- 11/225/12/14(日) 14:30:37
今朝から任務に向かったはずの傑から、出発直後に変なテンションの電話があったんだ。
「おとといの夜からきのうの朝にかけて、見てはいけないものを見てしまった。
むやみに言い触らすといけないと思われることなので、自分の判断で最善を尽くそうと思う。
自分がどうにかできなかった場合は、学長(おれ)と悟に対応を願う」
明らかに傑の言い方が普段と違ったので、同行しているはずの補助監督に俺から連絡を入れた。
……気の毒に、その補助監督もひどく慌てていたぞ。
傑は「極秘任務に切り替わった」という名目で本来の任務先とは違う場所にその補助監督ごと飛んで行き、
元の任務とは全く関係ないはずの知らない女と、かなりハイレベルな交戦を開始したところだったらしい。
「補助監督は巻き込まない形で帳が降ろされたが、帳の中がどうなっているかは外から分からない」という話だった。
悟(お前)に電話が繋がらなかったので俺だけ現地に先着したが、その頃には、おそらく帳の中の戦闘は終わっていた。
傑の呪力や呪霊を閉じ込める方向に強化された帳で、傑の残穢と、おそらく女の残穢、それから傑の呪霊がひしめいていた。
呪霊には一切主従関係がないようだったから、傑の生命は……、おそらくそういうことだな。
俺の呪骸はいくらでも出入り自由だったから、それを通して帳の中を見たが、……どう考えても人の亡骸らしいものが残っているような状況ではなかったぞ。
帳の中央部に『遺書在中 この土の下 夜蛾先生と悟へ』と彫られた鋼板の杖が刺さっていて、呪骸を何体か使い潰してなんとかそこだけ掘り出させた。
掘り出せたのはこの鋼板プレートだ。普通の工業製品を入手し、なんらかの呪霊を活用して文字を彫り込んだんだろう。 - 22/225/12/14(日) 14:31:42
『2人へ
かなり嫌な予知夢を見ました。人に伝えると全呪霊に離反されて生命に関わるという直感があるので、命懸けで書き遺そうと思います
これを埋めた後、遠からず自分は呪霊に襲われて死ぬはずです。出来る限りのことはしました。後を託します
この遺言を恩に着るのであれば、夏油家の両親の保護を頼みます。呪霊操術を生み出した家系は、今後はより危険視され狙われるはずです
悟へ
これからできれば五条家当主以外にも広く情報が入るような役職を持ち、宿儺の指か宿儺自身を無害化または無力化する方向を探り続けて下さい
天元様の同化を妨害した黒幕と復活したい宿儺がつるんでいます
夜蛾先生へ
天元様に極秘で「天元様が同化を行えなかった場合、呪霊操術の対象になるのではないか」を問い合わせてください
今後、同様の術師が生まれた場合には「天元様の同意がない限り術式の対象とせず、死後遺体もまともに残さない」代わりに「術師として生存を保証する」縛りを制度として確立するのが一番穏当な気がします
この直感も稚拙で穴があると思うので、ブラッシュアップはお任せします
同化を妨害した黒幕は遺体泥棒が即強化になる系の術式持ちです。先ほど倒せはしましたが、こいつを一度倒せば解決なのか確証が持てません』
……俺は、今から夏油の親の保護と天元様への問い合わせに動く。
悟、お前には即座に現地の帳の確認と呪霊の跋除を頼みたい。
かなり酷な指示だが、……下手な1級術師でもやられるようなレベルの呪霊が、何体も何体も、狭苦しい帳の中にひしめいてるんだよ……。 - 3二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 14:44:10
悟が夜蛾からの電話に即応できなかったことを、あとから死ぬほど後悔する世界線の話
もしくは、呪詛師ヤった後に何故か速攻自決した傑の思考について、予知夢関係で何かの縛りを受けたのか延々と考え続ける世界線の話 - 4二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 14:51:46
夏油は羂索に死体遺さなかった最善を尽くしてて立派だね
五条が即電話に出てりゃあな
あーあ一生後悔するんだろうね - 5二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 14:57:19
自己犠牲の夏油と後手後手の五条夜蛾
- 6二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 14:59:11
ボロボロになりながら杖を土に挿す夏油の描写だけ先に思いついたから、ひとまず2レスかけて長文で書き出してみた
まだその後のストーリーまでは書き出せない
誰がどう考えてどう動くとかで箇条書きにできる以上のものを思いついたら、それも後でSSにしてみたいな - 7二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 15:09:27
これからのこと
五条と夜蛾は夏油が最後に交戦した呪詛師(=香織)を徹底的に調査する
→記録上香織の死「後」に生まれたことになってる幼児の悠仁を発見、体内に宿儺の指を宿した檻だと即見抜いて、倭助と一緒に即保護
→夜蛾・五条とも、利用されたこどもと老人を即殺するメンタリティじゃないので(高専ではなくおそらく五条家内で)生かすはず
……ここから話が繋がらん
どうしようかね‥‥‥? - 8二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 15:29:41
鋼板に遺書を彫って埋めたのか
- 9二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:15:47
俺は悟さんの家で、爺ちゃんと一緒に守られながら育った。
呪術の現場には出れないけれど、現場で起きるかもしれない悲惨な物事と、悲惨な物事をどう防ぐかについては叩き込まれながら。
俺らの身の上とは関係ない「完了済み」の任務の末路は、開示できる範囲でもいくらでもあるお家だったから、教育材料は困らなかっただろう。
爺ちゃんは資料を読ませられて震えあがって、ずっと俺が現場に出ることに強硬に反対し続けた。
それでも強くなりたい俺についに折れて現場に出してもらえるようになったのは、俺の10歳の誕生日の翌日だった。
「強くなりたい者へ、魂を曲げさせるような振る舞いは、それはそれで御法度だから」と、悟さんは爺ちゃんに言ったらしい。
俺は、高専に入学するまでは悟さんと恵が一緒についてくる任務でしか出させてもらえていなかった。
悟さんがそうするべきだと判断したのだから、たぶんそれで正しい。
知るべきでない相手に知るべきでないことが伝わった場合、ここの業界ではかなり悲惨なことになる。
力量を正確に測れない者が力量の及ばない相手に対峙した時も、それはおそらく同じこと。
高専に入学して2ヶ月が過ぎた頃に爺ちゃんは病死した。
最期に俺しかいない場所でぼやいた。
「悟さんは善人で、俺らは立場の割にかなり恵まれたんだろう、そのこと自体は絶対に忘れるなよ。
ただ、俺達が保護された時に悟さんに言ったことを、お前にも言っておこうと思う。
1000年の間、誰にもどうしようもなく放置された物のツケが何故かお前に及んでいる、その程度の業界にお前は遺される、……そのことも忘れるなよ」
俺は呪術高専東京校1年 虎杖悠仁
表向きは『夏油傑さんが最期に交戦した呪詛師の息子』兼『術師の見込みがあるので五条悟が内弟子にしたヤツ』
爺ちゃんが死んだ日、俺の周りに血縁のある身内は誰も居なくなった。 - 10二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:30:09
書けるかどうか分からないなりに一応ストーリーらしきものは思いついたので、当面の間は折を見てスレを保守してもらえるとありがたいです
スレ主の環境は割と規制を受けがちなので - 11二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:36:46
五条家で育ってるし伏黒とも顔を合わせてるからこの場合、悠仁と恵は幼馴染って事になるのか…?
