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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
龍よ、竜よ! われらが拓くは未知と真実
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エンカウント・ビッグネーム

過去最大級のガバが感想返しで発覚し、動揺を隠せない今日この頃。

遭難日記一日目、内なるサンラク(フェアクソのすがた)が殺意剥き出しで暴れてて困っている。





「……エムル」


「周囲に反応は無し……逃げ切ったですわ!」


よーしよし、遠くの方から三重の咆哮が聞こえてくるが対岸まで逃げ切ったなら危険な火事も呑気に眺めていられるというものだ。


「さて……ソロならともかく、護衛ならこうなるのも必然と言えば必然か」


これ複数人、それこそ十五人とかで挑んでたらもっと簡単に済んだのでは、と思わなくもないが……いや、その為の聖女ちゃんか? 依頼者が参加者を制限すれば難易度は保たれる。クソ、どうせならパーティ組めるか確認しておけばよかった。エムルは事前に報告したから、NPCだからパーティを組めた可能性もあるから参考にならない。


「さて……陛下、そして殿下。逃げ切ることには成功しましたが前線拠点とは真逆の方向へ逃げてしまいました、しばし歩く事に……場合により「手荒な」強行対処もやむを得ない可能性もございますが……よろしいでしょうか?」


「うむ……余とてこの状況で贅沢は言えぬ。とはいえ、だ」


ん? あとアーフィリア殿下こっち見ないで、心の中の闇が軋んで痛い。


「仇討の刃よ……まずは余とアーフィリアを救い出した事、褒めてつかわす」


「あー……はっ、身に余る光栄を」


騎士プレイあんまりやらないからなぁ……世紀末円卓はあれ騎士っていうか騎士(ゴロツキ)だし。とはいえ騎士キャラなら腐る程見てるので上っ面のロールプレイングは可能だ。

跪き、頭を下げて王様からの賞賛を受け入れる。

こういう時に礼儀作法見せないと肝心なシーンで好感度足りなくなってピザるからマジ大事。


「名を申すがよい」


「手前は名乗る程の者ではないのですが………サンラク、と申します。こちらはヴォーパルバニーのエムル、モンスターではありますが頼りになる相棒にございます」


「ふふーん!」


ふんすっ、と俺の頭の上で器用に立って踏ん反り返るエムル。出会えば最後、的確に急所を狙ってくる殺人兎が喋っているという事実に王様もフェアカス……じゃない、アーフィリア殿下も興味と驚愕を恐怖に混ぜた目でエムルを見つめている。


「サンラク……サンラク様、と仰るのですね」


「んっぐ」


うっ、発作が。


「その……わたくし、とても感動致しました!」


「んぐぐぐ」


うっ、もう一つの闇人格が


「まるで、そう、まさしく御伽噺の英雄のようで……!」


「くっ……」


落ち着け(ステイ)落ち着け(ステイ)…………よく狙って(ステンバーイ)よく狙って(ステンバーイ)…………っは!? 俺は一体何を、いつの間にか奴の頚動脈を狙っていた。


彼女はフェアカスじゃない、やけに気合の入った……多分初期設定では第二ヒロインになるはずだったキャラが割とえぐい死に方した直後に「今日はいい日ね!」とか言わない。死神だって多少は死者に敬意を払うぞ……


「か、過分な評価です。所詮自分はしがない根無し草……腕っ節だけで成り上がっただけの開拓者です」


くっ、しかし見れば見るほどフェアカスそっくりだ。フェアリア・クロニクル・オンラインにおける「フェアリア(カス)」はラスボスによって人の姿に変えられた大精霊の姫、という設定だったのでどちらかと言えばエルフ的な特徴が多かった。


だがこっちは完全に人間だ、そしてここまでコミュニケーションをした限りでは美少女のテクスチャの下にドロッドロの汚泥が如きイビル潤滑油が血の代わりに流れているフェアカスとは違って典型的お姫様、という感じだ。


だが顔がフェアカスなのだ。こればっかりは植えつけられたミームが強すぎる。

例えばペンシルゴンの本性を知ってしまえば雑誌の表紙を飾る天音 永遠の笑みを見ても胡散臭さしか感じられないように、オイカッツォの受け身さを知ってしまえばインタビューでイキる魚臣 慧を見ても鼻で笑うことしかできないように。

こればっかりは認識と概念ついでに刷り込みの問題なのだ、パブロフの犬とも言うか?


