【ネタバレ】ポケモンZA M次元ラッシュの感想 (カラスバ、ガイ、タウニーの話)
ポケモンZAの有料ダウンロードコンテンツ『M次元ラッシュ』の感想noteです。
本編並びにM次元ラッシュのネタバレを多く含みます。批判もネガティブな内容もあります。
楽しい感想だけ読みたい人は読まないでください。(楽しい内容ではないので)
① ミアレ市長は更迭されたのか
まず気になったのがミアレ市長です。
チュートリアルで、ポケモン研究所のモミジが「バカ市長が巨額の税金を投じてワイルドゾーンを増やそうとしている!ポケモンが街中に現れることでどんな影響が出るか分からないのに強引に街を作り変えている」「目先の利益に目が眩んで都市開発(ワイルドゾーンの増設)を進めているバカ!!!」など大声で批判していました。
モミジの怒りをそのまま受け止めると
・ミアレ市長が暴走している
・ミアレ市長を止められる人がいない
・ミアレ市長とクエーサー社が癒着している
・ミアレ市長とクエーサー社が何かを企んでいる
↑ こういうことになる。
とんだ腐敗政治と悪徳企業です。
しかし最後までプレイすると、正反対の事実が判明します。
「5年前に起きた事件によりプリズムタワー(アンジュ)に異変が生じた。このままだと街中に野生ポケモンが溢れ、人間と縄張り争いになる。一部のポケモンは暴走メガシンカを起こし、人を襲うだろう。早く対処しないとミアレが滅茶苦茶になる」という情報をAZから得たミアレ市長は、なんとしても街を救うべく1人で奔走していたことが明かされます。
腐敗どころか光の市長です。
ただ、市長はアンジュから漏れ出るエネルギーを非公表案件とし、市民に隠すことにしました。
市民に公表したら間違いなく人口流出が起きますからね。ミアレはフラダリの暴走により人口流出が起きており、大きな社会問題となっている。市長はミアレシティを守るためこれ以上の人口減は避けたかった。(『人口流出が社会問題』ということは、経済も人的資材も社会治安も大打撃を受けているということです。このため行政インフラが上手く作用せず、街の観光PRから再開発、防犯など民間人に頼らざるを得ない)
そんな状況の中、さらに新しい問題が発生した(アンジュの暴走)となればミアレは確実に消滅します。AZやフラダリがしたような武力攻撃による物理的な消滅ではなく、『住民がいなくなることで街が機能しなくなり過疎化して廃墟になる』ということ。
ミアレ全域がワイルドゾーンとなり、野生ポケモンしかいない街になる。終末世界のように。
だからミアレ市長は「市民にバレたら炎上不可避の事業ですがミアレを守るために秘密裏に手を貸してください」とデベロッパー各社に依頼したわけですね。要するに「私と共犯になってください」ってことです。
当然、誰も引き受けてくれなかった。社会的信用を失う行為ですから、下手したら会社が潰れます。そんな危険なことに手を出す企業はいなかった。
そこで仕方なく、「街を守るためなら」とクエーサー社が社会貢献のため手を貸したわけです。
クエーサー社は乗り気ではありませんでしたが、市長と共にミアレ市民を騙すことに決めました。
すべてはミアレを守るためです。
市長は水面下でミアレを守った人でした。
ミアレ市長が何も行動しない
↓
クエーサー社が都市再開発をしない
↓
ワイルドゾーンが生まれない
(クエーサー社しかワイルドゾーンを作れない。このへんの情報は英語版の方が詳しいかも)
↓
野生ポケモンが次々と人間の暮らしを侵食し、ミアレは人間の住めないエリアになる
↓
ミアレシティが都市としての機能を失い、観光地ではなくなる
↓
主人公が現れない
↓
アンジュフラエッテの「はめつのひかり」を防ぐ人間がいない
↓
カロス地方が再び消滅する。
つまり、ミアレ市長こそが物語を動かすキーパーソンだったわけです。
主人公が現れるまでの2年間、密かにミアレを守り続けた英雄。MVPと言っても良いかもしれません。
そんな影の英雄であるミアレ市長。ミアレ上空に謎の黒い物体が現れた、となれば必ず手を打ってくるはずです。ポケモン研究者のモミジを調査・分析係に任命し、クエーサー社に再び協力を求めたことでしょう。これまで相談役となっていたAZの代わりに、AZの意思を継ぐエムゼット団に市長から協力要請が下ったかもしれません。(ガイ/タウニーがクエーサーの社長に就任している場合、この工程は必要なく極めて自然な流れでエムゼット団が調査チームに入る)
つまり
① モミジ(異次元空間の分析/解明)
② クエーサー社(技術/機材の提供)
③ エムゼット団(実地調査)
この3チームで時空の歪みを的確、かつ迅速に分析していったはず。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ちなみにM次元ラッシュ本編はこう。
① サビ組(異次元空間の分析/解明)
② クエーサー社(サビ組の助手)
③ エムゼット団(実地調査)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
?
