脱法マニュアル入手|維新の会「国保逃れ」の実態 

 今月10日の大阪府議会で自民党のうらべ走馬府議会議員が行った質問が、スキャンダル続きの日本維新の会にさらなる激震をもたらしている。

■脱法行為の舞台は理事が600人超の社団法人

 うらべ府議は、自営業者やフリーランスなどが一般社団法人の理事に就任することで、国民健康保険から社会保険に切り替えが可能となり、結果的に保険料を安くする「脱法的運用」がはびこっていると指摘。京都府に主たる事務所がある一般社団法人が、脱法行為の舞台になっていることを明らかにした。

 同府議は、自身の知人にも加入の誘いがあったとして、その際に相手から「違法ではないかと勧誘者に尋ねると、維新の会の議員も多く利用しているので問題ない」との説明を受けたとした上で、「当該法人の代表理事は維新の衆議院議員の元秘書。驚いたことに、(登記簿によれば)理事が660名もいる。維新の会の議員と同じ名前の方も複数おられる」と発言。維新が「脱法的」な行為を黙認してきただけでなく、所属議員らが実際にそうした組織に加担し、社会保険よりも高額とされる国民健康保険料を逃れている「国保逃れ」の実態を明らかにした。

 SNS上ではさらなる維新のスキャンダルに話題沸騰。うらべ氏の府議会における質問動画は90万回以上の再生数を数える。

 問題の一般社団法人「栄響連盟」の法人登記簿を見ると、代表理事にK氏という名前がある。取材に応じた維新の兵庫県議がこう解説する。

 「維新の国会議員秘書だったK氏は、2023年の兵庫県議選に立候補して落選。その当時から、国保逃れの脱法的な勧誘をしていたようだ。その誘いに複数の兵庫県議や市議らが応じ、登記上の理事となり、“国保逃れ”による恩恵を得ているとみられている」

 ハンターで確認したところ、兵庫県議が2人、神戸市議が1人、尼崎市議が1人の合計4人が理事になっている可能性がある。前出の兵庫県議も、「この4人の名前が挙がっているのは確かで、そのうち何人かは国保逃れを認めている。今後、兵庫維新の会でさらなる調査が進む予定」と話している。

■国保逃れのマニュアルを入手

 取材を進める中、ハンターは、問題の一般社団法人が配布していた『コスト削減の提案』という脱法行為の利点が強調されているマニュアルを入手した(*下の画像)。

 記載の一部にはこうある。

私たちにできること「国民健康保険加入者の個人事業主様を社会保険適用者に切り替える」メリット
①社会保険適用者になれる
②月々の保険料負担額を軽減できる
③保険料負担の上昇率を大幅に落とせる
④社会的信用の向上が期待できる

 これまで国民健康保険に加入していた人が、理事に法人登記するだけで急に保険料が安い社会保険に加入できるというのは、いかにも胡散臭い。議員バッジをつけている者なら、誰でも感づくはずだが……。

 マニュアルは例を挙げて、さらに詳細な解説をしている。弁護士で年収が1,000万円超、妻と子ども2人のモデルの場合だと、国民健康保険と国民年金の合計146万円程度を支払っているが、社団法人の理事に就任すれば、86万円あまり安くなるという。他に、配送業や中古車販売業など業種別の試算もある。

 さらに信頼を得ようとしているのか、税理士が《現行制度をしっかりと理解し、上手く仕組み化できています。よく考えつくものだと感心しております。仕組み詳細を聞いて、クライアント目線での配慮もしっかりとできているため安心してサービス活用できるでしょう》とお墨付きを与えるような一文を寄せている。

 マニュアルの記述はさらに続く。

《法律上、国民皆保険の内訳である“国民健康保険・国民年金保険”又は“社会保険”のどちらかに加入し納付することが「納税の義務」で定められております。逆に言えば、どちらかに加入して納付さえしていれば「法律上は問題がない」ということです》

 不安を払拭する狙いだろうが、かなり無理がある。マニュアルは、理事について《簡単なアンケート報告》程度しか負担はないと強調する。しかし、その程度の仕事内容で重い役割が求められる一般社団法人の理事になれるとは思えない。「いや、なれる」というのであれば、それはこの社団がいかにいい加減な組織であるかの証明でもある。

 国会議員の政治資金収支報告書のチェックをしている公認会計士は次のように解説する。

 「このような脱法行為は、以前は小規模なものでした。しかし今では、こうした行為をネットで大きく宣伝している一般社団法人もあり、ビジネスとなっているのです。グレーではあるが、違法すれすれというレベル。ですが、実際に一般社団法人の業務はほとんど行わず、理事の保険料だけが安くなるというのは、常識的な倫理観に基づけば『おかしい』となります。もちろん、うちの顧客には勧めません」

 ハンターが入手した最新の法人登記簿によれば、理事はさらに増え700人超。自民党と連立を組み、社会保険料改革を主張する大阪府の吉村洋文知事は、うらべ氏の質問に「国のことなので違法性は判断しかねる」「不正が疑われる事例が判明した時は、適切な措置が行われる」と逃げを打った。

 維新が自民党と連立を組むにあたって結んだ合意文書の中には、現役世代の社会保険料引き下げという項目がある。ところが、一部の維新議員は国保逃れのための「脱法行為」――。この政党のデタラメさにはうんざりだ。

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