奥能登の医療「人手足りない」「新病院早く」 続く離職、分娩は停止
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県の奥能登地域の病院で看護師を中心に離職が続いている。地域にお産ができる病院がなくなったことへの不安も強い。県は4市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町)の公立4病院を再編統合し、新病院をつくる方針だが、開院まで6~7年はかかり、それまで地域医療をどう支えるかが課題だ。
「早急に(新病院を)建てていただきたい。看護師の離職が続き、医師1人が退職し、今後もう1人退職する。来年度の診療体制を構築するのはかなり厳しい状況」。11月20日にあった再編統合に向けた県の検討会で、市立輪島病院の品川誠院長はこう訴えた。珠洲市総合病院の浜田秀剛院長も「新病院以前に、現在の病院の人材確保が大変。在籍出向という形で金沢などから人材を回してほしい」と要望した。
輪島病院では、2023年12月末に274人だった職員が12月1日現在で225人に減った。このうち125人だった看護師は97人に。珠洲市総合病院では同期間で看護師(准看護師などを含む)が119人から88人に減った。
被災後、子どもの教育環境などを考えて金沢方面に住まいを移し、辞めた人が多いという。輪島病院の担当者は「患者が減った現状で何とかシフトを回している。さらに(看護師が)減れば当直や待機の回数が増え、(勤務が)きつくなる可能性がある」と話す。
■手厚い修学資金制度でも……