外から見たScopについて、期待と懸念を整理してみた

はじめに

Scop話題ですね
みなさんはどう思いますか?
理念を知ったうえで素晴らしいと思う人
単純な感情ベースで好きな人・嫌いな人
正直よく分からず戸惑っている人
色々いると思います

※ 本記事は外部から見える情報をもとにした個人的な感想であり、
 Scopの内部状況や実際の取り組みを断定するものではありません

多少調べたり聞いてみた結果、僕個人としては
今のところあまり好きではなく、長期的に成功する構造になっていないと思っている
という状態です

今日は、さらっと聞いた話と外からちょっと見た結果、どう思っていて今後何に期待したいかという話を書いてみました

Scopとは

一言でいうと、小・中規模の配信者企業をつなげるマイクロインフルエンサーマーケティングプラットフォームだと認識しています

従来のインフルエンサーマーケティングではファンを大量に抱えた少数のインフルエンサーに案件を依頼し、その規模や成果に応じた報酬を支払うというモデルでした
インフルエンサーの規模が大きくなればなるほど期待した成果につながる(コンバージョン)確率が下がるというのは昔からよく知られていて、広告としての効率を極大化させるためにはよりファンと近い小・中規模のインフルエンサーに依頼したいものの、稼働させるインフルエンサーを増やすと人手がかかるので採算が取れず、結果として大規模配信者に案件が集中するという状況になりがちでした

Scopでは

  • 自動化した仕組みを利用することで、人力ではコストに見合わなかった小さい大量のインフルエンサーへの依頼を実現すること

  • より広い層へリーチする広告媒体を目指していること

  • 配信者が自身の配信をよりよいものにするためのノウハウの提供をしていること

こういった取り組みをしている、という印象を持ちました

この前提を踏まえた上で、良いと思っている点懸念している点を整理していきます
まずは個人的に評価している点から

良いと思っていること

まず、今まで繋がっていなかったスポンサーとマイクロインフルエンサー(ここでは小規模、中規模の配信者)を繋ぐという役割にはとても価値があることだと思っています
配信者側では今まで主に資金面から断念していた大会やイベントなど、様々な試みが実現出来るようになったりするかもしれません
スポンサー側でも新たなマーケティングの場を提供することでより新しい形で自社製品をアピールすることが出来るでしょう
その繋がりが新たな価値の創造に寄与する可能性は非常に高く、そこから生まれた新たな価値はScopによる成果だと言えるでしょう

ただそのポジションで長期的に立ち回るためにはいくつかの疑問があるように見えました

次に懸念点について、長くなりますがなるべく整理しつつ書いていきます

問題だと思うこと

大きく分けて以下の2点です

  • Twitchに対する利益を提示てきていない(ように見える)こと

  • スポンサーが欲しい成果とインプレッション・クリックによる評価には乖離があること

ここが解決しないと長期的には厳しいと思っています
あとは番外編的にScopとしての収益化の難しさにも懸念があります

「チャットに流れることが邪魔だ」という意見もTwitterで見かけましたが、僕はそもそも他の人のチャットを見ていないし、特に自動ツイートっぽいものは目に入らないので個人的にはどうでもいいかなと思ってます

Twitchへ与える利益を提示する必要性

Scopから受ける印象として、自身がTwitchというプラットフォームに対して
どのような価値を提供できるのかが、現時点では見えにくいと感じました

それを明確に示せなければ、所属している配信者以外のTwitchユーザーから、
「何をしているのか分からない」
「Twitchの利益を侵害しているのではないか」
などと受け取られてしまい、
結果として、最近話題になったような強い反発を招く可能性もあるように感じました

あまりきれいな言い方をしない場合、
配信により収益を得るという行為は視聴者の金を奪い合うというゲーム
と言えます
そして、Scopは自身とスポンサーという2つの登場人物をねじ込もうとしているとも言えます

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視聴者の金を奪い合う図
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Scopとスポンサーを追加

