2025年02月13日
2025年12月10日
職場におけるハラスメントは、単なる個人間のトラブルではなく、企業にとっても大きな損失につながる深刻な問題です。ハラスメントには、パワハラやセクハラ、マタハラなどさまざまな種類があり、被害を受けた従業員はメンタルヘルスの悪化や離職に追い込まれるケースも少なくありません。
本記事では職場で起きやすいハラスメントの種類や定義を整理し、具体的な予防策・対策についても解説します。ハラスメントへの正しい理解を深め、企業が取り組むべきポイントを押さえることで、誰もが安心してはたらける職場環境の実現につなげられます。
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コンプライアンス違反の中でも事例が多く、特に気を付けたいのが「ハラスメント」。ハラスメント問題は、企業の信用を揺るがし、職場環境を悪化させる重大なリスクです。
【コンプライアンス・ハラスメント問題対策ガイド】では、企業が抱えるリスクの中でも特に重要視すべき「コンプライアンス違反」と「ハラスメント」に焦点を当て、課題点と予防法をまとめています。
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目次
ハラスメントは、相手の尊厳を損ない、就業環境を悪化させる発言や行為のことです。職場でのハラスメントは、大きく「法令で定義されたハラスメント」と「社会通念上のハラスメント」に分類されます。
法令で定義されたハラスメントには、「パワーハラスメント(パワハラ)」「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」「マタニティハラスメント(マタハラ)/パタニティハラスメント(パタハラ)」「ケアハラスメント(ケアハラ)」「カスタマーハラスメント(カスハラ)」があります。これらのハラスメントは、厚生労働省が企業や事業主へ対策を義務付けており、企業は従業員が安心してはたらける環境を整える責任を負っています。
一方、社会通念上のハラスメントとして考えられるものには、「モラルハラスメント(モラハラ)」「アルコールハラスメント(アルハラ)」などが該当します。これらは法的な定義はないものの、いずれも企業が看過できないリスク要因であり、適切な管理・対策が必要です。
主なハラスメント防止対策としては、以下の4つが挙げられます。
ハラスメントが発生した場合には、事実確認を行い、関係者への適切な措置を取ることが重要です。また、再発防止策を実施し、職場環境の改善に努めなければなりません。
ハラスメントのない職場環境をつくるためには、企業と従業員が一体となって取り組むことが不可欠です。お互いの人格を尊重し、コミュニケーションを大切にすることが、ハラスメントのない健全な職場づくりにつながります。
2024年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、企業の64.2%がパワハラ、39.5%がセクハラの相談を過去3年間に受けていることが明らかになりました。この結果から、ハラスメントが職場で深刻な問題となっていることがわかります。
ハラスメントは被害者の心身に大きな影響を与えるだけでなく、企業にとっても人材流出や損害賠償請求、行政処分のリスクがあります。したがって、ハラスメントの予防と適切な対応は、企業にとって重要な課題といえるでしょう。
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ハラスメント、懲戒、情報漏洩といった問題は、企業の信頼や業績に大きな影響を与えかねません。「企業のコンプライアンス実態調査2025」では、コンプライアンスリスクに対する企業の取り組み状況を調査し、最新の実態と傾向をまとめました。自社の現状把握やリスク対策の改善にぜひご活用ください。
職場では、多様なハラスメントが発生するリスクがあります。ここでは、代表的な15種類のハラスメントについて、それぞれの定義と特徴、企業が取るべき対応を解説します。
パワーハラスメントとは、職場における地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為です。
