「優しい父が変わり果てた姿で…」 老人ホームで夜勤中に暴力、なぜ

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石田一光
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 入所者を守るべき立場の介護職員が夜勤中、入所者を踏みつけ、外傷性ショックにより死亡させたとされる衝撃的な事件。17日に佐賀地裁で判決公判があり、山田直之裁判長は被告に懲役9年(求刑懲役10年)を言い渡した。

 傷害致死罪に問われたのは佐賀市諸富町の無職、下津浦弘平被告(36)。これまで8、9、10日と3日連続で公判が開かれた。

 起訴状によると、被告は5月2日午前4時ごろから6時半ごろまでの間、当時勤めていた佐賀市北川副町の老人ホームで夜勤中、入所していた80代の男性に対し、ベッドの上で腰と胸の辺りを足で複数回踏みつけるなどして右腎破裂と肋骨(ろっこつ)多発骨折のけがを負わせ、外傷性ショックにより死亡させたとされる。

 検察側は10日の論告で、被告について「介助が必要な被害者に対し、一方的で執拗(しつよう)に、死亡させる危険性の高い暴行を加えており、非常に悪質」と指摘。犯行に及んだ経緯・動機は身勝手で短絡的であり、遺族は厳罰を望んでいるとした。

 これに対し弁護側は、被告について「普段は温厚で真面目、優しく、暴力的傾向は皆無という評価を受けていた」。事件はパニック状態に陥った被告の突発的な犯行で、当時は合理的思考や臨機応変さが発揮できる状態ではなかったと主張。けがを負わせる気はなく、なぜこういう行為に出たのかわからない状態だったとした。

 この前日の9日には、被告人質問があった。本人の口から、事件までの経緯や当日の様子が語られた。

被告が被害者にふるった3回の暴力とその理由

 被告は介護福祉士。妻の妊娠がわかり、昨年11月ごろから仕事の量を増やし、休みが減った。睡眠不足と疲労の蓄積でイライラしていた。たばこの量が増え、普段は飲まなかった酒も飲むようになった。きついときはエナジードリンクを飲んでいた。

 事件前日の5月1日は夕方か…

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