生活保護受給者の診療報酬6600万円超を不正・不当請求…板橋区の歯科医院の名称を公表
生活保護受給者の診療実績を偽るなどして診療報酬6600万円超を不正・不当に請求したとして、東京都は18日、板橋区内の歯科医院(廃止済み)の名称を公表した。都の指定医療機関で確認された額としては過去最多。 【図表】生活保護受給者の診療にマイナカードを活用する仕組み
発表によると、不正があったのは、医療法人社団山富会(鈴木高志理事長)を開設者とする歯科医院「タカシデンタルクリニック」(板橋区前野町)。
同医院は2020年4月~24年9月、来院していない患者の診療実績を捏造(ねつぞう)して架空請求したり、診療内容を水増しして請求したりといった手口で、受給者89人分の診療報酬6645万5760円を不正・不当に請求した。同医院は「管理が行き届かず、不正を防ぐことができなかった」などと事実関係を認めたという。
24年2月、管轄の福祉事務所から「一時帰国中のはずの外国人受給者について診療報酬の請求があった」と情報提供があり、都福祉局が生活保護法に基づき、24年11月~今年6月に検査を実施。同医院による架空請求が確認された受給者の中には、死亡したり入院したりしていた人も含まれていた。
同法人は都から検査実施の通知を受けた後の昨年10月に同医院を廃止したが、検査終了後に再び開業したとの情報もあり、都は「利用者に適切な医療機関の選択に活用してもらう必要がある」として医院名などを公表した。