……というか、そもそも『モミジリサーチ』が①の作業を意味します。
モミジリサーチとは『主人公がワイルドゾーンを駆け回ってポケモンを捕まえたり諸々のデータを集めることで、研究員不在で調査できなかった未知のエリア(ワイルドゾーン)のフィールドリサーチを完了させる』という設定なので。ちゃんとゲーム内で説明されています。
要するにM次元ラッシュで描かれた『カラスバ、マスカット、主人公のリサーチ活動』は『モミジリサーチ』そのものなんです。(だから『カラスバリサーチ』と名前を変えて新たに始まったら面白かったかも。モミジリサーチとは別に追加報酬があると良かった。メガケケンカニ前の路地裏で交換できるわざマシンを『カラスバリサーチ』で獲得できたら楽しかったな)
……ということで、
ミアレ市長が参謀となるストーリーこそM次元ラッシュを綺麗にまとめるものになります。配役に無駄がなく、ZA本編で明かされた舞台装置やキャラクター設定が本領を発揮します。
「2年前から物語は始まっていた(ミアレ市長が暗躍していた)」という舞台背景、「モミジリサーチの政治的裏側」を描いたシナリオ、「ガイ/タウニーがクエーサー社の時期社長になる」設定。
すべて
M次元ラッシュのための伏線だった
……と捉えると、ZA本編とM次元ラッシュの物語が綺麗に整理されます。
①夕方〜夜、仕事終わりにホテルZに帰っていたガイ/タウニー。そこにアンシャが登場。ドーナツ作りの依頼発生。バターを求めて外出。バター獲得。夜遅くなったのでドーナツは明日に回して就寝。
②翌日、ガイ/タウニー出社。
残されたエムゼット団の3人がフーパの技を見学に行く。異次元空間発生。アンシャ、主人公、デウロ、ピュールの4人で異次元ミアレを探索。(これなら異次元ミアレは4人までしか入れない設定と矛盾しない。また、このチャプターでガイ/タウニーのセリフが存在しない不審点も解消される)
③プリズムタワー上空に異次元空間が発生。ミアレ市長ビックリ。ポケモン研究所のモミジとクエーサー社社長のガイ/タウニーに市長から協力要請。
④モミジとガイ/タウニーが調査した結果、街の各地に現れる異次元空間を実地調査する必要があると判明。『モミジリサーチ』の追加ミッションを設定し、エムゼット団と作戦会議をする。(モミジリサーチ追加のゲームシステムとストーリーが合致。自然な形で第2段モミジリサーチが始まる)
④ 異次元空間の調査にあたり、 ガイ/タウニーが「異次元ミアレ」と命名する。(バターが登場するたびガイ/タウニーがいちいち命名している点とストーリーが合致。ガイ/タウニーの『そのまんま』な名前をつける癖がカラスバに乗り移らずストーリーが矛盾しない)
こんな感じ。
ミアレ市長がいれば、大体こういう流れになるはずです。
しかしM次元ラッシュに『市長』という単語は一度も出てこない。つまり……
ミアレ市長はクビ。
何らかの理由で失職してしまいました。
再開発計画の真相隠蔽、アンジュフラエッテの暴走などの責任を追求されたのかもしれません。
どこの誰だか知りませんが、市長は行動力のある人物です。バカだアホだと身内に罵られても大義のために懸命に働く人です。そんな心強い人物がM次元ラッシュでは一度も登場しなかった。
たとえ市長の座を下りていたとしても、何か力になろうとしてクエーサー社に接触するだろうにその描写も一切なかった(「サビ組が中心となって解決するから大丈夫ですよ」なんて言われて素直に納得する市長ではないでしょう)。
つまり、ミアレの中にもいない。
撤退撤退。
ミアレ市民は惜しい人を失いました。
② 無事だったジェット社長
ミアレ市長は辞任して街を出て行きました(仮説)。
その市長と2年間にわたり共謀していたのがクエーサー社の社長・ジェットです。
「市民の命が危険に晒されているのに、それを隠して都市再開発を進めていた。市民の命を何だと思っているのか!」と叱責が来ることを予測し、「これから起きる混乱やクエーサー批判の責任を取るため社長を辞任するつもりだ」と本編で明かしていました。
つまり「会社全体で悪の陰謀を働いていたのではなく、悪徳社長(ジェット)の独裁だった」という筋書きで市民を納得させるつもりなんですね。自ら悪役となって批判の的になることで、会社を守ろうという姿勢です。
つまりジェットは悪者として世間に認識されており、ミアレでの社会的信用を大きく失っているはず。
しかしM次元ラッシュでは様子が異なります。
「ジェットが時空の歪みについて説明したから、街の人たちは安心して日常生活を続けている」という旨の解説がされるのです。また、「時空の歪みが解決するまではジェットが社長を続ける」という描写もありました。
つまり
ジェットは市民に信頼されている。
(ミアレ市長は辞任したのに)
……ほな引退せんでええんちゃう?
社長を続けたらよろしいがな。と思ってしまった笑
まあそれは冗談で、
クレームだらけで大炎上するかと思われたクエーサー社が市民に信頼されていると明かされたのは(後付け設定でも)良かったです。
てっきり本編で描かれていた暴動があちこちで起きてクエーサー社やガイ/タウニーは大変なことになると思っていたのですが、予想が外れて幸い。「自分を探して単身ミアレまでやってきた孫」であり「2年間クエーサー社に協力してくれた恩人」でもあるガイ/タウニーに自分の都合で過酷な状況を押し付けるなよ、と思っていたので。
きっとガイ/タウニーが新社長に就任してもミアレ市民は温かく迎えるでしょう。ガイタウ自身が人助けで信頼を得ていますしね。
③ 忽然と消えるガイ/タウニー
M次元ラッシュの序盤。
ガイ/タウニーは「以前助けてもらったお礼に」と貴重なバターを譲ってもらいました。あちこち走り回って頑張っていた『人助け』が実を結んでいたことが明かされます。
ところが「自分たちもバターが欲しい」と後から現れたタラゴンが主張し、1つしかないバターをめぐってダブルバトルが勃発。
勝者だけが手に入れることのできる貴重なバターを受け取ったガイ/タウニーは、それを敗者のタラゴンに分け与えました。ピュールが喜ぶから、なんて言って。
一つしかないものは 分け合えない
分け合えないものは 奪いあう
奪いあえば 足りなくなる
争わず 奪いあわずに 美しく生きていくには
命の数を 減らすしかない
ミアレの破壊者であるフラダリの「一つしかないものは誰かと分け合うことができない。だから争いが起きないように命の数を減らす」という破壊思想を否定する、「一つしかないものを分け合う」行動。ミアレの救世主となったガイ/タウニーの人間性が綺麗に描かれています。
(ここで「勝った方がバターを手に入れる話だったのに結局分けるのかよ!やってること矛盾してるぞ」という批判もありますが、仮にガイ/タウニーがシェアを持ち掛けてもバターを丸ごと1個欲しいタラゴンが折れなかったと思います。タラゴンは「暴走メガシンカしたポケモンが上にいるから道を開けてほしい」と言われても「バトルで勝ったら考える」と返す男なので。ガイ/タウニーがタラゴンにバターを分け与えるには、タラゴンと戦って勝つしかなかった。ZA本編で描かれているストーリーを踏まえてもこのチャプターの描写は矛盾しません)
ガイ/タウニーがジガルデに選ばれなかったことで「未来のフラダリになり得る人物」と捉える考察もありましたが、それに対する公式からのアンサーがこの描写なのかもしれません。ガイ/タウニーはフラダリと同じ道は歩まないよ、という。
主人公と肩を並べ、時に背中を預け合う唯一無二の相棒(友達/仲間/ライバル)として見事な描写だったと思います。
それなのに、物語を進めると人格が変わったように無言になってしまう。
人助けのために走り回るキャラクターなのに、幼いアンシャが時空の歪みに吸い込まれても無言。
「ガイ/タウニーが人助けをしたから救われた人がいて、そこから生まれた絆がある」「フラダリとは違い、他者と共存できる光属性の人」いうガイ/タウニーに焦点を当てた暖かいエピソードのあとに始まるスーパー無言タイム。
目の前で女の子が行方不明になった。
得体の知れない空間に呑まれてしまったようだ。
これまで人助けのために走り回っていたガイ/タウニーは何も言葉を発しない。
ただ存在するだけで、セリフがない。
?