視聴者のお金は有限

ここで、視聴者の財布から使える金額には上限があり、各登場人物が自身の利益を増やすこと他の人の収益の減少に繋がります

Scopとスポンサーが加わることで何が起きるか

スポンサーは支払った広告費(+広告制作費)以上の利益に繋がらないと広告を継続しません
また、Scop自身も配信者側へ成果に応じた報酬を支払いつつ自分たちの利益を出す必要があります

そして、スポンサーの商品価格には

  • 原価(材料、部品、製造)

  • 開発費

  • 設備投資

  • 人件費

  • 広告費

  • 物流・在庫管理コスト

  • 在庫リスク

などが含まれています
これは、スポンサーが満足する状態は広告費として支払う金額の数倍のお金を最終的には視聴者が支払うという構造であることを意味します
(節税目的や認知拡大目的の広告はここでは無視します)

少し具体的な数字で考えてみましょう
実際にどれくらいかはわかりませんが例として、Scopが「還元率90%」と掲げている世界を想定します
スポンサーが支払った広告費の90%が所属配信者へ分配されることになり、ここだけを見ると全体への影響は少なく、ポジティブな印象を受けます

しかし、実際に視聴者が支払うことになる金額はスポンサーの商材の利益率に依存します

例として、広告費が100万円、商材の利益率が20%のとき、必要な売上を考えてみます
このとき、広告費として支払った100万円分を利益として回収するには5倍500万円の売上が最低限必要になります
比較的利益率の高いサービス系のPRで利益率が50%の場合には2倍、利益率が低くなりがちな商品系PRで利益率が10%の場合には10倍の売上が必要になります
言い換えると広告費に対して「100ー利益率 %」に相当する金額が原価や各種コストとして視聴者、Twitch、配信者の流れの外に出ていくことになります

スポンサーがよりよい商品を作るほど、
Scopがよい案件を持ってくるほど、
配信者が頑張ってPRするほど、
視聴者が応援と思って購入するほど、
そして規模が大きくなるほど、
視聴者の予算に占める割合は増加します

やがて視聴者の予算の中で無視できない水準になると、結果として配信者へ直接流れていた投げ銭に影響を与え始めるでしょう
そして、その影響の大きさは広告費として比較的可視化されている金額の数倍に及ぶ可能性があります
そうなったとき、Twitchやその他へ提示しなければいけないScop価値は、単に広告費の金額ではなくその数倍、少なくとも外に流れた価値と言えるのではないでしょうか
厳しく見れば、所属する配信者に還元している90%については配信者が発揮した価値への対価なため、それは示さなければいけない価値には含まれないと捉えることも出来ます

とはいえ、実際には配信者・視聴者がPRを通じて特別な商品・体験を手することができ、全体としての価値が増加する可能性もあります
流出した価値を補填する以上の価値がそこで生まれれば少なくとも所属する配信者・購入した視聴者の幸せが得られます
そして、そのような流れからTwitch自体の楽しさが向上し、人やお金の流れが活発になれば上記以外の配信者・視聴者の幸せについても実現する可能性が生まれます
どうモデルとして落とし込むかでも話は変わってくるでしょう

さらに、PRをすることで配信者の配信の価値が上がったのか、下がったのか、どれだけ影響があったのかなども考え始めるとどんどん複雑になるためこの話はこの辺で終わります

このように、全体への影響を見るには、見かけの還元率に加えてスポンサーの商材の利益率まで含めて考える必要があります
ただし、商材の利益率が公表されることは通常ほとんどなく外からの影響を評価することは難しいと言えるでしょう
また、人の気持ちを数値に落とし込むことも困難なため、実際に起きる事象にモデルを近づけるほど評価は難しくなります

少し話はそれますが、スポンサー側の視点でのよくあるケースとして、広告の成果が小さくても一定のリピーターが期待でき、LTV(ライフタイムバリュー)まで含めると成功と判断される場合もあります
一方で、ここで考えているのは多数の視聴者、スポンサー、配信者が関与し、平均化・飽和した状態で定常的にお金が流れている構造です
そのため、スポンサー単体のROI(広告費に対してどれだけの利益が得られたか)やLTVがどうであろうと、視聴者がトータルで払うと期待される金額自体は変わりません