- 12二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:40:01
宿儺の指飲んでないなら呪力無しで色々厳しいと思うがそこはどうしたんだ
- 13二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:47:04
真希さんと同じルートかもね
- 14二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 16:50:45
爺ちゃんと仁さんが普通の人間だったっぽいこと考えると虎杖の身体能力も羂索の改造(宿儺の指込)由来だからな
- 15二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 17:22:33
これってもしかして前スレとかがある感じ?めっちゃ面白いからあるなら見たいです!
- 16二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 17:25:31
メロンパンはどこに潜伏してるんやろか…
- 17二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 18:57:42
夏油の遺書では羂索は倒したらしいけど脳が無事なら生首でも元気な奴だから一旦倒されたフリして夏油の死後に何とか呪霊ひしめく帷から脱出した可能性もあるんだよな…
- 18二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 20:12:55
このスレと同じ世界線の他スレがあるかという意味のお尋ねなら、答えは「残念ながらなし」です
ただ他の方が書いたスレで、未来予知を受けたと思しき夏油が思わせぶりに殉職をした系統の複数のスレがインスピレーションの元にはなりました
これまで、リアルで休職したり失職したり復職したりしながら、調子がいい時にSSを書いてきました
スレ主が書いたものと客観的に証明できるものはないけど、「他にSSスレを書いたことはある」とは答えさせてもらいます
現時点ではフルタイム労働者かつ調子が悪い時にエターする可能性が多分にある状況のため
そういう意味でも「書けるかどうか分からないなりにストーリーらしきものは思いついており、折を見て保守して頂けると助かります」という言い方になっているので、このことは重ねて断言させてもらいます
- 19二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 20:40:12
おもしれぇ〜スレだ……
今回は高専夏油が予知夢をって展開で進んでるけど、
離反後夏油もしくは離反直前の夏油が予知夢みてたらまた話変わりそう - 20二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 20:42:28
(違う世界線の話で、スレ主が最近立てたと客観的に証明できるSS関係スレが1スレだけあるので、それは御紹介します
ただこれは再掲載&挿絵募集スレで、元SSスレのスレ主だとまでは客観的に証明できない状況ではあるので、それは御承知おきください
きのう別スレにて、このカテではスレ主を名乗った挿絵募集はもうしないと明言しています
他所様のスレでこの挿絵募集スレを持ち出すと感覚的にマジ鬱陶しいと感じる現況です
少なくとも当スレが現行かつ「この」レスが読まれて認識できている内は、雑談スレを含む他所様のスレで挿絵募集スレの話題持ち出しは控えて頂けますと助かります
当スレ内では話題に出すことまでは禁止しません
スレ主が恐れるのは「募集を終えた話題が『他所様のスレ』で何度も擦られて話題に出されること」ですので、そういう意味でルール化させて頂きます
上記御理解下さい) - 211/225/12/14(日) 22:43:39
『その日』の内に行われた後付けの誤魔化しと、急に大事に巻き込まれた大変気の毒な小心者の補助監督の話をしよう。
夏油傑の殉職は、『天元様からの極秘任務』を『学長の夜蛾経由で受けた』結果、『極秘で討伐するべき呪詛師と戦って相打ちになった』ことになった。
天元と夜蛾正道と五条悟が全員で口裏を合わせて考えたストーリーは、それがあるべき『正史』になった。
夏油に同行していた補助監督は、遺品たる鋼材プレートの文面は全く読んではいない。
ただし、帳の外側からプレートを呪骸に発掘させた夜蛾が、視界共有で即座に顔色を一変させた様子は見ている。
夜蛾は「申し訳ないが、今の君には教えられない重大事案が起きた」とだけ言ったので、特級術師関係でロクでもない事態が起きたことだけは把握した。
当日中に、その補助監督は、夜蛾と五条の念入りな監督の下で、夏油が相打ちで討伐した呪詛師『虎杖香織』の調査に着手している。
呪詛師『虎杖香織』の身元はすぐに割れたので、夜蛾と悟と無理矢理つき合わされた補助監督は、その呪詛師の自宅に直行した。
呪詛師の義父ということになってしまった『虎杖倭助』は、突然押しかけた3人に極めて協力的で、おまけに『香織』の『没後の所業』について重要な証言を行った。
『香織』が生んでしまっていた息子という『虎杖悠仁』は、祖父と共に、悟の判断で即座に五条家に保護された。
夜蛾と悟は続けて天元のところで『将来産まれるかもしれない呪霊操術使いへの対応』を話し合おうとして、……そこで、忌庫番の『誰だコイツ』という怪訝そうな視線を受けた補助監督は、あまりの話題に遂にキャパオーバーした。
「こんな話題を知ったまま高専に在職したくありません!! このまま付き合わせるならいっそひと思いに死なせて下さい! それか全部忘れた状態で退職させて下さい!!」 - 222/225/12/14(日) 22:45:08
だから、縛りの言い出しっぺは、事態の重みに耐えかねて、忌庫番の妙な視線を浴びつつ、薨星宮の手前で失禁しながら学長の足に縋りつき、強者2人に精一杯懇願した補助監督の方。
決して夜蛾や悟が『忘れるか死か』を強要したわけでなく、どう見ても補助監督側の発案で縛りは結ばれた。
――夏油が殉職した任務に同行し始めた時から、退職を懇願する直前まで、その間に起きたこと全てを忘れる。
思い出す条件は、夜蛾正道と五条悟が、呪術高専東京校の学長室内で「夏油傑が殉職した任務の一切を思い出せ」と2人同時に言った時。
特級術師が殉職する事案に関わったことと、自分が忘却したくて恐ろしくて「忘れさせろ」と騒いだことそれ自体は覚えておく趣旨の縛りだった。
かくして補助監督は即座に退職して、一般社会に転職した。
夜蛾も悟も、その補助監督のみっともない態度のことと、その結果交わされた縛りの内容を、意図的に正確に言い触らした。
だから、その『元』補助監督は、呪術界で何かしら価値を見出されることはなく、争いにも巻き込まれず、記憶狙いの襲撃を受けることもなかった。
たまに夜蛾か五条から間接的な安否チェックを受ける程度の、その程度の小市民として生を全うしている。
退職した当人は、もちろん、何が起きたか決して思い出そうとはしなかった。至極当たり前の帰結である。 - 23二次元好きの匿名さん25/12/14(日) 22:53:18
- 241/525/12/15(月) 00:31:02
「今はとにかく休め七海
任務は悟が引き継いだ」
「……もう、あの人1人でよくないですか?」
あるべき運命が変わったのは、その後輩の『殉職』があって幾日か経った頃。
特級術師夏油傑が、地図にも載らないど田舎の任務に派遣されるはずの前の晩のこと。
――仲間(じゅつし)の屍を生まないような手立てがあればいいのに、なんて、取り留めないしかし強い思考を思いながら床に就いたこと。
それは本来その『世界』の中であるはずのない情報だった。
誰かの目線、夏油傑ではない何者かになった。
あるはずのない漫画本31巻+派生本3巻分を夢中になって隅から隅まで一気読みする、そんな夢。
公式ファンブック/逝く夏と還る秋/夜明けのいばら道/0巻/1巻~30巻
夢の中で、夏油は夏油ではない何者かになっていた。
どうしてか分からないけれど、高専生ではない『誰か』になった夢。
とにかく「すべてを読まねばならない」と思いながら、それしか考えられない境地で、インクの香り湧き立つ紙の単行本のページをめくった。
集英社刊行、芥見下々著の何もかもを吸収するつもりで、隅から隅までを覚えようとした、夢の中ではそれが正しいと思った。 - 252/525/12/15(月) 00:32:24
夢から覚めた時、『本来見てはいけないものを見た』と思った。
何もかも伝えてはいけないのだと直感した、それは世界を歪ませることだった。
併せて、この記憶を丸ごと抱えたまま生きてもいけないと思った。
世界の中で『あの記憶』を抱え込んだまま生き続けることは、同様にこの世界を歪ませる事だった。
特級の呪術師の命を捧げてできる範囲のことは何だろうか、と思索する。
何がどうあろうと猿(ひじゅつし)は嫌いだ。
でも、あの『知ってしまった』漫画本の通りに破綻して、2017年に親友(さとる)の手にかかって死にたくは無いと一番に思った。
それが巡り巡って悟のあんな死に方に繋がるのだと知ってしまったから。
夢を見て目覚めた朝、その日。
当初指令された通りに旧■■村に行き、漫画の筋書き通りに幽閉された双子を発見して、しかし村人は殺さずに双子を高専に繋げた。
「君たち、私を大恩人だと思うのなら、私が言うことを丸ごと覚えてほしい
明日の夕方よりも後、夜蛾という先生に『だけ』そっくりそのまま伝えるんだ、いいね?
