[さいごのかぎ]Townmemoryの研究ノート

創作物から得た着想を書き留めておくノートです。現在はTYPE-MOONを集中的に取り上げています。以前はうみねこのなく頃にを研究していました。

FGO:ロード・ログレスとは何者か(FGO冬木のサーヴァント内訳)

■TYPE-MOON関連記事・もくじ■
■うみねこのなく頃に もくじ■

 キャスターの冠位戴冠戦のボス、偽典ソロモンが、謎のサーヴァント「ロード・ログレス」なる人物を召喚してきました。鎧は金ぴかですが、顔はアルトリアそっくりです。

 この人いったい何者なの? という問題について、現状思いついたことを挙げる記事です。

 その延長上で考えると、FGOの世界における冬木の聖杯戦争で、どのサーヴァントがいたのかということがふんわりわかってきそうな気がしたので、それも書きます。


FGO:ロード・ログレスとは何者か(FGO冬木のサーヴァント内訳)
 筆者-Townmemory 初稿-2025年12月18日
[終章 序までの情報を元にしています。終章本編は未読です]


 お題としては以下のようになります。


・ロード・ログレスはアルトリア本人なのかそうでないのか。
・偽典ソロモンはなぜロード・ログレスを召喚した(できる)のか。
・FGOの冬木にロード・ログレスはいたのか、いなかったのか。
・これを手がかりに、FGO冬木の参加サーヴァントを割り出せないか。

 

 なお、本稿は「終章 序」までの情報を元に書かれています。ロード・ログレスが登場したところまでは見ましたが、その後の終章本編に描かれるであろう情報は見ていません。

 たぶんロード・ログレスが何者かとか、特異点Fで何があったかとか、そういうことが明かされるのだろうと思うのですが、明かされる前に書いておきたいと思います。なぜなら、情報が入ってくる前でないと書けない/思いつかないことがあり、それを重要だと考えるからです。本編の真相解明と一致するかしないかなんてことには、ほとんど価値を見いだしていません。

 ただ、こういうアイデアは、真相解明の後には頭脳から消えてしまうものなので、わりと必死に書き留めています。


■アルトリアなのかそうでないのか

 ロード・ログレスについて、真っ先に考えたいことは、「この人はアルトリア(アーサー)本人なのか、そうでないのか」でしょう。
 だって顔が同じだし、見たことあるような剣を持っているし、クラスがセイバーだし。

 ロード・ログレスというのは「ログレスの君主」くらいの意味でしょう。ログレスというのはブリタニア列王史にでてくる地名で、「アーサーはログレス国を治めていた」と書いてあるそうです(私は未読)。

 ログレス国の君主はアーサー(アルトリア)ですから、ロード・ログレスとはアルトリアのことであるというのは、たいへん飲み込みやすい解釈です。

 が。

 私はあまのじゃくなので、「そうでないとしたらどうなる?」ということを考えるのです。

 例えばこんなアプローチはどうでしょう。ログレスという言葉が出てくるブリタニア列王史という書物は歴史書でもなんでもないただの小説です。ログレスとは、アーサー王フィクションに出てくる架空の地名ということになります。

 この「架空性」に着目したらどうなるだろうか。

 アルトリアさんはこれまで、自国のことはブリテンと呼んでおり、私の知るかぎりでは、ログレスという言葉を口にしたことはありません。
(探せばあるのかな?)
「わがブリテン」みたいな言い方はしょっちゅうするのですが、「わがログレス」みたいなことを言ったことは、原則ないと思います。

 そこでこう思うのです。
 ロード・ログレスが、もし、我々の知っているアルトリアさんではないとしたら、その正体とは、「物語に書かれた架空のアーサー」ではないか。

 FGO、またはTYPE-MOON世界観においては、アルトリア・ペンドラゴンは「実在した」人物として描かれます。
 史実ではそうではないが、作中では実在したという扱いだ。
 5世紀ごろの英国、ウェールズだかイングランドだかに、アルトリアという人間は本当に生きていて、アーサー王として活躍し、カムランの丘でブリテンもろとも滅びた。
 その死のまぎわに、「この結末を撤回するために聖杯が欲しい」と願ったため、以降の歴史上のどこかに聖杯が出現すると、必ずアルトリアはサーヴァントとしてそこに出現することになった。
 一言で言うと、「実在した歴史上の人物が、サーヴァントになった」。

 その一方でFGOでは、「実在しない人物も英霊の座に登録され、サーヴァントとして出現することがある」のです。

 その代表例が、架空の人物であるシャーロック・ホームズや女教皇ヨハンナ。
 彼らは存在しない、物語にしかいない人物ではあるが、「あまりにも汎人類的に有名になり、ほとんど存在するも同然になったので、英霊の座に登録され、サーヴァントとして出現することが可能になってしまった」のです。

 で、アーサー王というのは、伝説的人物界のスーパースターですから、歴史上の物語作家たちが彼(彼女)を題材にした物語を書き足し、書き継ぎ、ようするに同人誌が量産され、同人誌の同人誌が作られ、そのイメージは劇的にふくらんでいった。
 実体から大きく乖離してもはや別物となった珍妙アーサー像だって描かれたでしょう。東映動画の『燃えろアーサー 白馬の王子』とか……。

