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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜  作者: 硬梨菜
龍よ、竜よ! われらが拓くは未知と真実
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両性「保」有のお悩み

「やっちまいましたなぁ………」


「や、やっちまいましたですわ……?」


いまいち何をやっちまったのか分かってなさそうなエムルだが、俺としては鎌が本命だったわけで……これ(・・)の内容的に女の状態で倒したのが失敗のトリガーだったのかもしれないのだから。

まぁそりゃあさ、物欲センサー無効化としか思えない豪運の秋津茜だって挑戦回数こそ多いが討伐回数はただの一回なのだ。そりゃあドロップアイテム検証なんか出来るわけないってのは分かってたけどさ……


黒き死に捧ぐ嘆きレクィエスカト・イン・パーケ

黒死の天霊トゥルー・クワイエットの概念が物質化したことで生み出された「喪」を「服」する黒気。

[特殊裁定(システムウィンドウから確認可能)]

この装備は現在装備中の頭、胴、腕、腰、足の装備の耐久値を全て消費することで女性のみ装備可能。その場合この装備のステータスは耐久度を除き、消費した時点での装備のパラメータと同値となる。

[特殊裁定(システムウィンドウから確認可能)]

この装備は耐久度を持たず、通常の破損状態にならない。この装備は装備者が死亡判定が決定した際に解除され、再度の死亡判定を受けることで再装備が可能となる。この装備を装備している間、装備者は常にデスペナルティと同様のステータスダウンを受ける。

黒き死に捧ぐ嘆きレクィエスカト・イン・パーケ」を装備中は装備者が関与する即死判定に対して大幅なボーナスが付与される。

黒き死に捧ぐ嘆きレクィエスカト・イン・パーケ」を装備中は回復アイテムが使用できず、装備者がモンスターもしくはNPC・プレイヤーを打倒した際に一定量のHP、MPを回復する。

黒き死に捧ぐ嘆きレクィエスカト・イン・パーケ」の装備者がモンスターもしくはNPC・プレイヤーを打倒した際、この装備のステータスに強化補正が付与される。


かつて一人の黒騎士がいた。かつて騎士を愛する一人の女がいた。黒騎士は女が待つ小さな家へと帰るため死ぬわけには行かず、故にこそ常勝無敗の将軍として名を馳せた。だがある日、戦場へ赴いた彼はそれきり帰ることはなかった。

女は待って、待って、待って………全てを悟り、狂った。黒騎士は彼が仕える王と、その娘によって謀殺されたという真実を知ったから。彼女は喪服を纏い、黒騎士が残した一本の剣を手に取り……殺戮の道へ堕ちた。

隣人を殺し、親兄弟を殺し、いつしか彼女の喪服は血を吸ってなお黒く昏くなり。

皮を裂き、肉を断ち、骨と臓物を砕いた刃はいつしか鎌の形へと変貌し。

そして女の足跡は惨たらしく惨殺された国王親娘と、亡び去った王国を最後に消える。それから今に至るまで、死の蔓延した場所に現れる死の化身を伝える伝承が存在する。それは死を撒き散らす者にこそ死を与え、何かを探すように彷徨い最後には消える。

黒死の天霊に性別があるのか否かを知る術はない、だが奇跡的に黒死より生き延びた者が最後に言い遺した言葉は「あれは嘆きだ」であった──────




「いや長いわ! 言いづらいわ! 使いづらいわ! ていうか女性専用装備じゃねーか!!!」


真面目に上から下まで読みきった上で心の中に溜まった衝動を全て吐き出した俺はぜぇぜぇと、ともすれば戦闘中よりも疲労感を感じつつ頭を押さえながら情報をまとめる。

えーと、黒き死に(レクィエスカ)………長い、R.I.P.でいいや、R.I.P.が持つ制約、能力は大体七個……か?


