優秀な人は根回しもうまい
どうも、神戸在住のプロダクトマネージャーのyutaro(@shimotaroo)です。
このnoteは筆者公認ノッカリAdvent Calendar(柳川慶太編) パート2 Advent Calendar 2025の12/14の記事です。
このnoteは以下の2つのnote「優秀な人はコンテキスト力が高い」「するどいやつは嫌なやつ」にノッカリ、自分の観測範囲における優秀な人に共通した特徴である「根回しのうまさ」ついて書いてみます。
せっかくの機会なのであえてスタンスを取って「根回し」という言葉を用いて書きます。一応書いておきますが、このnoteの内容と僕自身が根回しがうまいかどうかは関係ありません。なにとぞ。
正論だけでは人や組織は動かせない
組織で働いていると誰かが「これは今のままではダメだ!こうしないと!こう変えないと!」と声をあげる場面に遭遇します。
素敵な指摘ですね。素敵なフィードバックですね。組織の中にはなんとなくダメだとわかっているけど、現状維持しようとする人もいるはずなので、個人的には声をあげること自体は褒められる行為だと思います。
ただ、入社してまだ日が浅かったり、周りからの信頼を獲得できてない(周りから認められていない)状態でこのムーブをするのは危険です。危険というか勿体無いという表現の方が良いかもしれません。
そもそも他のメンバーも「今がベストではない。可能ならば改善したい。」と思っているはずです。本当は理想のプランAで行きたいけど、色々な制約があり、現時点での良い落とし所としてプランBを採用したかもしれません。いや、むしろそういうときのほうが多いのではないでしょうか。
現状に至った背景や経緯など、いわゆる「コンテキスト」を理解したうえで声を上げなければ、「ただ理想論・正論を振りかざすだけの人」になってしまいます。理想論・正論は知識さえあれば誰でも語れるはずです。そしてそれはすごく勿体無いことだと思います。
ここであらためて発言だけで人を動かすのは相当至難の技だということを認識するべきです。人の発言を受けて、やってみよう、助けてあげようと思うことありますか?会社だからとか上司だからとかそういうことで、言うこと聞いてるだけじゃないですか?違いますか?発言だけで人を動かせる人は、相当一握りの天才かペテン師です。統計的にはペテン師である可能性が高そう。
アンドエルCOOの野口さんのpmconf2025大阪での登壇スライドにも同じようなことが書かれていましたね。
結局は"誰が"言うか・やるか
組織の中で自分の発言に力に持たせ、人や組織を動かすためには権限(役職)が必要であり、権限を得るためには実績や信頼貯金が必要だと考えます。
僕が思う優秀な人は自分の意見に力を持たせ、通しやすくする方法や、誰を抑えると事がうまく進むのかをわかっています。だからこそ、コンテキストを把握していない状態で理想論・正論を振りかざすのではなく、小さくても良いので実績を出し信頼貯金を貯めたり、自らコンテキストを埋めに動いています。正論や理想論"だけ"では人も組織も動かすことはできません。
なんやかんや、「誰が言うか・やるか」は重要ですよね。仕事からは逸れますが、人気芸能人がSNSで「おはよう」と投稿するだけでものすごい反応になります。極端な例かもしれませんがその人が何を言うかより、誰が言うかのインパクトは大きいです。(もちろん、内容もダイジ)
コンテキスト力のある人は、ある意味性格が悪いです。疑うが常日頃から身についているので、批判的な人に見えることもあるでしょう。成熟したコンテキスト力の高い人は性格の悪さをうまく隠しています。もしくは力こそパワーで切り抜けている。
そしてコンテキスト力の発達段階においては、「批判的な割にはたいして説得力のない状態」が生まれることもあるかもしれません。
ここでいう説得力はロジックや内容のの話だけではなく、実績や行動も含めた話です。
あと、「誰が言うか・やるか」の前に「誰に評価されるか」も大切だと思います。
根回しは合理的じゃないと思うあなたへ
こういう話を書くと高確率で「根回しとか社内政治とか合理的じゃないし本質的じゃない」という意見が出てきます。気持ちはめちゃくちゃわかります。
でも、僕は「仕方のないこと」「必要なものである」「組織で働くってこういうもん」と割り切るのが良いと考えます。人間って、非合理な生き物じゃないですか。脳の処理能力には限界があるし、なにより「感情」があります。非合理な生き物が集まった組織における営みにおいて、合理性だけではうまくやっていくのは非常に難しいと考えます。感情が動かないと人は動かない。
個人の体験談ですが、僕がPdMとして各部門を巻き込んでプロダクトロードマップの策定を進めていたとき、各部のマネージャーを集めた会議をセッティングしようとしたのですが、各自のカレンダーの空き時間的にどうしても平日の夜遅めの時間に実施する必要がありました。その際、超朝型の同僚から「下田さんがめっちゃ頑張ってくれているから、この日は気合い入れて起きておきます。」と言ってくれて無事会議を行うことができました。些細なことですが、非常に嬉しかった記憶があります。
ワンピースでもそう。ロジャー海賊団船長のゴール・D・ロジャーがラフテルにいくためにポーネグリフを扱える光月おでんを船に誘い、おでんが加入した直後に、ロジャー海賊団のクルーからこう言われていました。
船長がお前の"知識"を必要としただけだ おでん!!
おれ達が簡単にお前らを認めると思うなよ!!?
その後、ロジャー海賊団の船員として活躍していき、徐々に仲間として認められ、最終的には自らおでんを振る舞って仲間達とどんちゃん騒ぎしていました。現実世界もこのような立ち回りは必要だと考えます。(漫画は意識して読むと学びになりますね)
非合理さの例えでいうとイベント・勉強会。会場を探したり(必要あれば利用料を支払い)、当日は会場の設営をしたり、参加するためにお金を払って電車に乗って移動時間をかけて...ってめちゃくちゃ非合理じゃないですか。オンラインでやればほぼ無料でできます。でも、オフラインの方が好まれるじゃないですか。やっぱりその非合理さの奥に人間の欲求に刺さるモノがあるんだと思います。(あんまり良い例えじゃないか...?)
それでも「根回しとか社内政治は嫌だ!」と思うなら、(極論ではありますが)人や組織を変えられる可能性が低いと認めるか、独立するか起業するしかないのではないでしょうか。組織(会社)に属すると自分の意思で決めたなら、組織で活躍するための立ち回り・ふるまいが必要です。でも、変えたいこと、変えないといけないと感じることもあるも思います。そのときは、周りと良い関係を築き、小さくても良いので結果を出し、信頼を獲得し、自分の言動にパワーを持たましょう。やるしかねえ。
嫌なやつは「あいつ口だけじゃないな」という実績を作っていくしかないしゃあないのよ。修行だと思って頑張ろう。「あいつ鋭くないのに自分より偉そうにしててムカつく」とか「あいつ鋭くないのに周りからチヤホヤされててムカつく」とか思っちゃうかもしれないけど!修行だから!ショートカット無理だから!
最後に
ここまで書いていて、「根回しがうまい人=優秀な人」と言いたいと思われそうな気がしたので、弁明しておくと僕の考えとしては逆です。あくまで優秀な人の一要素に「根回しのうまさ」があるなと。
もちろん、突出した能力やカリスマ性をもって周りのことなど気にせずにゴリゴリ突き進む人もいるかもしれないし、そういうムーブを歓迎している組織もあるかもしれませんが、少数ではないかと思います。
2026年1月から新しい職場で働き始めるので、自戒も込めて。終わり。


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