具体的には、暴行や傷害などの身体的な攻撃、脅迫や侮辱などの精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、能力以上の仕事を強要する過大な要求、不当に仕事を与えない過小な要求、私的なことに過剰に立ち入るプライバシーの侵害などが該当します。
パワハラは、被害者の心身の健康を損なうだけでなく、職場環境を悪化させ、生産性の低下を招く恐れもあります。また、企業は改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)によって、パワハラ防止の措置が義務付けられているため、社内方針の明確化や従業員への周知、相談窓口の設置などを行わなければなりません。被害の早期発見や健全な職場環境の維持のためにも、早期の対策と適切な組織運営が求められています。
【関連記事】パワハラ(パワーハラスメント)とは?定義や6類型、防止法を解説
セクシュアルハラスメントは、性的な言動により相手の就業環境を害したり、性的な言動に対する相手の対応によって一定の不利益を与えたりする行為です。セクハラには、地位や立場を利用して性的な関係を強要する「対価型」と、性的な言動によって就業環境を悪化させる「環境型」の2種類があります。
セクハラは、被害者の労働意欲を喪失させるだけでなく、企業のイメージダウンや訴訟リスクにもつながるため、セクハラ防止のガイドライン作成や、従業員への教育・啓発の実施が求められています。
【関連記事】セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは?定義や対策を解説
マタニティハラスメント・パタニティハラスメントはそれぞれ、妊娠や出産、育児休業を理由とした嫌がらせや不利益な取り扱いを行うことを指します。マタハラは女性の妊娠・出産・育児休業を理由とするハラスメント行為で、パタハラは男性の育児休業取得などを理由とする嫌がらせ行為です。
具体例としては、妊娠・出産・育児を理由に降格や減給、解雇を行う、育児休業の取得を拒否する、復帰後に仕事を与えない、育児を行う男性従業員に対して嫌がらせをするなどが挙げられます。
マタハラ・パタハラは、はたらく女性・男性が安心して仕事と妊娠・出産・育児を両立できる環境を阻害し、企業の生産性や評判に悪影響を及ぼします。企業は、マタハラ・パタハラを防止するためのガイドラインを策定し、研修を実施するなどの対策が求められます。
【関連記事】マタニティハラスメント(マタハラ)とは?定義や対策について解説
ケアハラスメントは、介護休業や介護のための時差出勤などの制度利用を理由に、嫌がらせや不利益な取り扱いをすることです。
具体例としては、介護休業の取得を理由に解雇する、介護のための時差出勤を拒否する、復帰後に不当に仕事を与えない、介護を行う従業員に対して嫌がらせをするなどが挙げられます。これらは、仕事と介護の両立を妨げ、従業員のはたらき続ける意欲や、就業環境を侵害する行為です。
企業は、ケアハラを防止するための方針を明確にし、介護休業制度や時差出勤制度などの周知徹底を図る必要があります。
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などの第三者が、企業の労働者に対して不当な要求や迷惑行為を行うことをいいます。主に、威圧的な言動や暴力、謝罪の強要、長時間の拘束、業務と無関係な不当な要求などが挙げられます。
また、2025年6月には改正労働施策総合推進法が成立し、すべての企業はカスハラ防止のために雇用管理上の措置が義務として課されることになりました。さらに、企業は労働契約法などに基づく職場環境配慮義務を負っており、厚生労働省の指針に基づいた対策が求められています。
具体的には、顧客・取引先への毅然とした対応方針の表明や、対応マニュアルの策定、従業員への周知・研修、ケア体制の整備などが必要です。
モラルハラスメントとは、言葉や態度、身振り、文書などで継続的に人格や尊厳を傷つけたり、精神的に苦痛を与えたりする行為です。具体的には、職場での大声での叱責や、必要以上の長時間拘束・叱責、他の従業員の前で恥をかかせる、無視するなどが該当します。
