただ、この人はたぶん、うちに来たら絶対活躍できると。「活躍すると、文句を言わないやろうな」と思いました。そうしたら、やはり活躍して、ぜんぜん文句を言わなかったですね。

今日はキャリアに関する質問にお答えしてきました。少しでも気づきやヒントがあったという方は、ぜひコメントで教えてください。みなさんからのコメントが、私たちの大きな励みになります。あと、「こんなテーマも取り上げてほしい」というリクエストも、気軽に書いてもらえるととてもうれしいです。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

新着イベント

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

『向いてる仕事』なんて探すな。やるべきことをやる人が伸びる理由を上場企業社長が解説(全2記事)

向いている仕事ではなく“やるべき仕事”を探す 上場企業の社長が「強みを活かす必要はない」と語る理由

【3行要約】
・株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長の木下勝寿氏が、キャリアに関するさまざまな疑問に答えます。
・本記事では「早く成功するためにしておくべきだったこと」「就職と学歴について」「自分に向いている仕事」について紹介します。
・木下氏はキャリア選択において「自分の強みを活かすより、世の中で必要とされることをする」べきだと提言します。

仕事に関する疑問に木下勝寿氏が回答

——木下社長! 今日は質問企画を持ってきました。今日のテーマは「キャリア」です。

「就職するならどんな業界がいいのか」「転職を成功させるためには」などなど、多くの人が悩み、そして気になるテーマに、木下社長の視点でズバッと答えていただければと思います。木下社長が20代だった頃、早く成功するために、「これをやっておけばよかったな」と後悔していることはありますか?

木下勝寿氏(以下、木下):社会に出たばかりの時に、接客業の経験をしていたほうがよかったなとはすごく思いましたね。事業というのは結局、お客さんに商品やサービスを提供してお金をいただくということで、それは会社組織でやっているとしても、会社自体は絶対にそうなわけですよね。

そうなってきた時に、やはり「お金をいただく」ところの部分で、人からお金をいただく現場を知ろうとすると、大きな組織でBtoBだったら、たぶんなかなか経験できないんです。飲食店とかだったら、本当に毎日いろいろなお客さんと接するじゃないですか。

お客さんと売る側の立場の観点とか、買う側の心理とか、そういったことをある程度は経験しているほうがすごく良かったなと思っていて。

私は営業だったんですけど、買う側の観点がぜんぜんわからないんですよね。自分が物を買う時の気持ちはわかりますけど、世の中にはいろいろな人がいるわけで。

いろいろな価値観で物を買おうとしているんだけど、そこがぜんぜんわからない。やはり飲食店でもいいので、とにかく人が物を買うところの現場を経験しておくのは、絶対にやっていたほうがよかったなとすごく感じましたね。

「お金をいただくこと」への解像度で差が生まれる

——木下社長は学生の時、学生企業にいらっしゃったと思うんですけど、そこでの経験よりも飲食店とかのほうが、購買の気持ちにつながったとお考えですか?

木下:私は両方やっていたほうがいいかなと思います。

——そうなんですね。

木下:でも、ビジネスをやっていこうと思ったら、お客さんにお金をいただくということがどういうことかをわかっている人とわかっていない人で、正直ものすごく差がついて。お客さん(からだけ)でもないんですけども、例えば「人からお金をいただく」ことに対しての解像度が高い・低いというのはあるんですね。

例えば、お客さんに接している部署の営業の人とかは、すごく解像度が高いんですよ。一方で、お客さんとまったく接していなくて、お金がどうやって自分のところに来ているかをあまり理解していない人って、結局は自分の勤めている会社からお金をいただいている。ということは、実は自分を起点に考えると、会社がお客さんなんですよね。

ビジネスにおいては、お客さんの要望に応えるのが仕事ですよね。なんだけど、勤めている時は、なぜかは知らないけども、「会社の要望に応える」じゃなくて、「僕のやっていることを会社が認めるべきだ」みたいな感じになってしまう人がいるんです。だけど営業とかをやっていると、あまりそういう感性にならないんですよ。

クレームは学びの宝庫

木下:「お金を払う側に合わせていくべきだよね」という感覚があるんですけども、そういう部分でいくと、お金をいただくということを体感的にわかっていない人って、ある意味ではわがままなかたちになりやすかったりするんですね。全部が全部じゃないですけども。