アンシャが消えて大慌てのピュールとデウロ。
エムゼット団の4人で時空の歪みに入り、そこで高レベルのポケモンとバトルになった。
人助けを繰り返してきたガイ/タウニーからアンシャを心配するセリフ、アンシャを助けようとするセリフが出てこない。
??
作戦会議において、エムゼット団全員で行動しているのにガイ/タウニーのセリフだけ存在しないエピソードがあった。
ガイ/タウニーはただ画面に映っているだけ。
何も喋らない。何も意思表示しない。
ただ存在するだけ。
???
さらにストーリーを進め、「ガイ/タウニーと一緒に〇〇に行く」という新しいミッションが現れた。暗転した後、画面上からガイ/タウニーが忽然と姿を消している。
他の人は存在しているのに、ガイ/タウニーは画面から消えてしまう。
????
クエーサー社の仕事で忙しいのかと思えば、「今は異次元ミアレの問題に集中したいからクエーサーのことは後回しで大丈夫」と言う。
ほななんで急に消えるねん。
と思いつつストーリーを進めていく。
異次元ミアレでポイントを貯めると、デプソから電話が掛かってきて指定された場所へ行く。
するとコルニが1人で待っていて、ガイ/タウニーを置き去りにして話が進む。コルニ、主人公、ガイ/タウニーの3人で頑張ってきてね!と送り出されているのにガイ/タウニーがいない。
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最初こそ「置いていくな」と慌てて追いかけてくる描写があるが、それもすぐに消えてしまう。
途中からは何のセリフもなく、何のアクションもない。ガイ/タウニーのいない状況で勝手にストーリーが進んでいく。
かと思えば異次元に入ることを決めた瞬間、画面にガイ/タウニーが突如として現れる。
どこから現れたの、君は。
無言で現れて、無言で消える。そしてまた無言で現れて、無言で消えていく。その繰り返し。
まるで幽霊みたいに。
「本来は存在しないキャラクターだけど仕方なく追加しました」
あるいは
「制作者側もガイ/タウニーが大大大嫌いなので1秒も存在を映したくないんです。でもライバル・相棒だから物語には必要。仕方がないので、癪ですが姿だけは置いておきますね。可能な限りセリフも消しておいたのでガイ/タウニーが嫌いな皆様もどうぞご安心ください」
というふうに。
イジメですか?
確かにガイ/タウニーは発売当初から大不評で、ネット上でもかなり厳しく批判されていました。原因は主に『侮辱的/失礼/上から目線な言動/馴れ馴れしいくせに寄り添ってくれた人を突き放す冷徹なセリフたち』ですね。
一言、二言ちょっと失礼な言葉があっても水に流してもらえたでしょうが、ガイ/タウニーは常に失礼だった。それがプレイヤーを不快にさせ続けた。
初対面なのに偉そうなタメ口で「オマエ」呼び。ホテル従業員として客を案内している設定なのに「早くホテルに入れよ」。自分がやらかした借金返済の件で暴力団に付き纏われながらもガイを心配する主人公に向かって「オマエは帰れば?」など。酷すぎる。
人懐っこい笑顔で無邪気に擦り寄ってきたかと思えば、何の脈絡もなく傲慢な口調で突き放す。
「人助けが趣味」と言っておきながら、自分のためにヤクザと対峙してくれた仲間に薄っぺらい謝罪しかしない。
あまりにもキャラクター性が崩壊していて、ガイ/タウニーが口を開くだけでストレスが溜まります。そのため多くのプレイヤーに嫌われてしまいました。
ガイ/タウニーを不快に思い「顔も見たくない」「ガイタウが出てくるならDLCは買わない」と意思表示をしている日本のネットユーザーは多かった。
わざわざ検索をかけなくてもガイ/タウニーを否定する投稿がバズっていたりトレンドに載ったりしていて、まあヘイトが酷かった。
この炎上騒動を把握した開発陣が急遽ガイ/タウニーを干したのか?と疑ってしまうくらい、M次元ラッシュでは存在感のないキャラクターになっていて怖かったです。あとストーリーの矛盾が気になる。
ネットでガイ/タウニーが嫌われていることを知らなければ、そこまでネガティブな感情は抱かなかったかもしれません。SVの追加コンテンツ(前編)でもネモ、ボタン、ペパーが全く出ませんでしたし。そういうものかと受け入れられた。
しかし「ガイタウは死ね」「アンジュと一緒に死ねばよかったのに」など度を超えた発言も多く目撃していた私にとって、『プレイヤーのためにガイ/タウニーが登場する時間を1秒でも多く削ろう』と開発チームから意図的に排除されたように映って不快でした。ネットの批判意見に便乗したのか?と……
プレイヤーが特定のキャラクターを嫌うのは良いんです。いやファンからしたらヘイト投稿があるのは嫌だろうけど、好き嫌いは誰だってあるから仕方ない。
でも制作者が明確な意図を持って特定のキャラクターを不遇に扱うのはイジメのように感じて嫌でした。特にガイ/タウニーを好きな人の気持ちを想像すると辛い。エムゼット団は本編であまり掘り下げられなかったので、DLCで詳しく描かれるかな?と期待を抱いていた人もいたと思うんです。
もちろん何の裏事情もなく、本編発売前からガイ/タウニーの出番を少なく設定していた可能性もあります。その場合、なんて作り込みが甘いゲームなんだろう……という気持ちになるのでどっちにしろ好意的な解釈はできないです。
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個人的には、元々のシナリオは
・ガイ/タウニーがクエーサー社社長として指揮を取る
・ダークライ以外の暴走メガシンカはコルニと2人で挑む
↑ こうだったのでは?と思っています。
ガイ/タウニーの出番が少ないのはカラスバのポジションにいたから。
暴走メガシンカも本来なら2人で倒す予定だった。そこに1人追加したので難易度を上げた。(本来なら高ランクのドーナツを食べたら再挑戦ナシで勝てる演算だった。急遽ガイタウが増えたことで難易度を上げた結果、再挑戦しないと制限時間内に倒すことが難しいゲームになった)
とか考えてました。
_____________
④ カラスバ弁やんな!