モラハラは、被害者の自己肯定感を低下させ、ストレスによる健康被害や離職の原因となります。企業は、モラハラを防止するための行動規範を策定し、研修を実施するなどの取り組みが必要です。
【関連記事】モラハラとは?職場における具体例や防止するための対策を解説
ロジカルハラスメントとは、過剰に論理的な説明や資料を用いて、相手に心理的プレッシャーを与える行為です。相手の意見を頭から否定したり、データや資料を用いて一方的に断定したりといった行為が当てはまります。
ロジハラは、相手との建設的なコミュニケーションを妨げ、職場の人間関係を悪化させる可能性があります。企業は、ロジハラを防止するために、多様な意見を尊重し、適切な議論ができる職場風土を醸成することが重要です。
【関連記事】ロジカルハラスメント(ロジハラ)とは?定義や対策について解説
ジェンダーハラスメントとは、性別による役割分担などの固定観念に基づいて、個人の能力や適性を判断せずに、差別的な言動や評価を行うことを指します。
具体例としては、「女性は結婚したら家庭に入るべきだ」「男性は仕事を優先すべきだ」などの性別役割分担意識に基づく発言、採用や昇進において性別を理由に差別することなどが挙げられます。
ジェンハラは、個人の能力や可能性を制限し、職場の多様性を損なう可能性があります。企業は、性別にかかわらず個人の能力を公平に評価し、多様なはたらき方を認める職場環境づくりが求められます。
アルコールハラスメントとは、飲酒の強要や過度の飲酒によって、他者に迷惑や危険、不快感を与える行為を指します。酒席での一気飲みの強要や、酒に酔った上での暴言や暴力、意に反してお酌を強要すること、酒席での交流を過度に強要することなどが具体例として挙げられます。
アルハラは、アルコールの影響で適切な判断ができなくなることから、パワハラやセクハラなど他のハラスメントに発展するリスクがあります。企業は、飲酒の強要をしない方針の明確化や加害者への適切な措置の策定などルールを設ける必要があります。
リストラハラスメントとは、会社の業績悪化を理由に従業員を圧迫したり、不当に低い評価をしたりして退職を迫る行為を指します。
具体例としては、人員整理の名目で特定の従業員に退職を強要する、不当に低い人事評価をして退職に追い込む、退職強要のために過大な仕事を押し付けるなどが挙げられます。
リスハラは、従業員のはたらく権利を脅かし、不当な処遇により退職に追い込むものです。企業は、リストラを行う際には、適切な基準に基づいて対象者を選定し、強要ではなく任意の合意に基づく退職を実施することが求められます。
テクノロジーハラスメントとは、IT・デジタル機器の知識や経験の優位性に基づいて行われるハラスメントです。主に、デジタル技術に不慣れな従業員に対して「こんなことも知らないのか」と馬鹿にする言動のほか、故意に専門用語を使って解説したり、IT技術の操作や知識を教えずに丸投げしたりといった行為が該当します。
テクハラはパワハラの類型として捉えられることがあります。企業は、デジタルデバイド(情報格差)是正のため、丁寧な研修やサポート体制を整備し、全従業員がIT技術を円滑に利用できる環境づくりを行うことが重要です。
リモートハラスメントとは、テレワーク(在宅勤務)などのリモート環境下で発生するハラスメントです。遠隔での勤務に伴う監視やプライバシー侵害、コミュニケーション不足による不当な行為などが該当します。
具体的には、オンライン会議中に「部屋を見せろ」と強要するプライバシー侵害や、過度な業務日報やチャット報告を義務付けたり、常時Webカメラの使用を強要したりする監視行為のほか、業務時間外の連絡・即時対応の強要といった行為が挙げられます。
企業の対応としては、リモートワークのガイドライン明確化や、適切なコミュニケーションルールの設定、心理的安全性の確保に向けた相談窓口の周知徹底が必要です。
ホワイトハラスメントとは、上司が部下や後輩に過剰に気を遣うことで、結果的に相手に不利益や精神的な負担を与える行為を指します。例えば、「難しいから」と言って本来の業務以外の簡単な仕事のみを与える、相手の心的負担に配慮するあまり意思疎通が希薄になる、部下の残業を心配して業務を完全に巻き取るなど、過剰な配慮によって部下の成長機会を奪う行為が該当します。
