「スパイ活動で問題になる」立民・米山隆一氏、旧姓の通称使用法制化に反発 閉会中審査

衆院法務委員会で議論する立憲民主党の米山隆一氏(左)と鈴木隼人内閣府副大臣=18日午前、国会内(衆院インターネット審議中継より)
衆院法務委員会で議論する立憲民主党の米山隆一氏(左)と鈴木隼人内閣府副大臣=18日午前、国会内(衆院インターネット審議中継より)

衆院法務委員会は18日、氏制度などを巡り閉会中審査を行った。立憲民主党の米山隆一氏は、夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制化を検討する政府方針に反発した。複数の呼称を持つ人が多くなることで、「スパイ活動などを行うときに、非常に問題になると思う」と述べた。

立民は選択的夫婦別姓制度導入に向けた法案を国会に提出している。米山氏もそうした立場から質問し、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」制度との関連で、懸念を示した。

米山氏は「皆さん、旧姓を使う人は少ないだろうという前提でものを考えていると思う。それは違うと思う。結婚時に届け出をすれば、使えるオプションがただでつくだけ。かなりの人が旧姓を通称で使うと思う」と述べた。

平民に氏の使用が許された明治3年9月19日の太政官布告に言及し、「それまで、武士はたくさん名前を使ったが、一人の名前を一つにしてほしい、とした。(旧姓の法制化によって)近代、現代以来、初めての事態となる。突然、2つぐらい氏がある人が世の中にいる、大学にも官庁にも産業界にもいる、という事態になってしまう」と指摘した。

鈴木副大臣「現時点で答えるのは困難」

スパイ活動に関し、「例えば、ずっと『佐藤花子』を使っていた人が、そのときだけ『田中花子』とされたら、分からない。そうした極めて不都合な事態が起こる」と主張した。

鈴木隼人内閣府副大臣は、SC制度の内容を説明した上で、「通称使用の件は、自民党と日本維新の会の連立政権合意書の内容を踏まえ、政府としては与党と連携しながら必要な検討を行っていることであり、現時点で内容について答えることは困難だ」と述べるにとどめた。

米山氏は「大変なことが起こる。佐藤花子さんで活動した人が、ちょっと田中花子さんでやったことを確認できなくなる。よく検討してほしい」と求めた。

「アイデンティティの問題が解消されず」国民・玉木氏

会員限定記事

会員サービス詳細