 ようするにアーサー王くらいメジャーで、いろんな人がいろんなアーサー王物語を書いてる場合、彼は「実在の人物である」と同時に「架空の人物である」といえる。

 そして、架空の人物であっても、あまりにもメジャーならサーヴァントになれるというルールがあるのですから、

「英霊の座には、実在のアルトリアと、架空のアルトリアが登録されている」

 と考えるのは、そんなに無理がないと考えられるのです。

 そして前述のとおり、ログレスという地名はフィクションの中にしか出てきませんから、
「ロード・ログレスは架空の人物としてのアーサー王がサーヴァントになったものだ」

 わかりやすい例では、エリザベート・バートリー(実在した)と、カーミラ(それをモデルにした小説の登場人物)の関係なんじゃないのかと。


■バリエーション1

 というように考えるのですが、もう一つ踏み込んで、
「ロード・ログレスはアーサー王が実在しない世界線のアーサー王だ」
 というのも面白いかもしれません。

 TYPE-MOON世界観にはアーサー王が実在するので、「エリザベちゃんとカーミラのようなものだ」という言い方ができますが、理論上無限な平行世界には、アーサー王がそもそも誕生しなかった世界線もあるはずです。例えばブリテン異聞帯がそうだよね。

 我々が住んでいるこの世界の史実にも、アーサー王は実在しませんでした(実在したと思いたい人たちは大勢いますが)。
 でもそういう(この)世界にも、アーサー王伝説はあるのです。

 そういうアーサー王伝説が広まった結果、アーサー王はシャーロック・ホームズ方式で座に登録される。座に登録されたら、サーヴァントとして呼び出すことができる。


■バリエーション2

 さらなる別案としては、こうでもいい。

 アルトリアがきれいな聖杯に「ブリテンの滅びの撤回」を願って、それが実現した世界がある(と考える)。

 アルトリアは生前の時代に呼び戻され、ブリテンを復活させる。復活ブリテンは栄えてのちにログレスと呼ばれるようになった。
 ロード・ログレスはそういう世界線のアルトリアである。

 ブリテンが滅ぶ、という歴史が改変されるため、世界線が枝分かれして、元の歴史とログレスのある歴史はパラレルワールドの関係になります。
 元の歴史(我々が見ている歴史)から見ると、ログレスは「アーサー王フィクションに出てくる架空の国」ですが、パラレルな歴史のほうから見ると、「ログレスは実在した国」になり、ロード・ログレスは「実在した王」になる。
 このパラレルな歴史の実在した王が英霊の座に登録され、それが呼び出される。
 なんていう解釈でもいい。

『Fate/stay night』のアルトリアは「自分が王になったのが間違っていたので、自分は王にならなかったことにしたい」という願望を持っているのですが、この願望は第四次聖杯戦争(Fate/Zero)を経験して、狂ったランスロットと出会わないと発生しません。
 狂ったランスロットと出会うまで、彼女は「ブリテンの滅びを撤回したい」という願いを持っていたのです。

 そしてFGOの世界の冬木聖杯戦争は、「2004年が第一回だ」とされています。
(私はちょっと眉唾だとも感じるのですが)

 2004年が第一回であり、そこにアルトリアが召喚されるのなら(というか「絶対に召喚される」という条件付けなのですが)、FGOの冬木には「ブリテンの滅びを撤回したいアルトリア」が出現するはずです。

 そして、FGOの冬木には、「アンリ・マユに汚染されていない」大聖杯があるので、この聖杯戦争にアルトリアが勝てば、ブリテンの滅びはみごと撤回されるのです。ロード・ログレスとは、この流れで発生した新たな歴史のアルトリアなんじゃないか、というのも、なかなか有望に思えます。

 さて、以上のようなことが、私の考える「ロード・ログレスとは何者か」に関する答案なのですが、この案の延長上にはいくつか疑問が出てきます。

 例えば、「なぜ偽典ソロモンはロード・ログレスを召喚したのか」。アルトリアじゃ駄目だったのか。
 アルトリアという人は、へなちょこ衛宮士郎やへなちょこぐだちゃんが召喚しても一流サーヴァントなのですから、偽典ソロモンが召喚したらそれはもう猛烈な性能を発揮しそうだ。それで十分ではないの? 違うの?

 この話、冬木市(特異点F)に続きます。


■ソロモンがセイバーを召喚する話

 偽典ソロモンの中身が何か、については大きく取り上げません。

 偽典ソロモンはソロモン本人ではないが、ソロモンの能力を限定的にしたものを使用できる人です。
 なので、ソロモンの事績、ソロモンがやってきたことに相当詳しい人だと言えそうです。ソロモンと同じ宝具も使えます。

 偽典ソロモンが使用した、「最強のサーヴァントを使役することができれば、自分は最強でなくともよい」という戦略は、そもそもオリジナルソロモンが使用していたものである可能性が高い。
 具体的には、2004年のFGO冬木で、マリスビリーとソロモンは、このストラテジーを使った可能性が高いのです。
 それを知っていた偽典ソロモンが、同じ戦略を見せてくれた、という理解です。