Twitchの取り分がどうなるか

登場人物が増えましたが、Twitchから見るとどうなるでしょうか?
入口の視聴者のお金の総量が変わらなければトータルでの投げ銭は減り、Twitchに直接入る手数料も減るといえます

もうやっているはずだよなとは思いますが、ある程度の規模になる前にTwitch側とのすり合わせをする必要ありそうですよね
考えうる限り最高のパターンだと、話してみたら意外とTwitch側も乗り気だったなんていうこともあるかもしれません
最初は全体に占める割合も小さいため特に問題にはならないと思いますが、大きいプラットフォームを使ってその中で動く仕組みを作る場合には

  • いきなり「なんか気に入らないからそれダメ」と言われる

  • 突然の仕様変更によりサービスの継続に支障が出る

などのリスクがあり、サービスの停止を阻止するためには政治力が試されることになります
「それいいね。こっちで公式にやることにしたわ。おつかれ!」などと言われたら絶望です
元々中の人だった人も参加していそうだし、頭のいい人たちが参加していそうなので政治的な話もなんとかするのでしょう

ScopがTwitchに対してどのような価値を提供できているのかということが問われたとき、どのような主張ができそうでしょうか?
それを考える前に、Twitchが利益を増やすためやっていそうなことを考えてみましょう

  • 全体に流れるお金の量を増やす

    • 視聴者を増やすために良いUI/UXにする

    • 視聴者がお金を投げやすいUI/UXにする

    • 魅力ある配信者を増やすために配信しやすい空気を作る

    • 外から魅力的な配信者を連れてくる

    • 配信者が配信で得た収益をまたTwitchで使わせる

    • サブスク・ビッツ割引キャンペーン

  • 手数料の割合を増やす

    • ユーザーが怒るのであからさまには出来ない

  • それ以外の収入の経路を増やす

    • 広告頑張る

    • Dropsなどのコラボで儲ける(Drops関連のお金の流れってどうなってるんだろうね?)

    • ゲーム会社から金を取る

  • コストを削る

    • インフラの効率化

    • 開発体制の効率化

    • サポート体制の効率化

などが考えられますね
きっと日々頑張っているのでしょう

Twitchで流れるお金の総量を増やすには

  • 視聴者という分母を増やす

  • お金を投げたくなる配信を増やす(配信者自体を増やす、配信頻度を上げるなど)

  • 配信で得た収益をまたTwitchで使わせる

くらいでしょうか?
視聴者の収入を増やす、金持ちの割合を増やすなどの選択肢も浮かぶけど、すでに年齢層が高めなTwitchでコントロール出来るものではなさそうです

ここで、Twitchが自身を成長させるためにやろうとしていることの一部をScopが担うことができればシンプルな解決策に出来そうです

Scopが提供できそうな価値

ScopがいることでTwitchが盛り上がり、より流れるお金が増えるのでTwitchにとっても価値があると主張したいとします
その場合どの部分に貢献出来そうでしょうか?

  • Twitchのユーザー(視聴者、配信者、収益化配信者、配信者の配信頻度、配信のクオリティ)を増やすことに寄与

    • 配信ノウハウ提供

    • イベント開催やPRを通した特別な体験

    • その他色々

  • Twitchへの広告出稿を増やすことに寄与

  • Twitchへ上納金を払う(おそらく厳しい)

などでしょうか?
配信ノウハウの提供はすでにやっていそうなことは色々なところで目に入りました
広く一般に公開するなどすることでScop外のTwitchユーザーへの心象を良くするイメージ戦略を取るなどもありかもしれませんね
ただ、情報は武器であり資産なので簡単に公開することが良い結果になるかは一概には言えず、難しいところです