というところで、お客さまからは「こうやったらお金をいただける」「こうだったらいただけない」という経験をしておくことはすごく大事なので、一番手っ取り早いのは、学生の時は接客業とか、社会人なら営業をするとか、物を販売するところに対して関わるほうが絶対にいいなと思います。

——今は「タイミー」とかでやりやすいから、今からやってみたいなという方は、ぜひチャレンジしてほしいですね。

木下:クレームが多いところのほうがいいと思うんですよ。

——そうなんですね。

木下:お客さんからすると、「満足できない」と言われるわけじゃないですか。(サービスや製品を)売って、お客さんに「ありがとう」ばかり言われたら結局は何の学びもないわけで。

「なんで満足していただけないんだろう?」とか、「でも、満足する人もいるのに、何が違うんだろう?」ってわかると思うんです。なので、お客さんから評判がいいところより、評判が悪いところのほうが勉強にはなると思います。

なぜ“学歴フィルター”が存在するのか

——ぶっちゃけ、学歴って大事ですか?

木下:ないよりはあったほうがいいよねという感じですよね。選択肢の問題というのがあって。まず、「学歴」と「学校歴」ってまた別だと思いますけど、学歴は中卒・高卒・専門学校卒・大卒ぐらいの感じですし、学校歴は○○大学っていうのがあるとした時に、就職をするんだったら、絶対にフィルターには入ってきます。

人気企業には大量の応募が来るので、全員を面接するわけにはいかないんですよね。なので、書類である程度は区切らないといけない時に、「いい大学を出ている人は優秀な人が多い」というのは確率論として存在するので。もちろん一人ひとりは違うにしても、全員には会えないので、わかりやすくいったん学歴で切るということは、やはりします。

就職という観点においては、あったほうが絶対、得は得。ただ、実際に仕事をしている中で、「君はどこどこ大学?」とか「中卒? 高卒?」とかを問われることは基本的にないので、そこでは別に関係はないというのはあります。

「仕事に自分の強みを活そう」と思う必要はない

——自分に向いている仕事をどうやって見つけたらいいですか?

木下:見つけなくていいです。

——え?

木下:向いているとか向いていないとかどちらでもよくて、仕事というのはやるべきことをやる。やろうとした時に、難しければ努力すればいい話です。例えば僕は、めっちゃしりとりが得意なんですよ。しりとりが活かせる仕事を探したところで、絶対に稼げないと思うんですよね。それよりは、世の中に必要とされている仕事ができるスキルを身に付けたほうが絶対にいいよね。

「自分の強みを活かそう」なんて、ぜんぜん思う必要はないと思っていて。僕は意識もしていなかったですし、自分の強みとかを意識し始めたのは、50歳を超えたぐらいからかな。

——最近の話なんですね。

木下:まぁまぁ最近。「俺、けっこう文章がうまいんちゃうか?」と気づいたのが5~6年前。それまでは別に何も思っていなかった。「文章がうまいから何なん?」「セールスレターはいちばんうまいんちゃうかな」ぐらいの感じなんですけど。やるべきことをやるのが大事であって、自分に向いている・向いてへんとかはどうでもよくて、「向いていなかったら、がんばればいいやん」というだけの話です。

自分の強みを発見したのは50歳を超えてから

——木下社長の「文章が得意」というのも、もともとあったというより、やらないといけないからとにかくやって積み上げて、50歳になって「得意かも?」と気づいたということじゃないですか?

木下:違う違う。きっかけは、50歳を超えてからX(旧Twitter)をやり出した時にすごく反響があって、その反響を見ていると、「言語化がうまい」とやたら言われるようになって。最初はどうしてみんな「すごい、すごい」と言ってくるのかあまりわからなかった。他の人に比べて「すごい」と言われているのか、単にこういうものを出せばみんな「すごい」と言うのかもわからないという。

でも、どうも「言語化がわかりやすい」とわかってきて、「よく考えると昔から、文章で笑いを取るのがけっこううまかったな」とか、「文章でトラブルを防ぐことができていたな」っていうのを思い出して。「思い返せば、文章でけっこういろいろやっていたわ」というのに気づいたという感じです。

——そうだったんですね。セールスレターで気づいたとか、そういったところではなく。

木下:セールスレターは書かないといけないから書いただけだし、Xでのみんなの反響を見て、「俺、文章がうまいな」と気づいちゃった。

——そうなんですね。じゃあ、今目の前にあることに、まずは真剣に取り組むと。

木下:そうそう。まず、自分を活かすじゃなくて、世の中で必要とされることをする。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

新着イベント

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!