夜蛾先生に『だけ』伝えてほしいことがあると言えば、先生は誰も聞き耳を立てられない場所を用意してくれるから
……伝えてほしいことはね、『枷場菜々子と美々子は呪術の恐ろしさだけを教え込んだ上で呪術界から遠ざけるべき双子です、少なくとも夏油傑のことは追いかけさせないようにしてください』
そういう伝言なんだ、……詳しいことは話せないんだ、……ごめんね……」
伝言の内容があまりにもあまりな内容だったのでえらい嫌がられたが、それでも、最終的に双子はその伝言を了解して『縛り』を結んでくれた。
本来、夏油傑のためにああいう無惨な死に方をした双子だからこそ情が湧いて、夏油傑は意図して運命を捻じ曲げた。 - 263/525/12/15(月) 00:34:08
双子を高専に送り届けてから、高専の図書館に向かった。
呪術高専にはその性質上、全国各地の色々な地図やら電話帳やらが単純に資料として集積されている。
勉強熱心なふりをして東北近辺縛りの特級・一級呪霊関係の任務記録一式をごっそり借り出し、その中にただの資料の体で北上市・仙台市の番地付地図とタウンワークを紛れ込ませた。
地図とタウンワークの中に取りあえず変な残穢がついてないことを確認してから、冊子を開かずに置いた。
虎杖姓を認識して調べた瞬間相手に伝わるとか、いかにもありそうな話だったし。
とりあえず高専と繋がりのある鉄鋼工場の電話番号を調べ、『今後の任務で必要だから』という理由で突撃し、自費で鋼板の杖と板を買った。
呪術的に何の加工の無い頑丈な資材を買うだけの話だから、急な話でも工場側は何も言わなかった。
寮の部屋の中で念のため帳を降ろし、手持ちの呪霊で鋼板に文字を刻めることだけは確認した。
これが今生最期の睡眠になると覚悟して熟睡した。 - 274/525/12/15(月) 00:36:04
すがすがしい朝だった。本来は東北の『と』の字もないような場所の任務に出る朝。
夏油傑は補助監督の手を掴んで言った。
「極秘任務に切り替わりました。予定とは違う場所に急行します、呪霊に乗ってください」「え!?」
呪術高専所蔵のタウンワークには『電話番号』と『回線契約者の番地』が掲載されており、番地地図付の地図と照合すれば家の場所は分かる。
高速度の呪霊に乗りながらようやく借り出した本を開く。
北上市の方のタウンワークに『虎杖倭助』があることを確認し、番地から家の場所を当てた。
だからその家がある辺りに小物の呪霊を先行してばらまき、『額に縫い目がある奴を見つけたら自壊しろ』と指示した。
そして北上市内で『その女』を見つけた。夏油目線では、相手にとって非常に不本意であってほしいタイミングだった。
抱え込んだ呪霊の中に鋼板を2種忍ばせていた。
1つ目は『遺書在中 この土の下 夜蛾先生と悟へ』と刻んだ杖。
2つ目は、ある程度の文字を刻んだプレート。
『2人へ
かなり嫌な予知夢を見ました。人に伝えると全呪霊に離反されて生命に関わるという直感があるので、命懸けで書き遺そうと思います
これを埋めた後、遠からず自分は呪霊に襲われて死ぬはずです。出来る限りのことはしました。後を託します
悟へ
夜蛾先生へ
』
戦闘前の段階では、これ以上の情報は遺せないと思った。
彫るべき文章は練り上げている。願わくば『この女』を始末して、その後で、遺せる範囲の情報を遺して、……そして帳の中で、自分は。 - 285/525/12/15(月) 00:37:12
不審がる恩師との電話を無理やり切りつつ帳の中へ駆ける。
きっと、親友と恩師の中で、夏油傑はどこまでも『術師の使命に殉じた高専生』として遺るだろう。
猿嫌いの側面はおくびも見せずに死んでいった、一般出身の割にとてつもなく強かった高専生として。
……それはそれで腹の立つことには違いない。
ただ、そうしたペルソナへの憤りが、負の感情が、これから引き起こす『何かしら』の原動力になるのなら、それで良いとも思う。
あの単行本のように遺体を弄ばされた挙句親友の死を招くような事態は、どうあっても嫌だった。 - 29二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 00:40:04
経験的に月曜0時代はアクセス規制を受けないので投下はできるのですが、それ以外の曜日では深夜帯更新は期待せずに頂けますと嬉しいです。
- 30二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 03:12:19
夏油が夢の中で現実世界とリンクして漫画という名の予知夢を見た感じか…
上手く呪霊が夏油の遺体を跡形もなく消しとばしてくれたならいいが倒されたフリでそのまま遺体を持ってかれた可能性もあるのが怖い…
奴なら縛りの穴を易々と抜けてきそうだし…詳しい記述はないけど吹き飛ばされた夏油の右腕が元通りになってたあたり多少の損傷ならどうにか出来そうだし… - 31二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 07:15:45
普通にどうなるのか気になる世界線だ
- 32二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 12:33:45
保守
- 33二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 18:34:39
明らかな誤字を発見したので取り急ぎ
タウンワーク:求人情報誌
タウンページ:職業別電話帳
ハローページ:個人別電話帳
夏油が倭助の番地を調べるのに使ったのはハローページです
うろ覚えで書くもんじゃないですね…… - 34二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 19:00:54
ひとつ謎掛けをしよう。
1.『夏油傑』の肉体は、離反した呪霊達に喰われて完全に喪われた。
帳の外から全く出ずに消え去って、ただのひとかけらも持ち出されることはなかった。
2.『虎杖香織』の肉体もまた同じ。
この世界において、以後、『虎杖香織』という女が生存しているように振舞うことはない。
3.『五条悟』と『夜蛾正道』は、『虎杖香織』=『額に縫い目のある呪詛師』という情報を把握した。
過去を辿る中ですぐ『加茂家に生じた御三家最大の汚点』の情報に行き当たっており、彼の名誉は『うかつにも、没後、呪詛師に乗っ取られてしまった術師』という看板に塗り替える形で僅かながらに回復された。