Twitchと良好な関係が築けている場合にはTwitchの広告とパッケージにして売ることでスポンサーへの訴求効果を高めるなども選択肢に入るかもしれません

Twitchへ上納金を支払うという選択肢も安易に思いつきはしますが、先程の図(Scopとスポンサーを追加したもの)にあるようにScopから出せるであろう上納金は、そもそもいなかった場合のTwitchの取り分以上になることは無さそうなので厳しそうですね

Scop以上にTwitch自体が一体何を考えていてどこに向かおうとしているのか、1ユーザーとして全く何一つ見えないというところにも怖さがあります

Twitchの他にもスポンサー、所属する配信者、視聴者(そして所属していない配信者)に対しても継続してScopとしての価値を提示し続ければ

  • 配信者・視聴者にとってScopは身近な存在

  • そこにいるのが当たり前

  • みんなその頑張りに感謝してる

  • まぁ嫌ってる人もいるけど好き嫌いは誰にでもあるから仕方ないね

という状態に持っていけるかもしれないなと思いました

何かしらの価値をTwitch側へ提示する必要が出たら数字で出せるものが欲しいですね

インプレッション・クリックによる評価が抱える問題

上でも書きましたが、スポンサーは基本的に払った広告費よりも大きい売上を得る必要があります
それが出来なければ、新しい価値の創造、理念への賛同、将来への投資、認知の拡大など最初は通っていた理由付けも徐々に効かなくなり、継続して資金を得ることが出来なくなると言えるでしょう
いくつかの記事を見ていると、

「インプレッション評価」と「成果報酬型」を組み合わせたハイブリッドな分配構造を採用している

という説明も見かけましたが、複雑になるほどよくわからんとなることが予想され、シンプルでわかりやすく、かつ堅牢な評価指標というものがあればいいのになという気持ちになります
どう頑張っても絶対にズル出来ない構造が配信者にもスポンサーにも安心感を生むでしょう
しかしながら、そんなものは存在しないのでどのような指標を作っていくのかも課題と言えるでしょう

Twitchにおける色々な指標と問題点

次にTwitchで使えそうな指標を考えてみましょう

  • フォロワー数
    Twitchでは死んでいる指標と言えます
    活動が長ければ長いほどもう動いていないアカウントや配信に来ないアカウントの割合が上がます
    配信者個人の目標としての区切りに利用するなどにはよいかもしれませんが、スポンサー向けの資料としてはノイズが多くあまり使えません

  • 平均視聴者数・ライブ配信視聴者数・ユニーク視聴者数
    視聴者が配信をつけたまま寝ているなど、再生はしているものの直視しているわけではないケースがある程度存在しているのは体感している人も多いでしょう
    そのため、広告を配信した瞬間の閲覧数をそのままインプレッションとして使用することは実際のリーチに対して過剰な見積もりだと言えます

  • チャット参加者数
    コメントせずに配信をたのしく眺めている層も一定数いるでしょう
    今チャットに参加しているユーザーだけをインプレッションにすると、過小に評価することになります
    使うとしたら、高エンゲージを期待できるインプレッションとして補助的に見せるなどが考えられます

  • チャットの流量
    視聴者全体の盛り上がりはわかるもののスポンサーからみて意味のある数字になるかと言われると微妙かもしれません

  • クリック
    複数端末・別のブラウザから同一ユーザーがクリックした場合など、ユニークユーザーとして処理しきれない場合があるため重要な指標として使うには限界があります

  • 実購入
    自分でECサイトを持っているなどでない限り正しく計測することは困難を極めます
    ECプラットフォームを使用する場合はそこで計測が可能なのかに依存し、スポンサーの自社ECサイトを使用する場合は計測のための改修が必要になるケースも考えられ、どうやっても限界があります
    また、キャンセルや返品など後からステータスが変わることまで追跡しようとすると、システム面・運用面ともに負荷が大きく、自動化を前提とした仕組みとは相性が良いとは言えません

Twitchでは視聴者が重複していることも多く、参加する配信者のフォロワー数を単純に足してサービス全体のフォロワー数として見せることや、平均視聴者数やユニーク視聴者数を足した数字をリーチ可能な視聴者数と見せることも過剰な見積もりになるでしょう
これらの数字は一般に算出も容易で数字も大きくなるために見栄えが良く、営業資料にはどうしても組み込みたいとなりがちです
しかし、誤解やクレームを避けるためには注釈を入れるなどの対応が必要でしょう

このように考えると、どの指標にもそれぞれ明確な限界があり、仮にTwitch内部のデータを使用したとしても正確に把握することは難しいでしょう
完璧な指標というものは存在しないという前提の上、なるべく多くの人がそれなりに納得できる形を目指すことになります

Scopが見せているものとスポンサーが欲しいもの

資料を読んだ感じではエンゲージとしてクリックを割と重要視していそうですが、スポンサーが実際にほしいコンバージョンは商品の購入(や会員登録)です
視聴者に広告を見せた時にどれだけの人が興味を持ってクリックし、その中でどれだけの人が実際に購入するのか、エンゲージメントとコンバージョンの間にはどれくらいの乖離があるでしょうか?
もしその乖離が一定の範囲内であればエンゲージメントに対して報酬を支払うというモデルが成立します
そして、興味がないけどクリックするという層が増えると乖離が許容できる範囲を逸脱し、容易に崩壊することが予想できます

また、配信者や自身の視聴者が興味を持ちそうな案件を選べる構造があれば無作為な広告配信と比較して強みをプッシュ出来るでしょう
実態としてはどうなんでしょうか?選べるのかな?

配信者から見た自身の価値と収益「クリックしてね」

配信者の立場から見ると「クリックして」と言うとスポンサーへ提供できる価値が減り、「購入して」と言うと自分の収益が減るというジレンマに行き着くということになりますね
少なくとも「クリックして」はやめたほうがいいと強く思います

スポンサーから見た「クリックしてね」

自分がスポンサーの立場だったとしたら、クリックは取れるけど実購入はなかなか発生しないという広告は広告媒体としてはなるべく使いたくないわけで、単価が低ければ「期待しないけど一応流しとくかー」という状態になり、やがて使うことをやめます

視聴者の重複という課題

Twitchでは、配信者自身が友人関係にある他の配信者の視聴者でもあり、お互いの視聴者層も重なり合っているというケースが少なくありません

このような構造では、見かけのインプレッションに対して実際に広告が届いているユニークな視聴者は想定より少なくなります
スポンサーが期待している「情報の広がり」に対して、実態としては非常に局所的なコミュニティへの広告配信になってしまうとスポンサーとしてはがっかりです

また、視聴者からの見た目としては、
「この広告AさんのところでもBさんのところでもCさんのところでも見たな」
という状況になり、誰の成果として取り扱うべきなのか明確に断定することが難しくなることもあるでしょう
このような場合の対応としては、例えば以下のようなものがあります

  • 視聴者側で誰の成果にしたいかを選ばせる

  • 適切に按分する

  • 早いもの勝ち

いずれの方法を取ったとしても、完全に公平・平等だと全員が感じられる仕組みは存在せず、なるべく多くの人が納得する方法で成果の計上を行う必要がありますね
現状はどうなっているんでしょうか?

実購入を指標にしたいが難しい

じゃぁ流入から実購入まで追跡して計測して、その結果でインセンティブにしてあげればいいじゃない?
と思うかもしれませんが、それはそれで非常に困難な道が待っています
同一のユーザーが別端末や別ブラウザでURLを開いた時にもあとから適切に紐づけることには限界があり、Amazon、楽天などのECプラットフォームで発生した購入を追跡することにも技術的なハードルがあり、自社ECではスポンサーの自社ECサイトへの改修が必要になることも考えられ、国際的な企業であれば膨大な改修コストが発生します
その仕組みを作って組み込むという労力に見合うかは疑問です
それらの問題をクリアするには僕が思いつく限りでは「ScopがECサイトをやる」以外にはないんじゃないかなと思いました

