コンテスト当日。食トレと演技の練習を積んだコンディション最高のシャンデラと共に、俺はカイナシティのコンテスト会場に来ていた。
ハルカは後から来ることになっている。俺は参加者だから早めに会場行かなきゃだけど、俺が控え室に行ったあとはハルカが暇になっちゃうからな。
「うし、入るか」
まだ始まるわけでもないのに少し緊張して中に入ると、奥の方にルチアさんが立っていて、俺に気づくと目をキラッキラに輝かせて近寄ってきた。
「待ってたよシバリくん! コンテストに出てくれるなんて嬉しいなぁ!」
ルチアさんにはコンテストに出ることを連絡してあり、『絶対見に行くね!』と言われていたのだが、まさか先入りしているとは思わなかった。
「あ、あの……まだコンテストまで結構時間あるんですけど……」
「そんなこと言ってられないよ! 昨日なんて楽しみでぜんっぜん眠れなかったんだから!!」
「あ、あはは……」
……もしかしてだけど、これ相当期待されてないか? 何だろう、プレッシャーが凄い。
「それに、受付とかも初めてでしょ? わたしがその辺りもサポートしてあげなきゃって思って!」
「それは……確かに」
「でしょでしょ!? じゃあ早速こっちで──」
ルチアさんに手を引かれて窓口に向かい、そのまま受付をしてもらったのだが、手慣れたルチアさんが居たおかげでめちゃくちゃスムーズに完了した。
「じゃあ控え室行こっか!渡したいものもあるし!」
「渡したいもの……?」
「うん! ほらほら、こっちこっち!」
今度は背を押されるような形で案内され、ルチアさんに流されるまま、俺は控え室の中へと入った。
「えへへ……あのね! コンテストライブに出るシバリくんに、是非プレゼントしたいものがあるの!」
「プレゼント……ですか?」
「うん! ほらこれ! じゃーん!!」
そう言ってルチアさんが見せてくれたのは、一着の衣装だった。
なんかすっごいパンクというか、ハードロックというか。そんな感じの衣装だった。
「あの……これは?」
「シバリくんのために用意したライブスーツだよ! コンテストのときは是非着てほしいな!!」
「これを!?」
ちょ、ちょっと派手すぎないか……? というか、そもそもこういうのって値が張るのでは……。
「いきなりごめんねっ! でもでも、絶対似合うと思うの!」
「あ、その……気持ちはありがたいんですけど、流石にこんなものを貰うわけには……」
「いいの! もう用意しちゃったんだし! それにね!」
ルチアさんは俺の手を取って、目を見て口を開く。
「実はシバリくんって、スカウトしたトレーナーさんの記念すべき100人目の人なの! カミツレさんからシバリくんの話を聞いたときから、わたしも会ってみたいと思ってたんだけど、まさかスカウトの場で会えるなんて思ってもなかった!」
「これはきっと運命なのよ! わたしたち、出会うべくして出会ったんだと思う!」
「シバリくんはわたしの求めていたトレーナーさんに違いないのよ! だから、コンテストデビューの記念に貰ってほしいな!」
「……はは」
期待おっっっっっっっっっも。マジで失敗できないぞこれ。
なんでカミツレさんは俺なんかのことをルチアさんに伝えたんだ……。
「……えへ、ひとりで盛り上がっちゃってごめんね? でも、そういうわけだから、貰ってくれると嬉しいな!」
「そ、そこまで言うんなら、ありがたく……」
……旅の途中だし、今日以降はしばらく着ることはないかもしれないが、それでルチアさんが喜んでくれるのなら頂いておこう。
衣装を受け取った俺を見てルチアさんは満足そうに頷くと、少しこちらに距離を詰めてきた。
「それと、もう少し気安く話してほしいなぁ」
「へ?」
「だってシバリくんずっとわたしに敬語だし、さん付けだし、なんだか距離感あるなぁって」
「そ、そんなことは……」
「そんなことあるの! これからは敬語とさん付け禁止!」
「……わかり、ました……」
「むー! 言ったそばからぁ!!」
頬を膨れさせてプンプンしているルチアさんに、俺は咳払いをしてから口を開く。
「……わ、わかった。これでいいか? ルチア」
「──っ! うん! よくできましたっ!」
ルチアは満面の笑みを浮かべてパチパチ拍手してきた。これ、そんなに嬉しいか……?
