FBIが起訴したカンボジア財閥『プリンスグループ』が東京・白金で開いた「巨大パーティ」証拠写真
利用された「日本カンボジア協会」
このイベントでは公益性の高い日本の協会も参加していた。 「『日本カンボジア協会』の事務局長が登壇して講演を行いましたから、協会がイベントの協賛をしているのかな? と思いました」(同経営者) 『一般社団法人日本カンボジア協会』は1963年に設立され、元駐カンボジア大使が会長を務め、名誉会長には高村正彦、理事には元外相や安藤隆春・元警察庁長官といった重鎮が名を連ねる、由緒正しき一般社団法人だ。 そんな歴史のある団体が、なぜプリンスグループのイベントで講演を行っていたのか。 フライデーデジタルは『日本カンボジア協会』に対し、事務局長がこのイベントで講演を行った経緯や、プリンスグループとの関係について質問状を送った。これに対し、協会事務局からは以下の回答があった。 「本件について当協会として提供可能な情報は、すでにご提供しております。公式文書がすべてであり、追加のご質問や新たな取材依頼には一切応じられません」 協会が指す「公式文書」とは、ホームページ上に掲載されたプリンスグループの関連会社(日本法人)の退会などに関するリリースと見られる。重ねて『八芳園』のイベントを主催したプリンス・リアル・エステートや、グループ総帥のチェン会長との個別の関係について確認を求めたが、協会側は、 「個別企業名の特定や、追加のご質問への回答を含め、これ以上の取材対応は一切いたしかねます」 として、回答を避けた。政治家や元官僚が名を連ねる公益性の高い団体が、結果として犯罪に関与した疑いの強い組織のイベントに参加していた形となった訳だが、その真相が明かされることはなかった。 『八芳園』で熱弁を振るっていたワンは、台湾検察当局によって、’25年11月、逮捕された。ワンは台湾におけるプリンスグループの拠点『台湾太子(Taiwan Prince)』の総経理(社長)としても活動していたのである。
台湾での逮捕、そして東京・青山の「拠点」
容疑は、犯罪収益の洗浄など。カンボジアで詐取した金を、暗号資産などを経由して台湾に送金し、不動産購入やオンライン博打事業に充てていたとされる。台湾当局は45億台湾ドル(約200億円)相当の不動産や高級車を押収した。 そして、驚くべきは「日本の拠点」の存在だ。 ワンとともに台湾で逮捕された幹部の中には、プリンスグループの日本の関連会社『プリンス・ジャパン』の取締役を務めていた林揚茂という男もいた。 同社は’23年6月から問題が発覚する今年10月まで『日本カンボジア協会』の会員だった。このことからも、台湾と日本はプリンスグループにとって一体運用の「洗浄ルート」だった可能性が疑われるのである。 さらにグループの総帥である陳志会長自身が、東京・港区に”拠点”を持っていた事実も判明している。 場所は、北青山の一等地にある超高級マンション。登記簿によれば、チェン会長は’24年1月からここに住所を置いていた。 彼らの日本進出の目的は、詐欺で得た汚れた金を、不動産開発という「正業」に投資することで洗浄する、マネーロンダリングだったのか。あるいは他の狙いがあったのだろうか。真相が解き明かされることを願う。 取材・文:酒井晋介
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