「それほどの力量を持ちながら……サンラク様、もし宜しければわたくしの騎士として……」


「落ち着けアーフィリア、今はそのような事を言っている場合ではないのだぞ」


「あっ……はい、申し訳ありません……」


生憎、俺はジョゼット達のように常時ロールプレイ出来るほど役にのめり込めないからなぁ。


「とにかくです、御身らに相応しくないことは重々承知しておりますが、野宿の可能性もお覚悟いただきたい」


「うむ……むぅ、死を免れたと考えれば贅沢すぎる悩みと考えるべきか……」


エムルの「門」はユニークシナリオ受注時のイベント使用を除いて基本的に発動者及び同伴者が行ったことがある場所でなければ転移できない。あと地味に門を作る為の壁が必要だ。


少なくともフィフティシアは共通して訪れている筈なので条件自体は満たしているはずだが……これでもし王様達だけ転移対象外だった場合、目も当てられない最悪ルートに入ってしまう。

割と適当に走ったからな、この森の中で特定座標にロケートなしで辿り着くのは無理ゲーだ。


「苦労して見つけたら屍になってました、とか泣くに泣けないし……」


安全策を選ぶ事はなんら恥じる事ではない、不安定な効率で作業するとむしろ失敗時にロスになるからな。成功率八割の十秒よりも成功率十割の十五秒が大事。


よし、とりあえず状況及び暫定的敵性の再確認。そしてクリア条件の定義だ。

まず現状……遭難中、星の位置とかクソの役にも立たないので太陽が昇る方向から包囲を把握する必要あり。

暫定的敵性……第三騎士団、及びこの森に跋扈する恐竜擬き共。今だと後者の方が脅威だ。

クリア条件……NPC「先王トルヴァンテ」及び「第一王女アーフィリア」を生存させた状態で拠点へ帰還する事、いや三神教の庇護下に置くまでがクリア条件か。


こうなると地図を持ってこなかった自分の迂闊さが憎い。旧大陸のエリアは基本的に一本道だったから、地図がなくてもまっすぐ進めばなんとかなるところがあった。

だが新大陸はそれがない、未開故に道もまた存在せず。一度迷ってしまえば割と真面目に天体とかを利用ないと帰れない。いや本気で帰りたいならそこらで自決してモンスターに介錯してもらえばいいんだけど死に戻りは一人乗りだから却下だ。


「第三騎士団があの三つ首ティラノとの戦闘で全滅もしくは行動不可に陥っていることが理想的ですが、常に最悪を想定して動くのが賢明です。故に大規模な移動は控えつつ、夜をやり過ごすのに適当な場所を選んで朝を待ちます……よろしいですか?」


「うむ……」


「火を焚くのも危険です、贅沢を言えば木に登って……あぁダメだ、確か梟系もいるんだっけか……」


アクティブ・ソナー抜きでも危険察知能力が高いエムルがいるので完全に不意打ちを食らうようなことはないだろうが、対応するなら木の上よりも土の上が望ましい。


「……サンラクサン、あの二つ向こうの木の上になんかいるですわ」


「時にお二方、少々自分は雉を撃ちに……」


ごく当たり前な動作で諸々の準備を整え……座標特定された隠密行動ほど滑稽なものはないよなァ?