ホワハラは、パワハラの「過小な要求」の類型として該当する可能性があります。特に管理職に対して、過度な配慮が部下の成長機会を奪うリスクがあることを認識させ、適切な指導の範囲やコミュニケーションのルールを明確化することが求められます。
セカンドハラスメントとは、ハラスメント被害者が相談窓口などに申告した際、その相談対応の過程や周囲の反応によって、再び精神的な苦痛を受けることです。被害の事実を否定されたり、非難されたりすることで二次的な被害が生じることを指します。
具体例として、担当者から「あなたにも原因がある」と被害を軽視・否定される、申告によって「社内の空気を乱した」と周囲から孤立させられる、不利益な配置転換を命じられるといった行為が挙げられます。
セカハラは、パワハラ防止法において、相談者に対する不利益な取り扱い禁止という形で防止が定められています。企業は、相談担当者に守秘義務の徹底と中立的かつ寄り添った対応の専門研修を義務付け、安心して相談できる環境を整備しなければなりません。
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ハラスメントが企業に与える影響は深刻で、従業員だけでなく、顧客や社外のステークホルダーも含んだ多方面にわたる損失を引き起こす可能性があります。放置すれば、法的リスクだけでなく、企業価値やはたらく環境にも大きなダメージを与えるため、適切に防止策を講じるためにも、企業にどんな損失があるかを知っておくことが大切です。
ハラスメントは法令で禁止、または対策が義務付けられている行為であり、適切な対応を怠ることはコンプライアンス違反につながります。被害者から損害賠償請求を受ける可能性も高く、訴訟に発展すれば多額の賠償金が発生するケースもあるでしょう。
さらに、企業側の管理責任が問われれば行政処分を受ける可能性もあり、企業の信用を大きく損なう可能性があります。こうした法的トラブルは、企業の経営基盤に大きな影響を及ぼすため、未然にハラスメントを防ぐことが重要です。
【関連記事】ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いや強化する方法を解説
ハラスメント問題が表面化すると、企業のイメージは大きく低下します。SNSやメディアなどで情報が拡散されれば、その影響は計り知れません。
企業イメージの低下は、売上減少や株価下落などの直接的な損失につながります。また、優秀な人材の確保が困難になるなど、間接的な損失も生じます。ハラスメントは企業の存続をも脅かしかねない重大な問題といえるでしょう。
ハラスメントは被害者の心身に深刻な影響を及ぼし、メンタルヘルス不調や職場への不安感から業務への意欲が低下します。また、ハラスメントを放置すると周囲の従業員にも緊張感や不信感が広がり、チーム全体のモチベーションや協働意識が損なわれる可能性も否定できません。
このような状態が続くと、従業員が本来の力を発揮できず、生産性の低下が顕著になります。離職率の上昇やノウハウの流出につながるケースもあり、企業にとって大きな損失となります。
ハラスメントを受けた従業員は、精神的に追い詰められ、休職や退職を余儀なくされるケースが少なくありません。特に優秀な人材の流出は企業にとって大きな痛手となります。
株式会社パーソル総合研究所の「職場のハラスメントに関する調査」によると、2021年の年間におけるハラスメントを理由とする離職者は年間およそ86.5万人に上り、そのうち約57.3万人 が「ハラスメントが退職理由であることを伝えていない」という結果が出ています。この結果から、企業ではハラスメントの事実が表面化していないため、人事部門や経営陣が問題を把握できず、適切な対策を講じられていないといえるでしょう。
さらに、休職者や退職者が増えることで、残された従業員の負担が増加し、さらなる休職・退職を招く悪循環に陥ります。加えて、人材不足によって採用コストや教育コストが増大するなど、企業の経営に深刻な影響を及ぼします。
企業がハラスメント防止に真剣に取り組むことは、単なる倫理的配慮にとどまらず、「人材を守り、組織を維持する」ための経営上の必須課題です。
