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災害関連死の認定に必要な「審査会」、6割の市区町村が未整備…弔慰金の支給遅れる恐れ
地震などの災害を巡り、全国の市区町村の6割が災害関連死の認定に必要な「審査会」についての規定を整備していないことが、内閣府の初の調査でわかった。自治体が関連死を認定できなければ遺族への災害弔慰金の支給が遅れる恐れがあり、内閣府は各自治体に調査結果を周知し、規定整備を進めるよう求めた。
災害関連死認定に必要な「審査会」の規定の整備状況
災害弔慰金支給法では、災害犠牲者の遺族には市区町村が最大500万円の弔慰金を支給すると定める。
直接死は自治体が審査なしで支給する一方、避難生活による体調悪化などで亡くなる関連死については、医師や弁護士らでつくる自治体の審査会が死亡診断書などをもとに災害と死亡の因果関係を調査し、関連死に当たるかを判断する。審査会がなければ関連死の認定は事実上できないため、同法では審査会の設置を条例で定めることを各市区町村の努力義務としている。
内閣府は全国1741市区町村を対象に、今年8月末時点の規定の整備状況を調査した。調査結果によると、条例で審査会設置について定めた上、委員の選定方法など運営に必要な規定も整備した自治体は685(39・3%)にとどまった。1055自治体(60・6%)は条例で審査会について定めていないか、運営に必要な規定を設けていなかった。弔慰金に関する条例そのものがないのも1自治体あった。
滋賀、香川、長崎の3県は、全市町が未整備だった。南海トラフ地震で甚大な被害が想定されている和歌山県も整備率6・7%にとどまった。
内閣府
一方、石川県と沖縄県では全市町村で整備されていた。石川県では昨年の能登半島地震を機に、県と複数市町が合同で審査を行う体制づくりが進んだ。
整備が進まない背景には、自治体の人員やノウハウの不足などがあるとみられる。岩手大の宮本ともみ教授(民事法)は「弔慰金は遺族の生活再建の柱となり、早期に支給されるのが望ましい。迅速な認定に向け、市区町村は平時のうちに審査会についての規定をつくり、運営方法も検討すべきだ」と指摘する。
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