4.『額に縫い目にある呪詛師』は、以後、この世界において、『五条悟』『夜蛾正道』が健在である限り、彼らの視界の中には出てこない。
5.『羂索』は死んではいない。
少なくとも公式ファンブックの74~75Pの記述とあからさまには矛盾せず、かつ、原作0~30巻中に出てくる有様とは間違いなく異なる形になっており、なおかつ、『死んではいない』。
謎掛けはひとつ。
上記1.~5.の文章が矛盾せずに全て成立する状況とは何か。 - 35二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 19:06:21
- 36二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 19:18:40
改めて誤字補正を含めて謎掛けを再提示しよう。
1.『夏油傑』の肉体は、離反した呪霊達に喰われて完全に喪われた。
帳の外から全く出ずに消え去って、ただのひとかけらも持ち出されることはなかった。
2.『虎杖香織』の肉体もまた同じ。
この世界において、以後、『虎杖香織』という女が生存しているように振舞うことはない。
3.『五条悟』と『夜蛾正道』は、『虎杖香織』=『額に縫い目のある呪詛師』という情報を把握した。
過去を辿る中ですぐ『加茂家に生じた御三家最大の汚点』の情報に行き当たっており、彼の名誉は『うかつにも、没後、呪詛師に乗っ取られてしまった術師』という看板に塗り替える形で僅かながらに回復された。
4.『額に縫い目のある呪詛師』は、以後、この世界において、『五条悟』『夜蛾正道』が健在である限り、彼らの視界の中には出てこない。
5.『羂索』は死んではいない。
少なくとも公式ファンブックの74~75Pの記述とあからさまには矛盾せず、かつ、原作0~30巻中に出てくる有様とは間違いなく異なる形になっており、なおかつ、『死んではいない』。
6.原作同様、『虎杖悠仁』は『虎杖香織』の没後の子=『羂索』が意図的に生み出した息子である。
7.『羂索』の有様についての正解は原作の中には無く、呪術廻戦が連載されていた世界線における読者の考察の中に存在する。
そういう意味で「独自考察に根付く形で、原作0~30巻中に出てくる有様とは間違いなく異なる形になっている」。
謎掛けはひとつのまま、趣旨は全く変わらない。
上記1.~7.の全ての文章が矛盾せずに全て成立する状況とは何か。 - 37二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 20:07:15
(考察・合いの手に応じて文章は増やすつもりでいます。
御手隙の時に保守がてら何かしら書き込みを頂けましたら、スレ主のテンションが上がります……)
今後のことを考えて作業用のwriteningページを作成しました。運用方針は当該ページ上部に記載の通りです。
【SS投下ログ】何度も言わせるな 傑はおそらく遺書を遺して呪詛師討伐後に自殺した | Writeningこのページは以下のスレのSS投下ログです。スレ投下後、誤字etc補正済のSS本文をこちらに転記しています。 https://bbs.animanch.com/board/6003457/ 現状12/15 19:18投下36レス目まで転記済です。 なお、SS…writening.net自作の誤字脱字を確認するとすぐに修正したくなる+書き上げたものはすぐ投下したくなる気質です。
誤字系指摘は大歓迎ですので御承知おきください。
- 38二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 20:16:31
- 39二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 21:14:17
- 40二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 21:44:33
いちどだけ時系列は前後する。
「ってな感じで、彼のことがだーい好きな里香ちゃんに呪われてる乙骨憂太くんでーす
皆よろしくー!!」
2017年のある時の、呪術高専東京校1年生の教室の話。
元々4人いた学年に白服の転校生が1人増え、生徒が5人になったクラスのこと。
「コイツら反抗期だから僕がちゃちゃっと紹介するね」
「呪具使い禪院真希! 呪いを祓える特別な武器を扱うよ」「……」
ひとりは鍛えてそうなポニーテールの少女。
「呪言師狗巻棘! おにぎりの具しか語彙がないから会話頑張って」「こんぶ」
ひとりは口元を隠した色素の薄い髪の少年。
「パンダ」「パンダだ、よろしく頼む」
ひとりは喋ることそれ自体をごく当たり前のように話すパンダ。
そして残るひとりは――
「で、最後は加茂憲紀! 君みたいにややこしい訳ありで、身体も心も6歳のまま成長が止まってる
実年齢はもっと上の学年だけど、ひとまず今年からここの1年生扱いで面倒見てるよ! 総合的には学年イチ強い子かな? 友達になってあげてね!」
日本史の教科書から取り出したように如何にも『平安時代の子ども』のような格好の幼児は、無邪気そうにニコニコと言った。
「よろしくおねがいします!! 憂太さん! 里香お姉さん!!」 - 411/225/12/15(月) 22:59:36
時系列は遡り、虎杖悠仁10歳の誕生日直前の頃の話。
五条家内のある部屋で行われた、ある老人と当主の会話のこと。
「色々ここで教わって、俺の頭が回らないなりに色々思うところはある。
ちょっと本音ぶっちゃけていいか? 悟さんが心に留めておくかどうかは任せる」
「どうぞ」
「通称呪術規定だったか、正式名称がナントカの覚書だったか、あれ教わって読み解いた時、俺は『これは蛮族法だ』って思ったんだよ。
なんつうかな、放っておくと強い奴のやりたい放題になりそうな存在について無理矢理的なアレだな、
……力づくで『とりあえずまあ世間様の迷惑にならないように範囲を決めて押し込めましょう』的なニュアンスで、……そういう意味さ、うまく言えるか分からんが」
「……まぁ、うん、意味は伝わってる、……のかなぁ?」
「悟さん、……アンタたぶん『なろうと思えば暴君になれる』んだよ、たぶん地球全体のスケールでな、全人類相手の暴君になりうるんだろ、アンタの力は。
アンタにとっては、窮屈な場所にひとりだけ置き去りにされちまった形になってねえか?