【関連記事】なぜ今人手不足なのか?業界別の現状と企業が取るべき10の対策
ハラスメントが発生する背景には、さまざまな要因が絡んでいます。ここでは、ハラスメントが起こりやすい4つの原因について詳しく解説します。
ハラスメントが発生する1つ目の原因は、価値観の違いです。人によって育ってきた環境や経験が異なるため、物事の捉え方や考え方に差が生じるのは当然のことで、同じ言動に対しても「気にならない人」と「深く傷つく人」がいます。
しかし、こうした価値観や感じ方の違いを認識せず、自分の価値観を基準にした言動を繰り返すことで、ハラスメントに発展してしまう危険性があるのです。
2つ目の原因は、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の存在です。誰もが無意識のうちに持ってしまう偏見は、本人に悪気がなくても相手を不快にさせたり、不公平な扱いを生んだりする原因になります。
例えば、「若いから任せられない」「女性だから気遣いが得意なはず」といったアンコンシャスバイアスに基づいた言動は、本人に悪気がなくても相手を不快にさせるハラスメント行為の典型例です。そのため、自分の中にある無意識の偏見を認識し、客観的な視点を持つことがハラスメント防止には欠かせません。
3つ目の原因として、性別役割分担意識の強さが挙げられます。「男性は仕事、女性は家庭」といった固定的な性別役割分担意識が残っている職場では、その価値観が行動に表れ、能力の決め付けや役割の押し付けが起こりやすくなります。
こうした前提に基づく言動は、知らず知らずのうちにハラスメントを生む温床になります。性別にかかわらず、一人ひとりの個性や能力を尊重する姿勢が必要です。
最後に、ハラスメントを生みやすい労働環境の問題があります。過度な競争や長時間労働、厳しい上下関係など、ストレスが蓄積しやすい労働環境はハラスメントのリスクを大きく高めます。
また、ハラスメントを許容するような企業文化や、適切な対応を取らない管理職の存在も、被害を深刻化させる要因となります。ハラスメントを予防するには、従業員のメンタルヘルスに配慮した環境づくりや、経営層や人事部門のハラスメントに対する意識改革が欠かせません。
ハラスメントが発生した場合は、迅速かつ公正な対応が欠かせません。ここでは、ハラスメント発生時に企業が行うべき3つの対応について解説します。
ハラスメントの申告や通報があった場合、まず事実関係を確認するための聞き取り調査を行います。公平性を保ちつつ、当事者双方および関係者から詳細に話を聞き、客観的な情報を集めましょう。
聞き取りの際は、申告者のプライバシーに配慮し、二次被害が生じないよう留意します。また、聞き取った内容は記録として適切に保管し、その後の判断や再発防止に活用できる状態にしておくことが重要です。
事実関係が確認できた場合、加害者に対しては、行為の中止や謝罪、配置転、換懲戒処分などの措置を講じます。一方、被害者に対しては、メンタルヘルスケアや就業環境の改善など、心身の負担を軽減するための配慮が欠かせません。適切な措置を取ることで、円滑な職場復帰を促すことができます。
これらの措置は、企業に義務付けられている「被害者への適切な配慮措置」の一環でもあり、安心してはたらける状況を早期に取り戻すために重要な取り組みです。なお、加害者に対する措置は、再発防止の観点からも重要です。懲戒処分などを行う場合は、就業規則などに則って適切に実施しましょう。
調査から処分・ケアまで終えた後は、ハラスメントが起こった背景を整理し、組織としての改善点を明確にした上で、再発防止策を実行します。具体例としては、ハラスメントに関する社内研修の実施や、相談窓口の設置・周知、管理職へのマネジメント教育などが挙げられます。
再発防止策は、企業トップのリーダーシップのもと、全社的に取り組むことが重要です。ハラスメントを許さない企業文化を構築し、従業員一人ひとりの意識を高めていくことが求められます。
また、防止策の効果を定期的に検証し、状況に応じて見直し・改善を行うことも重要です。ハラスメントに適切に対応することで、従業員のはたらきやすい環境づくりと、企業の健全な発展につながります。
