「絶対また来てね!!!?!!」
「当然。また来るよ」
ガラルから旅立つ当日、空港にホップとユウリが見送りに来てくれた。
ダンデさんはどうしても予定が合わなかったという理由で、ソニアさんとサイトウさんは、2人とも『伝えるべきことは伝えたから』とのことで、今日はこの場に来ていない。
あとマリィ*1も来ていない。『もしその場に立ち会ったら、情けない顔ば見せてしまいそうやけん』とのことだった。
俺としてはガラルに来た初日に、ジムチャレンジの観戦をするにあたってやるべきことや、ダイマックスについてのことを教えてくれたことへの感謝を改めて伝えたかったのだが、どうやらそれは叶わないらしい。
少し残念ではあるものの、2人が見送りに来てくれただけでもとても嬉しい。
というわけで、今はユウリと約束の指切りげんまんをしているところなのだが……。
「指切りげんまん、嘘ついたらムゲン団
「なんか怖いこと言ってない?」
何ムゲン団って。変なことするような団体じゃないよね……?
「わ、忘れないでね……? シバリくんに忘れられたら、私……」
不安げにユウリが抱きついてくる。俺はそんなユウリの頭を撫でながら、カバンから安心させるための材料を取り出した。
「大丈夫大丈夫。俺にはこれがあるからさ」
そう言って、俺は取り出したユウリバージョンのダイマックスバンドを装着した。
『キョダイカキュウ!』
「ほら、これでいつでもユウリのことを思い出せるだろ?」
「なっ、なんでそれを!? そ、そもそも!! そんなものに頼らなくても私が居るよ!? 今!! 本物が!! ここに!!」
「大丈夫大丈夫。この台詞がある限りユウリのことなんて忘れられないからさ」
『カレー最高!』
「うわああああああああああ!!!!!! こんなことならボイスに自我なんて入れるんじゃなかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
ユウリが叫びながら崩れ落ちると、次はホップが俺を見つめてきた。
「よし、じゃあ次はオレの番だな」
「……ホップ」
「……シバリ」
俺達は言葉もなく歩み寄ると、お互いの健闘を祈って抱き合った。
「ホウエンでも頑張れ! 寂しくなったらいつでも戻って来るんだぞ!」
「絶対来る! お前も大変だと思うけど頑張れよ!!」
「ホップもハグ!?!!!?」
目をグルグルさせているユウリを余所に、俺達は力強く抱き合い続けた。
「ちょっ!? 長い長い長い!!!!!! 私の時より長くない!? それに濃い!! 酷いよホップ!! そのポジションって、本来私じゃないの!?」
「友との別れに文句を挟まないで欲しいぞ」
「ガチトーン!? 待ってシバリくん! 最後にもう一回私とハグを──!」
「ちょっ……ユウリ! シバリの胸は2人分は空いてな──!」
お別れだというのに、俺のガラルからの旅立ちは騒がしいものになった。
きっとまたこの地方には戻って来る。なんとなく、そんな気がした。
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ホップとユウリと別れ、いよいよ飛行機に乗る直前になったのだが……。
「……ん?」
何やら電話が来ている。相手を見てみると、シロナさんだった。
「何の用だろ?」
まだ乗るまで少しだけ時間はあるし、とりあえず俺は出てみることにした。
「はい。もしもし」
「こんにちはシバリ君。そろそろ飛行機に乗る時間よね? 少しだけ大丈夫かしら?」
「少しなら大丈夫です」
何故これから飛行機に乗ることをシロナさんが知っているかと言うと、俺が事前に伝えていたからだ。何故なら──。
「なら簡潔に。先日話した通り、シバリくんの乗る飛行機がホウエンに着く頃に、私の知り合いも現地に着くことになってるわ」
「ありがとうございます。えっと……ダイゴさん、でしたっけ?」
「そうよ」
なんと、ホウエンの案内役としてシロナさんの知り合いを紹介してくれると申し出てくれたのだ。
シロナさんの知り合いと言うだけあって忙しい人らしいのだが、なんでもこのためにスケジュールを空けてくれたらしい。感謝する他ない。
「彼ならシバリ君のことを任せられるし、ホウエン地方の色々なところを知っているはずよ。……趣味のことになると周りが見えなくなるのが玉に瑕なのだけれど……」
「趣味……ですか?」
「石よ」
「石」
あぁ、なんとなくわかる。なんというかこう、手に馴染むというか、そういう自分に合った石を見つけるのは割と好きだったなぁ。
「……多分シバリ君が今想像しているような石ではないけれど、まあそういうことよ。とにかく、ホウエン地方は彼に案内してもらえれば間違いなしだと思うわ」
「はい! ありがとうございます!」
「いいわよお礼なんて。ところで──」
ズンと、空気が重くなるのを感じた。
「──ガラル地方……今シバリ君が居るところのポケモン研究所に居る、ソニア博士ってご存知かしら……?」
「え゙っ!? ……あ、あぁ、はい……知ってます……」
ソニアさんの名前を出されると動揺してしまうというのもあるが、何故か今のシロナさんからはどこか重い雰囲気を感じた。
「そう、知っているのね。なら話は早いわ」
「話……って?」
「ふふ。実はね、最近彼女は論文を発表したのよ。ダイマックスの研究についてのね」
「は、はぁ……」
えっ? もう出たの? あの進み具合だと、もう少しかかると思ってたんだが……。
てか、論文とシロナさんに何の関係が……?