「じゃあわたしはもう行くね! シバリくんのライブステージ、ばっちり見てるから!」
『優勝出来るといいねー!』なんて言いながら、ルチアは控え室から出て行った。
「……さて、シャンデラ」
「シャ、シャア……」
ルチアからの期待の重さを目の当たりしたことで、シャンデラがカタカタ震えながらボールから出てきた。
「まあ……うん。気持ちはわかるけどさ、お前なら大丈夫だから。もし怖くなったら俺の方を見ろ。な?」
「……シャン!」
「よーし上出来だ! さて、あとは
「シャーン!」
広さ的には大丈夫だと思うけど、怒られたくないしね。
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『いやぁ、エントリーNo.13 ハルノブさん。見事な演技でしたね』
『はい。"はなふぶき"と"はなびらのまい"、それに"マジカルリーフ"を組み合わせたロズレイドの踊りは実に綺麗でした。あの"うつくしさ"は中々のものですよ』
13人目の演技が終了し、司会の人達が今の演技について感想を話していた。
観客席に座っていたハルカは、少し緊張した様子でフィールドを見つめている。
(次はシバリくんの番……。練習は頑張ってたけど、大丈夫かな……)
シャンデラの"エンドレスもらいびモード"と"ガラルキャンプファイアーの姿"は確かに綺麗だが、このコンテストという場でそれをやり遂げるのは少し難しいのではないかと、ハルカは感じていた。
彼女から見て、シバリの他の手持ちに比べてシャンデラは少し控えめなところがある印象があり、こういう大勢の前に出たらシャンデラが萎縮してしまうのではないかと、そう思わずにはいられなかったからだ。
『では続いて、エントリーNo.14 シバリさんです!』
司会の言葉と同時に、シバリがフィールドに現れた。
(あ……あれっ? あんな服、持ってたっけ……?)
見たことのない服を着ているシバリを見て少し不思議に思ったハルカだったが、似合っていることもあり、一旦気にしないことにした。
『情報によると、どうやらあのルチアさんがスカウトした人物だそうです。これは注目ですよ』
『なんと! それは期待できますね!』
(あ、あちゃあ……)
司会の人達に悪気はないのだろうが、初めてコンテストに出るシバリに向けてハードルを上げるような言葉が投げかけられたのを見て、ハルカは少し頭を抱えた。
(シャンデラが今のでちょっと震えてる……。大丈夫かな……?)
心配そうに見つめていたハルカだったが、シバリもそのことに気がつき、シャンデラを撫でて落ち着かせていた。
(……良かった。あれなら大丈夫そう……)
ほっと一安心して、ハルカは改めてシバリとシャンデラを見つめる。
いよいよ、シバリの番が始まろうとしていた。
『ではエントリーNo.14 シバリさん! お願いします!』
シバリはその言葉に頷くと、シャンデラに向けて指示を出した。
まずは"ほのおのうず"からの"エンドレスもらいびモード"。普段は無意識に出来るらしいが、本来制御がとても難しい技。
緊張している状況だと失敗してしまう可能性もあったが──。
『おーっ!! これは凄い! 見たこともありません! "ほのおのうず"を自らの身体に纏わせています!!』
(良かった……! 上手くいってる!!)
練習をずっと見ていたハルカにとって、まるで我が子の晴れ舞台を観るかのような感覚だったので、シャンデラが最初の演技を成功させてとても安心していた。
そのあとも、"おにび"でのジャグリング、暖色系と寒色系の色変化、"ガラルキャンプファイヤーの姿"への移行など、練習した通りにどんどん演目は進んでいく。
(良かった……もう演技も終わるし、これなら大丈夫そう! クオリティも他の人とは全然引けを取らないし、もしかしたら上位入賞も有り得えるかも……!)
なんて、拍手しながら安心していたハルカだったが……。
「──じゃあ最後に、とっておきを見せて終わろうと思います!」
「……へっ?」
このシバリという男、これで終わるトレーナーではなかった。
(まさかシバリくん、何か隠して……? でも、他に練習してたことなんて、何も……)
ハルカの疑問を余所に、シバリはシャンデラへと指示を出す。
それはとある地方で目撃される現象。
それをいつでも発生させられるように、予め蓄えておいた
「見せてやれシャンデラ!
・シャンデラ
残り1回分だけセルフダイマックス用のガラル粒子を残していた。やれば出来る子。
・シバリ
「えっ? 1回だけダイマックス出来んの? ならダイマックスでガラルキャンプファイヤーの姿すれば盛り上がるんじゃね?」
これだけの理由でダイマックスさせた。
・ハルカ
良かった……頑張ったねシャンデラ……(涙ほろり)
でっっっっっっっっっか!?
・ルチア
彼女にとってシバリは記念すべき100人目のスカウトであり、運命としか思えない相手であり、割と重めな感情を抱いている。
どの手持ちポケが一番良かった?
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シバリ:ムクホーク
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シバリ:ジュカイン
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シバリ:シャンデラ
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シバリ:パルシェン
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シバリ:ゴローニャ
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シバリ:ケッキング
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ラズ:エレキブル
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ラズ:ドドゲザン
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ラズ:ギャラドス
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ラズ:ドーブル
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ラズ:カクレオン
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ラズ:メタモン
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サイトウ:柔道整復師カイリキー