ラスメントを防止するためには、明確な方針を示し、組織として主体的に取り組むことが欠かせません。
パーソルホールディングス株式会社が実施した「企業のコンプライアンス実態調査 2025」では、企業がコンプライアンス違反を防止するために講じている対策として「相談窓口の設置」(46.5%)と「管理職向けのコンプライアンス研修の実施」(46.4%)がほぼ同率で最多となり、続いて「一般社員向けのコンプライアンス研修の実施」(41.3%)が挙げられています。
この結果から、相談体制の整備と従業員階層ごとの教育が、企業の主要なハラスメント防止策として位置付けられていることがわかります。ここでは、企業はハラスメント防止のために行うべき3つの施策について解説します。
企業ホットラインとは、社内のハラスメント被害を匿名で相談できる窓口のことです。ホットラインを設置することで、被害を受けた従業員が安心して相談できる環境が整います。
匿名性が確保されることで、報復への不安から相談をためらうケースも減り、早期発見・早期対応につながります。ホットラインの運用にあたっては、以下の点に留意する必要があります。
また、窓口の設置だけでは十分でないため、ホットラインの存在を社内に周知徹底し、利用しやすい環境を整えることも重要です。
ハラスメント防止研修は、従業員のハラスメントに対する理解を深め、意識の加害行為を抑制する効果や予防意識を高めるために有効な施策です。研修では、ハラスメントの定義や具体例、相談窓口の利用方法などを説明します。
研修は全従業員を対象に定期的に実施し、特に管理職には指導的立場としての役割を踏まえた個別プログラムを設けるのが効果的です。eラーニングや外部講師による研修など、企業の実情に合わせた方法で実施することが望ましいでしょう。
【関連記事】ハラスメント研修とは?目的や内容、義務化を解説!対策のポイントも
社内アンケートや360度評価は、組織内のハラスメントリスクを定量的・定性的に可視化するための重要な手法です。アンケートでは、被害・目撃の有無、相談窓口の認知度、職場の心理的安全性などを幅広く把握できます。
また、360度評価では、上司・同僚・部下など多方向から個人の行動を評価するため、本人が気づきにくい問題行動を発見しやすい点が特徴です。フィードバック結果を適切に伝え、改善につなげることで、組織全体のハラスメントリスクを低減できます。
調査結果は経営層と共有し、ハラスメント防止策の改善につなげていくことが重要です。アンケートや評価は定期的に実施し、PDCAサイクルを回しながらより良い職場づくりにつなげていきましょう。
【関連記事】360度評価とは?メリット・デメリット、効果を高めるポイント
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コンプライアンス違反の中でも事例が多く、特に気を付けたいのが「ハラスメント」。ハラスメント問題は、企業の信用を揺るがし、職場環境を悪化させる重大なリスクです。
【コンプライアンス・ハラスメント問題対策ガイド】では、企業が抱えるリスクの中でも特に重要視すべき「コンプライアンス違反」と「ハラスメント」に焦点を当て、課題点と予防法をまとめています。
ハラスメント・リスクマネジメント対策をご検討されている方はぜひご活用ください 。
本記事では、職場におけるハラスメントの種類と定義、そして企業が取るべき予防と対策について解説してきました。ハラスメントは法令で定義された類型と社会通念上問題とされるハラスメントがあり、いずれも被害者の尊厳を傷つけ、組織全体の健全性を揺るがす行為です。
ハラスメント防止のためには、以下の点が重要といえます。
ハラスメントは企業にとって人材流出や訴訟リスク、企業イメージの低下などの損失をもたらします。一人ひとりがハラスメントに対する意識を高め、予防と対策に積極的に取り組むことが求められます。
ハラスメントのない職場づくりは、従業員のはたらきがいの向上や企業の生産性アップにもつながります。企業と従業員が一体となってハラスメント防止に努め、誰もが安心してはたらける職場環境の実現を目指しましょう。
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