 つまり、ソロモンはサーヴァントであると同時に魔術師であるので、聖杯戦争のマスターになることができる。
 ソロモンはセイバーを召喚して冬木の聖杯戦争を戦った可能性がある。サーヴァント7名のバトルロイヤルで、うち2名が完全な同陣営となり裏切りが起こらない。おまけにその2名はトップサーヴァントである。
 この条件であれば、何の小細工もいらず正攻法で聖杯戦争を勝ち抜けるでしょう。

 FGO第一部、終局特異点のアバンタイトルは、聖杯戦争に勝ったマリスビリーとソロモンが密談を交わすという内容でした。
 この会話において、二人は「この聖杯戦争は表向きセイバーが勝ったということにしておこう」という合意を形成しています。

 

(マリスビリー)
冬木で起きた聖杯戦争は、
セイバーとそのマスターが勝利した事にすればいい。

『Fate/Grand Order』第一部 終局特異点 アバンタイトル

 

 マリスビリーがソロモンを召喚し、ソロモンがセイバーを召喚したのなら、マリスビリー&ソロモンの勝利を「セイバーとそのマスターの勝利」と言い換えても、それは解釈の変更程度のことであって、間違いにはならない。
 ということは、本来セイバーが勝った聖杯戦争を、ソロモンの勝利に書き換えても、歴史改変にはあたらず、歴史の修正力が働かない。

 ここまでの仮定をOKとする。

 ソロモンが召喚した「セイバー」の正体は、ロード・ログレスだったのだろうか?


■アルトリアはいなければならない

 そうだとも考えられるし、そうではないと考えることもできます。

 この話をする際に重要となる条件は、「聖杯が現れるところに、アルトリアは必ず出現する」ことです。
 というか、聖杯戦争が起こる限り、サーヴァントのメンバーのうち一人は必ずアルトリアでなければならないはず。

 2004年のFGO冬木の聖杯戦争に、ソロモンがロード・ログレスを召喚する場合。
 7人のサーヴァントのうち、セイバー枠が埋まるので、セイバーアルトリアはこの聖杯戦争に出現できません。
 アルトリアが参加しないというのは、「聖杯が現れるところ、アルトリアは必ず現れる」というルールに反するので、エラーが起こってしまいます。

 このエラーを回避するためには、

・ロード・ログレスはアルトリア本人である。(本稿の仮定条件と不一致)
・アルトリアはセイバーではないクラスで出現した。(例えばランサー

 このどちらかの条件が必要です。
 前者は本稿の前提条件と不一致(趣旨から外れる)なので取り上げません。

 後者はありえます。FGOに、ランサーアルトリアはいますから、ランサー適性があることは間違いないですし。
(ただ、アルトリアがどこかで「自分の適性はセイバーのみ」と言っていた記憶があるんだけどどうだったかな……)

 セイバーがロード・ログレス、ランサーがアルトリア、キャスターがクー・フーリンなんていう内訳は、FGOの状況にわりと一致するので、魅力的だと思うのですが、クー・フーリンがキャスターで召喚される盤には、キャスターソロモンが召喚できないので、ここでエラーが起こります。

 ここで考えておきたいのは、FGOの「第一章プロローグ」というシーン。FGOの最初の場面です。
 南極のカルデアにやってきた誰かが、検問で属性チェックなどを受け、「本日最後の入館者です」かなんか言われてドアが開くのを待っているとき、「手続きに時間がかかるのでその間に模擬戦闘でもどうぞ」と言われて、ゲームでの初戦闘が起こります。

 

(アナウンス)
……申し訳ございません。
入館手続き完了まであと180秒必要です。
 
その間、模擬戦闘をお楽しみください。
 
レギュレーション:シニア
契約サーヴァント:セイバー ランサー アーチャー

『Fate/Grand Order』第一章 プロローグ


 この模擬戦闘で、プレイヤーは、アルトリア、クー・フーリン、アーラシュを使用することができます。

 でも、カルデアはなぜ、この三人のデータを持っているのだろうか?
 特異点Fに行く前の、実戦経験ゼロのカルデアは、彼らと会ってないはずです。第一章プロローグにおいて、カルデアにダ・ヴィンチ以外のサーヴァントがいる気配がありません。

 第二部のクリプターたちも、サーヴァントを現地で召喚していました。マスターはサーヴァントを現地で召喚する、というのがカルデアの基本的な方針のように見えます。なのに、カルデアはすでに三体のサーヴァントのデータを持っていた。

 そこで、「この三名のデータは、マリスビリーが冬木で遭遇した経験を元に割り出したものである」とするのはどうでしょう。実際に出会って戦ったりしているから、強さがわかるという考え方です。

 この考えを採用する場合、マリスビリーは冬木で「セイバーのアルトリアと」会っている計算になります。

 マリスビリーがソロモンを召喚し、ソロモンがセイバーを召喚するという本稿の仮定において、マリスビリーがセイバーアルトリアと出会うことができるのは、ソロモンがセイバーアルトリアを召喚した場合のみです。

 ということで、ソロモンが召喚したセイバーの内訳は、ロード・ログレスとも、アルトリアとも考えられるのだけれども、どっちかというとアルトリアのほうが優勢なんじゃないかなあ、というのが現状の判断です。

(注:ただし私は、「第一章プロローグの当該シーンは、すべての事件がきれいに解決したはるか未来のカルデアで起こったことである」という説を持っているので、それを採用する場合、セイバーアルトリアのデータはFGOの物語から持ってくることができます。そういう前提の場合、セイバー=ロード・ログレス、ランサー=アルトリアでも特に問題は生じません)

