幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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最初に言っておきます。

ダイゴさん胃痛薬追加したほうがいいよ。


65話

 ダイゴから電話を受けたハルカは、控え室へと向かっていた。

 

(シバリくんって、今は控え室に居るんだよね……? とりあえず結果発表の時間までは一緒に居て、ルチアさんが近づかないか見ておかないと)

 

 とはいえ、ハルカはそこまで心配していなかった。

 

 というのも、ルチアはあの失言をした後、顔を真っ赤にしてその場を立ち去ってしまったからだ。

 

 あんな状態のルチアがそのままシバリの方へと真っ直ぐ向かっていくとは、彼女には思えなかった。

 

(でも、あの言葉ってシバリくんは聞いてないはずだし、あのことがシバリくんの耳に入る前に、直接気持ちをぶつけに行ったって可能性もあるのかな……?)

 

 そう考えるとなんだか不安になってきたハルカは、控え室へと足を急がせた。だが──

 

「申し訳ございません。ここから先は通せません」

「えっ?」

「参加者以外の方が控え室のあるスペースに入るには、参加者本人の同行が必要なのです」

「そんな……」

 

 彼女は警備員に門前払いされてしまった。

 

 考えてみれば当たり前の話だ。誰でも控え室のあるスペースに入れてしまえば、防犯上のリスクはもちろん、有名人に会いたいというファンの侵入も許してしまう。

 

 ならば、このように警備されているのは当然のことだった。

 

(……でも、これならルチアさんも入れないよね? 今日のコンテストには参加してなかったし、演技に対しての感想コメントを言い始めたのは、シバリくんがフィールドを出て行ってからだもん)

 

 これならわざわざ一緒に居なくても大丈夫だろうと判断し、ハルカが警備の二人から少し離れ、ダイゴに連絡しようと携帯に手を伸ばしたところで──。

 

「──なんて、言ってたけどさ。お前さっきルチアちゃん通してたじゃん」

「そりゃまた別の話だろ」

「……え?」

 

 ハルカの耳に、聞き捨てならない言葉が入ってきた。

 

「コンテストアイドルって呼び名は、コンテストに真摯に向き合った彼女の努力と、それに対するコンテスト運営からの信用の証だ。それに、始まる前に参加者と一緒に控え室へ入って行ったのを見ただろ? 関係者なのがわかりきってて、なおかつ信用のある立場なんだから、通さない理由はないだろ」

「なんだ、そこら辺はちゃんと見てたのか。てっきりファンだから何も考えずに通したのかと」

「流石に公私は分けるぞ俺は」

 

 警備員の話を聞いて、ハルカはルチアが控え室に向かったことを確信した。

 

 参加もしていないルチアが控え室に用があるとすれば、シバリ以外には考えにくい。

 

(ど、どうしよう……!? このままじゃ、もしかしたら──!)

 

 焦りに焦りながらも、ハルカはどうにかあそこを通る方法が無いか、頭をフル回転させて考え始めた。

 

 すると、電話を切る直前にダイゴの発した言葉を思い出した。

 

『──ハッ……ハハハッ……』

『……ダイゴさん?』

『い、いやっ、なんでも、ないさ……。い、今はそれよりも、なんとしても食い止めてくれ。()()()()()()()()()()()()()()()()

『は、はぁ……』

 

 あのときはダイゴの言葉の意味がわからなかったハルカだったが、今の彼女にはしっかりと理解できた。

 

 つまり、ハルカはこう捉えたのだ。

 

 ボクのことは気にしなくていいから(何が起きても責任は全てボクが取る)*1と。

 

「というか、ファンなのは否定しないのな」

「全てのグッズを観賞用・布教用・保存用・添い寝用で4つ買ってるくらいにはファンだが」

「キモ」

「んだよ良いだろ! お前だってカミツレさんのグッズ漁ってんだろーがバーカ!!」

「いいんだよ! 俺は観賞用・布教用・保存用・多目的用で──!」

「……あの」

「「ん……?」」

 

 言い争っていた警備員に、ハルカは再び話しかけた。

 

「ゴホンッ……! 先程お伝えした通り、参加者と一緒でないとここは通れませんよ」

「……いや、待て。よく見たらこの子、もしかして──」

 

 警備員の1人が少し慌て始めたが、気にせずハルカは口を開いた。

 

「あたしはホウエン地方チャンピオン、ハルカです! 元チャンピオンのダイゴさんの頼みで、この先に居る人に急ぎの用件を伝えなきゃいけないんです!」

「チャンピオン!?!!!!!?」

「ああやっぱり!!!!! 雑誌で見たことあるぞ!!!」

「てか、ダイゴさん!? 今ダイゴさんっておっしゃいました!?」

 

 ホウエン地方では、ハルカをそこまでチャンピオン業務に縛り付けていないということもあり、彼女の名前こそ知られているもの、顔や実績の認知具合はそこそこといったところだった。

 

 しかし、元チャンピオンであるダイゴならば話は別である。彼の頼みと現チャンピオンが言ったのであれば、警備員の二人も安易に無視は出来なかった。

 

「し、しかしですね! こちらも通すわけには……!」

「で、でもっ! 『何が起きても責任は全てボクが取る*2』ってダイゴさんに言われてるんです!!」

「「!?」」

 

 ハルカの真剣な言葉を聞いて、警備員達に動揺が走る。

 

 少しの間、二人でああだこうだと言い合っていたが、やがて二人は顔を見合わせ、コクリと頷いた。

 

「……本当、なんですね?」

「はい」

「であれば、信じましょう。この地方の現チャンピオンと元チャンピオンがそこまで言うのでしたら、我々が止めるわけには参りません」

「っ! ありがとうございます!!」

 

 ダイゴのおかげで通行の許可をもらえたことで、ハルカは安堵の息を吐いた。

 

 しかし、ゆっくりしている時間はない。彼女は急いで二人の間を駆け抜け、シバリの居る控え室へと向かっていく。

 

(確か、エントリーNoと控え室の番号は一致してるって話だから……あった! 14番の部屋!)

 

 目当ての部屋の前に到着し、ドアノブに手をかけたハルカだったが、無情にもドアノブは回らなかった。

 

(鍵がかかってる!? でも、耳を澄ますと中からは音とか声が聞こえるし──!)

 

 間違いなくシバリはこの中に居る。だが、今から窓口に行ってマスターキーなどを貰いに行ったとしても、間に合わないかもしれない。

 

(どうしよう! どうしよう! この扉を開ける方法が、何か──!)

 

 そのとき、窮地に陥ったハルカの脳内に電流が走った。

 

(……そうだ。ダイゴさんは、こういうことがある可能性も見越して──!)

 

 つまりは、こういうことだ。

 

何が起きても責任は全てボクが取る(扉、ぶっ壊しちゃいなよ☆)*3

 

(ありがとう……! ダイゴさん!!)

 

 ハルカはバシャーモを出し、そのまま目の前の扉を破壊した。

*1
言ってない

*2
言ってない

*3
言ってない




・ハルカ
ありがとうダイゴさん……
それしか言う言葉がみつからない……

・ダイゴ
あいよぉ! 胃痛セット一丁!

あ、これ全部ダイゴさんの責任ね。


■番外編・閑話の置き場所アンケート
なんかね、流石にアンケート取って一個も書かないのはどうかと思って昨日深夜テンションで書いたのは良いんすけど、置き場所どうしようかなって。

番外編・閑話の置き場

  • 別作品に分ける(あらすじにURL記載)
  • 1話の手前に章分けして配置
  • 最新話の後ろに章分けして配置
  • 最新話として投稿(前書きで注意喚起)
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