思考実験「PR特化型ECプラットフォーム」

例えばこんなの

  • このECサイトへはTwitchアカウントでログインできるよ

  • このサイトは、配信者とスポンサー企業をつなぐ「PR特化型ECプラットフォーム」だよ

  • 掲載されている商品はすべてPR案件で、配信者の紹介を通じて購入できる仕組みになっているよ

  • ここでしか手に入らない限定商品や、特別な体験チケットが用意されていることもあるよ

  • 所属している配信者は、配信や紹介の成果に応じてポイントを獲得できるよ(現金化はできないよ)

  • ポイントはサイト内の買い物で割引として使えるほか、限定イベントや企業タイアップ企画など、プレミアムな体験と交換することができるよ

  • もし商品やサービスが気に入ったら、配信で紹介してみてね

  • 視聴者がその紹介をきっかけに商品を購入すると、配信者のポイントが増えて、結果的にお得に買い物ができたり、特別な体験につながったりするよ

  • 視聴者が配信者のチャットや配信画面のQRコードから商品ページを開くと、その商品は「その配信者経由」として記録されるよ

  • 視聴者は、配信者がおすすめする商品を購入することでも配信者を応援することができるよ

  • すぐに購入しなくても大丈夫、後日あらためて購入した場合でも、紹介してくれた配信者にポイントが還元されるよ

  • もし複数の配信者の配信やチャットから同じ商品ページを開いた場合でも安心してね、その場合は、関わった配信者全員にポイントが分配される仕組みになっているよ

どうかな?

ここまで行けばワクワクするけど作るのは大変そうですね
スポンサーから金を取るという今の流れにプラスして、配信者からも金を取るという極悪非道な作戦ですね

こんなのを作ったとしても色々問題があって、倉庫や発送をどうするのか、誰がやるのか、いくらかかるのか、だれも見向きもしない案件をどう処理するのかとか、考えるといくらでも問題が見えてきます

また、特定商取引法、景品表示法、資金決済法、その他関連する法律やTwitchの規約についても確認が必要ですね
特に、ポイントを現金化して手元に送金しようとすると法律的はハードルが一気に上がり、グロくなりそうです

そもそもの話、これを作るために一体いくら必要なのか、軌道に乗せるまでにいくら必要なのか、稼働させるためにいくらかかるのか、作ったところで魅力的な商品を並べれるほどの営業コストにいくらかかるのか、考えるだけでゲロ吐きそうですね

ECサイトまで内包した仕組みになることで、ふわっとしてなんとなくだった購入までの追跡が確固たる実データになります
また、ログインさせることで異なるデバイスでTwitchを視聴していたとしても購入段階ではユニークなユーザーに収束させることができるというメリットもあり、キャンセル返品さえ計測可能になります

しかし、ここまでやったとしても「Aさんのところで前に見て気になった」「BさんのところでURLをクリックした」など計測に現れない貢献やその他の取りこぼしが発生することは避けられず、なるべくちゃんと計測できるように頑張りましたと言うことしか出来ません
そして、1つ目の問題の話で出てきた外にお金が流れる全体のお金の流れからトータルで配信者に入るお金が減るという点はなにも変わりません

どんな方法でもいいですが、ScopがいないよりいるほうがTwitch側に利益があるということを主張できる数字が欲しいですね

Scopとしての収益化の難しさに対する懸念

この章は仮定に仮定を重ねまくったただの妄想です
もうすでに解決済みなのかもしれないけど、Scopの取り分って活動するのに十分なほど取れるのかな?と心配になったという話です
継続して事業として成り立つためには継続した収益が必要なのは上で言った通りで、そのために必要な数を逆算していってみましょう