亡くなった夏油傑さんのあの遺言は、アンタを無理矢理『人類を害させない方へ押し込める』方向づけに向かわせてしまってるんじゃないだろうか」
「…………、そうだね、その通り」 - 422/225/12/15(月) 23:00:47
「で、あの『香織』とやらが生きてるか死んでるか分かりゃしねぇ。
ただ、アンタの横に並び立つ夏油さんと相打ちになったというなら、それはきっとアンタと同じ『なろうと思えば暴君になれる』スケールの相手だったんだろ。
将来、順番通りに行けばいつか必ず俺の方が先に死ぬ。俺が何か力になれるとも思えねぇが、ともあれ、悠仁はそういうえげつないレベルの色々渦巻く世界にひとりきりだ」
「うん」
「ただ泣き言として願わせてくれ。『現場に出たい』ってアイツ自身が言ってて、悟さんがその背中を押すんなら俺は止められる余地は無ぇ。
いつか、いつかだ、……万が一、もしも悠仁(あいつ)自身の心が折れて、本当に終焉を願うような時があったとしたら、悟さんだけはどうかそれを聞き入れてほしい」
「……。『あの子を生かしてほしい』とは言わないんだね」
「そんな『死んでさえいなけりゃマトモに生きる道がある』的なお花畑な業界で生かされてる自覚は無えよ。
俺が言ってるのは『安らかな死』か『より悲惨な死』の2択を突き付けられたときの安楽死的な選択権の話なんだよ。
そういうことが有り得る地獄の中に、アイツは生まれた時から引き込まれてた。そうじゃないか?」
「うん」
「言っとくがな、アンタを何かしら縛り付けるつもりで言ってるんじゃねぇよ、単なるジジイの泣き言だ、……聞き流すかどうかは悟さんが決めること。
俺ごときが魂をすり潰して必死で願ったとしても、ちょっとでもアンタみたいな相手を縛り付けられるものなのかよ?」 - 43二次元好きの匿名さん25/12/15(月) 23:19:54
- 44二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 07:09:55
保守
- 45二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 08:30:27
遺書のプレートの具体的な大きさと厚みを書いてないですね……
皆さんどれくらいのサイズ観なら違和感ないでしょうか? - 46二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 09:52:58
単純に考えるなら加茂憲紀の中で無邪気な子供のように振る舞っている
そして恐らく六眼はそれを完全に判別する事はできない。良くてちょっと怪しいかな程度
2017年の教室描写は残念ながら思いつかなかったな。
羂索が五条に少しずつ近づいてる。という考えしか浮かばなかった
まぁ謎解きが苦手な奴が深く考えず見たままで纏めた内容だから多分間違ってる
- 47二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 17:42:02
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- 48二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 17:49:02
虎杖の脳内で存在してるなら潜む事は可能かな
宿儺は脳内でうるさいから呪術に詳しくない虎杖でもすぐに気づけたが完全に潜んでるパターンは五条でも気づかない気がする
伏黒の姉の状態、およびそれと同じ症例の患者を五条は察する事が出来てないし - 49二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 18:07:18
- 50二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 21:50:24
世界の中で六眼を持つ者はただひとりしかいないが、その他の誰だって、六眼ではない眼差しと思索は持てる。
六眼は無くとも、物理的な意味で眼(まなこ)を持つ限りは、その限りにおいて、眼差しと思索は持てる。
『圧倒的な自我を持つ者』がこの業界の中にいたとして、しかし、『何もかも見落としなくこなせる者』は絶対に存在しない。
例えば、極端な話、他人の心の中の何もかも見通して惨事を防ぐだけの眼差しは、少なくとも六眼とは絶対に両立は成し得ない。
誰にも負えないものを見てしまったのなら、他人に背負わせると余計に酷いことになると分かるだけのものを、それだけのものを見て・背負ってしまったのならば。
己の器量以上の物を見てしまったとして綺麗さっぱり忘れてしまうか、さもなくば、その重みに相応しいと思えるだけの行動を取るよりほかにない。
それが例えば見当違いのちっぽけな行動であったとしても、それはそれで器量に応じた行動ではあるだろう。
夏油傑は、選ぶべき道行きの前で、『全て忘れること』は選ばなかった。
仮にそう進んでいたなら、きっとそれはあの夢の通りに進む道行きで、累計1億部以上の創作物として刷られた筋書き通りにパンクし、2017年のあの冬に人生は終わる。
ただその末路を知った当の青年は、意図的に『そうすること』を選ばなかった。
己の器量を己なりに踏まえた上で、直感を振り切って、それでも『忘れないこと』を選んだならば。
ならば、見れるなりに見た末の眼差しと思索を抱えて、綴るか・語るか・さもなくば沈黙せねばならない。
脳内の物事全てを伝えられるテレパシストでもない限りは、推敲した単語・限りある文章で、そうやって、伝えたい相手に練り上げたことばを紡がねばならない。
魂から刻んだものが相手に伝わるとすれば、それは、究極的な意味では、まさしく『魂の視座から練った』思索の産物なのだった。
■■村であるべきだった『離反』と丸1日ズレる形で、かく呪術高専東京校3年 夏油傑の人生は破綻した。
特級術師の生命を掛けてプレートに彫った言霊の、その報いとして。
意図的に己の遺体を遺さないようにした。
ある物差しにおいては紙の上の運命を捻じ曲げる足掻きかもしれないが、当人にとってそれだけの価値がある、ただそれだけの終焉だった。 - 511/225/12/16(火) 22:45:59
六眼の真横に立ち続けることはできずとも、その記憶の中に爪跡は遺せる。
2018年のあの冬に袈裟姿で親友の背中を叩くことはできないが、あの面々の中で無意識に袈裟姿を捜してしまうほどの重みは遺せる。
呪術に生きる者は、どんな者であっても、魂を曲げてまでは存在し続けることはできない。
また、呪術に生きる者は、どんな者であっても、魂に無理のある形では、いつまでも群れ続けることはできない。
それは、総(すべ)ての者にとって同じこと。たとえ、呪術師であっても、呪詛師であっても、それは総て同じこと。
強者のエゴと縛りに拘束されて日常的に呪い合うという業界の中にあって、お互いに無かったものを嵌める形であっても信頼し合えるという関係は、極めて希少だ。
更にその関係が、心の中においても外形上にあっても、全くストレスなく乖離せずに信頼し合える関係であったなら、それは更にもっと希少なものなのだ。
だから、遺したことばはエゴの産物だ。意図的に親友を縛るための呪い。読んだ後の行動を予期した上の呪い。
狭苦しい帳の中で『あの女』は死んだ。確かに1級呪術師上位らしい死闘の末に、夏油傑の手に掛かって死んだ。
間違いなく『主人公』を生んだ女だった。戦闘向きじゃない身体にしてもあっさりと負けやがった。傑の目の前で。
妙な予感がした。この世界が妙に厳しいのは十二分に承知していたから、一度殺せば終わりだと決めつけるのはいけない気がした。
いちど刻み始めた言葉はどうにも止められない予感がして、とっさに用意した文章を1文だけ変えた。
――先ほど倒せはしましたが、こいつを一度倒せば解決なのか確証が持てません。 - 522/225/12/16(火) 22:47:29
ここまで書いて、限界だと思った。既に呪霊の大半が離反しており、これ以上はおそらく遺書そのものの損壊リスクに直結する。
予定通りにプレートを埋めて土の中に杖を挿し、呪霊に喰われながらふと気づく。
呪霊を閉じ込める帳は、『あの女』と傑の両方が同時に降ろした。
女は救援を呼ばれない利点があったし、傑の方もその帳の中で周囲の被害を気遣った。
傑の呪力が失われゆくために傑の帳はぼやけつつあり、それでも命懸けで降ろしたから当面は維持できる、……と思いたい。
杖を挿した後で、やっと、思いがけない事に気付いた。
『あの女』の帳と傑の帳の間に、隠れるように薄くもう1層の帳がある。
女とも補助監督とも違う『何者か』、この場にいない誰かが、どうにかして無理に降ろしたような。
理解できず解釈を経るより前にとうとう全呪霊が離反し、本当に身体が裂かれ絶命していくというプロセスが始まる。
下手な1級術師では負けるレベルの者達に喰われること、自分が従えた分だけ仕返しされて徹底的におもちゃにされること、全て覚悟して承知していた苦しみの過程。
伝えたいことを伝えることはできないまま、いまさら欲張るとよけいに悲惨な事になるという直感があって、とりあえず1個だけ願った。
転生とか降霊術とか普通にあり得る世界にあって、敵味方問わずに『自分の記憶を一切読まれないこと』だけを願った。
世界そのものの秩序をぶっ壊すようなそのレベルの記憶だから、流石に誰に対しても遺す気は無かった。 - 53二次元好きの匿名さん25/12/16(火) 22:50:05
所用が早く済んだので本日分投稿です。今晩はもう投下はありません。
帳関係の謎解きは少し後の投下にて明示します。書きたい描写をいくつか挟んだ後のつもりです。 - 54二次元好きの匿名さん25/12/17(水) 03:51:38
面白いし気になり過ぎるので保守
- 55二次元好きの匿名さん25/12/17(水) 08:36:37
めっちゃ楽しみや
- 56二次元好きの匿名さん25/12/17(水) 12:25:39
保守・感想ありがとうございます。
メンタル系とは違う内因トラブル発生中です。
フルタイム労働がない分は筆は進みますが、場合によっては執筆どころではなく筆が止まるのでご承知願います。
これだけだとアレなんで補足です。
>>43はすべて同じくくりという意味で大問1です。
小問3の答えを導く誘導のつもりで、小問1と小問2を書いてます。
- 571/225/12/17(水) 19:33:18
累計1億部以上の物語の中では登場『しない』ものを、ここで構想して綴ることを許してほしい。
三十余巻の中の情報を選択して削り出し1個1個ピースらしいものにして、勢い任せに組み合わせて稚拙なパズルか絵を創るらしいという作業にあって、類推して創り出した独自のピースが無ければ、おそらく描きたいものが腑に落ちる形では成立しない。
その前提で話をしよう。夏油傑がこの世界で殉職した頃の夜蛾正道の行動、というくくりの話。
六眼+無下限呪術の抱き合わせよりも、呪霊操術よりも弱く、しかし彼等から明確に恩師として認識されていた傀儡操術の術師のこと。
厳密な意味で時系列順に沿った語りにはならないだろう。ただ、『夏油が殉職した頃の話』という時期は共通する。
彼だって、傀儡操術学の権威らしきものになれる呪術師として、六眼ではない眼差しと思索は持てる。
六眼は無くとも、物理的な意味で眼(まなこ)を持つ限りは、その限りにおいて、眼差しと思索は持てる。
呪骸を通して見れる範疇においては、彼もまた常人とは違う視界で『見る』ことはできる、ただし教え子の心の内隅々までを見通せるような眼差しは、その眼とは絶対に両立しない。
死なせてくれとまで慈悲を乞うた弱っちい補助監督に死を命じずに退職の道を与えた、ただそれだけできる善性と、一方で、必要に応じて吐瀉物のような非道らしきことをしてみせる判断力は、1人の男の中で両立する。少なくともこの世界の中では。
呪術高専は私用と公用の携帯の混同を許す職場ではなく、夏油から思わせぶりな電話を受けた夜蛾は、速攻で公用携帯で同行の補助監督に電話を入れている。
オブラートに包めば『ひどく慌てていた』気の毒な補助監督は、身も蓋もない言い方をすれば『ギリギリ現在の状況だけ夜蛾に説明できたが、基本的に恐慌状態に陥りかけていた』。 - 582/225/12/17(水) 19:35:21
夜蛾は電話を『切るとマズい』と直感し、その判断を頭の中で仮置きしながら動いた。
公用携帯の通話を維持したまま私用携帯を使い始め、(一応そちらにも番号の情報は入れていたので)私用携帯から悟の携帯に電話を掛け、その悟が電話に出なかった時点で悟なしの先行を即断し、何が何でも先行する方法を模索し始めた。
この時代、憂憂はまだ活躍はしていなかったが(憂憂ほどに便利ではないにしても)代償を払えば、場所の分かる遠隔地に割と早く着く手立ては『あった』。そういうことにしてほしい。
相応しい代償のためにあとで夜蛾の財布は一時的にだいぶ寒い事になったが、それは本筋とは関係ないので置いておく。
パニックに陥った相手を落ち着かせる効果的な手法はいくつかあるが、ひとつは、やるべき事を率直に・簡潔に指示すること。
夜蛾は通話相手の補助監督に携帯をスピーカーモードに設定するよう指示し、夜蛾の方もスピーカーモードにすると言った上で、事実その通り補助監督と通話し続けた。
その補助監督に、夜蛾の指示は何とか全て通った。
複数の呪骸を従えた戦闘態勢の夜蛾が現着するまでの間、補助監督は、指示の通り、問題の帳よりも少しだけ離れて標高の高い場所に移動した。
そこから帳を見下ろして『帳の中に誰も入って来ていない』ことを実況し続けている。
結果論として、夜蛾の行動は、その補助監督にとってはファインプレーな動きだったろう。
敵方に、慣れない帳を降ろしつつも闇討ちまでを同時並行にこなせる輩は居なかったのだから。
夜蛾が公用携帯での通話を切っていた場合、補助監督は『パニックで帳の中に入ってしまった』筋書きで決着していたはずだ。
小心者のその補助監督は、死闘が繰り広げられる帳の中へ訳も分からず突き飛ばされていただろう。 - 591/225/12/17(水) 22:03:37
例えば、夜道を征く者のため、手製の呪骸に警備員らしい装束を着せることはできる。
反射ベストなり、ライト付きのヘルメットなり、誘導灯なりを装備させて、人間の如く標(しるべ)に使うことはできる。
それは他の者とは違う1級呪術師の力だ。紛れもなく、彼自身の、彼だけの異能の力だ。
ただしその人とは違う力は、人生の先行きという道そのものには作用しない。
予見能力など望むべくもない1級呪術師は、どう進むと『詰む』のか分からない闇の中を、常人と全く同様に手探りで進むよりほかにない。
仮に、仮に、見落としたもの・知り得なかったもの・闇の中に隠れ潜むものがあったとしても。
それらの物事が、人生の路の途中で、わざわざ呪骸の格好をして跳ねながら「ここに居ますよ」と叫ぶことなど、絶対に有り得ない。
教え子が彫り込んだ文字列がそもそも異例なのだ。
そういう意味で、その『遺言』は、特級の呪術師が命懸けでその見識を以って刻んだだけの標石(しるべいし)。
特級の彼が「生前には伝えられない」と判断して動いたのであれば、それは、1級の彼では扱いを間違えると容易に破綻する、それだけの予知夢だったのだろう。
気の毒な補助監督の退職手続きを終えて、悟込みで縛りを結び、薨星宮の中で天元様とやれるだけの協議をやった後。
今度は、傑が前日に保護した双子の女児について、その治療に当たっていた硝子から一報が届いた。
『双子が「夏油傑さんから伝言を頼まれた」と言って騒いでいる』という報告だった。
――『今日の夕方よりも後』に『夜蛾先生』という人に『だけ』伝えるように言われた。
ものすごく嫌な言葉の頼まれごとだったけど、夏油傑さんはしつこく頭を下げてきた。
