【資料】女子枠に係る憲法・法学文献の抜粋:女子枠は憲法違反(違憲)なのか?
女子枠に係る法学者の文献をまとめました。法学分野の文献は、書籍ベースのものが多く、ネット上で正確な情報を得ることが難しい状態です。少数説のみを取り上げる一部メディアも散見されることから、いくつかの文献から一節を引用し、また、紹介します。
・女子枠に否定的な含意を読み取れる文献
・女子枠に慎重な含意を読み取れる文献
・女子枠に肯定的な含意を読み取れる文献
は、当note著者である大学院生による分類です。著作権法の引用要件の都合上、概要文献の全文を切り抜くことはできません。重要と思われる一節を引用しておりますので、「なぜそのような結論や表記に至っているのか」「どのような根拠があるのか」が気になる方は、原典に当たることを強く推奨します。
女子枠に否定的な含意を読み取れる文献
近年、国公立大学では理系学部を中心に『女性のみ』とする教員採用が(入試での「女子枠」も)多くなっている。...(中略)...是正という点では意義を感じないではないが、露骨な、能力と無関係な生来の属性による差別(逆差別)という点で、違憲の疑いが濃厚なクォータである。
社会的な差別構造を是正するのに有用な方法ではあるが、他面、同点の受験生でも性別による合否が生じるため、逆差別として憲法上疑義があることが多かろう。
たとえば国立大学への入学につき、一定の社会的弱者に優先枠を設けることは、仮に実質的平等の要請にかなうものであるとしても、受験機会の平等という形式的平等の要請に明らかに反する。積極的な差別是正措置は一般的には是認されるとしても、方法や限度を誤ると「逆差別」として許されないことになる。
もう一方の性に属するならば合格した点数を取りながら不合格になった者にとっては、この措置は性に基づく差別以外の何物でもないのである。
女子枠に慎重な含意を読み取れる文献
(※アファーマティブ・アクションの意義を認めつつも)
憲法論の基本から言えば、それは「どこまでなら14条に反しないか」という問いもふまえつつ決定されるべき性質のものとなる。
女子枠制度の正当性は、必ずしも当然には、そして容易に導き出せるとも言い難い。しかし同時に、社会変革への一撃として制度導入が求められる社会実相があることも看過できない。
女子枠に肯定的な含意を読み取れる文献
学説はクォータ制によるアファーマティブ・アクションの実施に消極的で
あったが、私見では、合衆国においてクォータ制が違憲と判断される理由は
日本には当てはまらない。クォータ制が憲法に適合するか否かは文脈によっ
て判断すべきであり、憲法適合性の観点からはその採用に過度に謙抑的であ
る必要はない。女子枠の憲法適合性が問われたとき、ほとんどの場合には、
裁判所は合憲と判断することになる。
※note筆者補足:茂木先生は、女子枠の憲法適合性を主張しているが、同論文内にて、多くの学説が「クォータ制(女子枠のような一定の枠を割り当てる方式のこと)」に否定的であることを認めている。
(※女子枠の合憲性を主張する論文であるが、前提の解説として)
多くの学説は アファーマティブ・アクションを差別的な社会構造の是正策として捉え、 様々な領域でその導入を積極的に提唱してきたが、特定のグループに一定の割合を留保するかたち(クォータ制)での実施は、能力主義への抵触、劣等視(アファーマティブ・アクションがなければ対象者は成功できず、劣っているという考え)、逆差別を生じさせる危険が高いと認識し、好ましくない(あるいは一切許されない)と理解していた。
おわりに
大学図書館等で女子枠に係る法学者の見解を調査した結果、女子枠を肯定的に捉える法学分野の文献は、1件しか確認できませんでした。一方で、女子枠を否定的に捉える法学分野の文献が複数確認できました。また、女子枠を肯定的に捉える1件についても、多くの学説が(アファーマティブアクション自体は肯定的に捉えながらも)クォータ制に否定的であることを認めています。
これらを総合すると、法学分野における通説、控えめに表現しても、多数説・有力説は、女子枠を否定的に捉えていると言えると考えられます。
情報提供の募集
前述の通り、法学はGoogle検索等にインデックスされていない書籍における議論も活発な領域です。当然に見逃しがある可能性もありますので、この文献で女子枠が言及されていた、ですとか、女子枠に係る議論を見つけた、などがあれば、コメントいただけますと幸いです。随時追加します。
※法学の学術的な文献が対象です。例えば、「フェミニズムの論文で女子枠は差別ではないと書かれていた!」等や、メディアからのインタビューでの発言は(編集者カットもあるでしょうから)信ぴょう性が乏しいため、当然に対象外です。
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・本記事は、執筆時点で信頼できると思われる各種文献に基づいて作成されていますが、著者はその正確性、完全性を保証するものではありません。
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