最近、経営者と話をする機会が多く、「メンタル不調の社員が増えている。どうすればいいのか?」とよく聞かれる。「本人は大丈夫と言うが、周りからは疲れて見える社員もいる。先んじて休ませた方がいいのか?」と問われることも。

 よく話を聞くとその背景には決まって「人手不足感」があった。

 「人手不足」に関する問題は、あれこれ日常的に報じられているけれど、数字だけでは見えてこない現場のリアルがある。人が足りなくなる要因が複数かつ複雑に絡み合い、現場の負荷とひずみの問題につながっていくのだ。

 その象徴的なケースとして、まずはある企業の社長さんのお話からお聞きください。

 「やっと一人前になれそうだってところで、若い社員が辞めてしまうでしょ。なので、技能実習生に頼るしかないのが現状です。しかし、どんなに優秀な人材でも、日本語試験に受からないと日本に残れません。日常生活や仕事で不自由ないのだからって思うんだけど、国の制度ですからどうにもなりません。

 そうなると結果的に、40代、50代以上のベテラン社員に負担がかかります。しかも、休むことに抵抗がない若い社員とは違って、有休取得義務の分は休んでくれるけど、仕事を優先しがちです。

 そしたら先日、『自分はウツかもしれない』とある社員が言ってきた。それまで当たり前にできていた仕事の手順がうまくできないし、思い出せない、と。それでその日は早退させて、翌日病院に行ったら、気分障害と診断されてしばらく会社を休むように言われたそうです。

 実は他にも似たような例があって、いずれもできる社員です。どうしたってそういう社員に仕事が集中しがちなんですよね。こちらも色々と工夫してるんですけど。これも結構難しい。あまり負担をかけさせないようにすると、本人はもっとできると言うし、その逆もあります。ウツから復職した社員もなかなか難しい部分もあるんで。何かこうアドバイスがあればお願いします」

 社長さんのお話は以上です。

 「人手不足→若手社員が辞める→人手不足→技能実習生を貴重な戦力として受け入れる→それでも人手不足」といった話は度々聞いてきた。しかし、そのしわ寄せが現場社員のプレゼンティズムにつながっていると、リアル現場で聞いたのは今回が初めてだった。

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