ZA本編では流暢な『ごちゃまぜ弁』だったカラスバさん。
既存の関西弁ではなく、かといってエセ関西弁でもない。大阪弁をベースに京言葉と標準語が混ざっている感じ。「こんな話し方の人もおるかもな」と感じる絶妙な方言でした。
私は生まれも育ちも関西ですが、ZA本編のカラスバは非常に流暢で面白かったです。炎上してしまったガイ/タウニーとは一転して、セリフを書いた人のセンスや技量が光る秀逸なキャラクターだと思いました。
やっぱり関西人としては『おもろい関西弁』を披露してくるキャラクターは魅力的に見えます。
日本の創作物において、関西弁はキャラ付けに使う『便利なアイテム』として消費されています。わざわざ関西弁を利用しているのに、エセ関西弁で茶を濁されることが非常に多いです。わからないなら手を出さなければいいのに、キャラクターに個性を持たせるためだけに都合よく利用されがちです。
ヤクザや暴力男を描くときは関西弁。
胡散臭い男を描くときは関西弁(高確率で糸目)。
ネタ全開のキャラを描くときは関西弁。
主人公やヒーロー/ヒロインは標準語。
大人しくて口数の少ないキャラは標準語。
常識的なキャラは標準語。
知的なキャラは標準語。
華麗で美しいキャラは標準語。
関西弁は関西地方の話し言葉です。ただの方言。
イギリスで英語が話されていて、フランスでフランス語が話されているようなもの。犯罪者でも救世主でもブスでも美人でも、誰もが等しく使うその土地の共通言語。
それなのに勝手にキャラ付けに使われてしまう。
ヤクザのイメージがあるから「関西弁は怖い」と言われる。陽気なお笑いのイメージがあるから「関西人って陰キャでも関西弁を使うんだ」なんて投稿がSNSでバズる(実際バズってた)。「喪女やチー牛が関西弁だとびっくりするよね」「関西に来たら静かな人も関西弁を使ってて脳がバグる」なんて言われる。
ただの方言なのに。
だからこそ関西弁を利用した上で流暢な関西弁を出されると強烈な親近感も抱くし、セリフを担当した人への敬意も生まれます。(まあ『ヤクザの記号』として関西弁が使われたことは事実なんですが。ポケモン単体の問題ではなく日本のエンタメ社会全体の問題なのでポケモンだけが悪いわけではない)
ただ、サビ組のやっていること、彼らの言い分ってそのまんま現実世界の『みかじめ料をもらう代わりに治安維持に貢献してあげる』っていう日本の暴力団の言動そのものだな〜〜という点が本編からずっと引っかかっており。
ポケモン世界のフィクションではなく、現実で使われているヤクザの主張そのまんま。
「悪には悪で対抗する」「地域のみなさんを守るために活動してる」と言いつつ、「守ってあげるから金払えや」と近隣商業者(店を開いてる人)を恫喝する日本の暴力団の伝統手法。金を払うまで何度も暴力団が店を訪れ、甘い言葉や強い口調で緩急をつけながら金を要求します。
それでも断り続けた場合、店が壊されたり悪質な風評被害を流されたり、銃殺される人もいます。『餃子の王将』の社長が銃殺された事件も暴力団のみかじめ料を拒絶したからと言われています(詳しいことはまだ捜査中ですが)。カラスバのモデルにもなっているような、まさに京都の暴力団です。
ちゃんと日本国内の報道に目を通していたり社会問題に意識が向いていれば、サビ組の描き方はマズいと分かるはず。
もちろん現実とフィクションは切り離して楽しむべきです。カラスバは人を殺しません(たぶん)。
しかし過去作の『ロケット団』『フレア団』など非現実的で空想上の悪役とは大きく異なり、事務所の内装、事務所の名前、言動、やっていることなど『現実に存在する日本の暴力団』をモデルにしたとしか思えない生々しい悪役を出してきて「本当はいい人」とプレイヤーに認識させるシナリオにはちょっと……
実際、ゲーム実況や感想ツイートでも「サビ組いい人じゃん」「優しい!」「見た目で判断してごめんね」とサビ組に好意的な人がたくさん出ていたのが、企業の振る舞いとしてそれはどうなの?とは思っていました。
暴力団に苦しめられている日本人は現実として今でも存在している。その暴力団をモデルにしたようなキャラクター、セリフ、シナリオを子供向けゲームに載せる。そして「ヤクザ/反社/暴力団も治安を守るためには必要」と誤認しかねない展開にする。
いくらゲームと現実は違うと言っても、日本の暴力団組織をモデルにしたことは紛れもない事実でしょうから、プレイヤーたちの潜在意識に何かしらの影響は与えていると思います。
たとえば日本で大きな災害が起きると「日本のヤクザは困っている人の味方だから被災者を助けてくれる」というエピソードが出回ります。
「日本のヤクザは困っている人の味方」「カタギには手を出さない」「自分からヤクザに金を借りたり関わったりしなければ安全」「ヤクザが犯罪者を取り締まっている」「ヤクザがいるおかげで日本は治安が良い」という話。ネットにたくさんありますね。
まさにZAでもカラスバやサビ組の下っ端が口にしていたセリフです。「世の中には必要悪がある」というサビ組の主張。ネットから拾ってきたのかな?と思うくらい見たことのある言葉たち。
嘘ですからね。
まあ「犯罪者が個別にウロチョロ犯罪を繰り返すよりヤクザが一元管理してくれた方が警察が捕まえるときに楽」という側面は確かにありますけど。
個人や少人数グループで犯罪をされると捜査が面倒ですし、海外マフィアと連携されると厄介極まりないです。それならヤクザのもとに固まって、ヤクザ主導の犯罪をしている方がマシ、という捕まえる側の理屈。
しかしそれはあくまでメタ的な効率性の問題であって、べつに「ヤクザがいる方が平和になる」という話ではない。ヤクザは一般人を襲います。「ヤクザは一般人には手を出さないから大丈夫!むしろヤクザありがとう!!」とネットの言説をホイホイ信じている人ほどカモられます。闇バイト、詐欺、出稼ぎ(人身売買)、あらゆる犯罪において背後に潜むヤクザの存在を見抜けないので。
こうした点を十分理解した上で楽しんでいる人はいいですけど、たぶんカラスバを好きになった人の中には「ヤクザも本当は良い人だから」「ヤクザは一般人の味方だから」と改めて認識しちゃった人もいると思います。子供なんかは素直に信じてしまうケースもあると思う。