「去る者追わず、逆に言えば去らねば殺す!」


もはや普通に歩き出すのと同じ気軽さによる過剰動作での高速スタート。グラビティゼロとトライアルトラバースを連続起動、一つ前の木を駆け上りそのタイミングで遮那王憑き起動。

割と真面目にスキルの並列同時起動とか出来ないものか、と考えつつ空中で二回転ほど身をひねりながら……枝葉の中で息を潜めていた何かに奇襲を仕掛けた。


ふはは、梟だろうがなんだろうが先手を取って押し込めば恐るるに足ら……「ひええええええ!!?」おっと随分とソプラノボイスなモンスターな事で……?

弾丸の如く飛び込み、伸ばした手が何やら随分と細身なモンスター(?)の首を掴んで樹上から引き摺り下ろす。咄嗟に逃げようとしたようだが現実はアキレウスと亀のようにはならない、速い奴が先を行くのがこの世の真理(物理エンジン)なのだから。


「ふきゃっ!?」


「んぐっ」


モンスター……いや、誤魔化すのはもうやめよう。明らかに人型の何某(・・)の首を掴んだまま地面へと着地、落下ダメージと直後のダメージ判定で即座に瀕死になったがそんな気配は匂わせる事なく、さてどうしたものかと若干思案する。


最悪のパターンは他プレイヤーだった場合なんだが……NPCよりもギスり方が面倒な事になるのでいざという時は金かアイテムで解決……いや先ずは初手謝罪か。

確認、よしNPCだな。何がよしなのかよく分からんが俺は気持ち目力を強めながら取り押さえた……そう、その特徴的な耳からしてNPC(エルフ)と思しき者へと話しかける。


「質問に三秒以内に返答を返せ、さもなくば次に遭遇したモンスターとの戦闘で囮として叩き出す」


「ひゃ、ひゃい……たしゅけて……」


あーこれ、年齢制限なかったら間違いなく失禁してるだろうなあ、と言った様子で涙やら鼻水やらを流すエルフ……確かこの作品だと森人族(エルフ)? だったか。


「お前がここで俺たちを覗き見していたのは「偶然」か? それとも───」


「おっとそこの愉快な格好したプレイヤー、エリナから離れちゃくれねえか?」


「あん?」


メタ発言、NPCじゃない。

振り向けば、そこには弓……短弓を構えた軽装備の男プレイヤーが立っていた。その鏃の先端は俺の頭部に照準が合わせられており、仮に俺がこの森人族の首を掴む手に力を込めた瞬間、ヘッドショットされるだろう。


「あんたの性的嗜好に口を出すつもりはねぇが、そいつ一応俺とパーティ組んでるしユニークシナリオのキーパーソンでな。いざって時はレッドネームもやむなしな手段も……」


「奇遇だな、こっちもNPC護衛のクエスト進行中で厳戒態勢なんだ……こちとら王族ですぜ」


「マジ?」


もうどこからどう見ても「野伏(レンジャー)」です、というアピールの激しい男が少なくとも第三騎士団絡みではないと判断してエルフを解放する。

親亜人派の国王トルヴァンテ、及び第一王女アーフィリアが遭難したタイミングでエルフと遭遇? プレイヤーこそ絡んでいるが、これイベントフラグじゃないか?



それは まぎれもなく 奴さ








フェアクソがりっちゃんがシャンフロの直前に関わった作品なのにスペクリや鯖癌より前に発売されるわけないじゃん……バカじゃん…………(頭を抱えながら)

灯台下暗しっつーか灯台の大黒柱に爆弾くっついてますねこれは……とはいえフェアクソの時系列がイカれてるだけなので発売時期をVR黎明期から鯖癌事件以降のVRゲーム中興期発売という事にすればリカバリは可能……可能だよね……っ?!(果てしなく不安)


ご迷惑おかけします、修正に関しては修正箇所を把握次第行なっていきたいと思います。

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― 新着の感想 ―
ピザるが好きすぎる
元TRPGゲーマーから言わせてもらうとサンラクが正常なんですよね ジョゼットと愉快な仲間たちは狂人の域です TRPG界隈でも「役に没頭しすぎてゲームと現実の区別がついていないやつ」と嫌われるタイプのプ…
[一言] 久々に読み返したら色んなとこでツボる。ピザる
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