 ところで、この流れのまま考えていくと、FGOの冬木にどんなサーヴァントがいたのか、ある程度割り出せるんじゃないでしょうか。ライブ感のまま試しにやってみます。


■マリスビリーの歴史改変

 マリスビリーと冬木の話をする際には常にこれを述べておくのですが、私はれもんまいさんの、
「マリスビリーはモルガン式レイシフトで過去に飛び、2004年の冬木の聖杯戦争に参加した」
 という説に深く同意し、これを下敷きにしています。以後もこれを前提とします。

 

【FGO考察】特異点Fに関する現状の論理的考察

 要約しておきますが、

・マリスビリーはカルデアスの完成を見ずに自分が死ぬことを知った(資金難で完成しない)。
・マリスビリーは2004年に聖杯戦争が行われていたことを「事後に」知った。
・マリスビリーは2004年以前の自分にレイシフトした。
(過去世界に自分自身が存在する場合のみ、コフィンなしでもレイシフトできる。現在の自分は消滅するが、現在の知識を持ったまま過去に戻れる)
・マリスビリーは2004年の聖杯戦争に参加し、勝利した。
・それで得た資金でカルデアスを完成させた。

 ようは、2004年の冬木でどんな戦いが起きるかをあらかじめカンニングしておき、対策を万全にした上で、タイムマシンに乗ってバトルロイヤルに参加したという話です。

 おそらく、マリスビリーが知らなくて参加できなくて、「あー、あれに参加できれてばカルデアスを回すカネが手に入ったのにー」と思った本来の聖杯戦争では、セイバーアルトリアが勝利したのでしょう。
 なにがしかの特殊な横やりがない限り、セイバーアルトリアは必ず聖杯戦争に参加するルールですからね。

(余談。先述の通り、FGOの冬木には汚染されていないまともな大聖杯があるので、アルトリアがブリテンの滅びの撤回を望めば本当にそれが叶う。ブリテンが滅びずに栄え、その結果ログレス国が発生すると仮定する場合、ロード・ログレスが史実上に発生する計算になる。それはさておき)

 マリスビリーはそれを調べてつきとめ、
「じゃあ、セイバーアルトリアを自分で召喚すれば、勝利の可能性は爆上がりだな」
 と考えた。

「本来の聖杯戦争ではセイバーアルトリアが勝った」という仮定条件は、先述の引用部、「セイバーを勝利した表向きで行こう」により納得感が出ます。

 

(マリスビリー)
冬木で起きた聖杯戦争は、
セイバーとそのマスターが勝利した事にすればいい。

『Fate/Grand Order』第一部 終局特異点 アバンタイトル


 本来参加していなかったマリスビリーが急に聖杯戦争に参加し、しかも勝利するというのは、歴史改編にあたります。
 歴史改変を世界が知った場合、元に戻す力が働いて、歴史改変が無効になってしまうという設定があります。

 しかし、「大づかみのところさえ元の歴史と合っていれば、細かい違いは解釈変更でどうにでもなる」という話もあるのです。

 

・本来の歴史では、セイバーアルトリアとそのマスターが勝利した。
・改変された歴史では、ソロモンとマリスビリーと、ソロモンが召喚したセイバーアルトリアが勝利した。
・マリスビリーはキャスター陣営であると同時に、セイバー陣営である。
・これを「セイバー陣営勝利」という言い方でくくれば、ふたつの歴史はほぼ同じなので、歴史の修正は発生しない。


 この話の流れからすると、

・マリスビリーが取った戦略は、「本来の聖杯戦争」を調べ尽くした結果の最適解である。

 ということなので、

・マリスビリーの戦略が最適解となるような盤を構成したら、それは本来の聖杯戦争の形に近いはずだ。


■最強の召喚術師

 何度も繰り返してすみませんが、「マリスビリーがソロモンを召喚し、ソロモンがアルトリアを召喚した」を前提条件として設定します。これを前提としない思考は本稿の対象外(またの機会に)。

 そもそもマリスビリーはなぜソロモンを人選したのか。たまたまぽろっとソロモンの指輪が手に入ったのではないとしたら理由は何か。

 それは、ソロモンが人類史上最強の召喚術師だからでしょう。なにしろ七十二体の魔神を召喚して同時に使役したというのですからね。
 ソロモンと比肩しうる召喚術師なんて史上存在しなかった。比較可能なのはカルデアのバックアップがある状態のぐだちゃんくらい。というか全くの余談ですが、カルデアというのはソロモンが不在となった世界でソロモンと同等の力を手元に持ちたいという気持ちの産物だろうという気がします。それがゲーティアを倒すことになるのだから気が利いている。

 おそらくマリスビリーは、「召喚術師のサーヴァントを召喚し、彼にセイバーを召喚させる」というプランをあらかじめ持っていた。それでソロモンを人選した。

 マリスビリーが「召喚術師のサーヴァントにセイバーを召喚させる」というストラテジーを最強だと確信するに至った理由は、そのストラテジーを使って成果を出した陣営が元の聖杯戦争にいたからだと想定します。

 そして私たちはそれに心当たりがあります。『Fate/stay night』のメディアは、自分が魔術師なのをいいことに自らマスターとなり、佐々木小次郎を召喚し、あるいはエミヤのマスターになったり、アルトリアのマスターになろうとしてしくじったりと、基本この路線で戦っています。

 おそらくFGOの元の聖杯戦争でも、メディアさんは登板しており、このような戦略を駆使していたと考えられる。そのことを事後に調べて知ったマリスビリーは「これだ」と思った。

 元の聖杯戦争ではセイバーアルトリアが勝ったので(推定)、セイバーアルトリアを自分で召喚すれば、まず順当に勝てると思われるが、より確実なのは、自分でキャスターを召喚し、キャスターにセイバーアルトリアを召喚させることだ。単純な戦力計算でも、倍の力で戦える。そのためには召喚術師のキャスターを人選するのがいい。

 ということで、メディアはFGOの本来の聖杯戦争にいた可能性が高いです。
 そして、マリスビリーが参加した歴史改変の聖杯戦争には、キャスター枠としてソロモンが登板するため、こちらにはメディアはいないです。
 メディアがいたら、最強の発想をする奴が自分以外にもう一人いて困りますから、キャスターの席をふさいでおきます。

 余談。
 偽典ソロモンは四名の有力なキャスターを挙げて、「彼らは根本を間違えている」という趣旨のことを述べます。

 

(ロマニ・アーキマン)
口だけの夢使い。神に等しいと語る仙人モドキ。
雪原の女王。救世主のなれの果て。
 
それなりに腕の立つ魔術師は数あれど、
そのどれもが根底から間違えている。
 
最強の魔術師とはどのようなものか―――
ここで身を以て教えよう。

『Fate/Grand Order』第二部 終章 序

 

 この四名はおそらくマーリン・太公望・スカディ・モルガン。

 キャスター最強ランキングにメディアさんは入らないのね……という反応をネットでちらほら見かけました。

 でも、ここにメディアが入っていないのは、彼女が「間違えていない」からかもしれませんよ。

 

 

■衛宮士郎はいるのかいないのか

 本稿で扱っている、FGOの「本来の」聖杯戦争において、衛宮士郎は果たして存在するのかしないのかというのは、気になるポイントです。

 FGOにおける冬木聖杯戦争は、他のFateと違って、「2004年が第一回だ」と作中で語られています。

 

(エルメロイ)
さて。君らの記録においては2004年の冬木市が
最初の聖杯戦争の開催地、という事になっているが。

『Fate/Grand Order』Fate/Accel Zero Order プロローグ

 

「事になっているが」というあたりに含みがあり、どうもこれには疑問符がつくよねと感じなくもないのですが、それを変数に入れたらまとまらなくなりますので、とりあえず「FGOでは2004年に第一回が行われた」と想定します。

 2004年が第一回だということは、1994年に第四次聖杯戦争が行われなかったということであり、衛宮切嗣は聖杯戦争に関与しなかったということになり、冬木大災害も起こらなかったことになります。
 衛宮士郎は被災することも切嗣に拾われることもなく、実の両親の元にいて、魔術師にはならなかったと考えられます。マスターになれません。

 聖剣の鞘が埋め込まれることもないので、アルトリアとの縁が生じないわけで、もし何かのまちがいでマスターになったとしても、アルトリアを召喚できるかはあやしいところです。

 ということで、ここで検討している聖杯戦争においては、衛宮士郎は無関係だという方向が有力そうです。

 ただ……いたほうが面白そうだし、いたとするとFGOにつながる部分もあるなという気はしています。
 というのも村正の依代として士郎が選ばれますね。マリスビリーは聖杯戦争で衛宮士郎と出会い、コイツ面白いなと思ったので、適当な英霊を彼に突っ込んで異星の使徒にしてみました、なんてのは、なかなか魅力ある想像だと思います。

 この想像の場合は、べつだん、衛宮士郎はマスターでなくともよい。衛宮士郎は、魔術師であるかないかに関わらず、遠坂凜と間桐桜が同時に恋をしてしまう難儀なポジションなので、それで物語に関わってきたということでもいい。

 ちなみにこの、マリスビリーは衛宮士郎に興味を持ったというのは全くの余談であって、「1.5部の英霊剣豪でたまたま偶然、衛宮士郎を依代に村正が現れた。それを見たマリスビリーだか異星だかが、コイツ使おうと思って異星の使徒に仕立てた」という、普通の考え方でも全然かまいません。

 ただ、言峰綺礼/ラスプーチンのほうはどうだろう?

 彼は「1.5部でたまたまそういう構成で出現した」ということがなく、いきなり「言峰綺礼を依代にラスプーチンが現れた」次第です。
 こっちのほうは、「言峰綺礼おもろいやんけ、異星の使徒にしたろ」が十分あり得る気がします。
 この場合は、ラスプーチンを呼んだら言峰綺礼がついてきた、のではなく、言峰綺礼を呼んだら中身が自然にラスプーチンになったという物語になります。

 そういう物語を想定するなら、この聖杯戦争の盤には言峰綺礼がいたことになります。でもマスターだったかどうかはわかりません。聖堂教会からの監督役としてだけいたかもしれません。

 話を戻します。衛宮士郎は多分マスターではなかった。でも盤上には必ずアルトリアがいなければならない。
 じゃあ誰がアルトリアを召喚したのか。


■遠坂凜

 御三家からは誰が出場したのでしょうか。例えば遠坂家は?

 遠坂時臣が存命なら、彼が出場したはずです。その場合は、時臣はギルガメッシュを召喚した可能性があるでしょう。Fate/Zeroで示された通り、彼には触媒を入手するツテがありますものね。

 ただ、前述の第一部第一章プロローグ、あそこに出てきた三名の模擬戦闘サーヴァント。
 あの三名が「マリスビリーが聖杯戦争で出会ったサーヴァント」であるとするなら、この聖杯戦争にはアーチャー枠にアーラシュが登場した次第となるので、アーチャー・ギルガメッシュは登場できない。同じ理由でエミヤも登場できません。
(FGO本編の特異点Fにいたエミヤはコリジョンした正体不明の聖杯戦争のメンバーだという理解です)

 遠坂時臣がアーラシュを召喚した、は十分あり得る話ですが、それより面白いのはこうではないでしょうか。

 遠坂凜がセイバーアルトリアを召喚した。

 そもそも遠坂凜はエミヤではなくセイバーを召喚するつもりだったと『Fate/stay night』に書いてあります。でもセイバーとの縁が不可分的に強力な衛宮士郎が存在したことで(あと召喚時間を一時間間違えたことで)、エミヤが呼ばれることになったのです。

 いま検討しているFGOの本来の聖杯戦争は、衛宮士郎がマスター資格を持たないので、時間さえ間違えなければ遠坂凜はアルトリアを召喚できます。

 本稿の前提では、アルトリアを召喚したということは、直ちに「聖杯戦争に勝利した」という意味です。遠坂凜はきれいな聖杯に「巨万の富」という……マリスビリーがのちに歴史改編で叶えるのと同じ願いを叶えた。
 なんとその意味でも、本来の聖杯戦争と、歴史改編後の聖杯戦争は結果が一致し、修正力が働かなくなる。

(そういえばソロモンの「人間になりたい」と、アルトリアの「ブリテンの滅びを撤回して元の世界に戻って生きたい」は、「サーヴァントでなくなりたい」という意味では一致しますね)

 このタイムラインの遠坂凜は巨万の富を得て左うちわよオッホホホとなり、今後一切、宝石魔術の媒体に困らなくなる。
 ただし、遠坂凜は、肝心かなめのところで不運にみまわれる体質の女子です。巨万の富を得て左うちわになったはいいが、その結果をマリスビリーがまるごとなかったことにしてしまう。残念。

 FGOの冬木の聖杯は、サーヴァント七名の魂が全部たまると、人類すべてが魂物質化されてしまう仕様だと見受けられます。
 詳しくはこちらで。
 FGO:Dr.ロマン殺しの選択/終局特異点アバン読解

 しかし、マリスビリー視点では、FGOの世界は2004年以降も魂の物質化は実現していないので、遠坂凜はアルトリアを自害させなかったのでしょう。これは当然だよね。


■アルトリアは聖杯に貯まるの?

 と、ここまで考えて自分の思考にエラーっぽいものが発見されたのでそれを書いときます。

 聖杯戦争でアルトリアが敗れた場合、その魂は、大聖杯(または小聖杯)に蓄積されるのか? という問題があります。アルトリアはカムランの丘から冬木に来ていると自分で言ってます。彼女、倒されたら聖杯にはゆかずカムランに戻るのでは。

 いったん聖杯に蓄積されるとしても、儀式が成立したとき、アルトリアは座に戻ろうとするのか? 聖杯の真の目的はサーヴァントが座に戻ろうとする力を利用して世界の外殻に穴を開けることなので、座に戻らないなら威力が足りなくなるのでは……。

 これは、「アルトリアも聖杯に蓄積される」「帰還するときいったん座を経由する」と考えるなら、問題ありません。私はそっち寄りの解釈です。なぜなら、カムランから来ているとはいっても、彼女がサーヴァントであるというのは間違いないですし、聖杯の力で召喚されているのも間違いないところです。そして、聖杯というのは英霊の座へのアクセス権を持ち、それを使って英霊召喚をしているのですものね。

 でもそう考えない場合は、「聖杯戦争にアルトリアが召喚されている場合、儀式は絶対に完全成功しない」という条件付けになります。

 この場合、「聖杯戦争には必ずアルトリアが召喚される」のは、抑止力が聖杯戦争に送り込んだ毒。つまり、「絶対に聖杯戦争の儀式を成功させないことを目的に、抑止力がアルトリアと契約し、常に彼女を送り込んでいる」かもしれません。

 しかるに、終局特異点アバンタイトルでマリスビリーは「大聖杯にソロモンを除いた6人分のサーヴァントが蓄積された」という意味のことを言っています。

「アルトリアが聖杯に蓄積されない」という条件があり、さらに「ソロモンを除いた6人が聖杯に入った」が真なら、ソロモンが召喚した(という仮定の)セイバーはアルトリアではないことになります、ね。

 しかし、ソロモンが召喚したセイバーが、本稿の想定するような内容のロード・ログレスであった場合、問題はなくなるのです。本稿のロード・ログレスは、ホームズのような扱いの架空の英霊であり、カムランの丘からは来ておらず、英霊の座から来ています。問題なく聖杯に蓄積されることができ、英霊の座に向かって飛んでいくことができ、外殻を破壊する役に立ちます。

 といった次第で、うっかり「ソロモンがロード・ログレスを呼んだ説」が厚くなってしまいましたが、余談ここまで。本論に戻ります。


■シャドウサーヴァントたちと間桐桜

 FGOゲーム本編で描かれた特異点Fには、複数のシャドウサーヴァントが出てきました。

 これを、FGO本来の聖杯戦争、もしくはマリスビリー参加の歴史改変聖杯戦争で召喚されたサーヴァントだと思いたい気持ちがあります。よね?

 ですが、そうは思い切れません。なぜなら、各コミック版において、このポジションで登場するサーヴァントが全く別だったりするからです。

 FGOゲーム本編のシャドウサーヴァントは、

・ライダー:メドゥーサ
・アサシン:呪腕のハサン
・ランサー:武蔵坊弁慶
(・バーサーカー:ヘラクレス)

 

『Fate/Grand Order -mortalis:stella-』では、

・ランサー:メドゥーサ(推定。大人の女性の姿。アナではない)

 

『Fate/Grand Order-turas realta-』では、

・ランサー:メドゥーサ(推定。大人の女性の姿。アナではない)
・ライダー:ブーディカ(推定)
・アサシン:百貌のハサン

 

 これは単純に考えれば、「単に設定変更した」と捉えることができますし、そう考える場合は「このポジションの内訳はわりと何でも良かった」という裏事情が透けます。

 ただし、全ヴァリエーションにメドゥーサが登場するので、間桐桜はマスターとして参加していたと見ることができます。

 が。

「メドゥーサのような反英霊は、聖杯がアンリ・マユによって汚染されない限り、聖杯戦争に召喚されない」

 という設定があったはずです。

 そしてFGOの冬木の聖杯は、アンリ・マユに汚染されていません。だって第一回ですし、「巨万の富」という願望が、ペナルティなしに叶うのですものね。

 これをどう考えるかですが。

 本稿で扱っているFGO冬木には、「三つの聖杯戦争が重なっている」のです。

 

1a)本来の聖杯戦争。セイバー陣営が勝利した。
1b)マリスビリー参加の歴史改変聖杯戦争。1aを無効とし、キャスター陣営が勝利した。
2)コリジョンしてきた謎の聖杯戦争。聖杯が汚染されている。

 

 特異点Fで発見されるサーヴァント及びシャドウサーヴァントは、三つのうちどれに由来するのかがわからないという状況です。

 そして、「反英霊は聖杯が汚染されている場合のみ召喚される」設定が生きているなら、特異点Fに現れるすべてのメドゥーサは(ライダーもランサーも)、2番のコリジョン汚染聖杯戦争が由来ということになる。

(1aと1bの聖杯は汚染されていないので、消去法で、特異点Fの汚染状況は2番由来とするほかない)

 これを踏まえると、
「シャドウサーヴァントたちは、特異点Fで見られるからといって、FGO本来の聖杯戦争に召喚されていたとは限らない」
(コリジョン聖杯戦争の人かもしれない)
 となります。
 単純に彼らが内訳だとはいえないということですね。

 私の直感では、アルトリアオルタ、エミヤ、ライダーメドゥーサ、ヘラクレスは2番由来。コリジョン聖杯戦争から来たサーヴァントかなと見えます。その他は不定。

 ですが、これも直感ながら、「間桐桜がブーディカを召喚」は、わりとありえる話かなと思っています。

 1aと1bの聖杯戦争、聖杯が汚染されていない聖杯戦争では、メドゥーサは召喚できません。この条件の聖杯戦争に間桐桜がいるのなら……というか、間桐枠から出馬できるのは臓硯か桜だけなので桜がマスターの可能性は極めて高いのですが……メドゥーサの代理としてブーディカは面白い組み合わせだと感じます。

 というのもブーディカは一言で言えば、「すべてを奪われ、憎しみをつのらせ、それゆえに反逆する」というキャラクターであって、間桐桜の物語と極めて強力に響き合うからです。

 ただし。
 この場合、ブーディカとライダーメドゥーサとランサーメドゥーサが同時に特異点Fに見られることがおかしくなります。

 メドゥーサは、クラスが何であれ、汚染された聖杯戦争、2番の聖杯戦争にしか現れないはずです。

 そして2番の聖杯戦争は、現状の情報では、ひとつしかないはずです。
 なのに、二種類のメドゥーサが出現している。
「2番の聖杯戦争にはライダーメドゥーサとランサーメドゥーサが同時に存在した」とかいう突飛なことがないかぎり、現状はおかしいことになります。

 これは変だなあ、うーん、どうしようかと5分くらい考えましたが(1aと1bに別々のメドゥーサがいたことにはできないですものねぇ)、こういうのはどうでしょう。

「コリジョンのドサクサでランサー・クーフーリンがキャスター・クーフーリンになった余波である」


■オーディンまたやらかした

 本来ライダーだったメドゥーサが、ランサーになったというのがポイントだ。
 今ここに、本来ランサーだったものが、急にキャスターになった人がいる。

 

(賢人グリム=クー・フーリン)
カルデアの面倒を見てやれ、ってのが
オレに権能を譲渡した神サンの意向でね。
(略)
まずはX地点である冬木で神サンから権能を譲渡されて
キャスタークラスになって、カルデアと縁を作った。

『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節

 

「権能を譲渡されてキャスタークラスになって」とおっしゃっているからには、クー・フーリンはそれ以前はキャスターではなかった。ランサーとして盤上に乗っていた。

 コリジョンのドサクサで、オーディンにオーディンパワーを注入されて、強引にキャスタークラスに変更された。

 すると、今までクー・フーリンが座っていたランサーの席が空席になった。

 これまでは、「FGOの冬木には三つの聖杯戦争が重なっている」としてきましたが、もっと厳密にいえば四つが重なっているのです。


1a)本来の聖杯戦争。
 ランサー・クーフーリンがいたかもしれない。

1b)マリスビリー参加の歴史改変聖杯戦争
 ランサー・クーフーリンがいたかもしれない。

2)コリジョンしてきた汚染聖杯戦争が、コリジョンする前の状況。
 ランサー・クーフーリンとライダー・メドゥーサがいたかもしれない。

3)ぐだマシュ参加の汚染炎上都市冬木。コリジョン後。
 キャスター・クーフーリンがいる。そしてランサー・メドゥーサがいる。


 ようするに、FGO冬木の聖杯戦争に、どこか別の聖杯戦争が衝突してきてぐじゃぐしゃになった。
 その瞬間、オーディンが「いまだ!」とかいって、オーディンパワーを注入。
 それによって、どこか別の聖杯戦争の参加者だったクー・フーリンとメドゥーサはクラス変更されて、特異点Fに出現したのだというアイデアです。

 3番の「ぐだマシュ参加の汚染炎上都市冬木」の盤上に自前のキャスターを乗っけるために、オーディンが横やりをかまして、クー・フーリンをランサーからキャスターに変更した。
 するとランサーが空席になった。
 七騎士全種がそろわないと、聖杯戦争としての体裁をなさない。どうしよう。

 FGO第一部第一章で特異点Fを書いたときには、奈須さんはたいそう忙しくてわちゃわちゃしていたので(多分)、
「ここは適当な埋め草でいいや、日本が舞台だから弁慶で」
 くらいで、空いたランサー枠に武蔵坊弁慶を置いた。

(FGO第一部第一章ゲーム本編の登場サーヴァントにおいて、『Fate/stay night』と一致しないメンバーは武蔵坊弁慶のみ)

 だけどその後、物語を書き進めて、自作への理解が深まっていくと、

「あ、クー・フーリンがキャスターにされた代わりに、ランサー適性のある他のサーヴァントがランサーに変更されるというのはアリだな」

 と思いつく。
 オーディンが、クー・フーリンのついでにメドゥーサをクラス変更したことにしよう。

『Fate/stay night』のメンバーでランサー適性がありそうなのはアルトリア、ヘラクレス、メドゥーサなので、ここでメドゥーサが選ばれる。ハルペーで刺されたという逸話を拡張すればいい。本編にアナも登場させたことだし。

 FGOのコミック版が複数展開することになったので、この新しい設定を、ここから導入する。

『Fate/Grand Order-turas realta-』と『Fate/Grand Order -mortalis:stella-』(ともにコミック版FGO。両方で特異点Fが描かれる)において、共通して登場するのがランサー・メドゥーサだ。
 ランサー・メドゥーサをマシュが倒すところが、最序盤の盛り上げどころとなる。

 二つのコミック版FGOにおいて、シャドウサーヴァントのメンバー変更が行われた理由は、ランサー・メドゥーサを出すため。それによって「何か見知らぬ力(ここではオーディン)の干渉が行われている」という裏事情を透かすためだ。

 ランサー・メドゥーサが大人の女性の姿をしており、つまりランサーではあってもアナ(幼少メドゥーサ)ではないというのがポイントだ。
 ランサー・メドゥーサを大人の女性として描くことで、大人の女性だったライダー・メドゥーサとの関係性(完全同一人物)をほのめかせる。アナのような純真なメドゥーサではないですよ、ライダー・メドゥーサの憎悪をそのまま持った存在ですよ、槍ニキとキャスニキの関係ですよという表現になる。

 同時に、アサシンとライダーの内訳も変えておく。そうすることで、「特異点Fには、同一クラスの複数のサーヴァントがいる」という描写とする。
 そういう描写を入れれば、「この特異点には、複数の世界線が入り交じっている」ということの伏線となる。

 特異点Fは、呪腕と百貌とブーディカとメドゥーサ二種と武蔵坊弁慶が同時にいていい空間だし、その全てがここにいますよ。ただし、たまたまその中でぐだが遭遇したのが、ライダーメドゥーサと弁慶と呪腕ですよ。
(コミック版では、たまたまランサーメドゥーサとブーディカと百貌に遭遇しましたよ)

 そういうかたちが作れる。

 ……というようなことが起こっていたのではないかと想像したわけです。


■まとめ(ない)

 ここまでの話をふまえて、1a本来の聖杯戦争にどのサーヴァントがいたのかをまとめようかと思ったのですが、やめておきます。それを書いたら、ああ、これが結論なんですねと読まれてしまいそうだ。

 とりあえず、私の頭の中から出てきたなんかおもしろそうなことを書き出しました。終章楽しみですね。以上です。


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