「2億や3億のくだり削除」改ざん指示の文言 森友文書5回目開示へ
財務省は17日、学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却に関する公文書を開示する。開示は5回目。これまで開示された文書から、財務省理財局の幹部が公文書改ざんの具体的な指示を現場に出していたことが浮かんだ。今回も、改ざんの指示系統の詳細が明らかになるかが焦点だ。
「2億や3億のくだりは削除願います」
理財局の中村稔・総務課長(当時、現・関東信越国税局長)から、近畿財務局(近財)の幹部にそんなメールが送られたのは2017年3月15日。理財局や近財の職員が、土地取引に関する公文書の改ざんを始めてから17日後だった。
中村氏がメールで触れたのは、近財職員が17年2月14日、森友学園の籠池泰典理事長(当時)とやり取りした際の「応接記録」だ。
朝日新聞は同日付の朝刊で、売却された土地の地中ごみの撤去費用について、籠池氏が実際にかかったのは「1億円くらい」と説明したと報じていた。応接記録には、この記事をもとに話をした際、籠池氏が近財職員に「現時点で、2億や3億はかかっている」と主張した旨が記されていた。
中村氏が削除を要請したのはこの記載だ。
「地中ごみ」の撤去費が焦点の時期に
地中ごみの撤去費は土地の売却額を値引きする根拠となった。財務省は土地取引問題の発覚後、撤去費を約8億2千万円と見積もったと説明。野党は「過大に値引きした」と追及していた。
中村氏が記載の削除を求めたのは国会での追及が強まった頃で、撤去費に焦点が当たっていた。今春以降に開示された文書には、記載が残された資料となくなったものの両方が含まれていた。
中村氏からの改ざん指示に関する文書は他にも明らかになっている。
佐川氏「方向性を決定」 中村氏「中核的な役割」
改ざんを強いられて自死した近財職員の赤木俊夫さんが17年3月に記した「備忘メモ」には、土地取引の文書について、中村氏から「相手方に配慮したと取られるような表現の修正を考えてほしい」と改ざんの指示があったと記されていた。
森友文書の改ざんや廃棄について、財務省が18年6月に公表した調査報告書は、佐川宣寿・理財局長(当時)が「方向性を決定付けた」と認定。中村氏に関しては「理財局長に最も近い立場にあって、理財局及び近財に方針を伝達するなど、中核的な役割を担っていた」と結論づけた。
文書の開示は赤木さんの妻・雅子さんが求め、4月に始まった。対象は紙と電子データで計17万ページ以上に及ぶ。片山さつき財務相は今月5日の記者会見で、一連の開示文書の中には、佐川氏が保存していたメールは存在しないと説明。17日の開示では、佐川氏の関与を示すような文書が出てくるかが焦点となる。
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