高2自殺 学校がいじめ報告書拒否 裁判で担任教諭「認識なし」証言

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池田良 寿柳聡
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 長崎市で2017年に私立海星高校2年の男子生徒(当時16)が自殺したのは学校がいじめ防止対策推進法に基づく対策を怠ったからだなどとして、両親が計約3200万円の損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が15日、長崎地裁(松永晋介裁判長)であった。生徒の1~2年時の担任教諭は、生徒に対するいじめの認識を問われ「ないです」と述べた。

 生徒は17年4月、市内の公園で自殺。学校は弁護士や臨床心理士ら5人からなる第三者委員会を設置して原因調査などにあたった。

 第三者委は18年11月、男子生徒に対する腹の音に結びつけたからかいなどをいじめと認定。「少なくとも中学3年時以来のいじめを主たる要因としつつ、これに起因した心理的な孤独・音に関する過敏な心理状態、教師からの理不尽な指導、学習に関する悩みや焦りなどが相互に作用し合って自死につながったものと考える」と結論づけた。だが、学校側が受け入れを拒否し、両親が22年に提訴した。

 この日証言した男性教諭は男子生徒の印象を「まじめで、コツコツ、おとなしくて内向的だった」と説明。「保護者との三者面談で、(生徒が)東京ディズニーランドで働きたい」と言っていたことが印象的だったなどと明かした。

 一方、いじめがあったとの認識については否定し、男子生徒への「いじり」や「陰口」なども「把握できていなかった」と述べた。

 男子生徒はトイレを理由に授業に遅れてきたり途中で抜け出したりすることがあったといい、「大丈夫か」と声を掛けたこともあったが「大丈夫と答えていた。細かくは覚えていない」とした。

 また、いじめに関する学校側の対応については「学年会で議題に上がったかもしれませんが、覚えていません」と証言。男子生徒が自殺する前の13年に施行した「いじめ防止対策推進法」の理解度については「読んだことはありますが、細かく把握できていなかったかもしれません」と話した。

「『突然死』にした方がいい」 発言めぐり教頭も証言

 続いて証言台に立った当時の男性教頭は、いじめに対する学校側の備えについて説明。年2回ある生徒へのアンケートや問題が起きた場合に対応する委員会の仕組みについて述べたが、委員会が「開催されたことはない」という。担任など現場レベルで「解決」につながることが多いためだとした。

 訴訟では、両親が学校側から…

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この記事を書いた人
池田良
長崎総局|警察・司法、平和担当
専門・関心分野
交通、原発・エネルギー、福祉、半導体産業、写真
寿柳聡
長崎総局
専門・関心分野
行政、スポーツ、写真、ロケット、サブカル