任天堂も株価暴落……2026年、PC市場を襲う「未曽有の供給ショック」とは
2026年、世界のPC市場はかつてない「価格ショック」に見舞われる公算が大きい。 「任天堂VS.株主」見ている未来は違う? 「スイッチ2」に市場が冷めた理由 生成AIの爆発的な普及が引き金となり、足元ではPCの中核部品であるメモリやSSDの調達コストが急騰している。その影響は、すでに実体経済に及び始めている。 この変化の影響が顕著に表れている企業の一つが任天堂だ。同社は11月に業績の上方修正を発表したばかりだが、メモリ価格の高騰が次世代機「Nintendo Switch 2」の採算性を圧迫するのではないかとの懸念から、株価は急落。上方修正で上げた値幅の倍以上を吐き出す局面となった。 この株価下落は、単なるゲーム機メーカー固有の問題ではない。私たちが長らく享受してきた「高性能なデジタル機器が、年々安価に手に入る時代」が終わりを迎えつつあることを示すシグナルとも読み取れる。本稿では、足元で起きているPCパーツ市場の異変をデータに基づいて検証し、その背後にある構造的な転換点を考察する。
「供給ショック」が示す市場の転換点
2025年12月3日、半導体大手の米マイクロン・テクノロジーが一般消費者向け事業からの撤退を表明したとの報道は、市場関係者に大きな衝撃を与えた。約30年にわたり、自作PC向けメモリの代表的ブランドとして親しまれてきた存在が、表舞台から退くことになるからだ。この出来事は、後年「時代の転換点」として語られる可能性がある。 マイクロンは、半導体リソースの配分を、AIデータセンター向けへ大きく切り替えたことを示唆している。従来の半導体市場には「法人向けで余剰となった生産能力が、比較的安価に消費者市場へ流れる」というエコシステムが存在した。しかし、AIデータセンター需要がその余剰を吸収する現在、個人向け事業の縮小は、そのままハードウェア供給の先細りを意味する。
2カ月で約4倍超の高騰
市場価格の変動は、もはや通常のインフレの範囲を超えつつある。市場データによると、2025年10月時点で約8000円だったDDR5メモリ(16GB)の平均価格は、わずか2カ月後の12月には3万5000円前後まで上昇した。短期間で約4倍超という異例の値上がりである。 このコスト増は、メーカーの経営判断にも直結している。デル(Dell)は2025年12月17日受注分から、法人向けPCを最大30%の値上げに踏み切った。当初は10~20%の値上げが検討されていたとされるが、最終的に30%へ拡大された。これは部材調達環境のひっ迫を如実に物語っている。 さらに世界シェア首位のレノボも、2026年1月以降は既存の見積もりをすべて失効させると取引先に通告した。企業間取引において価格の予見可能性が失われることは、企業のIT投資計画に深刻な混乱をもたらしかねない。