「それで、私もダイマックスについては興味があったし、ちょっと目を通してみたのよ。そしたら……」
「……そしたら?」
シロナさんの言葉に、無意識に喉がゴクリと鳴る。
なんだろう。何故かどうしようもないくらい、嫌な予感が──
「シバリ君の名前があったのよ。その論文の、
「……へ?」
「ご説明、願えるかしら?」
きょ……共著者? そういや、ソニアさんに書いても良いか聞かれて許可したような覚えはあるけど……。
しまった、シロナさんに見られる可能性を全然考えてなかった……!
ソニアさんの言う『色々やる』って、もしかして、シロナさんへの──!
「えっ、あっ、いやっ、あのっ……!」
上手く言葉がまとまらない。それに、シロナさんが怒るのももっともだ。
俺のどこが良いのかはわからないが、シロナさんは俺を『助手に欲しい』と評価してくれていて、何度も勧誘されている。
その勧誘を俺は断っているというのに、シロナさんからすればポッと出の人物の研究に俺が関わっているとわかれば、当然面白くないだろう。
「ご 説 明 、 願 え る か し ら ?」
「ひっ!?」
ど、どうする……!? どうすれば、シロナさんに納得してもらえる……!?
そ、そうだ! 名前だけならまだ、俺と断定出来ないはず……!
「べ、別人じゃないですかね!? ほ、ほら、世の中には同じ名前の人だって──!」
「……へぇ。この論文は共著者が育てた『ムクホーク』、『ジュカイン』、『シャンデラ』、『パルシェン』、『ゴローニャ』、『ケッキング』のダイマックスを研究して制作したと書かれているのだけれど……名前と手持ちが同じトレーナーが世の中に居るのね。しかも、今シバリ君が滞在しているガラル地方に」
「……ゔっ」
か、完全にバレている……。これはもう、答えが分かった上での問い詰めでしかない……!
「時間もないことだし、正直に話してくれるかしら?」
「……はい」
俺は観念して、飛行機に乗るまでの時間でシロナさんに経緯を説明したのだった。
・シバリ
このあとこってり絞られた。残当。
ソニアさんとの例のアレは隠し通した。
・シロナ
まだ隠してることがありそうだと思ったが、なんでもかんでも問い詰めるのはシバリにとっても息苦しいだろうと思って身を引いた。
初めて論文にシバリの名を書くのは自分でありたいと思っていたので、少し嫉妬して怒ってしまったが、シバリが自分以外の研究者の下に付くことを望むのなら、悲しいけど仕方のないことだと思っている。自分の気持ちよりもシバリの自由が一番なのだとか。
それはそれとしてヒカリがシバリロスになってきたので、そろそろ一度シンオウに来てほしい。
・マリィ
ナレ堕ち。ガラルのルリ枠。
閑話候補にぶちこまれましたとさ。
・ユウリ
ホップに全負けした。
ムゲン団設立の日も遠くない……?
・ホップ
ユウリやマリィ、ビートなど、普段の友人付き合いではやらないような馬鹿みたいなことをたくさんやれてとても楽しんだ。
とりあえずシバリみたいにザマゼンタに無茶振り出来ないかなとか思っている。
・ザシザマ
朽ちた剣と朽ちた盾は流石に返却してもらっている。
何故か朽ちた剣には草タイプの力が残っているらしく、"きょじゅうざん"を草タイプor鋼タイプで打ち分け出来るようになったとか。
朽ちた盾も同じく、"きょじゅうだん"が水タイプor氷タイプor鋼タイプで打ち分け出来るようになったらしい。
・ダイゴ
大誤算。いつもの。
・ダンデ
ソニアの論文を見て胃痛薬を10ダース購入。
・ソニア
計画通り。
書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?
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いらない:そんなことより本編を書け
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いる:ルリの閑話とか
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いる:本編IF(永住ルート)とか
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いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか