荒れる宮城知事選 「デマ」対応に追われる現職 参政党は新顔を応援
6選をめざす現職に、参政党の全面応援を受けた新顔が挑む宮城県知事選(26日投開票)が「荒れ模様」となっている。現職は、ネット上で見られる「デマ」への対応に追われ、難しい戦いを強いられている。
戦いの中心は現職の村井嘉浩(65)と、自民党前参院議員の和田政宗(51)の2氏。自営業金山屯氏(85)、前県議の遊佐美由紀氏(62)、宮城県角田市元職員の伊藤修人氏(33)も立候補している。
宮城に照準を合わせた理由は
「参政党の候補者でも私、こんなに応援に来ませんよ」。仙台市で19日、神谷宗幣代表は、和田氏と笑顔で街頭に並んだ。
神谷氏は「とんでもないことが宮城で起きる。そうしたら全国の知事は縮み上がりますから」と集まった1千人近い聴衆を盛り上げた。告示直前を含め神谷氏はこの日までに4度、県内で演説した。
今回の選挙を神谷氏は「参政党が本格的に応援する初めての知事選」と位置づける。推薦は出さず、党員に向けても自主投票とした。ただ、街頭には党カラーのオレンジをまとった支持者が多く集まる。
動員のない演説では、和田氏の声に足を止める聴衆は多くない。県内で人気の根強い伊達政宗と同じ「政宗」のため地元出身と思われがちだが、東京出身の元NHKアナウンサーで、強い地盤があるわけではない。そんな和田氏にとって、参政支持層は強力な応援部隊だ。
今回、参政が宮城に照準を合わせたのは、7月の参院選から続く村井氏との因縁が理由だ。神谷氏は水道事業の運営権を民間に売却した県を「外資に売った」と批判。一方、村井氏は売却先の大株主は国内企業であり、最終責任は県が持っていると抗議した。
こうした経緯や、政策が似通う点もあり、「敵の敵は味方」となった神谷氏と和田氏。スクラムを組んだ両氏は多方面から現職批判を展開する。土葬を可能とする墓地整備問題もその一つだ。
攻め続ける現職の「アキレス腱」
外国人材の受け入れを進めてきた村井知事は昨年10月の県議会で、宗教上の理由で火葬を望まない人が増える可能性を踏まえ、県内の土葬整備について調査、検討すると答弁した。
しかし、「外国人が増えることに不安がある」などと県内外から多数の反対意見が寄せられ、墓地の許可権を持つ県内市町村長も難色を示した。村井氏は知事選直前の9月、「自分が知事の間はやることはない」と突如、白紙撤回を表明した。
和田氏は県が2020年に取り下げ、その後、再提案した宿泊税の導入経緯を例に、「いざ当選すれば土葬もやっぱりやる可能性がある」と現職の「アキレス腱(けん)」を攻め続ける。ただ、宿泊税の場合はコロナ対策を優先していったん取り下げたもので、土葬と違い、実現自体を断念したわけではなかった。
和田氏は民間業者によるメガソーラー建設計画の停止も訴える。村井氏も建設反対を明言しているが、ネット上には「村井知事がメガソーラーを推進している」とのデマがはびこる。
そんな状況から村井氏は選挙戦終盤にかかった20日、「事実に基づかない誹謗(ひぼう)中傷がネット上で散見される」として、法的措置を弁護士に相談していることを自身のSNSで明かした。
街頭演説でもこうした意見に対する説明に時間を割かざるを得ない状況で、AI(人工知能)技術による業務効率化や半導体企業の誘致など自身が訴えたい政策の浸透に苦慮している。