それは良くなかったな……ヤクザは一般人やカタギの味方ではない。
デウロ、ピュール、ガイ/タウニーがカラスバを警戒したり距離を取っていたように、主人公も距離を取るべきだった。『問題解決のために協力はするけど彼らの人格・行動は認めない』という強気の方向で描かれていたらカラスバはもっと魅力的だったのになと思います。
何もカラスバを排除しろという話ではなく、カラスバ自身が言っていたように明確な棲み分けをしてほしかった。
主人公は光の住民。サビ組は闇の住民。
仲間のように打ち解けるのではなく、「お互い相容れない存在だけどミアレを救うために今だけ協力しましょう」と一線を引きながらも良き協力者/理解者として水面下で共闘する方が格好よかった。
「また遊びにおいで」「諦めへんからな」じゃなくて、ミアレの危機が去ったら「もう会わへんで」「オレらみたいな半端者と関わったらあかん」と愛情を込めて手を離してあげる展開を描いてほしかった。カラスバならそのくらい器の大きさがあるでしょうに。
わざわざメインストーリーで大きく目立たせなくても、サイドミッションで「なんや、また会ったな」「オレらが仲良くしてること他の人には内緒やで」と言わせるくらいがちょうど良かった。きっとその方がカラスバは何倍も格好良かった。
今作ZAは権力者がたくさんいるので、M次元ラッシュのリーダーはカラスバ以外で良かったと思う。というか、カラスバをリーダーにしてはいけなかったと思う。社員がプライベートで描く同人誌ではなく、莫大な社会的責任と信頼を負う企業が販売する作品なので。
それでもどうしてもどうしてもどうしてもカラスバをメインストーリーのリーダーにしたいなら、それ相応の線引きをするべきだった。主人公とは距離を取るべき。
「今だけ仲良くしよや」
「これが解決したらサヨナラや」
……とか一言、二言でいいから『暴力団と仲良くしてはいけない』と教えるセリフを入れるだけで良い。他のキャラクターに言わせるのではなく、カラスバ自身が「暴力団には近づくな」とプレイヤーに教えてあげられたらもっと良い(本編を読む限りカラスバは自分が犯罪者である自覚がちゃんとある設定なので)。
もちろん本当に会えなくする必要はなくて、実際にはクリア後もサビ組に自由に立ち入れる環境にしておく。そしてカラスバに話しかけるたび「来たらアカン言うたのに。オレのこと好きすぎるやろ」とか冗談を吐かせるのでも良い。
設定上は大都市に存在する暴力団組長なのだから、「こいつオモロいから仲間にならへんかな」と闇の世界を知らない、闇の世界で生きる覚悟もない幼稚な下っ端がほざくような生ぬるい描写ではなく「主人公はオレみたいな日陰者には眩しすぎるわ」としっかり突き放した上で、主人公がずっと陽の光を浴びていられるように陰で守ってあげる(力を貸してあげる)演出の方が絶対に良かった。
それがヴィランの仁義や美しさではないですか?という。
『暴力団に近寄ってはいけない』、『暴力団は恐ろしくて邪悪な存在』という描写をメインストーリーにきちんと入れることで物語を素直に読んでしまう無邪気な子供を守り、『それでも主人公とカラスバは気の合う2人で、互いが互いの理解者である』と大人向けに暗示すれば十分だったと思う。当然、後者を明確に示す必要はない。読み取れる人だけが読み取ればいい。
なぜならカラスバは反社だから。
※この扱いに納得がいかないなら作中でカラスバに足を洗わせるか、反社の設定そのものを撤廃するべき。反社を描くなら相応の覚悟と責任を持って描くのが大人の責任。
カラスバと主人公をくっつけるのは二次創作で思う存分やればいい。公式でやることではない。
公式が全部お膳立てして食べさせなくても、二次創作しやすいセリフを少し混ぜてあげたらそれで十分だったと思う。「2人がくっつく未来があるかもしれないけど、公式では描かれてない」という『分かる人には分かる』匂わせ描写をそっと混ぜ込むだけで良いのに。
世界中にいる同人オタクを集客したい、という意図は理解するけど、それならば尚更、原作者であるゲーフリが同人作家になってはいけない。
公式が特定の界隈に媚を売って目先の利益に飛びつくのは違う。自社ブランドや自社製品に愛情とプライドを持っているなら、そんな下品なことはしないでほしい。ガワで勝負する媚び売り戦法ではなく、ちゃんと中身で勝負してほしい。
「このたび公式では反社のカラスバを推しています!!!愛してください!よろしくお願いします!!!」とストーリーを破綻させてでもキャラ人気を優先してゴリ押し出演でアピールするんじゃなくて、「カラスバってヤクザだけど素敵かも」と興味を抱いたプレイヤーを沼に落とす仕掛けをゲームの節々に用意しておけばよかったと思う。ストーリーを潰してでも目立たせるのではなく。
たとえば自主的にサビ組に通っていたら発動する特別なセリフが数パターンあるとか、サイドミッションでカラスバの魅力を掘り下げて描いていくとか。
メインストーリーを読んでいるだけのプレイヤーには「やっぱり悪の組織は怖いな」と思わせておいて、自主的に「カラスバさん元気〜〜???」と絡みに来た酔狂なプレイヤーだけに愉快で魅力的なカラスバさんをお届けすれば良かったんじゃないですか?と思う。
カラスバはポテンシャルの高いキャラクターだから、ネタ枠でも恋愛枠でも頼れるアニキ枠でも何でも輝けると思う。
『エムゼット団のリーダー』というガイ/タウニーの大事なポジションを奪ってまでカラスバの出番を演出しなくても、カラスバなら自然とファンが生まれて愛されていたと思う。出番を大幅に増やさないとカラスバの魅力を出せないなら、それはシナリオライターの実力不足と言わざるを得ない。
模範的なCSRを意識すべき世界的な巨大ゲーム企業が、わざわざ『暴力団と主人公の絆』を美しく描く必要はなかった。それだけは絶対に違う。
話を一気に戻して、セリフの話。
カラスバにしろピュールにしろデウロにしろ、「リアルな肉感のあるセリフ」だったから魅力的だったし彼らが出演するストーリーは面白かった。
あくまでゲームのキャラクターなのに「こういう人いるよな」と感じさせる生身の人間っぽさ。
ジェット、マスカット、マチエールも素敵でした。ユカリも二次元特有のお嬢様言葉とはいえ違和感もなく、ガイ/タウニーと比べるととても綺麗。
やっぱりキャラクターの魅力には、キャラクターのセリフが大事なんだと思います。
ZA本編においては、
セリフ回しで大成功したのがカラスバ。
セリフ回しで大失敗したのがガイ/タウニー。
…………だと思うけど、M次元ラッシュでのカラスバ氏は様子がおかしかった。
語尾『やんな!』のキャラが爆誕
M次元ラッシュが進行していくにつれ、なぜかカラスバのセリフがどんどんどんどん不自然になる。
ZA本編では神がかり的に流暢に感じた関西弁(というか『カラスバ弁』)が、なぜか『関西弁のテンプレートを使い回しているだけのエセ関西弁』に変化している。
ZA本編の『カラスバ弁』の何が凄いかと言うと、その場の状況やカラスバの感情によって関西弁の言い回しが変わるところです。
たとえば
「そんなことせんでええ」
「そんなことせんでええんよ」
「ユニバ行くねん」
「ユニバ行ってん」
「ユニバ行くんや」
「また行こや」
「また行くん」
↑それぞれ似たような文章ですが、感情表現の色が違ったり、そもそも意味が変わります。関西弁でよくある「ねん」「や」「やねん」などの語尾だけを突貫工事で真似しても、ネイティブの関西弁にはならない理由がこうしたハイコンテクストな背景にあります。
その点、本編のカラスバ弁は凄かった。
物語の文脈、話の流れ、カラスバの表情、性格などを考慮した自然な関西弁が使われていました。いろいろな地域の方言が混ざっていましたが、生きた関西弁が土台にあるのは明白でした。
ところがM次元ラッシュのカラスバは会話の文脈、言葉のリズム、関西弁の意味を無視して「やんな!」を連発するキャラクターに変わっていました。
「こんな感じの終わり方なら語尾に『やんな』をつければオッケー」というテンプレートが用意してあって、それに沿って一つ一つ「やんな!」「やんな!」「やんな!」と作業的に打ち込んでいったようなセリフ。
独創的な『カラスバ弁』から機械作業の『やんな弁』に変わっていました。(当然、意味が間違っている文章も目立つので関西人としてはカラスバが何を言いたいのか意味不明。支離滅裂でアホの子になっている。「多分こういうことかな」と謎解きしないと読めないセリフがある)
「その場に応じた自然な会話よりも特徴的な語尾を多用してキャラクターの個性を重視する」というセリフの書き方はZA本編のガイ/タウニーに非常によく似ています。ガイは「ぜ」、タウニーは「し」が多かったですね。
ただの憶測ですが、ガイ/タウニーを担当していた人がDLCではカラスバを担当したのかな、と漠然と感じています。(チャプターではなくキャラクターごとにシナリオライターが付くものなのか?という疑問はありつつ)
そして、タウニーは未確認ですがガイのセリフ担当者もDLCでは別人に替わってるのかな?と感じました。(デウロも担当者が変わってるかも。デウロの口調も本編とDLCで違います)
ZA本編で狂気のように多用されていた「しろよ!」「来いよ!」「やれよ」などの乱暴な命令表現が激減していたり、日本人がおおよそ使わない場面でも強引に使用されていた「〜ぜ」の語尾が減って「〜だろ」「〜だな」といった自然なセリフが増えていた。
他にも本編では敬語を貫いていたカラスバ相手にタメ口を利いていたり、分かりにくいですが口調が変わっていました(先ほど書いたようにデウロにも表記揺れがあるので、特定キャラではなく全体的に担当者がシャッフルされた? 仮に担当者が変わっていない場合、ゲーフリのシナリオチームは『設定資料や作品全体から表記揺れがないか確認する作業を一切しない』という素人集団になってしまう。担当者が変わったのだと思いたい)
また、いつも背伸びをしてお兄さんらしく(大人から見たら子供でしかないけど)気丈に振る舞っていたガイの声を詰まらせる本気の叫びや、ずっと隠していた幼さが垣間見える「……うん」の一言も、本編なら出てこなかったセリフだろうな、と思ったり思わなかったり。
本編のガイ(※日本語版)だと異次元AZの言葉に「ああ!」「だよな!」とかなり空気の読めないテンションで馴れ馴れしく返答してしまい、またプレイヤーを不快にさせて炎上していた気がします。
綺麗に整えられたストーリーを一気に台無しにするのが本編ガイタウのセリフ回しなので。
M次元ラッシュではガイの不自然なセリフが格段に改善されていたのでよかったです。
そしてこれは陰謀論ですが
M次元ラッシュはガイ/タウニーの出演シーンを大幅に削り、空いた分でカラスバの尺を増やしたのでは?と疑うようなストーリー構成でした。そのくらい不自然に感じる。
でもカラスバをメインに据えるよう方針転換したことで急遽ガイの担当者が替わり、「……うん」の一言が生まれたのなら、その点だけはとても良かったです。
⑤ カラスバとガイ/タウニーの類似性
カラスバとガイ/タウニーは設定(境遇)が似ています。
・貧困を経験している
・頼れる大人がいない状況でミアレに来た
・家も食べ物も頼れる人も何もなかった
・死にそうになったところで大人に助けられた
・自分を救った大人は過去に罪を犯している
・その大人の罪を承知の上で、自分を助けてくれた善の面は否定しない
・助けてもらった恩返しがしたい
カラスバはメインストーリーの中で順序立てて説明されていたので把握している人も多いと思いますが、ガイ/タウニーも実は同じです。
『ミアレに行き着くまでの人生』は違いますが、『ミアレでの生い立ち』は3名ともほぼ同じ。
明確な違いは『助けた大人がフラダリなのか、AZなのか』という部分。
罪を犯す前のフラダリ。
罪を犯した後のAZ。
同じような状況で救われたのに、カラスバは裏社会の道に。ガイ/タウニーは正攻法での人助けの道に進んだ。
この対比はわざと狙って作られたのか?というと、正直……違うような?