まず最初に装備条件。大前提として五体に装備した装備品全てを消費することで女性のみ装備でき、この際R.I.P.のステータスはぶっ壊した装備品と同数値になる。流石に装備品の効果までコピーはしないだろうが耐性くらいは反映してくれそうだ。


装備時の特性。破壊不可、とはまた剛毅な効果だ。というかこれ刻傷や「呪い」に対して最上級のカウンターなんじゃ……いや、効果が複雑すぎるから灼骨砕身(しゃっこつさいしん)の方が気軽に使えるか。


装備の解除条件。これは……「死んだら」解除されて、「死にかけたら」再装備可能、ということでいいのだろうか? 若干テキストが違うし、判定が同じなら違う表現を使う必要はないだろうし。


んで装備中の制約。常時デスペナルティか………体感で大体一、二割くらい持ってかれるから常時これ、ってのは相当つらいぞこれ。VITなんかは元々ゴミな上に装備依存だから問題ないが、LUCやAGIが削られるのが痛い。


次は耐性。まぁドロップ元がドロップ元だし即死耐性ってのは納得だが……逆に聞くが黒死の天霊トゥルー・クワイエット以上に即死判定強いてくるモンスターとかいるのか? 流石に物理攻撃を即死判定、扱いなんてチート効果でもあるまいし。


装備中の制約その二。回復アイテム使用不可……白状しよう、この文章を見た瞬間この装備に対しての評価が八割減した。つまりこれ装備してる時に封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)使ったらその後の死亡率跳ね上がるよね? とはいえこのクソ効果を補う効果もあるので最終評価は保留。


最後に装備効果。なんでもいいから撃破さえすれば経験値が入るように体力及び魔力が回復し、ステータスが強化される……一見すれば強そうな効果に見えるが実のところは微妙という評価を下さざるを得ない。回復量、上昇量次第ではあるが撃破……要するに殺さなければならない以上タイマンじゃ全く役に立たないということだ。ある程度雑魚を蹂躙できる環境でなければ実質「戦闘終了後にちょっと回復する」効果でしかないというわけで……


総評:使用条件が厳しすぎる、使用環境が限定されてる、メリットがデメリットを上回る条件がつらい。




「……ゴミでは?」


装備を破壊して装備されるという性質上、常に衣服の形状をしていないということなのか手のひらサイズのクリスタルを転がしながら俺はため息をつく。


「これキッツいな……男状態だったら鎌引けてたかもしれないという後悔が」


「多分だけど、サンラクサンはそれでも外す気がするですわ」


こやつめぬかしおる。










とはいえ装備できるなら見てみたい、と考えるのは至極当然な流れなわけで。

一旦スカルアヅチにまで戻った俺は、聖女ちゃんの関係者特権ということで割り当てられた一室(流石に内側まで骨まみれ、ということは無かった)で早速使用してみることにする。


「えーと……変身? なんっちゃっ」


次の瞬間、装備したばかりの捨て装備が木っ端微塵に弾け飛ぶ。一瞬で痴女と化した俺を、クリスタルから噴出した泥のような靄のような黒い何かがコーティングでもするかのように全身を這い、覆う。

俺知ってるぞ、これ魔法少女とかの変身バンクだ! しかも意地でも一回全裸にするタイプだ!!


「うへぇ」


まるで見えない手にサンオイルを塗りたくられてるような気分だ、自力に拠らない別の運動によって身体を撫で回されているような感覚に思わず声を漏らしていたが、最終的に俺の顔を何かヴェールのようなものが覆ったことで装着が完了したらしい。


「ふーむ」


くるり、と一回転すれば真っ黒なスカートが回転の勢いを受けて揺れる。やっぱ動きやすさに若干の制限が……そもそも飛び跳ねする装備じゃないと言えばそこまでか。


「んー……客観(プレイヤー)的意見が欲しいところだな」


エムルはすでに爆睡中だ、謎恐竜と鬼ごっこしながら大陸の奥へ奥へと走ったので気疲れしたらしい。まぁNPCがいつでも同行可能ではないゲームも珍しくはないし……よし、ちょっと誰かに聞いてみるか。
















この数分後、廊下でばったりと出くわした龍×4(テチ)とかいうプレイヤーのガチ絶叫が響くことになるのだった……



龍×4「廊下の角から黒っぽいモヤみたいなのが、こううっすら漏れててさ。まぁゲームだしそういうエフェクトもあるのかなーって思ったらさ……廊下の角から喪服着た女がゆらぁ、って出てきたんだよ? そりゃ叫ぶでしょ」






喪服+ゴシックドレスみたいな

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― 新着の感想 ―
[一言] よく見たらカタカナが本当にR.I.P.だった 某フィレンツェ生まれのアサシンの声で脳内再生される
[良い点] 鳥頭が変身バンクするところ思い浮かべちゃった……実際は捨て装備だから違うけど……ねぇアニメ……?wwww
[一言] ホラー度2倍のク○ームヒ○トですかな?
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