官邸幹部「日本は核兵器保有すべき」 政権内の議論は「ない」と説明

 首相官邸の幹部は18日、報道陣に対し、日本を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、個人の見解としつつ、「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを示した。この官邸幹部は、高市早苗首相に対し安全保障政策などについて意見具申をする立場にある。ただ、実際に政権内で議論を進めているわけではなく、核不拡散条約(NPT)体制との兼ね合いなどから実現は難しいとも指摘した。

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 官邸幹部は、中国の核戦力増強やロシアによる核の脅し、北朝鮮の核開発など、日本を取り巻く安保環境が厳しさを増しているとの見方を示したうえで、米国の核抑止の信頼性の問題にも言及。「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを示し、日本独自の核兵器保有について議論する必要があるとの認識を示した。

 一方、米ロ英仏中の5カ国のみに核保有を認めるNPT体制との整合性が課題になるほか、非核三原則の見直しには政治的な体力が必要になるとの見方を提示。現在、政権内で日本の核保有をめぐる議論をしているわけではないとし、核保有を目指す時期についても言及を避けた。

 首相は就任前、非核三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを訴えていた。首相は国会で、安保関連3文書の改定の際に「非核三原則の堅持」の文言を引き継ぐかを問われ、「私から申し上げる段階ではない」と明言を避けており、非核三原則をめぐる表現も議論されるとみられている。

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    木下ちがや
    (政治社会学者)
    2025年12月19日0時36分 投稿
    【視点】

    この官邸幹部はオフレコを前提にこの重大発言をしたと言われている。だが、総理に直接安全保障について提言できる地位にある幹部のこの発言を、朝日新聞はじめ各紙がいっせいに報じたのは、事の重大さからして当然である。われわれ国民には知る権利がある。

    …続きを読む
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年12月19日0時50分 投稿
    【視点】

    うーん、この発言がなされたこと(そしてそれが報道されたこと)を、どう理解すればいいのでしょうか。観測気球なのだと考えるのが妥当なのだとは思いますが……。実際、戦争を想定し、アメリカの核抑止があてにならないとなると、安全保障上の合理性から単純

    …続きを読む

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