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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
龍よ、竜よ! われらが拓くは未知と真実
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環境破壊に伴うお仕置きによる試行回数

ドラクルス・ディノトリアシクスなる学名拗らせすぎて呼びづらいことこの上ない手のひらサイズの恐竜擬き、その最後の一匹が俺へと飛びかかる。

だがその爪が俺へ届く寸前、毒のスリップダメージによって体力が尽きたのかその身は崩れ落ち、そして消えた。


「えっぐ……」


今まであんまり使ってこなかった分、惨毒蜂双針(ヴェノ・スティンガー)に強化されて性能弾けてない? 雑魚モンスター相手なら高確率で状態異常入るから完封すら余裕なんだが……


「とはいえ刺突メインで「受け」ができないのはちと厄介か」


なんだこの攻め気過ぎる双剣は、カッツォも見習えよ。

十数匹くらいの群れで襲いかかってきたのでそこら中に落ちているドラクルス・ディノトリアシクスの素材を拾いつつ、ふと耳に入る人語の音。


「やっぱプレイヤー密度が飽和してんな……モンスターとエンカするよりプレイヤーとエンカする確率の方が高いぞ……」


うーん……強化した武器防具の性能調査が目的だからそこまで本気で探してないってのもあるけど、見つからないなぁ……覚醒の(レベルキャップ)祭壇(解放施設)

キョージュの奥さん(マッシブダイナマイト)からレイ氏が伝え聞いた内容や、目が幕末色に染まり始めた京極から聞いた話では結構な奥地に存在するらしいそれは、Extendに到達したプレイヤーにレベル三桁世界の扉を開いてくれる。


ヴォーパル魂的にレベルが上がり過ぎるのも考えものだが、それでもレベル100以降で解放される要素には無視できない魅力がある。

特に「三桁スキル」と呼ばれるレベル100以降から新規解放されるスキル、一応「リュカオーンをぶっ飛ばす」をメインのモチベーションにしている以上、確実に分身よりも強いであろうリュカオーン本体との戦いを見据えたならレベル上限は取り払っておきたい。


廃人クランが相当の強行軍をしてようやく到達できる程度には奥地にあるらしいし、京極も「あれを単独は難しい」と言っていたが……仕方ない、一旦戻るか。


「な、なんだこの黒い……うわぁぁぁあ!?」


「おっしゃ鎌落とせやヒャッホーウ!!」


プレイヤーが多過ぎるのは困りものだが、お陰で挑戦回数が増えるのは嬉しいね。なにせ攻略法が出回ってないお仕置きモンスターだ、高確率で俺が戦うことができる。


「うおおお癒してやるよオラァァァン!!」









結局三日かけて総試行回数十六回、副産物としてR.I.P. 二つダブり、素材アイテム「黒死の怨涙」十三個を経て漸く「黒天無塵鎌ノーブルー・サイスレンス」を入手するに至ったのだった。


物欲センサァァァ!!(魂の叫び)













「騎士団が動いている?」


「えぇ、あくまでも「騎士団主導による新大陸調査」という名目のようだけど……こちらに来ている商人達に大量の物資発注を行っている。私達がこちらに来ていることは王家にも伝わっていると思うのだけれど……噂の新王様(・・・)が直情に過ぎるのか、情報の伝達が不完全なのか……」


カフェ「蛇の林檎」新大陸支店、未だ開店準備が整っていないのかオープンこそしていないが、そこはこのカフェの裏の顔たる「彷徨う剣」……仇討人特権で裏口入店した俺はエロだ……ルティアパイセンから気になる話を聞いていた。


「これは貴方が請けた案件、私はこれ以上の干渉はしないつもりだけど……私の見立てでは騎士団が動くのは二日後の深夜辺り、ってところかしら」


「二日後か……なるほど」


さすがに平日は学校もあるのでやめてほしいとお祈りしていたが、今回ばかりは乱数の女神に感謝か? 金曜の深夜なら遠慮なく徹夜できるしな。


「第三騎士団の団長……ユリアンは「絶命剣」と呼ばれる使い手……」


「ぜつめいけん」


「まぁ、確実に急所を狙うだけ(・・)のつまらない剣よ。第一騎士団々長アルブレヒト……「当代無双」「王認勇士(キングス・パラディン)」の名を王より与えられた彼とさえ比較しなければそれなりに強いんじゃない?」


散々な言いっぷりではあるが、確かに急所を狙うだけ(・・)なら大した脅威じゃないな。打ってくる場所が分かるなら対処は容易だ、それよりもやたらと持ち上げられている第一騎士団の団長とやらの方が気になって仕方ないんだが……ここはちょっと「事情を知っている者同士が表面上はしらばっくれながら情報交換する」的なやつをやってみるか。


「あぁ……彼の噂はかねがね、高潔な人物とは聞いているが……彼は「(前王)」よりも「(現王)」を優先する人物なのかな?」


「どうかしら? 少なくとも「義」に厚い人物ですもの、彼の目が曇らぬ限りは選択肢を違えることはないでしょう」


うーむ、父親を追放して即位した現王次第だけどこれは前王と第一王女保護ルートで明確に敵対することはない、って保証になるだろうか。ジョゼット達は騎士然としているし実際それに準ずるロールプレイをしているが、あいつら教会騎士だから王家系にはあんまり詳しくないんだよな。

聖女ちゃん関連のクエストだから実質「聖女ちゃん親衛隊」の全面協力を得られているが向こうも向こうでやることがあるらしいし、なら情報くらいは得ようと話を聞いてみたが「第一王女も割と美少女系だよね」とかいう毒にも薬にもならん情報しか持っていなかった。聖女ちゃん関連なら小一時間語りそうなくせに役に立たない連中だ……


「……やっぱり、殺るのは不味いっすかね」


「確実に王国騎士団を敵に回すことになるでしょうね」


ノーキル救出………………………………いや、もう一つ簡単な解決方法があるけど流石にどうなんだ? でもなぁ……新大陸って環境的にアレ(・・)やるのめちゃくちゃ簡単そうなんだよなぁ……鯖癌や合法的にプレイヤーを始末する必要があるゲームじゃ割と必須技能だったから俺でも再現は可能だろうけど…………うーん。


「……ふふ、葛藤は青い(・・)けれど好ましくもあるわね」


「それはどうも」


「お二方、こちら新大陸産の素材を厳選して作った「紅蓮芭蕉パフェ」でございます、どうぞ忌憚なき感想を……」


「おぉ」


「あら」


クローン疑惑兄弟の「いとこ」であるらしい新大陸支店の店主が差し出した真っ赤なバナナを使ったパフェに、仕事人風の雰囲気が漂っていた俺とルティアが声を上げる。


「堅苦しい仕事の話をしながら食べるのも無粋ね……では手をつける前に一つだけ」


「む?」


一緒に差し出された銀製のスプーンをピッ、と俺に突きつけたルティアは簡潔にこう告げた。


「この新大陸に関して、王国側はある程度の情報を掴んでいる。そしてそれ故に意見が割れている……前王は穏健派、現王は過激派ね」


「……なるほど」


「私達は彷徨える剣、か細き願いを叶える者……それでも、(つるぎ)にだって使い手を選ぶ権利くらいはある。貴方は誰に握られることを望むかしら?」


「誰だって構わないとも、だが素直に使いこなせるような剣とは思われたくないね」


仇討人が剣だというなら、ぶん投げたら勝手に敵を屠るくらいのじゃじゃ馬になりてぇなぁ。




・第一騎士団々長アルブレヒト

「当代無双」「王認勇士(キングス・パラディン)」と讃えられるNPC。

いわゆる「王様キルしてNPC大混乱に陥れようぜwww」的愉快犯をお仕置きするために配置されたレベル上限突破NPCであり、対PL特化とも言える賞金狩人を除けばNPCの中でも最強クラス。NPC……というよりアルブレヒト専用職業「王認勇士(キングス・パラディン)」は攻撃性能と防御性能両方に大幅補正の入るぶっ壊れ職業であり、王家直属騎士団伝来の「王盾クリスタルパラディン」及び「勇騎霊剣ジゼル」を振るう姿はプレイヤーをして

「特化アタッカー並の火力のくせに耐久が特化壁タンク並」

「鎧の隙間に攻撃したのになぜか弾かれた」

「絶対あの剣、女性アバターに対してだけダメージ補正入ってる」

「顔が良すぎる」

「アルブレヒト様の夢女になります」

と大好評(?)

とりあえず金髪碧眼の爽やかイケメンクソ強ナイト、NPCの中でもあまり露出度が高くないので王族を暗殺しに王城へ侵入するか、あまりに厳しい王家騎士登用をくぐり抜けて騎士団入りするかしないと顔すら拝めない。

一時期王家暗殺チャレンジが増えた元凶であり、騎士プレイヤーが増えた元凶でもある。

ベストショットブロマイドは一枚10000マーニ。



余談ではあるが「ジゼル」には剣の銘と同じ精霊(ネレイスみたいな雑魚精霊ではなくガチ大精霊)が取り憑いているのでアルブレヒトに色目を使うと謎の死を遂げることになります

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― 新着の感想 ―
一度投げたら皆殺しにしたあと違う何か持って帰ってくるやつやろ
ダブったRIPをルティアに着せりゃええんでないの
>仇討人が剣だというなら、ぶん投げたら勝手に敵を屠るくらいのじゃじゃ馬になりてぇなぁ。 ひとつ前にそんな剣が主人公の小説読んでたなぁ…
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