ただ単に制作者の癖で同じような経歴のキャラクターが生まれてしまったと捉える方が個人的には自然に感じます。なぜなら調理次第でかなり美味しくなる対比構造なのに全然ストーリーに反映されていないからです。
グリなど2世メンバーも親が資金援助を受けていたガイ/タウニーと似たような境遇といえば似たような境遇ですしね。ただただ被っちゃったんでしょう。
どうせなら最大限この設定を活かせば良かったのにもったいないな〜とも思うし、ネタ被りに気づいていなかったなら詰めが甘いな〜〜とも思う。
本音
今回、諸々の違和感や不信感を抱きつつも「DLCではカラスバをメインに物語を展開するんだな」と納得してプレイしていました。
ダークライを捕まえに行くまでは。
結局、M次元ラッシュで用意されていたメインストーリーは『AZにお別れを告げること』『AZへの追悼』だったんだな、と思っちゃったんですよ。
AZは親を失い、孤児としてミアレに単身でやってきた未成年のガイ/タウニーを拾った(マチエール経由で)。衣食住を提供し、話し相手になり、仕事を与えた。
その背景にはフラダリやピュールが苦言を呈したように「尻拭い」もあったかもしれませんが、その事実を告げられてもガイ/タウニーはAZに信頼と感謝を寄せ続けた。
英語版だと、本編序盤の会話で「AZさんにはとても大きな恩がある。だからAZさんに『誠実な心で』恩返しがしたい」というニュアンスの意思表示がされています(屋上に主人公を連れ出す過程も秀逸で、AZに話を聞かれないよう2人きりで話したいから「早く寝なよ」と2階へ上がるよう促し、AZに怪しまれないよう少し1階ロビーで時間を潰してから「早く寝ろって言ったのにごめん。今ちょっと話せる?」と202号室をノックした、という流れが日本語よりも汲み取りやすい)。
序盤の段階で「自分はAZのために動く」という強い覚悟と信念が滲んでいたので、いくら「AZは大量殺戮をした極悪人」「過去の自分のせいで困っているのに、その尻拭いを子供にさせている」と軽蔑すべき姿を教えられても、ガイ/タウニーの心は揺らがない。……というのがプレイヤーに伝わります。
ポケモンZAは、XYから続くタイトル。
XYZで終末を表しながら、ZAで再生や復活も表している。
登場人物が多くてゴチャゴチャしてしまった一面はありますが、結局は『Pokémon Legends ZA』の名の通り、AZにスポットライトを当てたAZのための物語だったんだな……と異次元の邂逅シーンで感じました。
だったらガイ/タウニーの心理描写を増やしてほしかった。
ガイ/タウニーは表情豊かで人懐っこいわりに、自分の意思や願いを表に出さない。
おそらく序盤の「AZさんに恩返しがしたい」「だから力を貸してほしい」だけがガイ/タウニーの口から発された心からの願いで、それ以外は『他人のため』ばかり。
ミアレに来たのは母親のため。社長を継ぐのも母親のため。デウロやピュールのように将来の夢を語る場面もなく、「AZさんに恩返しをするためにミアレを守る」という強い意思だけで動いていた。
・ガイ/タウニーがポケモンを育てるのはAZのかわりに『最強のメガシンカ使い』になるため。(AZが余命僅かで叶わないのでガイ/タウニーが動いている)
・ZAロワイヤルで上位を目指すのは『最強』の称号を得るため。(メガフラエッテとアンジュに乗るには最強のトレーナーになる必要がある。また、『Aランクになれば最強の称号が与えられる(最強としてミアレに認められる)』という伏線もしっかり記載されている。そもそもZAロワイヤルは『フラエッテをメガシンカさせられる最強のトレーナーを見つけるため』にAZの根回しで開催されているクエーサー社の大会で、アンジュ暴走からの2年間でAランク到達者は出ていない。AZとフラエッテは『ZAロワイヤルでAランクに到達した人間が最強のトレーナーであり、メガフラエッテの使い手になる』と考えている)。
・デウロ、ピュール、主人公をエムゼット団に勧誘したのは「最強のメガシンカ使い」を探していたのと、暴走メガシンカなど今後やってくる災害級トラブルへの対処にポケモントレーナーの仲間が必要だったから(自分だけでは最強になれない、ミアレを守れないと客観的に自分を分析している)
すべて『AZの駒/忠臣として』動いているんですよね。
「アンジュの暴走を止めたい。ミアレを悲しみから解放したい」というAZの悲痛な願いを叶えるために2年間せっせと行動している。
※ AZに命令されているのではなく、あくまでガイ/タウニーが『孤児の自分に居場所を与えてくれた礼』として忠誠を示している。
ガイ/タウニーが「詳しい話はまた今度」など情報を小出しにするばかりで全然まとまって説明してくれないから分かりにくいですが、ちゃんとゲーム内でAZへの想いや行動心理は描かれています。分かりにくすぎるけど。
作中で描かれていたガイ/タウニーの行動原理は全て「母親のため」もしくは「AZのため」です。
あの借金ですら「AZのためにホテルの宣伝動画をバズらせたいから」に帰結します。絶対AZは望んでいないし、「ホテルの宣伝のためにヤクザから借金をした」なんて知ったらビックリすると思うけど。ただAZはそんなガイ/タウニーのひたむきで純心なポンコツさを心から愛していたと思う。「愉快な子だな」とフラエッテと一緒に可愛がっていたのは間違いない。
元国王であり、大罪人であり、時の権力者に頼られたりしていたAZは陰謀や憎悪の中で生きてきた人物です。終の住処として作ったホテルZでガイ/タウニーと過ごした日々はAZの心を癒していたと思う。
「AZさんへの恩返しとしてミアレを守りたい(アンジュの暴走を止めたい)。そのためには強いトレーナーの協力が必要だ(アンジュ制御に必要だから)。主人公はまだポケモン初心者だけど強いトレーナーになる才能がある。だからエムゼット団の仲間になって、一緒に強いポケモントレーナーを目指しながら、AZさんに恩を返そうとしている オレ/あたし を助けてほしい(自分だけではきっと叶えられないから、主人公の力を借りたい。※要するに自分が弱くて目的を果たせなかったときのフォロー要員になってほしい)」
↑ ここまでゲーム内で明かされています。
セリフやストーリー進行が酷いせいで読み取るのが難しいですが、しっかり描かれています。
