FBIが起訴したカンボジア財閥『プリンスグループ』が東京・白金で開いた「巨大パーティ」証拠写真
〈人身売買で集めた数千人の人々を監禁〉
しかし、公開された起訴状には、驚くべき実態が記されている(以下、〈〉内は起訴状からの要約)。 〈彼らはカンボジア国内に、高い壁と有刺鉄線で囲まれた「強制収容所」さながらの巨大施設を建設。そこに人身売買で集めた数千人の人々を監禁し、組織的な「フォン・ファーム(電話工場)」を運営していた。数千台のスマートフォンと数百万件の電話番号を自動制御するシステムを構築し、監禁された労働者たちに、世界中のターゲットへ無差別にメッセージを送信させていた。さらにチェン会長は、ノルマを達成できない労働者への拷問を容認し、部下に対して「(労働力として使えなくなるから)殴り殺すな」と具体的に指示していた記録まで残されている〉 〈彼らの犯罪収益は、表向きの事業である「不動産開発」や「金融サービス」を通じて資金洗浄(マネーロンダリング)されており、カンボジアのみならず、世界30ヵ国以上に張り巡らされた企業ネットワークが、洗浄装置として機能していた〉 米司法省は今回、チェン会長が管理していた資産から約150億ドル(約2兆2500億円)相当のビットコインを特定。すでに米政府の管理下に置いた上で、史上最大規模となる没収訴訟を提起している。 また、シンガポール警察は、チェン会長らが所有する高級車11台やヨット、不動産など総額1億5000万シンガポールドル(約170億円)以上の資産を差し押さえたという。 そんな悪の巨大組織が、あろうことか日本にも入り込んでいた可能性が極めて高いのである。冒頭の話に戻る。 ’22年12月、ワンは『八芳園』で開催されたイベントでメインスピーカーを務めていた。イベント名は『カンボジア太子地産グループ東京発表会』。主催の『プリンス ・リアル・エステート・グループ』(Prince Real Estate Group、以下プリンス・リアル・エステート)は、陳志会長率いるプリンスグループの不動産部門の企業で、ワンはプリンス・リアル・エステートの日本拠点にあたる『太子国際地産』のCEOとして、カンボジアの高級コンドミニアム『Happiness Plaza』などの購入を呼びかけた。 集まったのは日本の投資家や企業経営者たち。このイベントに参加したコンサル会社の経営者はこのときの様子をこう語る。 「カンボジアの企業のイベントということで、興味本位で参加しました。会場にはプリンスグループの王冠マークがずらっと並んでいて、ワンが『これから日本でも不動産事業を展開していきたい』とか『カンボジアに投資しませんか?』といった話をしていたと思います。会場にはプリンスグループの幹部と思しき人間が何人かいました。ワンが一番偉いんだろうと思って名刺交換をしましたが、一人、若い幹部らしき男がいました。今考えるとあの男がチェン会長だったのかもしれません」