しまいには「魂を縛る約束としてそのまま伝言してくれ」と言われて、仕方なく『そのまま伝言すること』を約束させられた。 - 602/225/12/17(水) 22:05:39
傑は『おとといの夜からきのうの朝にかけて』予知夢(=見てはいけないもの)を見たはずである。
双子が保護されたのは間違いなく『きのうの日中』の出来事。
傑は予知夢を見た『後』に双子を伝言を託しているはずなのだ。『今日の夕方』時点では己が死んでいるという前提で。
悟と共にすぐ硝子の元へ向かい双子を回収し、言われた通りに双子と夜蛾のほかに誰もいない閉鎖空間へ移動して、そして双子の言葉を聞いた。
――枷場菜々子と美々子は呪術の恐ろしさだけを教え込んだ上で呪術界から遠ざけるべき双子です
少なくとも夏油傑のことは追いかけさせないようにしてください
双子は確かに一言一句違わず同時に唱えた。夜蛾『だけ』がその縛りによる『ことば』を聞いた。
聞いた瞬間夜蛾の頭の中で、伝言に従って『やるべき事』の見当は付いた。
一方で思い付きの動きではいけないとも感じて、一晩だけ熟考して問題はないか検討しておくことにした。
第一、この双子の出身地絡みの嫌な事件の、諸々の手続きが終わり切れていなかった、という事情もあった。
まずこういう事情でもなければ絶対に夜蛾がやらないような事を、傍目から見て吐瀉物のような振る舞いを、明日、この子らに対して『夜蛾が』しなければいけないはずである。 - 611/325/12/17(水) 23:05:10
死なせてくれとまで慈悲を乞うた弱っちい補助監督に死を命じずに退職の道を与えた、ただそれだけできる善性と、一方で、必要に応じて吐瀉物のような非道らしきことをしてみせる判断力は、1人の男の中で両立する。
少なくとも、この世界の中では。勢い任せにピースを組み合わせた稚拙なパズルか絵のような、この『世界』の中では。
どんな物事でも、他人に任せてはおけず放置もできない事柄は、結果責任も含めて総(すべ)て己で背負い込むしかない。
特級術師の教え子が命懸けで遺した標石(しるべいし)が明確に『かくあるべし』と遺したことなのだから、託された『夜蛾先生』が、その責任でやり遂げるしかない。
己の器量を己なりに踏まえた上で、それでも『見なかったことにする』道行きを拒んだならば。
ならば、見れるなりに見た末の眼差しと思索を抱えて、綴るか・語るか・さもなくば沈黙せねばならない。
脳内の物事全てを伝えられるテレパシストでもない限りは、推敲した単語・限りある文章で、そうやって、伝えたい相手に練り上げたことばを紡がねばならない。
伝言を受けたのと同じ部屋で、翌日、意識して硬い雰囲気を纏って、双子と向き合った。
社会的には最低限の手続きを終えて、身体の傷については表面上は癒えた段階の、まだ、まだその段階の双子だった。
その段階の子等に『教え込む』のだ、『伝言されたこと』を。
かつて父親だった者として、嘘や誤魔化しは『いけない』のだと思う。
見たもの全てを伝えることなど絶対にできないし、するべきでもないが、その限度でも、夜蛾の心の中の尺度に沿って誠実でありたかった。
それは、夜蛾正道の魂の中で、教え子の命懸けの『ことば』に対して誠実に振舞うことと、全く同義のことだった。 - 622/325/12/17(水) 23:06:10
「きみたちにとって、夏油傑くんはどんなひとだったかな?」
「やさしいひと、だいおんじんの」「こわいところからたすけてくれたひと」
「「あのとき、あのひとがきてくれなかったら、わたしたち、しんでた」」
「……。きのうここで、私につたえたこと、二人ともまだおぼえてるね?」「「うん」」
「どうしてたのまれたか、夏油傑くんがなにをかんがえていたのか、きみたちにわかるかい?」
「「わからない」」
「もう一度かくにんするけれど、『くわしいことはおしえられない』って、言っていたんだよね?」
「「うん、言ってた」」
「どういうことか、しりたいかい?」「「しりたい」」
この返事の直後、夜蛾はほんの少しだけ呪力を解放した。ひとまず双子の呪力と同じくらいの。 - 633/325/12/17(水) 23:07:15
「どういうことなのかは私にも分からないんだ。
ただ夏油傑くんはまちがいなく私よりも強かったんだ。強いのに私よりもこわいものを見て、私の手におえないものを見てしまって、その後で死んだんだ。
きみたちがつたえた『ことば』は、夏油傑くんがいのちがけでのこした、私にとってはいのちがけで教わった授業みたいな『ことば』なんだよ」
意識的に語尾を乱して、子どもらしい言葉を解いて、呪力を増大させる。ある程度双子が圧を受けるように調整して。
「だから私がこの世界で生きている限り、君たちがこの呪術の世界に関わるのは『ダメ』だ。
もしも夏油傑(アイツ)のことを追いかけようとしたら、私は――」
呪詛師に対して向けるように、『1級呪術師』として振る舞う時の呪力を双子に向けた。部屋がビリビリと圧を受け、双子も揃って震えて抱き合う姿を見下ろして。
「私は、訳の分からないなりにその『ことば』を受けた人として、最悪の場合はきみたちを『殺してでも』止める」
まだ完全に癒えてない子どもらの生傷に吐瀉物を塗り込めるような振る舞いなのだと思う。
意図的にトラウマを生み出すようなたぐいの行動であった。
最低でも『夜蛾正道』という男に対して、『殺される』レベルの恐怖を感じたような出来事であったろう。
この振る舞いが最善解なのか分かりはしない。
お節介なおじさんの小言めいた忠告というレベルではなく、別のニュアンスと重みをもった明確な『禁止』なのだと、そのことだけはどうかこの子等に伝わってほしかった。 - 64二次元好きの匿名さん25/12/17(水) 23:08:49
今晩はもう投下はありません。
次回予告:当時の悟関係のなんやかや - 65二次元好きの匿名さん25/12/18(木) 08:34:43
保守
- 66二次元好きの匿名さん25/12/18(木) 12:18:31
思い浮かんで24時間経ってもインパクトが抜けないのでここで吐き出させて下さい
SS本文の雰囲気を台無しにする内容なんですが
他の用事をしながら投下する文の構想を練っていた時のことです
犯人の犯沢さんの主人公めいた黒ずくめキャラが、『見落としたもの』って書いたデカい紙を顔面にテープで貼り付けて「ここにいますよ」と叫びながら、薄暗い道の先で呪骸みたいに跳ねている光景が、脳内に降って来たんです
危うくひとり相撲で勝手に吹き出した人間になりかかりました。リアルで周りに人がいるのに…… - 67二次元好きの匿名さん25/12/18(木) 15:10:24
すごいね。
- 681/225/12/18(木) 19:09:00
ややこしい前置きをしよう。ちっぽけな結論にしか繋がらない、その程度の話だが。
『単眼の猫』という仮面(ペルソナ)らしい人が創り出したあのシリーズを、一本の棉(ワタノキ)と見立ててみる。
シリーズの中で『書き綴られた情報』を実った実と見立てて、実をひとつひとつ吟味した上で採ってみる。
収穫したらしいその実を、それらしく類推して模倣した別人の独自の実と混ぜる。
全て一緒くたに馴れない手つきで綿にして、何とかして糸車で繰(く)って糸にする。
出来た糸を稚拙な手のまま頑張って布にしようと織ってみて、織る中で綾目らしきものを織り出してみようとしたりする。
経(たて)糸も、緯(よこ)糸も、常に『別人の実』が混ざったものだ。原理としてそのような布しか織れない。
とはいえ、元々の棉(ワタノキ)に脳を焼かれた方々は世の中に極めて多く存在する。
元の木を思いながらもその布を凝視するほんの一部の方の中で、時々、ひょっとしたら有り得るかもしれない構図がある。
それは、織られつつある綾目(あやめ)に感心したり、織り方の想定外で不意を突かれたりする、そんな構図。
特定の創作物を元に別の創作を創り出すこと、それを他の人に読んでもらうということは、そういうことが有り得るような営為ではないだろうか?