ZAロワイヤルで上位ランカーになることも、暴走メガシンカしたポケモンを鎮めることも、AZの望みに繋がる。だから頑張る。ユカリトーナメントはAZと何の関係もないから嫌。むしろ貴重な時間を奪われて迷惑。
ガイ/タウニーの行動は
・母の願いである人探し
・AZの願いである暴走アンジュ鎮静化計画の遂行
・AZの願いであるミアレの平和を維持すること
この3つに基づいています。分かりにくいですが一貫しています。
「何を考えているか分からない」と言われがちですが、実はかなり単純です。すべては自分の愛する人のため。それだけです。
このへんはやっぱり英語版の方が情報量が多く、感情表現もしっかり描かれているので分かりやすいかも。
主人公が仲間になったときの「嬉しすぎて身体が震えてる」もAZへのクソデカ感情を大前提として、「自分の目的(AZへの恩返し)のために力を貸してくれてありがとう!」と喜んでいる形です。
↑ そもそも仲間を見つけるために「宣伝動画を観てホテルZに来た宿泊客の中から強そうな人を厳選して勧誘する!」という勝率0%のあほあほスカウト作戦を立てていたので(デウロとピュールは仲間欲しさもあるけど『夢があるのに住む場所がない』『祖母に夢を否定されて家出をした』などの話を聞いて、助けてあげたいと思って勧誘したと思う)、失敗だらけの人生を歩んでいるガイ/タウニーは主人公が仲間になってくれて本当に鳥肌が立つほど嬉しかったと思う。
物語全体を通して、
ガイ/タウニーの「ミアレに来た理由は母のため。でもミアレに来てからはAZさんに自分を捧げる」という愛情と忠義と自己犠牲によるクソデカ激重感情は描かれてはいるんですけど、とにかくシナリオが酷いので読み取りにくい……(まず日本語のセリフが読みにくくて仕方がないし、日本語と英語を往復したり日英を同時に並べてやっと理解できた部分もあった)
とにかく、ガイ/タウニーはAZのために生きていると言っても過言ではない人間でした。
そしてみんなの協力のおかげで暴走アンジュを止められて、「やっと恩返しができた。ミアレを守れた!!!」と意気揚々とホテルに帰ったのに、AZはすでに他界していた。
そりゃ「どうして」と言いたくもなる。
たぶんガイ/タウニーって親孝行もできてないと思うんですよね。年齢的に。
母親目線ではガイ/タウニーが元気でいてくれるだけで十分な親孝行だと思うんですけど、本人は全然納得していないと思う。
ミアレできのこを拾ったりZAロワイヤルに参加して少額でも稼げるようになってからは、より一層「もっと〇〇してあげたかった」と後悔が滲んでもおかしくない状態だった。だからこそ「せめて自分を救ってくれたAZには恩返しがしたい!」と意気込んでいても違和感はないというか。
AZに拾われてからの2年間で、AZに恩返しをすること(ミアレを守ること)こそがガイ/タウニーの存在意義・行動原理に変わっていってそうだな、と。
だから本編で暴走アンジュを鎮めた夜は、きっと一番いい笑顔で「AZさん ただいま!」ってホテルのドアを開けたと思う。
「今日までいっぱい助けてくれてありがとう。これで恩返しになった?」と親に甘える子供のようにAZといっぱい話をしたかったと思う。
しかし何もできなかった。
母親に満足な親孝行ができなかったように、AZにも恩返しをすることができなかった。
だから珍しく声を荒げて「どうして……!」と幼い子供が怒りをぶつけるように叫んでしまったのだと解釈していますが、そこに至るまでの心理描写をM次元ラッシュのストーリー内で描いてくれたらよかったのに。
私のようなオタクが勝手にストーリーを補強するのではなく、公式でガイ/タウニーの心理を分かりやすく丁寧に描いてほしかった。
最終話の異次元空間にAZを登場させるなら、ちゃんとガイ/タウニーに時間を割いて丁寧に描いてほしかった。AZと何も関係のないカラスバではなく。
カラスバを主役に置くなら、ダークライには主人公とカラスバの二人で会いに行って、過去のフラダリ(の潜在意識/無意識/残留思念)と会話させるなり何なりしてほしかった。フラダリラボに遺されたオーパーツやら研究資材にフラダリの記憶が宿っていた、とか何でも良いから。ポケモンはファンタジーだからそのへんの調整は非現実的でいい。
単純に「カラスバの登場シーンが多いから不満」というわけではなく、物語として筋を通してほしかった。作品を大事にしてほしかった……
カラスバをここまで目立たせるなら最後の展開はフラダリに登場してほしかった。
そうではなくAZを出すなら、批判を覚悟で、そして熱意と愛情を込めてガイ/タウニーをしっかり描いてほしかった。
M次元ラッシュが誰の物語なのか明確にした上で、その物語が綺麗におさまるように描いてほしかったです。
最後に、AZに出会ったガイ/タウニーが「……夢なのか」と諦めたように言っていましたが夢ではないと思います。(AZがちゃんと否定していますが)
あの場でAZ本人から労いと感謝の言葉をもらえたことで、ようやく宙ぶらりんになっていたガイ/タウニーの「AZさんに恩返しがしたい」という願いが叶った。できなかったお別れもできた。
ZA本編では閉じなかった物語がM次元ラッシュでようやく終わりを告げ、ガイ/タウニーは『AZのために動く物語(Pokémon Legends ZA)』の外へ行けるようになった。
これからは自分のために、自分の意思で自分の人生を生きていける。
ゲーフリが何をしたかったのか分かりませんが、少なくとも正式に発売されたストーリーを読む限り
個人的には『M次元ラッシュ』はAZを弔う追悼物語であると同時に、ガイ/タウニーを救済する物語だったと思っています。



Twitterから来ました。 ストーリーは面白いのに何か言語化できない違和感や不可解さ、ガイ・タウニーとカラスバに割かれている尺のおかしさを感じていたのでこちらのnoteを読めてスッキリしました。 構想・プロットは面白いのに肉付けに大失敗したシナリオって感じですかねー… ガイ・タウニー…
私はカラスバが好きですが、ガイタウに悪徳な高金利で契約書にサインをさせたり連帯保証人でもないデウロや主人公を脅迫したことはプレイヤー全員忘れてはいけないなと思っています。 たとえエムゼット団を探る目的だったとしても未成年の女の子を事務所の密室に呼び込んで仕事をするよう脅迫したのは…
すごいものを読んだ…ありがとう… 一気に読んでたらもう2時だわ
ここに出てるカラスバのストーリーを読んでみたい…影の協力者ってカッコイイですね