「負担大きくなる」 東北大の留学生学費値上げに学生が公開質問状

阿部育子
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 東北大が2027年度の入学生から、外国人留学生の授業料を値上げすると決めたことを受け、有志の学生がつくる団体「留学生学費値上げ問題を考える東北大生の会」が12日、大学に公開質問状を出した。1月9日までに書面による回答を求めている。

 東北大は1日、大学ホームページ上で学費の改定を発表した。学部と大学院修士課程の留学生が対象で、国内学生と同じ年53万5800円を、27年度の入学生から約1・7倍の90万円にする。博士課程は据え置く。

 理由について「留学生の受け入れ環境を段階的に整備し、教育・研究・生活の質の向上に努めてきた。世界から選ばれ続けるためにはこうした取り組みを維持し、さらに充実させていくことが不可欠」と説明している。

 「東北大生の会」は12日、冨永悌二(ていじ)総長宛ての公開質問状や、学生などから集めた署名157筆を学務課の職員に手渡した。

 質問状では「学内でも留学生を中心に不安が広がっている」と指摘。そのうえで、理由を具体的に明らかにすること▽どのような算出方法で1・7倍になったのか▽国際卓越研究大学に認定され国際化のために多額の資金が投入されているはず。大学ファンドからの154億円から支出できないのか――など6項目をただした。

 会の代表で文学部4年の山下森人さん(24)は記者会見で「留学生個人の負担が非常に大きくなる。留学生の意見がきちんと反映されていないのではないか」と述べた。「私自身多くの留学生と交流して一緒に学んできた。彼らとの国際的なつながりが、これからの社会を作るために不可欠のはず。大学には真摯(しんし)に対応してほしい」

 情報学を学ぶ中国出身の男子学生(23)は、英米に比べて生活費や学費が安いという理由で留学先を選んだという。「学費も生活費もアルバイトでまかなっている。留学生は基本的にバイト代が130万円を超えないようにしていると思うので、(学費の90万円を引いた)40万円で1年間生活するのは難しいと思う」と語った。

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