それがどんな織り方であったとしても、究極的にはそういう原理のものではないだろうか?
織り手の中で衝動と計算がどれだけ混ざるかは、それこそ織り手によるだろうが。 - 692/225/12/18(木) 19:10:04
この世界の話をしよう。
上記の比喩を前提とする場合、類推して実を育てたものはひとりでは無いが、糸を繰り糸車を回し織機を動かす者はたった一人。
稚拙で不安定な紡ぎ手だ。
ただし元の綿(ワタノキ)に脳を焼かれた多数の中にいる、それだけの『ちっぽけな個人』であることは保証する。
同時に「いつなんどき手が止まるか分からない」とも重ねて明言したい。
「不安定なので途中で止まるかも分からない」と断って、その上で糸を繰って糸車を回して織っているのだから。
織る営為が本当に止まった場合があったとして、「何で止まったんだ」と責め立てられる謂(いわ)れは無い、さすがにそう思いたい。
これから『傀儡操術の1級呪術師の話』の大きなくくりの中に、小さな『六眼の話』を包み込む形にしようと思う。
だから、悟の話が終わった後にはまた彼の話が続く。
併せて、これまでに繰り出して織ったものの中に、「後付けの伏線を仕込んだ」ことを明言する。
これまで提示した謎掛けを補助する形にしかならないが、とりあえず『伏線』らしい綾目ということにした。
もしも、もしもの話。
不安定な織り手ということを飲み込んだ上で、それでも綴った稚拙な世界に共感する眼差しが、もしも、どこかにあったとして。
時間を割いてでも『これまでを振り返ってよい』という奇特な方がもしも居たとしたら、『命懸けでも彫り込めなかったもの』を意識して読み返してほしい。
この『伏線』は、これまでの謎解きの解を補強するちっぽけなものでしか無い。
語られたその方の言葉に対しては、状況に応じ『沈黙』という答えを返す恐れが多分にある。
とはいえ、考察された言葉があった場合には、それを読んだ織り手のテンションが身勝手にも上がるだろう。今のところそれ『だけ』は保証する。 - 701/325/12/18(木) 22:33:19
『無限』を持つその頃の『彼』の話を、どうにか表現しようとする。
無限にあるはずなど決してない語彙のプールの中から、センスに沿ってそれらしく単語を選び、どうにかして表現しようとする。
いちど使った言い回しを改めて用いて、何とかして組み立てて、ことば選びの乏しさを糊塗しようとする。
同じ文体で違う比喩を幾度か廻らせて、「呪いが廻る話だ」と言い張ろうとする。
そうしたセンスの中に隠したものを潜ませて繰り出す世界の話なのだ、と、明記したい。そうでなければ読み手に対して誠実ではないと思うから。
風呂敷のように大きく広げた『夜蛾正道の行動の話』の中に、小さな石のように『五条悟の行動の話』を置いてから包む。
包む側も包まれる側もどちらも厳密には時系列に沿った記述にはならないけれど、『夏油が殉職した頃の話』という時期は共通する。
A5サイズの紙と比較すれば、そのプレートは幾らかは小さい。
2018年の世界に存在するスマートフォンと比較すれば、そのプレートは幾らかは大きい。
残された『遺書』は、そのくらいの大きさで横長の鋼材プレートだった。
鉄筆か何かのように使える呪霊があったのか、覚えのある几帳面で細やかな字体が物理的に彫られていた。
その1枚のプレートが、五条悟の手元に遺された。
ペラペラではないけれど分厚いというほどでもないプレートだ。
体格を加味すれば、肌着の下に、アクセサリーのように首から提げる形で着込むこともできなくはない。
夜蛾から極秘で現物を渡された瞬間に悟は「自分が持っておく」と即断し、夜蛾もそれを快諾している。
『肌身離さず持っておく』ことがセキュリティ面でも心情面でも一番ベストだと考えた。
他の選択肢は、託された2人のどちらにも思い浮かばなかった。 - 712/325/12/18(木) 22:34:20
プレート自体を更に加工することは憚られた。
悟の判断で大枚をはたき、『遺品の記憶を読み取る』術式の術師と、『物体を固定化する』術式の術師を手配した。
『術式を指示されたモノに掛けること、どんなモノなのかは報酬の現金を渡した瞬間に忘れ去ること』を縛りにして、五条家を絡める形で雇った。
雇われた術師は、どちらも、刻まれた文字を把握したとたん、露骨に『厄介な事に巻き込まれた』という顔をした。
ただ、どちらも目の前になかなか稼げない大金の札束を積まれたので、ともかく縛りは成立した。
なお『遺品の記憶を読み取る』方の術師は「『絶対に記憶を読み取れる』とまでは保証できない」と縛る前に強く言い張ったので、その留保の上で出来高制の契約になった。
親友の最期の記憶は『全く』読めなかった。予想した通り、何も読めはしなかった。
綴られたことを加味すれば納得は出来ることである。
他人に伝わったらあからさまにマズい思考を、傑(アイツ)が不用意に遺すはずがない。
固定化の方の術師に雇った通りのことをしてもらい、プレートがちょっとやそっとでは破損しない状態にしてもらう。
プレートの側面に接着剤を塗って、別に木の枠を貼り付けた。その枠の方に穴をあけて紐を通して、首から提げることにした。
こうして親友の『遺品』は遺された。
他人の視線のある場所では絶対に見せつけることなどしないが、常に胸元に『有る』というかたちを取る限り、それに意味があるような気がした。 - 723/325/12/18(木) 22:36:09
例えば、何か任務で必要があって『茈』で一思いに吹っ飛ばした現場とか、呪霊の残穢でぐっちゃぐちゃになった後の現場とか。
そういう、『あの現場』を思い起こさせるような現場があったときだけは。
特に傑の殉職直後の時期は、ひとりで感傷に沈んでプレートを服から出して、その文字を読み直してみたりした。
六眼は、当然、彫られた文字それ自体を読むことはできる。
ただし記憶を見通すような眼差しは、少なくとも六眼とは絶対に両立は成し得ない。
あの帳の中で何をどう考えて傑(アイツ)がことばを練って彫ったのか、こころの中までを六眼で見通すことはできない。
どうして、見るべきでないもの=『予知夢』を見てしまったのか、残されて託された側には決して知り得ないこと。
ただ『予知夢が不意打ちで降ってきて、その末に特級術師が殉職してしまった』という推測が真であったのであれば。
その推測が真であったとすれば、見たものと同じ予知夢は、悟にはおそらく見れない。
狙って同じ夢を見ようとすれば、六眼も無下限も生命をも喰い潰す代償と引き換えにしても『紛い物のそれらしい夢』が見れるような、そのくらいに『重い』夢のはずだった。
託されたものに縛られる限り、その選択は絶対にできない。『同じ内容の夢』を求めることはできない。
そういう意味で夏油傑と『同じ視座』は決して得られない。同じ重さは背負えない。
六眼『は』ある五条悟にとって、酷く物悲しい推理だった。 - 73二次元好きの匿名さん25/12/18(木) 22:37:34
今晩はもう投下はありません。
次回予告:当時の悟関係のなんやかや(続)