  1. 企業として担当者1人を専属でつけるために、安めに毎月100万円の利益が必要だとして

  2. 最低限のチームが営業、エンジニアの2人だとすると毎月200万円必要

  3. スポンサーが支払う広告費の20%を手数料として受け取るとした場合、毎月必要な案件は1000万円

  4. 月に800万円分の稼働が得られるのに十分な配信者を抱えていなければいけない

  5. 継続的に魅力的な案件を流し続けるための営業コストや成果が必要

  6. 自動化されたシステムが必要で、移り変わる状況に合わせた機能追加やメンテナンス、高度なインフラの整備とその使用料が継続して発生

  7. 1000万円払う人と800万円受け取る人の間に立ち、様々なリスクを負い、ここまでやって企業としての利益はやっと月に数10万円

実際の人件費はもっと高いだろうし、取れる手数料はもっと少ないんじゃないかなと思います
継続して利益を出せるようになるまでにどれくらいの時間がかかって、それまでの投資を回収できるまでどれだけかかる予定なのか、中の人も頭いいはずだからきっとそれくらいは考えているはずですが勝手に心配になります

マイクロインフルエンサー向けの広告媒体が抱える「鶏と卵問題」

大半のビジネスでもそうかも知れませんが、Scopを見ていると
鶏と卵両方揃っていたらうまくまわるんだけど、0からそこに持っていく道筋がとても険しい
という構造を強く感じます

十分な配信者がいなければスポンサーはいなくなり
十分な案件がなければ配信者がいなくなる

十分な成果が出せなければスポンサーはいなくなり
十分な報酬を設定しなければ配信者がいなくなる

そして、十分な流量がなければ自身の事業を継続できない

幸運にも全てがうまくいき規模が大きくなるとどこかのタイミングでTwitchが檻に見えてくる

鶏が先か卵が先かというところから初めてここまでの規模になったのは素直にすごいなぁと思います
将来的を見据えてどのように鶏も卵も増やしていくのか、規模が大きくなりTwitchという牧場の柵が見えてくるときに Scop はどのような役割を担っているのか、絶妙なバランスが求められますね
大変そう・・・

余談

ちょうどこの記事を書いている最中に通知がきていましたが、将来的に自身の収益をビッツやサブスクに当てれるようになるようです
オプトインとかオプトアウトとかよくわかりませんね
確定申告周りの処理はどうなるんでしょうか
全部Turboとサブスク、ビッツに当てればいくら活動しても雑所得にならないのであれば、とても幸せです
そんな甘くないか

画像
そのうち、Twitchの収益をそのままTwitchで使えるようになるかも

まとめ

  • 期待したい一方で、構造的に厳しそうだと感じている点」をまとめました

  • 特に、クリックによる評価は長期的に見て歪みを生みかねない危険性があり、できるだけ早い段階で別の指標に移行出来ると良さそうと感じました

  • 現段階では関わる全ての登場人物の幸福がイメージしづらい点が気になりました

  • 懸念が、心配が、と文句ばかり言っていますが、チャレンジしないと新しいものは何も生まれないので、より皆が幸せになりつつScop自身も儲かるという形に進んでほしいと思っています

  • 現状として僕自身は所属して意味のある規模の配信者ではありませんが、仮に将来ある程度の規模になったとしても、少なくとも今の構造のままであれば参加を前向きには検討できない、というのが率直な感想です

  • 同様に、仮にスポンサーという立場で考えた場合では、新しい価値の創造や認知の拡大、コミュニティの活性化、イメージ戦略といった目的であれば、顔つなぎ程度に試してみることはいいでしょう
    しかし、継続的に案件を実施するかどうかを判断するには成果を厳しめに評価するだろうなと思います

最後に、あーだこーだ好き勝手書きましたが Scopの運営を始め、所属している人、脱退した人、入りたい人、嫌いな人、それぞれの立場の人そのものに対して思うところは特にありません

ただし、「自分が好き(嫌い)だからお前も好き(嫌い)になれ、友達だろ?」という押し付けだけは良くないと思います

自分に合うスタイルや目標は人それぞれあると思うので自分が納得できるように好きに頑張るなり、頑張らないなりすると良いんじゃないかなと思います

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外から見たScopについて、期待と懸念を整理してみた|haaaaaaa_8
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